編集長の狛犬日記 2018

編集長へのメール

2018.10.9〜円丈師匠の狛犬講演会

10月6日、明治大学駿河台キャンパス・リバティタワーにおいて、円丈会長の「狛犬と私」と題した講演が開かれました。
主催は「三遊亭円丈師匠の狛犬講演有志の会」ですが、実質的には「狛犬さがし隊」「狛研」「明大獅子・狛犬研究所」の有志によるものです。

狛犬コレクション」から狛犬に興味を持ったという方も多く、師匠の話を直に聞きたいという多くの強い要望から、実現する運びとなり、当日は大阪、福井、名古屋、仙台等からも、狛犬ファンが駆けつけて大変な熱気と盛り上がりでした。

話の内容としては、狛犬との出合い〜名工(川六、佐吉、吉六、和平)〜江戸っ子の心意気〜ブロンズ狛犬…等でしたが、「狛犬の先達としての円丈師匠の狛犬人生」や「全体に伝わる狛犬とのつきあい方の姿勢」に皆さん熱い感動を覚えたようです。


2018.5.22〜福井狛犬ツアー報告

ゴールデンウィークに宮津市から若狭湾沿いにあわら市まで、3泊3日(?!)のハードなスケジュールで30社145対の狛犬を楽しんで来ました。


丹後郷土資料館(京都府宮津市字国分小字天王山611-1)では、学芸員の方から特別に狛犬たちを見せて頂きました。
右の写真、
何とこれは石造狛犬では最も古い年号「文和(ぶんな)四乙未五月七日」と背中に刻まれた京丹後市指定文化財の狛犬。非常にカワイイ!



京丹後市の某神社


京丹後市の某神社

籠神社ではあの重文狛犬(写真上段)にも会いました。
郷土資料館のものもそうですが、京丹後市周辺には30cmに満たない小さな狛犬が沢山いるようです。
足座のないこのタイプののものを「丹後狛犬」と呼ぶとのこと。
籠神社の狛犬は丹後狛犬との共通点を感じます。



板列神社(与謝野町男山)


中山寺(高浜町中山)


笏谷石の狛犬の前に、かなりマイナーかもしれませんが、「若狭湾型」と呼ばれる狛犬をご紹介します。
大きな特徴は、後ろ足が前足まで伸びてつながっている事です。

小さめで、拝殿や祠内にいることが多いようですが、参道にいるこの板列神社の狛犬は好きです。

そして、笏谷石の狛犬の世界へと入って行きます。
例のオカッパ頭の狛犬を「笏谷狛犬」と呼んでいましたが、最近かなり地元研究者による研究が進み、一定の様式を持った江戸時代以前の笏谷石製の狛犬を「越前狛犬」と呼ぶことが一般化しつつあるようです。



高浜町の某神社


恵比須神社(若狭町末野)


春日神社(あわら市沢)
足座の横に奉納者と共に奉納年が「永正十二年」(1515)とハッキリ刻まれています。県指定文化財。特別に見せて頂きました。


白山神社(あわら市伊井)
「文化十二年」の市指定文化財狛犬。


越前狛犬はほとんどが神殿狛犬として作られているため保存状態が良いものが多く、1500年代初頭からのものが沢山あります。
在銘のものが多いことから、その様式(ヘアスタイル・尾・足座の形状、他)で年代がかなり正確に推定出来ます。
越前狛犬の楽しみの一つは年代を推測することでもあるようです。
春日神社の狛犬は越前狛犬の中では最も古い年号が刻まれています。一番古いのに、出来は一番良いかもしれません。


次に参道の大きめな狛犬も紹介しておきましょう。



写真左は気比神宮(敦賀市曙町)の越前狛犬。
享和元年辛酉8月と銘があり、越前狛犬の中では最も大きいものです。
写真右は八幡神社(小浜市男山)のもの。
痩せたスタイリッシュな越前狛犬、再興年として明治の年号が刻まれていますが、狛犬自体はもっと古いものか?

この3日間で沢山の越前狛犬を見て、飽きるかな…と思ったのですが、飽きてしまったのは出雲尾立の狛犬でした。

今まで見たことが無かったので、初めは「おお、これが出雲尾立かぁ!」と喜んだのですが、どこの神社にもあって、どれも同じで個性がなく…来待石の常で、阿の下顎が欠損しているものが多く…

聞くところによると、出雲尾立もその地元では個性のある素晴らしい狛犬もいるらしいのですが、北前船等で運ばれた狛犬は大量生産品で皆同じ…と言うことらしい…
となると、本場の出雲尾立も見てみたい!

2018.2.19〜1・2月の狛犬巡り

1月は埼玉県加須市、2月は神奈川県海老名市で、それぞれFB「狛犬さがし隊」のオフツアーに参加して来ました。

1/13の加須ツアーでは9社廻り、江戸期のものを中心に12対の狛犬に会ってきました。
その中から少し紹介します。

今回チョット驚いたのは、構え型の狛犬が3対もいたこと。
左は久伊豆神社(加須市北辻)は安政3年2月。
右は愛宕神社(加須市多聞寺)、天保3壬辰年正月吉日の奉納。
石工は傳右エ門、小さくて薄い「お面」のような顔、ツノと宝珠の構え型でオモシロイ出来。

その他、1月の「今月の狛犬」で紹介した諏訪神社(加須市諏訪)昭和20年10月も構え型でした。

左は千方神社(加須市中央)。
オーソドックスな江戸狛犬、とても出来の良い両子獅子タイプです。
台座に漢文の説明があり、その中に嘉永壬子夏(5年)と記されていました。


右は神明社(加須市南篠崎)。
狛研の久保田さんからの紹介で知っていましたが、以前から会ってみたかった狛犬。
1つの台に1対という珍しい狛犬です。大正10年10月15日建之。


次は2/3の海老名ツアー。
海老名を中心とした神奈川県の県央地区はほとんど廻っていましたので、全て再訪でしたが、久し振りに訪ねると変わってしまった狛犬も…
そして、最後に感激の狛犬に…

写真左上、諏訪神社(海老名市中新田)
これは17年前に訪れた時のものですが、今は右上のように先代になっていました。
とは言え、金網に囲って保存のための保護をしてくれています。
大正10年7月22日、河原口 石工
前場直治の作。




そして面白いのは、現在(左)の狛犬。
平成16年7月吉日奉納ですが、先代になった前場直治の狛犬をライバル石工である望月石材店がコピーして作成しています。

これはこの日訪れた海老名市温故館でのミニ狛犬展の様子。
ここで学芸員の園部さん(説明している方)から以前から気になっていた県央の石工、前場直治、望月久吉、秋元信太朗について色々教えて頂き、大変参考になりました。

ツアー最後に藤沢へ寄り、長後天満宮(藤沢市長後)へ。
「事前に文化財狛犬の調査見学許可を藤沢市役所に打診し、管理責任者の石井さんに依頼しOKを頂きました。」とのことで、以前本殿前にあって、今は見ることが出来なくなってしまった神奈川県で4番目に古いはじめ狛犬を、間近で、手に取って(?!)見ることが出来ました。ココも参照下さい。




左:本殿の扉を開いた様子


右:大勢で中へズカズカ入り込ませて頂き、夢中で写真を撮りまくりました…

刻字をしっかり確認できました。

(背)貞享三丙寅年三月二十五日 相州高座郡長後村
(胸)中村氏の女(むすめ)おち世 支むら


ついでに先週(2/16)行った大法寺(港区元麻布)の狛犬を。
お寺へ入ってすぐ横の稲荷神社にあります。

建立の銘は 安永八己亥年(1779)二月初午
小ぶりの江戸尾立、残念ながら阿の顔は壊れてしまっていますが、この時代の特徴が良く出ている狛犬です。
お寺の狛犬は情報を見つけたらすぐに出かけるようにしています 。


2018.1.1〜謹賀新年

今年は戌年ということで、昨年あたりからの何度目かの狛犬ブーム的雰囲気にのって、狛犬が注目されることが
多くなりそうな気がします。
そんな中、狛研も頑張りましょう!
今年もよろしくお願いいたします。


新年恒例、昨年の私的ベスト狛犬です。
この日記はかなり滞ってしまっていて申し訳ありませんでしたが、5月の足立区巡りの後に行ったのは
相模原、町田、高津区、瀬谷区、泉区、館山市、銀座、新橋、板橋…といったあたり。
未チェック狛犬の確認が多かったかなぁ。

で、ベストに選んだのは世田谷区の喜多見氷川神社、文化4年の江戸尾立狛犬。
昨年3/12の日記で紹介したものです。
こんな感じで拝殿横の末社を守っています。


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