朝の死神(短編)
久しぶりに夫とデートする夢を見た。
清々しい気持ちで目覚めた朝に、思い出の詰まった家から引っ張り出そうとする人たち。
私は絶対にこの家から出ない。
※短篇/13kb (2024/03/10)
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真夏のオリオン
八月十五日、午前三時。
彼は足音を忍ばせながら帰ってきた。
夜明け前の希少な時間。二人で見たオリオンのことを、わたしたちは決して忘れないだろう。
※短篇/18kb (2023/07/07)
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半夏生
泥に足を取られ躓いた少女の前に咲く半夏生。
身代わりに死装束を纏った少女は、神の怒りから逃れられたのか。
※短篇/12kb (2023/07/02)
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グウタラ教
何、グウタラ教をご存じないですと?
それでは簡単にご説明いたしましょう。
※掌篇/6kb (2021/05/06)
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宝物
※掌篇/8kb (2020/12/29)
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朝の死神
※掌篇/9kb (2020/12/29)
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五稜郭のゆり
脱藩した兄・直助の代わりに跡を継ごうと兄に成り代わった結は、討幕の嵐に巻き込まれ、箱館へと渡る。結の幼馴染であり直助の付き人であった笙一郎もまた、結を守るため、戦禍に身を投じることとなる。
※中編/幕末/箱館戦争/幼馴染/身分差/一部PG-12/105kb (2020/07/26)
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Bloody Moon
祖母を亡くしたばかりの少女は、自己肯定感を求めて献血ルームに通いはじめる。
そこで出会った少年にほのかな恋心を抱くようになるのだが、少年は何やらわけありで――?
※短篇/吸血鬼/流血表現あり/36kb (2018/09/10)
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蛍
※掌篇/8kb (2018/06/24)
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ゆびさき
※掌篇/5kb (2018/02/27)
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ショパンの前奏曲から着想を得て
ショパンの前奏曲を聞きながら即興でツイッターに打ち込んでいった物語。
時は19世紀。ヨーロッパは音楽文化が華開き、一方、国境はめまぐるしく変化していた。
とある湖畔で二人の男女は出逢う。惹かれ愛し合うものの、悪化する社会情勢に二人は引き裂かれていく。
※雑文/独白形式/東欧/19世紀/13kb (2016/02/07)
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LAST LOVE
これが最後の恋になればいいと思った――
※短篇/片思い/告白/社会人/16kb (2015/03/04)
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雪焔 ―命の天秤―
帰省途中、スリップ事故の為ガードレールから崖下に妻と共に落ち、生き残った匡生。妻への愛憎を胸に助けを待つ匡生の周りに、降り積もる雪とともに青白い炎が灯りだす。
※短篇/悲憐/奇譚/19kb (2015/01/02)
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カナリアが鳴いた時
老いては命永らえるために啜る若き命。一人生きると決めた女の悲哀と狂気。
※掌篇/狂気/PG-12/10kb (2014/12/10)
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灯りを求めて
暗闇の中、かぼちゃのランタンを手に休むことさえ許されずにひたすら歩きつづける罪人の話。
※短篇/狂気/PG-12/16kb (2014/10/06)
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さんさんてまり
燦々手鞠 鞠つく少女(おとめ)の唄声は――手鞠を作ると約束したまま死んでしまった青年は時を超え、手鞠唄に導かれて一人の少女に手鞠を届ける。
※短篇/兄妹/ほのぼの/微切ない/15kb (2014/8/10)
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琥珀に眠る
それならばあたしも、琥珀に眠る羽虫のように降り積もる樹液の中でひっそりと息絶えてしまいたい。二度とこの想いが外に出てしまわぬように。――双子の姉視点から描いた禁断の片想い。弟視点『さなぎ』のB面。
※短篇/片想い/姉弟/禁断/18kb (2014/6/24)
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さなぎ
窓鏡越しに見つめ合うその二人を、僕はそっと後方から見つめていた。退屈そうに頬杖をついて窓の外を眺めるふりをしながら、窓に映るあいつの姿を盗み見る彼女。それに気づいて見つめ返すあいつ。彼らが密かに互いの姿を盗み見しあっていることを、僕だけが知っていた。――双子の弟視点から描いた禁断の片想い。姉視点『琥珀に眠る』のA面。
※短篇/片想い/姉弟/禁断/20kb (2014/6/24)
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ウサギ
「ウサギは鳥なんだよ」
小学校にいた時、変なことを言いだした男の子がいた。
※掌篇/病室/悪夢/9kb (2014/6/22)
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カラフルデイズ
幼馴染とはいえないただの幼稚園からの同級生。大学三年の夏、彼は大学に来なくなった。そして一年後、異国の地から一冊のアルバムが送られてくる。
※短篇/カメラ/アルバム/同級生/すれ違い/両片想い/15kb (2014/5/20)
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invitation to the blue
夢を追って叶えたはずの学校の先生。しかしいつの間にか彩子は幼い頃の夢のみならず自分のことすら見失っていた。そんな時、一通の手紙が届く。それは小学校卒業前に埋めたタイムカプセルを掘り起こす時が来たことを知らせる手紙だった。
おまけ「invitation to the blue 前夜」
※短篇/夢/タイムカプセル/同級生/46kb (2014/3/1)
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破滅の指輪
水盤の底には一つの指輪が転がっている。右手で拾えば世界を救い、左手で拾えば世界を滅ぼす。
※掌篇/問答/選択/6kb (2013/10/11)
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残夏、逝く
あの日、家族が津波に呑みこまれている時、わたしは内陸の町にいた。全てを失ったわたしに残されたのは後悔と自責の念とヴァイオリン、それから母の残した緑のドレスだった。
※短篇/震災/音楽/昇華/26kb (2013/8/25)
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求塚
「人の顔を打つというのは人の心、魂をそこに打ち出すのと同じである。人の心魂を表すこと、その人の心魂を浮き彫りにすることである」――幼い頃に見た能「求塚」の菟名日の少女に恋した男は面打ち師となり、数十年の月日を経て求塚の面を打つ機会に恵まれる。さっそく訪ねた求塚で男が出会ったのは、物語に違わず菟名日の少女であった。
※短篇/能/三角関係/地獄/浄化/44kb (2013/7/8)
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愛しのメリークリスマス
恋も仕事も婚活も、何もかもうまくいってない。自殺? そんなんじゃない。ただ星を見てたらベランダの柵が外れて落っこちてしまったの。気がついたら荷台の上にいて、かっこいいサンタとトナカイに運ばれてたんだけど、これって天国のクリスマス大サービス?
※短篇/クリスマス/プレゼント/45kb (2012/12/24)
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槇瀬の恋
これはもう恋じゃない。ただの執着。
※掌篇/恋/執着/8kb (2012/8/3)
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銀色夏紗
あの日、僕が出会ったのは君の幻でした。
※短篇/夏/海/15kb (2012/7/8)
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かぐや姫
『Fly Me To The Moon』 無理難題を言うのは拒みたいから? それとも、信じているから?
※掌篇/恋愛/11kb (2012/6/30)
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空は君のために鐘を鳴らす
自給自足が求められるのに土がない人工衛星の〈昴〉に暮らす、環奈。日照りと旱魃に苦しむ地球に残された最後の国大和皇国の第二皇子、統星。地球に土を求める環奈と〈昴〉に水を求める統星が出会った時、二つの星は新たな時代を迎える。
<目次>
空ヶ池 雲の階 ひかりのゆめ 巡礼
※中篇/未来/家族/126kb (2012/3/1)
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水の、匂い。
炭焼き職人を目指してじいちゃの元で修行する裕二は、実は色の違いが分からない。ある春の雪融けを感じさせる匂いがした日、迷いを抱えたまま暮らす裕二の前に妖が現れる。
「覆面作家企画5」提出作品。お題「色」。
※短篇/山中微FT風味/方言あり/20kb (2011/10/9)
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天の川異伝
宰相の息子悠瞬、天帝の娘暁華、牛飼いの柳絹の三人は幼馴染だったが、宰相が天帝に謀反を起こしたことで、三人の仲は引き裂かれてしまう。
※短篇/神話/17kb (2011/7/8)
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second trip
仕事に忙殺される毎日の僅かな隙間を縫って舞い降りた小さな奇跡。
※短篇/現代/20kb (2011/1/28)
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歌姫
この口と喉がある限り、たとえ全てを奪われたとしても、わたしは貴方のためだけに歌い続ける。そう、たとえ地球が回らなくなっても。世界滅亡の日。貴方に届けたいのはわたしの心。
※短篇/近未来+FT風味/幼馴染/世界滅亡/36kb (2010/7/25)
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マンデルベルク狂詩曲
吸血鬼を人間として生き返らせる力を持つ少年ルースと、吸血鬼に安息をもたらすことができる少女ファラ。二人は、人間に戻りたいと望む吸血鬼の女性の依頼を受けて、マンデルベルクの森に迷い込む。
澄先雪璃様からのキリリク作品。お題は『「破壊」の名を戴く少女と「再生」の名を戴く少年の旅のワンシーン。』
※中篇/欧風/吸血鬼/ハロウィン/78kb (2009/10/31)
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夏の夕凪、丘の上に寝ころびて星を待つこと
小学校の時、突然いなくなってしまった祐二先生。そのお骨を持って初恋の幼馴染が帰郷してきて――?
覆面作家4参加。初期版。お題「道」。
※短篇/田舎/幼馴染/思い出/34kb (2009/9/7)
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白い虎
いかないで。ただその思いだけを込めて、サチは一針一針、白布に白糸で虎の形になるように結び目をつくっていった。
※掌篇/千人針/7kb (2009/8/16)
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耳鳴り
俺にしか聞こえない音。誰にも聞こえていない音。共有者がいないという孤独。自分は一人だったんだと知らしめられる。誰か、助けてくれ。この身体の檻から俺を出してくれ。俺に静寂を与えてくれ。
※短篇/殺人/苦悩/R-15/12kb (2009/6/28)
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魚影
「今の俺に過去が集約されてるとか、それじゃだめなの?」そんなの、海の中に魚の影を探すようなものだ。うっすら見えるだけで触れられやしない。わたしがほしいのは同い年の貴方。わたしの知らない、貴方の時間。
※短篇/恋愛/激甘/20代後半/14kb (2009/4/11)
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きみとみた夢
それは一人の少女の夢だった。少女が目覚めたら壊れてしまう泡沫の世界。その世界を守るためなら、僕は悪魔にだってなろうと思った。
※短篇/FT/夢/世界/35kb (2009/1/3)
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桜燈
桜灯が燈るころ、私たちは一つの約束を交わした。十年後、この桜に灯が燈ったらまた会おうと。幹に名を刻んだわけでもなく、根元にタイムカプセルを埋めたわけでもない。思い出すには、変わらぬ笑顔とこの淡い灯火があれば十分だと思っていた。
※短篇/現代FT/輪廻/49kb (2008/4/21)
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氷の影に脅えるものは
けしてこの目を閉じてなるものか。命尽きるその瞬間まで、私はこの国の行く末を見届けてやる。いや、死んだ後も見続けてやろう。この目で。たとえ体が大地に腐り落ちたとしても、この目だけは腐らせまい。濁らせまい。この目だけは。この目だけは、必ずやこの世に残してやる。(残酷表現あり)
〈目次〉 初夜 亀 飛べない鷹 滅びの日
※中篇/ダークFT/復讐/51kb (2008/3/27)
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とけない雪
ねぇ、先生。流れ星を見に行こう。今はちょっと知恵がついて、流れ星がたくさん流れる日を知っている。先生は会いたい人の名前を呼んで。あたしは「会いたい」って言ってあげる。二人で唱えれば、きっと流れ星が消える前に三回唱えられるわ。
※「星摘み」の姉弟篇。
※短篇/現代微FT/片思い/先生と生徒/27kb (2007/11/4)
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ぼく、ぽん太
ぼく、ぽん太。車に轢かれつづけて二十年。超大ベテランの交通安全人形です。そんなぼくも、ついに老朽化の波に勝てず、どうやらお払い箱にされてしまうようで……。
※掌篇/現代/独白/スプラッタ注意/8kb (2007/10/2)
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水灯
欲という名の穢れにまみれた私は、罪の数だけ鬼灯を掬う。きっと、神さえも考えなかったに違いない。死んで尚、罪人が欲のために罪を重ねるとは。
※短篇/異界/悲恋/42kb (2007/9/8)
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北向きの向日葵
向日葵とは太陽を見つめるために花開くもの。気高く、一途にそれだけを見つめつづけるもの。一度背を向けてしまったら、死ぬまで光を見ることは許されない。だからこそ、わたくしたちはそれを守るために必死になることができたのかもしれない。
※短篇/戦後/21kb (2007/8/18)
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かみさまの、糸
好きだったんです。守ってくれる人がほしかったんだとか、寂しさを紛らわしてく
れる人がほしかったんだとか、何を言われてもかまいません。私はその人が、赤い糸
の先にいる人だと信じていたんです。
※短篇/現代/不倫?/16kb (2007/6/17)
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手紙
静かな雨の日が好きだ。君と傘を並べて歩く昼下がり。気だるげに時が歩むこの世界で、ビニルを打つ雨音に耳澄ます君さえいれば、他には何もいらなかった。
※短篇/現代/年の差/20kb (2007/6/3)
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星摘み
流れ星に願いごとを唱えるのと同じだ。本当に叶えたいことっていうのは、いざとなると気持ちばかりが前につんのめってしまって言葉にならない。だから、触れ合ってお互いのぬくもりを確かめ合うしかなかったんだ。
覆面作家企画2参加作品。お題は「星」。上は改稿版です。
オリジナルは→こちら(15kb)
※「とけない雪」の姉弟篇。
※短篇/現代微FT/覆面作家企画2参加作品/19kb (2007/2/14)
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星を抱く
この女を女神にしてやろうと思った。大地に根づく艶やかな牡丹。花に空に自由に舞う生死司る二頭の蝶。それらを抱くは天の星。
この女の体にこの世の美しいものを全て、刻み込んでやろうと思った。
※短篇/PG-12/大正から昭和前半/19kb (2006/12/6)
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太陽を支える
「本当はオーロラが見たいんだろう?」沈まぬ太陽を見ながら俺は望千恵に問いかけた。だけど、俺は白夜を見せたかったんだ。日が沈まなければ、お前の命も尽きることがないと思って。
※掌篇/現代/シリアス/8kb (2006/11/24)
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それが約束の音色なら
それが約束の音色なら、僕は君のために音を奏でよう。わたしはあなたのために歌を歌おう。
※短篇/現代/葛藤/青春/24kb (2006/11/7)
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あやにしき
花嫁衣裳は夫となる人への想いを一針一針衣に綴るのだと母は言っていた。だけど、親子ほども年の違う男にどうして想いがかけられよう。
※指先篇/和風/2.5kb (2006/11/3)
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アルラウネの憂鬱
うっそ。わたし、死んじゃったの? うわぁ。ま、いっか。さっさとあの世にでも連れてってもらいましょうか。って、え? 地獄行き!?
※短篇/現代FT/成長/苦切/花火/幽霊/31kb (2006/8/13)
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あたしのはだし。
ぺたぺたとサンダルから足が離れる瞬間の音が、あなたは好きだと言った。その一言で恋に落ちたと言ったら、あなたは笑うかしら――?
※短篇/現代/恋愛/失恋/21kb (2006/8/8)
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初夏夜
七夕七夕って世間は浮かれてるけど、どうしてみんなこれがデパートや商店街の戦略だって気づかないのかしら。ああ、気づいてても盛り上がっちゃうのが日本人よね。かく言う私もコスメの七夕セールにつられてデパートにやってきたんだけど。ひらり。そんな私の足元にピンク色の短冊が一枚、落ちてきたんだ。
※短篇/現代/恋愛/七夕/初恋/16kb (2006/7/7)
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湖漣の月 ―花降るとき―
「待っていて。僕はまた、君が天から降らす花が見たい」世界樹の浄化のために引き離されることとなった漣樹とリリ。その別れ際、わがままと知りつつ漣樹は愛しい少女に手を伸ばす。
※掌篇/異世界/恋愛/しっとり/10kb (2006/4/28)
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嘘つきは幸せのはじまり!?
エイプリルフール! 今年は忘れずに嘘ついてやるぜ。なんて張り切ってても、おれが思いつく嘘なんて結局は小学生レベルなんだけどな。春休みの大半をゲームに費やしちまったおれは、4月1日、張り切って誰かをだまそうと外に出るが――
※短篇/現代/恋愛/四月ばか風味/30kb (2006/4/3)
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ディオニュソスの船
赤ワインがおいしいなんて本当は一度も思ったことなんてなかった。でも、これ以上あなたが離れていくのがいやで、あたしはいつも笑って頷いてみせてたの。
※短篇/現代/恋愛/26kb (2006/3/1)
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濁りの月
僕は穂白が来る度に月を見上げる。彼女への愛が本物であることを確かめるために。
※短篇/現代/恋愛/13kb (2006/1/7)
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円環する夏
全てを忘れて季節の廻りにたゆとうことを受け入れてきた登紀子。六十回目の夏が終わろうというとき、ようやく彼女はその待ち人と再会する。
※短篇/現代/戦時中/恋愛/幽霊/11kb (2005/8/30)
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春宵桜雨
「千年――貴女のためにこの花を咲かせると約束するよ」父が失脚して、一家の生活のために幼くして都から遠く蝦夷の入り口近くの豪族の許に嫁ぐことになった一人の少女。泣きくれる彼女の前に現れた男は、一本の枝垂桜の苗木を彼女に託す。
<もくじ>
1 2 3 4
※中篇/平安〜鎌倉時代/桜/恋愛/67kb (2005/7/11)
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恋ヶ淵
たとえ愛する女を毎年恋敵の元に送り届けることが天から下された罰であろうとも、その往復の時間こそが彼にとっての至福の時であった。
※短篇/和風/七夕/15kb (2005/2/3)
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巻ノ一 雪花 ―雪女郎―
小正月十五日。父親の命日であるその日、墓参りのために吹雪の中一人で父親の墓標が立つ雪原へと向かったつうは、その墓標近くで雪女に襲われる。
※短篇/戦前昭和/雪女/19kb (2005/2/27)
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巻ノ二 鎖 ―座敷童子―
妾腹の少年・明光に心を移した座敷童子のハルは、明光が幸せになることだけを願い続ける。しかし、ハルを繋ぎとめ続けたい明光は次第に異常な行動に傾倒していく。(同性愛的な要素があります)
※短篇/大正/座敷童子/18kb (2005/12/27)
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巻ノ三 常盤松 ―袖引き小僧―
「何が百円工女だ」工場での糸紡ぎが嫌で逃げ出したきわ。ほうほうの態で転がり込んだ一里塚の松の木の下、疲れ果てたきわの袖を引く者がいた。
※短篇/明治終わりから大正/袖引き小僧/23kb (2006/5/26)
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巻ノ四 腕 ―河童―
河童の子だからおっかさんはぼくを川に捨てたの? どうしてその腕には別な子が抱かれているの? そこは、ぼくだけの場所なのに。川底で憎悪と嫉妬を掻き立てられた空汰は、母とその娘に復讐しようと目論むが――
※短篇/近代/河童/禁断要素あり/29kb (2006/7/25)
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巻ノ五 (上)碇潜 (下)櫂 ―舟幽霊―
この舟一杯になった悲しみを、わたしは海に汲み出すの。わたしが海に沈まぬように。
※短篇/近世/舟幽霊/(上)14kb(2007/1/24)/(下)23kb(2008/11/2)
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巻ノ六 一生一魂 ―八百比丘尼―
不老長寿の代償、一つの魂に一生は一つだけ。それでもよいと決めたのはわたくしです。どんなに長い一生でも、二度とない生であっても、愛する人は一人だけでよいと決めたのは、わたくしです。後悔などは、していないのです。
※短篇/近代/八百比丘尼/40kb (2009/8/9)
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巻ノ七 冷たい手 ―鬼―
愛する夫を失った幸子に義母はある提案をする。泣く泣くその提案を受け入れた幸子だったが――本当の鬼は義母か幸子か。募る憎悪が向かう先とは。
※短篇/R-15/怪談系/復讐/鬼/26kb (2010/2/15)
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巻ノ八 華燭の日 ―化け猫―
生まれてすぐに更紗お嬢様に拾われた猫の珠は、更紗お嬢様によくなついていたが、更紗お嬢様の縁談話が持ち上がり、その相手に猫でありながら懸想してしまう。
※短篇/異種婚/嫉妬/化け猫/21kb (2011/9/24)
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巻ノ九 花集め ―天狗―
攫ってきた少女の笑顔が花開く時が、彼の花咲く時。いつしか彼は少女の笑顔を集めることが生きがいとなった。
※短篇/青年×少女/天狗/45kb (2012/4/17)
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巻ノ十 三千世界の烏を殺し ―女郎蜘蛛―
昔男に渡した起請文を集めるために、女は今日もここに糸を吐き巣を作る。
※掌篇/R-15/執念/女郎蜘蛛/10kb (2012/9/10)
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巻ノ十一 月下の宴 ―付喪神―
「皮を剥ぎなさい」。毛皮問屋に嫁いだかよは、義母から獲れたばかりの狸を目の前に投げ出される。
※短篇/PG-12/付喪神/29kb (2014/9/7)
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巻ノ十二 顔 ―妖狐―
「私も、同じ狐の面を持っているのです」。女狐の面で顔の傷を隠し身を売る信の元に女が持ってきたのは、その昔、神楽舞の時に信が傷をつけた雄狐の面だった。
覆面作家企画6(お題は「火」)提出版(短縮版)はこちら(16kb)
※短篇/PG-12/妖狐/24kb (2014/10/19)
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巻ノ十三 姫鏡 ―魔鏡―
わたくしはただの鏡にございます。代々東家の姫君たちの成長を映し、時に思いを聞くだけの何一つ取り柄のない鏡にございます。恋などというものは人間にだけ許されたものと思っておりました。
※短篇/平安末期/流血表現等あり/R-15/25kb (2015/12/31)
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巻ノ十四 顔のない男 ―のっぺらぼう―
自分を手放してしまいたいとき。どれが本当の自分かわからなくなってしまっているとき。自分に自信がない時。人は,自分という顔を失う。
※短篇/現代/のっぺらぼう/28kb (2018/5/21)
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巻ノ十五 秘密 ―飛頭蛮―
一度も自分に触れてこない夫に、他に通う数多の女性がいることは知っていました。嫉妬などはしたことはありません。わたしには別に想う人がいたのですから。
※掌篇/流血表現等あり/R-15/14kb (2021/04/29)
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