編集長の狛犬日記 2017

編集長へのメール
2017.5.4〜足立区狛犬巡り

一昨日実家へ帰り、幼稚園から25年近く過ごした足立区の狛犬を廻ってきました。
何回か回っていますが、育った地なのにまだまだ未チェック狛犬が沢山!
しかし、今回14社廻り、ほぼ主立った所は見終えました。
今回はその中からい11対ご紹介します。

天祖神社(足立区小台2-9-2)
小型の江戸タイプ。
珍しいのは石〜これは大谷石です。一度大谷石の狛犬を見て見たかったので、大満足!

氷川神社(足立区本木西町15-6
ここは拝殿前に岡崎型が1対ありますが、注目は何と言ってもこれ、本殿前の狛犬。
中には入れないため、望遠で撮りました。
ツノと宝珠をつけたなかなかの江戸尾立です。
現地では分かりませんでしたが、写真から不明だった建立年を読み取るこちが出来ました。
何と、寛政7卯年9月です。と言うことは、多分、足立区で2番目に古い狛犬です!

氷川神社(足立区西新井本町1-17-32
車の絶えない環七に面した神社ですが、その割に落ち着いた神社です。
ここには平成3年1月建立の平成天皇御即位記念の狛犬がいます。
うれしいのは平成生まれの江戸狛犬で、しかも2匹の子獅子がいます。
石工名がないのが残念ですが、石質も良さそうで、なかなかの作です。

一ツ家稲荷神社(足立区一ツ家4-2-1
これも平成の江戸タイプです。
阿像はバカボンパパの顔に見える!? 気がしますが、如何でしょうか?
平成21年12月、石は白ミカゲ。

六木諏訪神社(足立六木3-26
蹲踞と言うより、随分前のめりな感じがします。
特に阿の顔が穏やかで楽しそうに見えます。
石の角を顔の中央にしているので、見る角度によってはかなりヘン顔でもありますが。
尾、たてがみの流れがなかなかです。
天保4巳年9月吉日、石工は垳村 傳吉。

神明天祖神社(足立区神明3-18-20
尾の巻き方、流れ、顔つき…なかなか素晴らしい作です。
銘は篆書体の異体字で書かれ、天保7丙申4月、石工 戸ヶ崎 林幸右衛門と読めました。
建立年について、円丈データでは明治18年とあり、備考に天保7年? とありましたが、これは台座の側面に「奉献 明治十八年十月 向拝敷石一式」と敷石を奉納した時に後から刻したものを、狛犬の建立年と勘違いしたようです。

正覚院(足立区花畑3-24-27
釈迦堂前に嘉永2年閏3月吉日奉納の狛犬がいます。
南花畑の不動院にいるのと全く同じタイプで、円丈師匠は「肩ひねり」と呼んでいます。
オモシロイ表情、そして肩〜背のタテガミは少し透かし彫りになっています。

栗原氷川神社(足立区栗原2-1-19
昭和28年の建立。
顔がユニークで面白い!特に阿のビックリ顔が何とも言えません。
そして、ここの境内奥にはこんな先代狛犬がいました。
たくきさんはこのように「風化が進み、元の表情を失って別の立体造形になっているような」狛犬をトルソー狛犬と呼んでいます。
ここまでトルソー化した狛犬を打ち捨てるのではなく、きちんと保存(?)してくれているのはウレシイですね。

八幡神社(足立区鹿浜7-19-3
階段の両脇に石が積まれ、その上に狛犬が…
とは言っても山っぽくなくて、足座付の狛犬なので…
獅子山と呼ぶには…でも、奉納者の銘板とかは獅子山スタイル。
明治39年11月吉日、石工は大塚竹次郎。
ミカゲの江戸タイプで、この写真では分かりませんが、吽像の顔がオモシロイ。

氷川神社(足立区東伊興2-12-4
今は無き獅子山…黒いミカゲ石で台座を新調して、平成20年5月に再デビューしたようです。
素盞雄神社を模したこの狛犬、ナカナカの出来だと思います。
これと全く同じように、元獅子山をミカゲの台座に据え直したものが保木間氷川神社(足立区西保木間)、千住本氷川神社(足立区千住)にもあります。
それにしても、溶岩の岩に乗った姿で見たかったですねぇ!

2017.3.12〜世田谷と板橋

HP表紙にお知らせを載せましたが、「狛犬の棲む里」のDVDの販売受付を始めました。
これは狛研の手数料一切ナシのボランティア販売です。
一人でも多くの狛犬ファンにこの映画を見ていただきたいという思いのみ!
まだご覧になっていない方、是非お申し込み下さい!

さて今回は、世田谷と板橋での散歩。

先月は板橋を少し歩いてきました。
板橋区蓮根の氷川神社。
これは拝殿前。昭和10年、石工は厳町 石勘。
手向山八幡宮の木彫り重文狛犬を模したものです。私は手向山八幡タイプと呼んでいます。
このタイプは他にも何対かありますが、ここのはやや太めで精悍さに欠ける気がします。
ミカゲですが、かなり赤みを帯びた石で、銘はすこぶる読み難い。
でも、突然色も形も変わった狛犬に出会うのはうれしいものです。

次は板橋区西台の天祖神社。
3対の狛犬がいますが、入口の年・銘不明のものと、奥の末社前の文久9年のものを並べてみました。
でっぷり感と毛の流れがかなり似ています。
奥の石工は板橋宿 為吉。どちを古いとみるか?石工は同じ系統かあるいは同一人か?
いずれも、タテガミや尾の流れの美しいオーソドックスな江戸タイプで、私の好みではあります。

そして今日は少し世田谷の散歩。

世田谷区喜多見の喜多見氷川神社。
末社前のツノと宝珠のある江戸尾立。文化4年の建立。
少し傷みはあるものの、イイ感じの場所にイイ感じで置かれています。
うつむき加減で少し傾けた顔、細いけど筋肉質な足、なかなかです。

拝殿前には昭和3年の吉澤耕作の狛犬もいます。細山神明社と似たマンガ顔タイプ。
で、参道の灯籠の一つにちょっとレリーフ彫刻のイイのがあったので良く見ると、耕作の2代前の吉澤藤三光信の名が刻まれていました。

写真は参道途中の鳥居です。
珍しい江戸期のミカゲ石の鳥居。建立が承応3年というのはスゴイ。
何がスゴイって…狛研初期の頃、例会でのゲスト石工調査所の小松光衛さんの「江戸期、ミカゲは箱根の山を越えなかった」との発言に対する円丈師匠の「反撃のかるーいジャブ」…「狛犬の杜」合本・1をお持ちの方は第5号をご覧下さい。…確かに越えていた、しかも承応3年(1654)という、かなり初期に!

…なんて事を思い出しながら楽しく歩いた長めの参道でした。

最後は世田谷区瀬田の瀬田玉川神社。

拝殿前の狛犬、遠くからも分かりました。
これは慶雲だ!と。
明治32年の内藤慶雲、江戸両子獅子タイプ。
恐らく、内藤留五郎が慶雲と名を変えてからのも。
まぁ、とにかく多摩川沿いは神奈川側も東京側も、吉澤と内藤の石造物だらけ!

2017.1.1〜謹賀新年

昨年は狛研20周年でした。
例会の会場が豊島区勤労福祉会館から豊島区民センター、そして東京藝術劇場のミーティングルームへと3度も変わりましたが、どうやら藝術劇場に落ち着きそうです。
駅から近いし、キレイだしでホッと一息と言ったとところです。
21年目の狛研、今年もよろしくお願いいたします。


で、恒例の昨年のベスト狛犬です。
今から思うと、何故この日記に書かなかったのか?
5月に都下を巡った時の十二所神社(武蔵村山市三ツ木)の獅子山です。
吽像の立ち姿が素晴らしい!
子獅子は3匹とも良いが、阿の突き落とされた姿は珍しい!
前面から見た姿は阿吽とも秀逸!
大正7年、石工は不明。

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