天空のロエラ
第4章 失われた永遠 〜The Lost Everlasting〜



 真っ暗だった。足元を見ても、上を見上げても、右を見ても左を見ても、自分たちが四角い箱の中に立っていることさえ忘れてしまうほどの底なしの闇が限りなく茫漠と広がっていた。
 マリィもブランシュも、あげかけた悲鳴をどうにか呑みこんだが、がくがくと震える足に思わず互いに手を伸ばしあう。
「地下空洞と言ったか」
 ただ一人、悠然と構えているエアにグスタフが尋ねた。
「リドルトの地下に何かあるって、リドルトを滅ぼしたのはあんたたちじゃないか。何があるかも知らずにたくさんの民を殺し、国一つ滅ぼしたのか?」
「大陸一つを危険に陥れるほどのものがあるらしい。その答えをリドルトは何も明かさなかった。疑わしきは、排除しなければならない」
「国を守るために」
 思わずとってしまったマリィの手を振り払って、ブランシュがグスタフの後に続けた。
「それこそが愚かしい失態だったのさ。彼女が怒るのも無理はない。マリィ、君もそう思うだろう?」
 じっとエアに見つめられて、マリィは眉間に皺を寄せたまま俯いた。その視線の先、ぽつりぽつりと銀の星のようなものが近く遠く、現れはじめる。やがて、マリィたちを乗せた箱は銀河の中を潜り行くがごとく星砂の中を通過しはじめた。
「彼女というのは、さっきの声の持ち主のことか?」
 全身の心もとなさに怯えながらも、マリィはようやく口を開いた。
 エアは慣れているかのように透明な壁に両手をあてて外を眺めている。
「そうだよ。彼女はリドルトの初代女王コルダ。君たちが捜し求めてやまなかった、世界を掌で転がす女神さ」
「初代女王? どうしてそんな大昔の人間が生きてるんだ? ――もしかして、ウトルマリク殿と同じなのか?」
 リドルト王国の建国は、即ち星暦元年のこと。今から千八百年以上も昔の話だ。その時代の女王が、生きて今マリィたちに話しかけられるわけがない。となれば、考えられることはただ一つ。ウトルマリクがリドルト建国時から宰相を務めてきたという機械であったように、そのコルダという女性も人間ではなく機械なのだ。
 しかし、エアは頷くことはせず、透明な壁の向こうに見える、闇に浮かぶ青い球体を指差した。
「この地下空洞にはこの世界の歴史が映像化されて貯蔵されている。リドルト王国は、建国以来大陸の中央に位置し、ずっと人類を監視してきたんだ。その中枢に、僕たちは今導きいれられている。何かある、と踏んだ君たちの父親たちはある意味正しかったんだ。だけど、それは国が生き延びるためには決して触れてはいけない事項だった。アストラーダ王、デルフォーニュ女王、君たちはどれくらいのことを教えられている? デルフォーニュ、アストラーダ、この二国が今現在治めているこのオリア大陸の向こうにも、その昔はたくさん人が住んでいるもっと大きな大陸があったってことは聞いてる?」
「それこそリドルト王国建国に関わる話だろう。それまで世界は星暦ではなく西暦を用い、ここより遥か北にある北アメリカ大陸とユーラシア大陸に存在した大都市を中心に動いていたが、ある日を境に全滅し、このオリア大陸――古の名はオーストラリア大陸に住む人類だけが生き残った」
「グスタフ、正解! それじゃあ、どうしてこの大陸以外の人たちはみんな死んでしまったんだと思う? いや、どうしてこの大陸に住んでいる人たちだけ生き残れたんだと思う?」
「この大陸だけが聖なる地だったからよ。女神に守られし選ばれた土地だったから、だから世界に死の光と雨が降り注いでもこの大陸だけは何の害も受けなかった。外に出られなくなったから漁業に若干の影響が出たという話なら伝え聞いたけれど」
 ブランシュの丸暗記した教科書をそのまま音読したかのような回答に、エアはくすりと笑いを漏らした。
「マリィさんにはちんぷんかんぷんだろうね。王様、女王様もお勉強で習ってはいても、実際のところ実感なんかないだろ? この大陸以外にもっと大きな大陸があったとか、鳩なんか飛ばさなくても遠くの人と連絡が取れたんだとか言われても。それどころか、この世界自体が、あの青い球体のように宇宙という青い闇の中に浮かぶただの星の一つに過ぎないと言われても、もう信じることなんかできないんだろうね」
 掌に収まってしまいそうな大きさの青い球体の前を通り過ぎた瞬間、エアの言葉に衝かれたわけでもないのにマリィの胸はぎゅっとしめつけられた。懐かしさといとおしさと悲しみが同時にこみ上げてくる。異国の地で故郷、デルフォーニュの城を思うような深い、深い郷愁。手を伸ばしたって、透明な壁に遮られてそれに触れることは叶わない。
 青い球体はどんどん頭上遥か高みへと遠ざかっていき、今度はかわりに暗闇が赤く染まった。
「人類は幾度となく戦争を繰り返してきた。剣や弓だけで戦っていた時代、火を用いて大量に人を殺す術を見つけた時代、さっきの青い星、地球そのものを滅ぼしかねないほどの威力を持った核を持った時代。その度に青い星の一部は赤く染まり、爆音の中、黒い雨が降ってたくさんの人を殺した」
 ――やめて。
 どくり、とマリィの胸の中で心臓が嫌な音をたてた。
『もう、殺さないで。もう、生きてなくていいから。お願い、もう、やめて』
「子供も銃を持って戦っていた。ねぇ、気づいてた? 今日の会戦でも意外と結構、やせっぽちの子供たちが槍や鋤を持って立っていたのを。先陣切って走らせた歩兵たちの中に、どれくらい幼い子たちがいたと思う? 急ごしらえの草兵に徴兵されてきた国民たち。そのほとんどは、農作業にも役に立たない体の小さな子供たちだ。気づいてた? 震えながら彼らが追い立てられるように敵陣に走ってることを。武器の使い方も知らずに、ただ死ぬために走らされていると思っていることを」
 淡々とエアは語った。
 マリィは先陣を切って走らせた草兵たちの顔を思い出すことはできなかった。ただ目の前に去来するのは、血まみれになりながら銃を乱射する少年の後姿。どんなに叫んでも、声が出ないから届かない。抱きついて止めようとしても、下がっていろと後ろに弾き飛ばされる。それなのに、少年は夜になると血まみれの手でマリィの髪を梳くのだ。
『大好きだよ、マリィ』
 そう囁きながら。
 ぼろぼろと涙をこぼしながら、マリィは声を殺して泣いていた。拭っても拭っても、涙は目からとめどなく溢れ出しつづける。
「核を奪い、火力兵器を奪い、それでも、人類はまだ剣を振りかざしてたった一つ残した大陸に血を染み込ませつづけている。ねぇ、デルフォーニュ女王、一体何のために貴女はロエラを欲したの? アストラーダ王、貴方は、一体何のためにロエラを手に入れたいと願ったの? あなたたちの父親は、リドルトを手に入れればロエラを手に入れられると思っていた。だけど、残ったのは瓦礫の山だけだった。それでも尚、ロエラを捜し求めるのは、なぜ? ロエラがあればアストラーダより優位に立てるから? デルフォーニュを滅ぼしてオリア大陸を一国支配できるから? 北の食糧不足に対応できるから? 綺麗な宝石が採れるから?」
 エアの問いかけに、ブランシュもグスタフも答えない。
「ねぇ、どうしてそこまでして生きないといけないの? そこまでしなきゃ、本当に生きていけないの?」
 エアの声に深刻さはなかった。しかし、エアの言葉は二国の王の心に少なからず棘を突き刺したらしい。二人は一様に苦い顔をして唇を噛み締め、エアから顔を背ける。
「人は和して国を作り、和を守るために敵を作る。たとえ輪の中にでも、敵がいなければまとまりはありえない」
 ブランシュが呟く。
「それが、リドルト王国からデルフォーニュが独立した理由だね。賢き初代ブランシュヴァイク・デルフォーニュ女王は、自らリドルトの鏡となるべく西の森へと飛び出していった」
「一国支配では領地が広すぎてすべての人を統べきれない」
 今度はグスタフが。
「それが、リドルト王国からアストラーダ帝国が誕生した理由だったね。領地ごとに独立した小国を束ね、皇帝が統べるような仕組みにしたのがアストラーダだった。皮肉だね。君たちは今先祖が理想と掲げて取り組んできたことに逆行しているんだ」
 エアに揶揄されても、二人は反論しようとはしなかった。
「ロエラはね、そんなくだらない国の思惑に縛られて罪なき人々が死なないようにするためのシステムなんだ。ロエラは天候を操作して余分な国益を削り、それでも国が肥えれば狂戦士を発現させて国を滅ぼす。それがロエラと狂戦士の関係なんだよ。今、僕が狂戦士として現れたのも、この地下にいる女神の采配だ。君たちは滅びなければならない。いや、もう、どれだけ僕らが試行錯誤を繰り返そうと、人間てのは同じ歴史しか繰り返せない。前進することばかりをよしとして、すぐに周りが見えなくなる。世界に狂戦士が送り込まれたのは、僕で三人目。三度の警告を以ってしても、人類は戦争をやめなかった。むしろ、ロエラのために人殺しを始めた」
 呆れた風に肩を持ち上げて見せたエアは、さっきからただ涙を流して放心しているマリィの頬に手を伸ばした。
「守るためであっても、血が流れるのを見るのは守られる方だって辛いよね」
 まるでマリィの目の前に蘇っている景色が見えてでもいるかのように、エアは優しくマリィの頬を撫でた。
 マリィの目に、幻ではなくエアの顔が映りはじめる。銀糸のような滑らかな髪、見たこともないほど突き抜けた空の青を閉じ込めた瞳。
 同じだった。
 幼い少女を守ろうとする少年と、同じ目鼻立ちをし、同じ髪と目の色をしていた。悲しげな顔で笑うのも、自我を殺し冷酷に徹して襲い掛かる人々を殺していく狂戦士たるその性質も、同じだった。
 その狂戦士の血まみれの手が自分の頬に触れている――。
 そう思った瞬間、マリィは自分に触れているエアの手を払いのけようとして、――中途で思いとどまった。
「お前は、誰だ」
 エアの手首を握って引き剥がしながら、マリィはエアの底なしに青い瞳を覗き込んだ。
「お前は誰なんだ?」
 にやにやと笑って答えないエアにやや苛立って、やや語気を強めてマリィは再び問う。
「そういう君は、自分を誰だと思っているの?」
 エアは自分の手を掴んだマリィの手首を違う手で逃れられないように握り返し、マリィの瞳を覗き込んだ。
 底なしに青いエアの瞳。意識が吸い込まれそうになるのを堪えて、マリィはエアを見つめ返した。
「わたしはマリエトレッジ・アン=ゾフィー。それ以外の何者でもない」
 デルフォーニュという国の名は用いなかった。すでに姉王から切られていることが分かっているのに、デルフォーニュの王族の名に縋るような滑稽な真似はできなかった。
 そう、その名だけなら自分だけを表している。過不足なく、真に自分だけを表している。ゾフィーの由来が誰であれ、マリエトレッジにこめられた因縁が何であれ、そこに自分の与り知れぬ部分の歴史が刻み込まれていたとしても、それも含めて自分だけの名前だ。
 自分を鼓舞して得た誇りを胸にそう答えたマリィに、しかし、エアはゆっくりと首を振った。
「君はロエラだ。僕だけのロエラ」
 エアの青い瞳に一度だけ見たことのある恍惚とした色が浮かんだ。そう、あれは兄の仇をとろうと狂戦士と対峙して、切られて噴き出したマリィの血を顔に浴びた時の狂戦士の表情だった。
『いた……僕のロエラ……今度こそ、終わりにしよう……?』
 肩にもたれかかってきたあまりにも軽い身体。耳元に囁かれた至福の囁き。
 途端にマリィは息苦しさを覚えて喘いだ。喉元を押さえ、もう一方の手を縋りつくものを求めるように泳がせる。その手をエアが掴んで自分の頬にあてる。
「逃げることは許さない。覚えているだろう? 君だってリドルトの血を引いているんだ。ロエラを発現するくらい、強く、濃く、リドルトの記憶を引き継いでいる」
「違う、わたしは……マリィ……」
「そう、君はマリィ。僕の、大切なお姫様。僕の望みは……リドルト王国復興でも、アストラーダとデルフォーニュへの復讐でもない」
 エアの青い瞳が焼きつくようにマリィの視界を青く染めていく。否。空間全てが真昼の空のように青く染まっていた。
「終わりにしよう。ほら、見てごらん。こんなに晴れた空の下、地上で人々は何をしている? 僕らの聖地の上で、何をしていると思う。アストラーダ王、デルフォーニュ女王、なぜ、王なしでも戦争を続けているの? 彼らは一体誰のために戦っているの? 後ろにいるはずの王を守るため? 国の家族を守るため? どうして殺しあわなきゃならないの? ほら、見てごらんよ。もうこの地球上に人が住める場所はこの大陸しかないというのに、どうして同じひとつの大地の上で争い続けるの? もう、ここしかないのに。そこまで、僕らは追い詰めてきたのに。いつか、気づいてくれることを期待して。ねぇ、どうして? 君たちは、本当は何がほしいの?」
 青い空間のした、茶色い大地の上で濛々たる土煙を上げて人々は太陽に血の滴った刃の切っ先を煌かせ、激突を繰り返していた。王の居ぬ間に? いいや、王がいなくとも、いないからこそ、彼らは王の命令で中断させられた戦争の続きを始めていたのだ。ロエラの怒りに震える大地の上で、恐怖にすくむ足を防衛本能だけで動かしながら。ろくな武器も持たない農民風の男は泣きながら鎌を振り回していた。軍に配属され、戦うことを生業としているはずの若い貴族は立派な装備に身を包まれながらも馬の上で蒼白になってぼんやりとしていた。その貴族の足を、さっきの半狂乱の農民の振り回した鎌が掻き斬り、落馬した貴族は何も分からぬうちに農民をはじめ群がってきた兵士たちに囲まれて断末魔の悲鳴を上げる。
 落下する箱を包み込む空間中に投影された地上の情景。見慣れていると思っていたマリィとて息を呑んで圧倒されていた。自分が見慣れていた情景は、あくまで訓練を受け、勝利を約束されていると信じての戦いだった。姉のため、国のため、亡き兄の遺志を継ぐための信念ある戦いだった。だから、こんな混沌とした戦いは、いくら最前線に立つのを常としていてもマリィは知らなかった。あんなに怯えた少年兵たちの顔も、血走った目で獲物を探す男たちの顔も、死に物狂いでただ走り回っている貴族の若造の顔も、マリィは見たことがなかった。
 彼らは誰も彼も、みな狂戦士のようだった。
「君たちも一度血を流してみればいいんだ。剣を携えながらも、その剣にかかる命の重みを実感したことはないだろう? その身体に刃が食い込む感触を知りもしないんだろう?」
 情景は切り替わる。うっすらと青い暗闇に。その中に一粒差ファイヤのように浮かぶ青い地球に。太陽からの光を受けて半分を闇に沈めながら回るその惑星は、はじめこそ半分より上が半ば以上緑色に埋め尽くされていたが、一回転した次の瞬間にはうえの大陸は半分になり、次にめぐってきた時には上半分は全て青く埋め尽くされ、下半分の中央に一つだけ、いびつな楕円の緑の大陸があるだけだった。南北の極にあった白い氷解さえ消滅してしまっている。
「もう、ここしかないのに。君たちがもし楽園を求めているのなら、今すぐ争いをやめてこの大地を慈しむことだ。いや、それでももう遅いか。女神は僕らをここに案内するくらい御立腹だ。いままで、リドルトの王以外立ち入ったことのないこの地下に呼び込むくらい」
 エアはマリィを抱き寄せると、ぱちんと指を鳴らした。
 その瞬間、ブランシュの足元にあったはずの床が消えていた。悲鳴を上げる間もなく落下しかけたブランシュの手をぎりぎりのところでグスタフが繋ぎとめる。
「どうして争う国の長同士が助け合うの?」
 くすくすとエアが嗤う。
 その腕から抜け出そうとマリィはもがくが、エアの力は予想以上に強かった。
「姉上! 姉上! ――離せ! 離せ、エア」
「離さない。君だけはもう、何があっても離さない」
 何かにとり憑かれているかのように語るエアの片腕の中で、マリィは苛立ちながら暴れ続けた。
「やめてくれ。頼むから姉上を……」
 逃れられないと悟ってエアの胸倉を掴んだマリィの背後で、ブランシュの悲鳴にグスタフの悲鳴が重なって遠ざかっていった。
 恐る恐るマリィは後ろを振り返る。
 ぽっかりとあいた空間に、もはや二人の姿はなかった。
 エアの腕が緩む。その隙にマリィは抜けた床に駆け寄ったが、そこの闇は深く二人の姿は愚か、悲鳴すらすでに聞こえてこなくなっていた。
 ぼろりと、マリィの目から涙が溢れ出していた。
 堪えきれない怒りと共に、マリィはエアを振り返る。
「どうして姉上を殺した!?」
 エアは冷静にマリィを見下ろしてくる。
「どうして彼らは罪ない人々を殺し合わせているんだと思う?」
「天罰のつもりか?!」
 怒りに震える拳を握り締めて、マリィはエアに掴みかかった。
 エアはちょっと笑う。そして、頭上を見上げる。
「神がいればいいと思ったんだ。人よりも高尚なる存在。人よりも圧倒的な力を持つ存在。遥か太古、小さな集落の中で自分の神に祈り、神を崇めていた人々は幸せだった。神が全てを施してくれる。自ら奪わずとも、神が与え、驕れば奪うと信じていた。神とは、尊く、永遠に存在し続ける存在。僕たち人間は、歴史を積み重ねるうちに、心の中に息づく永遠を失ってしまったんだ」
 箱はゆっくりと宙空で落下を止めていた。
 青い暗闇しかない場所の一部が、白く切り取られていく。
 その光の眩さに顔を背けたマリィの手を、エアは優しくとる。
「さあ、行こう」
「行く? どこに?」
「約束したでしょう? 貴女に世界をあげると」
 エアはマリィに微笑みかけ、光があふれ出す正面を向いた。
 開かれた扉の向こう、白い光を背に、一人の細身の女性が立っていた。
「お帰りなさいませ、エアリアス様、マリィ様。この時を、わたくしどれほど待ちわびたか、知れません」
 言葉の割に抑揚の少ない声だった。表情も無表情に近い。しかし、深々と腰から折り曲げられて下げられた頭には、積年の思いがひしと詰まっているように見えた。
「ただいま、コルダ。今までありがとう。苦労をかけたね」
 茫然とするマリィの手を引っ張って、エアはコルダと呼んだ女性の前を通り抜けて中へと入っていった。
















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