天空のロエラ


幕 後


 おいで、マリィ。
 長かったけど、僕らはようやく眠ることが出来るんだ。
 現世での時間は終ってしまったけれど、僕らは夢でまた逢える。
 僕たち二人だけの夢だ。
 今度こそ、僕らは誰にも邪魔されない楽土で一緒に暮らせるんだよ。


 そう、君も嬉しいかい?
 僕もだよ。
 君がいないと、眠っていても寒くて寒くて仕方なかった。
 どんなに楽しいはずの夢を見ていても、君がいないその世界は白黒で、いつも僕だ けをおいてきぼりにしていってしまうんだ。
 怖い夢もたくさん見たよ。
 僕はたくさんの人を殺していた。
 生きなきゃならないから。
 そんな理由で、僕は償いきれない罪を重ね続けてた。


 あの頃は死ぬのが怖くて怖くて仕方なかったけど、マリィ、君が一緒にいてくれるとい うのなら、今の僕にはもう何も怖いものなんてないんだ。


 そう、一つ恐れることがあるとすれば、それはまた君を失ってしまうこと。
 この腕から君がいなくなってしまうこと。


 ああ、それはないって?
 うん、君がそう言ってくれるなら僕はもう大丈夫。


 さあ、そろそろ還ろうか。
 そうだ。
 最後に一つだけ聞かせて、マリィ。
 僕は罪を償えたと思う?
 たくさん奪い取ってしまった命に報いれたと思う?


 はは。自分で考えろって?
 相変わらず手厳しいね、マリィは。
 それじゃあ、今度こそ最後だ。


 マリィ。
 君は僕を赦してくれる?
 贖罪のために君を犠牲にしようとした僕を……赦してくれるかい?


 え? 何?
 もうよく聞こえないよ。


 (愛……して……る……)


 あ……うん!
 僕もだよ。
 僕も愛してる!


 僕もマリィだけをずっと、愛してる。










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200910190236