細山神明社(川崎市麻生区細山)
川崎市最古の狛犬
この神社は少し変わっていて、参道は石段を登って行くのだが、ご覧のように拝殿は鳥居から下った所にある
これを
逆大門と呼ぶそうで、神社縁起に「東向きに社を建てたところ、一夜にし西向きになった」という面白い謂われが書かれている。
上の写真で鳥居の陰にいるのがこの狛犬。
マンガチックな顔が面白いので、アップも載せてみました。
石工・吉澤耕石…この名はこの地区では超メジャー…が、こんな楽しい顔は他にない。
建立年
 昭和3年11月建設
石 工
 登戸石工 吉沢耕石
奉 納
 願主 箕輪政次郎
順番は逆になるが、道路からの石段を上がったところにいるのがこの狛犬。
川崎市の江戸期建立は意外と少なく8対ですが、その中のNo.1 !
これが川崎市で一番古い狛犬です。
シンプルで、オーソドックスな江戸狛犬。
後の吉澤系狛犬からは考えられない素朴な感じ、好感が持てます。

で、本当にこれが川崎市最古なのか?

下に記したデータも「川崎市石造物調査資料」によるもので、自分の目で確かめたものではない。

と言うのも、上の写真のように、現在は台石がほとんど土に埋まり、銘が確認できないのだ。

だが、今回、阿像の尾側の泥をこすり、少し掘ってみたところ、左の文字を確認できた。
間違いなく「文政4年」と読める!

 神社名 
 細山神明社
住 所
 神奈川県川崎市麻生区細山1-6-1
建立年
 文政4辛巳11月■日
石 工
 登戸 石工 伊勢屋籐吉
奉 納
 奉納 杉山宮
 橘樹郡細山村 惣氏子
いずれ、別項でまとめたいとは思っているが、この2対の狛犬の石工。
名前は違うが、同じ系譜(吉澤)の石工だ。
最もその名を多く刻んでいるのが吉澤耕石、そして、その4代前がこの伊勢屋籐吉。
なを、この吉澤石工は現在も吉沢石材店として営業中とのこと。
この吉澤石工とライバル関係にあったのが内藤(慶雲・留五郎)石工。
そのライバル譚は狛犬ネットで鐸木さんが「内藤慶雲物語」として、フィクションだがおもしろく語っている。