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みちくさ日誌 2022
みちくさあんの収穫、採集、農工作業の記録です(各植物は草リストを参照してください)

2021年以前の日誌は下のリンクへ

 二〇二二
年一
二月
お正月飾り

毎年恒例の、日本橋刃物の木屋本展のディスプレイ、今年も無事任務遂行しました。
来年の干支は「癸卯(みずのとう)」ということで、ウサギと言えばこれしかない、というツバナを使いましたよ。
とはいうものの、動物のそのまま作るのも面白くない(というよりできない)ので、いつもの「結っ人」に耳をつけることに。
「ら人(らびっと)」と名付けました。
ちょっと苦しいかな…

兎と言えば、お月様。
まずはアズマネザサと真竹で大きな笊を作り、そこにいろいろ括り付けることに。 
いつもながら色が地味なので、東明美さんの水引きやナンテンの実で少し華やかさを加えました。
わかりやすい4つのうさぎ物語をちりばめてみましたヨ。

一番の苦労は竹籠の内側を黒く塗る事。
木屋の壁は濃紺なので、編み目が目立ちすぎてしまうと中身が映えない。
マジックや液体の墨汁だとケミカルが入ってしまって土に還せないので、昔ながらの墨づくりをしているメイカーの墨を硯で磨りました。

コレドに木屋ができた記念にお正月飾りを東明美さんが担当することになったのが12年前の卯年だったので、十二支を1周したことになります。
私が手伝うようになったのは巳年からなので、ちょうど10年。
いろいろお世話をしてくれた社員の方が来年3月で退職になるそうなので、来年はできるのかどうか…?
でもとにかく、今から次の龍を考えています。

***

「作用展」 (DMはこちら


これも年末年始の恒例行事になりつつある、吉祥寺outboundでの展覧会です。
木工、編み物、織り物、焼き物、竹、漆などの作家15名が、いつもの実用的な作品とは違った側面を見せてくれます。

今年は、昨年ついでに出品した「竹皮の裏」という奇妙な素材を形にしてみました。
企画側の意図としては、作り手の「創作性」があまり関与しないところの偶発性と言うか、無為性を大切にしたいみたいなので、逆行しちゃったかな、と思いましたが、
自分でも予想しなかった方向にどんどん膨らんでいって、収集つかなくなってしまった感じがかえってテーマに合っているかな、と思ったり。
結局、昨年の「輪」や、10月の展覧会で出品した「筒」の作品も出して、なんとなく埋め合わせした感じ。

ともあれ、いつもと違う事に挑戦したくなる、刺激的な展覧会です。
1/9まで。

12月のみちくさあん

収穫:金柑、セリ
採集(食):アブラナ葉・花、渋柿
採集(材):アズマネザサ、クロチク、ナンテン実、万両保存食:柿酢仕込み
畑作業:
家作業:
結っ人、編み物、繕い物、竹籠、竹ヒゴ作り

年末年始は菜の花の最盛期。
冬場はほとんどこればっかり。
柿は、庭の木が今年は全部裏年だったので、藪の中に生えているのが落ちて来るのを待つ感じでしたが…
何と、裏の藪の中に生えていた二本の柿の木が切り倒されていました。
たくさん拾って甘くなったらじゅるじゅる食べる。
渋柿の方がすごく甘い。
熟さないうちに傷ついてしまったものは柿酢に仕込みます。
これで来年の酢もなんとか確保できそうです。
だけど、来年からはこの場所では採れないということですね…
倒された木は翌日には片付けられ、更地になっていました。
気づけば栗の木もなくなっている。
またソーラーができるのかなあ。
これって本当にsustainableなのだろうか?

二〇二二
年一一
 
お正月、近づく

例年なら10月からゆっくり正月用の左縄を綯い始めるのですが、今年は10月のイベントのために延ばし延ばしになってしまいました。
11月に入って猛スピードで恒例の亀作り。
今年はコメとムギに特化したので意外と早く終わり、後半はわりとゆったりできました。

とは言っても、やらなければならないことは山積みです。
一つ一つ片づけなければ。

今年のコメ(古代米紅吉兆)とムギ(ライ麦)亀と鶴です。→
鶴は材料も手間もかかる割には亀ほど人気がないので、今年も4羽にとどまってしまいました。
亀が「亀結び」という伝統的な飾り結びを参考にしているのに対し、鶴は自分で考えたので、愛着はあるのですが、
角がたくさんあってシャープな形なので、あまり性に合わないなあ、と言う気がしています。
亀はのろい手仕事のシンボルでもあり、丸っこいのでカワイイ。
万年生きるし。

実は私、幼少時に亀関係でつらい経験があり、生ものの亀はあまり得意ではないのですが…
実際の生活の中でそんなに目にすることもないので、空想上の動物としてかわいがっております。

刃物の木屋、日本橋コレド室町本店と玉川高島屋店にて12月より販売です。

***

木屋のもう一つのお正月仕事が、本展の壁飾りです。
今年はどうなるのかな~?
12月終わりころにお目見えです!

11月のみちくさあん

収穫:甘柿、キクイモ、生姜、花柚子、落花生
採集(食):アブラナ葉・花、渋柿、スベリヒユニラ葉・種、フヨウ花、マツヨイグサ花、メマツヨイグサ
採集(材):シマスズメノヒエ
保存食:柿酢仕込み
畑作業:大豆の脱穀・選別、パイナップル植え、ライムギ種まき
家作業:縄綯い、鶴亀、竹笊、菰編み
、結人

そろそろアブラナの葉がわさわさ出てきて、青物はアブラナ三昧です。
これが2月くらいまで続きます。

柿は今年はめんどくさいので干し柿はやらず、全部柿酢です。
熟したのをじゅるじゅると食べるのも美味しい。

タネをまいたライ麦も発芽してきました。
冬支度、窓にはめる菰をライ麦で作ろうと奮起。
結果は来月をお待ちください。

  二〇二二
年一〇
月 
いとになったくさとき
写真はこちら

 小石川植物祭

1週目は小石川植物園とKEIANの二か所で展示というハードスケジュールでした。
小石川植物祭はKASAという若い建築家ユニットが、地域と植物園をつなげる試みとして今年初めて実行した企画です。
3日間で1万人近くの来場者があったのに、あんまり込み合った感じがしなかったのは、東京ドーム3つ分という広大な敷地のためでしょうか。
そして、どんなに辛いことがあっても、この植物たちがすべて吸い込んでくれるような、不思議な力がこの場所にはあるのです。
開催三日間とも奇跡的にお天気に恵まれ、最後は皆さん良い笑顔で終わることができました。

でも、みちくさ的には考えてほしいことがいっぱい。
イベントの後のゴミ、これがいつも気になっています。
そのことを主催者側には前もって伝えておいたのですが、案の定、プラスチックと化繊のパスカード→やたくさんの印刷物、使い捨て容器…
ほかのイベントとさして変わらない結果となってしまいました。
什器類をなるべく植物園となじむような木のものにしたり、工夫はしてくれたようですが。
あちこちにちりばめられた発泡パネル→も気になりました。

パスや来場者のリストバンドは、園内の植物で作れないかな…
と提案してみましたが、どうなるかな。
すでにプラスチックのパスを作ってしまったから、それを廃棄するのはもったいない、という結論になりそう。
それを繰り返していると結局プラスチックからは抜け出せない。
せっかくこのような素晴らしい、しかも東京の真ん中にあるオアシスを、もっと活かしたイベントになるとよいな。

galleryKEIAN

一方、小石川植物園のすぐ近く、galleryKEIANでは植物繊維を使った作品展を開催しました。
小石川植物祭と同時開催の時はかなりたくさんのお客様に足を運んでいただいたようです。
私は園の方に出ずっぱりだったので、説明をできなかったのが残念です。
二週目は私もギャラリーで実演したり、作品の説明をしたり、一人一人のお客さんとゆっくりお話しできました。
「イベント」だとこちらも向こうも忙しくて、対応が雑になってしまいがちです。
やっぱり屋根のあるところでゆっくりゆったりお話しするのが自分には合っているな。

10月のみちくさあん

収穫:柿
採集(食):クリ、紫蘇、渋柿、スベリヒユ、花・葉、ニラ、フヨウ
採集(材):カラムシ(茎)、キンエノコロチカラシバシマスズメノヒエ
アブラナ葉、アマドコロ根、コマツヨイグサ花、渋柿、スベリヒユ、花・葉、フヨウ花、メマツヨイグサ蕾・花、蕨
保存食:柿酢仕込み
畑作業:稲刈り
家作業:糸綯い、編み物、トイシブクロ


今月はバタバタしていて、採集もままならない状態でした。
周辺の大きな栗の木が次々と倒され、秋のおやつは少なく…
柿も今年は裏年なのか、一本につき3つくらいしか実がならない。
さびしい秋です。

 
植物繊維

10月の小石川植物祭および「いと になった くさ と き」まで1か月を切ったというのに、準備は遅々として進みません。
8月いっぱいで糸づくりをやめて、9月になったら作品に仕立てる、と計画したものの、この時期は他の採集やら収穫やらで忙しい。
「編み始めたら速い」とタカをくくっていたけど、慣れない素材も多いので何回もやり直す。
こんなに切羽詰まってるのは受験以来ではないでしょうか!

こんな時に限って、新しい編み方も見つけて、「あーでもない、こーでもない」しているうちに時は経つばかり。
もう、急がず、あるがままを出すしかありません。
作品数少ないかもしれませんが、ご勘弁を。

今回はいつも使ってるのとは違う繊維も紹介したいため、引き出しの奥をゴゾゴゾ。
20年ぶりくらいに日の目を見たバショウの繊維。
2003年に西表島に行って採らせてもらったものですが、それぞれ微妙に色が違う。

左:白っぽい方は灰で煮たもの。(実際は赤っぽい)
右:黄っぽいのは炭酸カリウム。
そんな色の変化も楽しみつつ、あまりの細さに愕然としつつ、格闘しております。

小石川植物園は10月21~23日(雨天順延28日~30日)
galleryKEIANは10月21日~30日の金土日 です。(チラシはこちら
在廊日等はお天気により変わるので、インスタグラムかフェイスブックで確認するか、メールにてお問い合わせください。
amayokasim@gmail.com



9月のみちくさあん

収穫:紅吉兆(古代米)
採集(食):アブラナ葉、アマドコロ根、コマツヨイグサ花、渋柿、スベリヒユニラ花・葉、フヨウ花、メマツヨイグサ蕾・花、蕨
採集(材):アシ花、イグサ、ガマ穂、カラムシ、カヤツリグサ、キンエノコロクズシマスズメノヒエチガヤ葉、チカラシバハマスゲヤブマオ
保存食:柿酢仕込み
畑作業:稲刈り
家作業:縄綯い
、苧引き 、編み物、糸作りなど
 
9月半ばまで、全然出穂の兆しがなかった古代米紅吉兆。
下旬になってやっと穂が出てきました。
今年もなんとかお正月用亀が作れそうです。

アオイ科の花はネトネトしていて美味しいものが多いのですが、フヨウはかなりイケる方です。
お花の美しさを楽しんだ後、しぼんだところを取ります。
虫がくるまれていることがあるので要確認です。
 二〇二二
年八月 
生葛繊維

あまりの暑さに、8月上旬から寺子屋をお休みすることにしました。
ふだんなら扇風機総動員で何とかなるのですが、マスクを着けて話すというのが結構たいへん。
時々頭がくらくらしてしまう。
カラムシの苧引きはラストスパートだったのですが、仕方ない。

後半は、久しぶりに葛採りに没頭しました。
ラオスの葛細工の映像を見て、生のままナイフでシャッシャッと皮を剥いでいる。
真似してみたけどなかなか同じようには行かない。
いろいろ工夫して、なんとか形になってきた。
そりゃあ、あちらは長年やっているベテランだもの。
一日やそこいらで同じようにできるわけがないのだ。
それって、いつも自分が講習をする時に人に言ってること。
初心に帰れ。

やっとこさっとこ糸にして見たら、かなり細くできるみたい。
発酵法の糸と引っ張り合って「糸相撲」してみたら、生の三連勝。
これは使える可能性が開けてきたぞ。

夢の、経緯葛の布。
現在「葛布」と言われるものはほとんどが経糸に既成の絹や麻糸を使っています。
江戸時代の火事装束に経緯葛のものがあるそうですが、ほとんど皆無。
私はなぜか、あまり混ぜ物が好きではないので、葛布もぜひ100%で織りたいと考えています。

以前敷物として織ったものがありますが、少し経糸が太めです。
次はこの極細糸で織りたい。

***

秋田




8月のみちくさあん

栽培:ナシ
採集(食):クズ芽、クワ新芽、コマツヨイグサ花、シロザスベリヒユ、テッポウユリ花、ニラフヨウ花、ムクゲ花、メマツヨイグサ蕾・花
採集(材):アツバキミガヨラン葉、ガマ、カラハナソウ、カラムシキクイモ皮、クズシマスズメノヒエ、ムクゲ皮、メドハギ

カラムシマダケ皮、キツネガヤ、アツバ葉、桑皮、アカメガシワ皮・葉・枝、シマスズメノヒエメリケンガヤツリ、ホテイアオイ、葛
保存食:干し物
畑作業:大豆
家作業:縄綯い
、苧引き 、編み物

葛の蔓を取っていると、必然的に先っちょがついてくる。なんだか美味しそうなので、さっと湯がいてみましたが、そんなに美味しいものでもない。
細かく刻んで他の草と混ぜてしまえば、食べられないことはない、と言う言う感じ。
フヨウやメマツヨイグサなど、ネトネト系のお花が咲いてます。

 二〇二二
年七月 
 カラムシ三昧
なんだか知らんけど今年は希望者がいっぱい。
必ずしも織物をしていたり、カラムシを知っていたりする人ばかりではなく、「これがカラムシかあ!」と言う人も結構多い。
それだけ情報が出回っていると言う事らしいです。
なんか知らんけど自然素材に触れてみたい、という人が増えていることは確か。
それだけ世の中が自然でなくなっている証拠でもあり、複雑な気持ちです。

例年なら一番良い時期に一気に刈り取ってしまうのですが、受講生のために残しておいたりすると、草の変化が改めて見えてきます。
梅雨が終わるとだんだん茎が茶っぽくなって、皮をむく
とねばねばしてくる。
みちくさあんの寺子屋は1人から3人という少人数制なので(狭いしね)、ひとりひとりと個人的な話をすることも多い。
普段人と話さないから、今の人たちが何を考え、どのように生きているのかを知る良い機会でもあります。
教えているつもりで、いつは学ぶことの多い講座なのです。

先月お知らせした小石川植物祭の準備。
今回は靭皮・葉脈繊維に焦点を絞った内容になりそうです。
・・・とはいえ、時間があまりになさすぎる!
7月始めに小石川植物園に採集に行きましたが、結局カラムシだけしか取れず。
1日で処理できる量は限られているので、全然足りず。
時間も足りず。
細い縄を綯って、作品にするには何日とかでできる仕事ではありません。
とにかく今は縄をひたすら綯う、綯う、綯う

ところで、自分は「縄」を「綯う」をしているつもりなのだけれど、太さ0.2~0.5mmはもうすでに「糸」と呼ばざるを得ない。
じゃあやっぱり「糸を綯う」というべき?
「糸綯い」とか「綯い糸」とかいう表現が可能かどうか?
とかなんとか、ごちゃごちゃ考える。

植物園の方は、糸績みや縄綯いの実演のみ、近くのgalleryKEIANでは作品展示をする予定です。
どのようになるかいまだにわからないのですが・・・
指をからめろ!(Cross your fingers!)

7月のみちくさあん

栽培:ウイキョウ葉、ハナハッカ、ナシ
採集(食):アブラナ葉、シロザ、スベリヒユ、ニラ、メマツヨイグサクワ葉、ヤブカンゾウ
採集(材):カラムシマダケ皮、キツネガヤ、アツバキミガヨラン葉、桑皮、アカメガシワ皮・葉・枝、シマスズメノヒエメリケンガヤツリ、ホテイアオイ、クズ
保存食:干し物
畑作業:大豆
家作業:縄綯い
、苧引き 、編み物

朝4時半に散歩に出かけると、メマツヨイグサが花を咲かせています。
夕方にはつぼみが膨らんできたのを取ります。
ぬるぬるして美味しいのです。

ずっとリンゴの木だと思っていたものが、十数年目にして初めて実をつけました。
ナシだったみたいです。


  二〇二二
年六月 
 小石川植物祭

突然このような↑お話があり、秋に何かやることになりそうです。

小石川植物園は、「ひでじいの植物リスト」web版を作るためにけっこう頻繁に通っていた時期があります。
打ち合わせと下見のために久しぶりに入園しました。

以前は閉鎖中だった温室が公開になっていて、沖縄などのトロピカルな植物も見られます。
園内の植物を使って、と言う事だったのでいろいろ見ていると、あまりに草ばかりで際限がない。
それに植栽しているものは量が少ないので採れないし、そもそも採らしてはもらえないだろう・・・
そこで思い出したのが、園内にはびこっているカラムシ。
これなら草刈りも兼ねてなんとかなりそう。

そういう目で園内を見回すと、糸ができる植物がけっこうたくさんあります。
カラムシだけではつまんないので(ここいらがB型っぽいな)繊維植物をテーマにすることを思い立ちました。

思えば2003年、3年半住んだブルガリアから帰国した直後にまず始めたのは「植物で糸を作る旅」。
4月山形のシナ布、5月丹後の藤織り、7月静岡の葛布、8月昭和村のカラムシ、12月沖縄の芭蕉・・・
徳島の太布の前で資金が尽きました。
当時採集したりその後入手した繊維をかき集めてみたら結構な量です。
その中で小石川植物園にあるものは以下の8種類。
①カラムシ
②バショウ
③キミガヨラン
⑤コウゾ
⑥クズ
⑦ヘラノキ
⑩フジ
⑪シナノキ
小石川植物園にないもの
④パイナップル
⑧オクラ
⑨タチアオイ


まずはこれらの繊維で「できるだけ細く綯う」をやって見ました。
やはり横綱はバショウかな。
パイナップルはもっと細そうですが、園にないし自分で採ったことがないので参考までに留めます。
11種類作り終わったらまたSNSで報告しますね。

ちょうど大倉集古館で平良敏子さんの展覧会を見たばかりでした。
2003年に西表島で採集したバショウ繊維、まだ結構残っているので何かできそうです。

すごく気になるのが、小石川植物園の閉鎖地域内に生えていて、巨大化して伐採されて朽ちているバショウ。
これ、どうにかならないかしら、ともくろんでいるのですが、まだちょっと難しそうです。

***

サンカの箕

月の初めのことだったのですっかり忘れていましたが、snsで6月3日の「箕の日」にサンカの箕と言われる小さな箕について書いたら、何と持っている人が譲ってくれて、3つもゲット。
早速レプリカを作ってみました。
すごく細かい!ヒゴもとても薄い。

なんだかすごく面白くなってきたので、断続的に続けたいと思っています。
乞うご期待。


6月のみちくさあん
栽培:グミ、南高梅、セリ、ウイキョウ葉、ライ麦、ハナハッカ、枇杷葉
採集(食):クワの実、ドクダミマダケ筍、ヨモギ葉、タチアオイ花、クワ葉、紫蘇葉、コセンダングサ葉、コマツヨイグサ花、ヤブカンゾウ蕾・花
採集(材):カニツリグサヨモギ皮、トクサ、マダケ皮、メリケンガヤツリ、タチアオイ皮、アカメガシワ皮・葉、ハルガヤセイタカアワダチソウ皮、ヘラオオバコメドハギヤブマオカラムシ
保存食:梅仕込み、ドクダミ茶、ヨモギ
畑作業:田植え、大豆播き
家作業:縄綯い
、苧引き 、タチアオイの繊維取り→、ミニ箕作り

なんと、記録的速さで梅雨が終わってしまいました!観測史上最も早い梅雨明けだそうです。
この時期、梅雨の雨の恵みで育っているものたち(大豆や米)は水やりせねばなりません。
カラムシは暑さにやられる前に苧引きしなければ。
その前に自分の方がやられそう。

空梅雨でいいことといえば、真竹の皮が採りやすいことくらい。→
例年なら雨で腐ってしまわないうちに拾わなければならないけど、今年は2-3日ほっといても大丈夫。

朝4時半に起きてやることをやり、一番暑い日中には必ず昼寝をする。
まだ6月なのにこんなんでは、7,8月はどうなることやら。
 二〇二二
年五月 
 
怒涛のてらこや
5月はてらこやラッシュでした。
特にカラムシの糸作り+苧引き講座の希望者が多いようです。
昨年と一昨年は糸作りゼロだったことを考えると、コロナが少し落ち着いて皆さんのうっぷんが噴出している模様。

6日間で10人。
「なんだ、それだけ」と思われるかもしれませんね。
都会の広い会場でいっぺんにやってしまえばいいのに、と。
でも、そんなの面白い?
みちくさあんのてらこやに来る人はほとんど一人か二人ずつ、せいぜい三人。
普通のいわゆる「ワークショップ」では開催見送りの人数です。
でも、一人一人やりたいことも興味も違うから、それぞれの方向性に合わせて資料や情報を提供できます。
そして、私自身もみなさんからいろいろなお話を聞くことができます。
2時間で10人,なんて「ワークショップ」ではできないことです。

お一人でも受け入れているのは、インデペンデントな人を応援したいから。
ものづくりと言うのは孤独な作業なのです。
「サイの角のようにただ一人歩め」

拙著のタイトルを「くさにまなぶ・・・」としているのは、人ではなく草の声を良く聴きましょうと言う提案です。
みちくさあんの寺子屋ではあくまで基本のみを指導しています。
それから先は自分と草の共同作業です。

からむしの苧引き体験は梅雨前に一旦終了。
7月から再開します。

5月のみちくさあん
栽培:アサツキ、ウイキョウ葉、グミ、小梅、セリ、、南高梅
採集(食):アツバキミガヨラン蕾・花、ウシハコベ、桑の実、コマツヨイグサスギナドクダミノビル根・葉・むかご、ヒルザキツキミソウ花、フキマダケ筍、モウソウチク筍、ユキノシタワラビ
採集(材):エノキ樹皮、オオスズメノカタビラ、おぎ葉、カサスゲカニツリグサ 、カラムシ、キショウブ葉、チガヤ(ツバナ)、ハルガヤヒメコバンソウフキ繊維、マスクサモウソウチクの皮、若いライ麦
コバンソウ
保存食:小梅仕込み、真竹筍干し、蕨灰汁抜き、アツバキミガヨラン花干し
畑作業:紅吉兆種籾播き、ライ麦間引き、アロエ植え
家作業:アシナカ、織物、繕い物、縄綯い


今年は4月が寒く、梅雨が早いみたいで、5月にいっぺんに採集作業が集まってしまいました!
孟宗竹の皮集めが終わったと思ったら真竹の筍が生え始め、食料も細工の材料もどんどん生えてくる。
カラムシも梅雨が始まる前に全部刈り取り、第二弾を待つ。
今年はほとんどの梅の木が表年なので、6月は大変だ~
梅笊を修理、粗塩を買って備える。

初めてキショウブの葉を採集しました。
縄綯いできるかな?

いつの間にか庭に生えて大木になりかけていた木を切ったら樹皮がきれいにつるんと剥けました。
こいつは使えそう!
葉や樹皮の感じから、エノキではないかとふんでいます。

 二〇二二
年四月 
 

個展が終わり、くさ縄標本も元のさやに戻り、作品もなんとか片付いて、新たな気分で再出発!
くさの寺子屋もちょっとずつ講習生が来るようになりました。

アシナカの講習で、いつものように横緒を左縄で作っていて、はて、なんでだろ?と、いまさら思った。
芯縄は右縄なのですが、横緒はわざわざ反対に作るのです。
「最後に結ぶ時に具合がいいから」と聞いたことはあったけど、感覚的なものだと思っていました。
でも、確かめてみたくなった。

結果、理由が明確になりました!
写真左のように、横緒をZ撚り(左縄)にすると、芯縄(S撚り、右縄)を結ぶ時に撚りの方向が揃うのです。
そのため、結びがしっかりと締まるんですね。
写真右は横緒をS撚り=右縄にした場合です。撚り方向がぶつかって反発しています。
こういうこと、だと思うんですけど、どうでしょう?

***

しばらく商品製作はお休み、やっと自分のものに取り掛かります。
隙間時間にちょこちょこ作りためておいた経糸が随分たまったので、織ることに。
糸をなるべく無駄にしないよう、後ろも前も別の無駄糸を結びつけます。
732本×2で1464回、機結びです。

何ができるのかな~
できてからのお楽しみです。
いつできるのかな~



四月のみちくさ庵

栽培:アサツキ、セリ、椿花
採集(食):アブラナ葉・蕾、アマドコロ新芽、イタドリ、ギシギシ、コマツヨイグサ花、スイバ蕾、ゼンマイ、タンポポ花、土筆、ノビルハコベフキマツヨイグサ花、モウソウチクヨモギワラビ
採集(材):カサスゲコバンソウチガヤ(ツバナ)、ハルガヤフキ
畑作業:生姜植、稲浸水、落花生植
家作業:アシナカ、織物、繕い物、縄綯い


4月は食料採集と保存で大忙しの月です。
なるべく電気に頼らず、場所を取らないよう、最近では干し物がメインの保存方法となっていますが、今年の春は雨が多くて大変。
みちくさあんは竹藪に囲まれており、筍が大きくなってしまっても取らなければ大変な事になってしまいます。
GW近くになってくると成長も早く、「狩り」というより「退治」に近くなってくる。
ほとんど主食になってます・・・

初めてイタドリも乾燥品にしてみました。葉っぱがあまりにもピンクなのでカラムシを染めてみたら、結構どぎついピンクに。
堅牢度はどうか、製品にして試してみたいと思います。

もう場所がないため、今年は作り物用の材料採集は控えめに、と思ってはいるものの、やっぱり見るとほしくなってしまうもふもふちゃん。

  二〇二二
年三月 
「くさにまなぶ錬金術」(会場の様子はこちら

二年ぶりの個展です。
今回は本の出版記念展と言う形にしたので、くさ縄標本をメインに会場を設営しました。
ギャラリーはうなぎ床のように長い空間。
左側の長い壁(約11ⅿ)を活かして、標本をずらりと並べました。
その下には綯う前の原材料、上にはできうる限り作品を並べ、製作工程がわかるように。
とても贅沢な展示、もう二度とできないだろうな。

今回初の試み、「映像で読むくさにまなぶ」は、スライドと映像を織り交ぜた講演会でした。
実演と言う形では密になってしまうので、作業をその場で撮影しながらスクリーンに映し出したら、という案もありましたが、
そもそも撮影機械の知識もないし、人に頼むお金もないし、なにもない。
そこで、前もって自分で作業を撮影したものを編集して見せるという形に。
これ、なかなか面白い。
スローモーションや繰り返しも簡単にできるので、実演よりかえって面白いかもしれません。
講演中の画像がないのが残念です。

質疑応答の時間に「錬金術というタイトルはどういう考えでつけたのですか?」と言う質問がありました。
この質問を待っていましたよ!
錬金術とは、ただの石ころを金に変えようという試みで、古くは古代ギリシャやエジプトに端を発するといわれています。
私のくさ縄も、その辺の雑草を入れ物や敷物や人形などの有用なものに変換する試みであり、共通性を感じたからです。
そういえば大学時代、科学思想史の先生の「錬金術ゼミ」に出ていたことがあります。
そのころ染織を始めていたので、錬金術が近代化学の発展に貢献したという話に興味を持ったのだと思います。

二階には久しぶりにおめんたちを展示しました。
当初は出すつもりなかったのですが、ギャラリーのオーナーさんが面白がってくれたので。
な、なんと大きいおめんが二つも売れた!
ギャラリー自信がそういう人たちを集める力を持っているのですね。

反省点はたくさんあります。
展覧会ゴミをあまり減らせなかった。
「ひっつきむし」は展示する紙を傷めてしまい、結局ゴミになる。
DMはがきもたくさんあまってしまった。
食品を扱う時のプラゴミ。
おみやげのお菓子のゴミ。
ゴミ、ゴミ、ゴミ。
展覧会はゴミの王国。

しばらくこんなてんこもり個展はお休み、グループ展や二人展でテーマを絞って製作したいと思っています。
ゴミ問題改善も考えつつ。

三月のみちくさ庵

栽培:セリ
採集(食):アブラナ葉・花・蕾、ギシギシ、スイバ、タネツケバナ、蒲公英、土筆、ノビルヤブカンゾウ
採集(材):オギ
家作業:繕い物、竹ヒゴ
、縄綯い、箕直し

1週間家を空けていた間に季節は進み、毎日土筆採りに奔走しています。
最初の頃は食べすぎて気持ち悪くなったりしていましたが、最近は乾燥させることを覚えました。
ハカマを取るのが面倒なので、くびちょんぱという贅沢な取り方。

たまっていた仕事、竹ヒゴ取り、箕直しも進行中。
4年前作った箕の腕木が折れたのを修理しました。
皮をむいた後の桑の枝がたくさんあるので小箕の腕木にいいぞ、と思ったのですが、
強度がいまいちだったようです。
真竹の腕木につけ直しました。
巻材は元はフジの芯から取った「カラ」を使っていたのですが、今年はフジが取れなかったので、カラムシの細縄を使いました。
縄で腕巻きができると材料確保がかなり楽になります。

 二〇二二
年二月 
 二月は短い。

気づいたらもう3月は目の前。
今月は個展順備に明け暮れていました。

DMはがきができました。
二年ぶりのDM作り。
ちょっとの間に入稿方法もすごく進歩していて、自分の接続環境が追い付かない。
少しグレードの高い紙にして、部数を少なくしました。
DMはがき、結局はゴミになるというジレンマがいつも伴います。
でも、自分が貰うと嬉しいし、行きたくなるのも確か。
少し手書きで一言書いてあったりすると、その人の姿が思い出されて嬉しい。
なので、自分も宛名書きは手書きです。
しかも筆書きなので時間がかかる・・・
でも、一字一字書くことで、その人がどんなところに住んでいて、どんな地名があるか、なんかも楽しめます。
アパートに住んでるのかな、とか、古民家かな、とか、この地域は家が少なそう、とか。
年賀状はあまり書かないので、DM宛名書きがほぼ唯一の手書き機会なので、字を忘れないよう。

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本の第二版も刷り上がってきました。
今回は「くさ縄標本」が10頁、「くさ縄を綯う」が8頁の増補です。
価格は据え置きです。
今回の展覧会では、この本用のブックカバーを作りました。
100%からむしです。
色は、実験的に染めためていたからむしの繊維を糸にしました。
アメリカセンダングサ葉、栗毬、栗皮、ハグマノキ、蓬、すかんぽ、胡桃、など。

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最大の問題はパッキングです。
ヤマト運輸のヤマト便(複数のハコを全積載量で計算してくれるのでとても安い)が廃止され、私のようなかさばる作品の多い人には大きな打撃。
メンバーズカード作ったり、その他の割引を懸命に調べる。
今回は本があるのでまた大変。
大きい方が堆積に対して料金が安くなりますが、本は重いので大きい荷物には入れられない。
段ボール箱も、3辺の合計サイズが同じでも、正方形に近い方が堆積は大きい。
段ボール箱を作り直したり切ったり貼ったり、自分は何屋さんだっけ、と思う。

世の中はオミクロンで感染爆発、続いてロシアのウクライナ爆撃で騒がしい。
こんな世の中で草の縄を綯うことが何の意味があるのだろう?
と思ったりするけど、意味なんかなくてよいのだ。
縄綯っていたら、戦争しているひまなんてないもの。

二月のみちくさ庵

栽培:セリ
採集(食):アブラナ葉・蕾・花
採集(材):アズマネザサオギ、ススキ
家作業:繕い物、竹ヒゴ
糸績み、機織り

二月は収穫物が最も少ない月です。
おかげさまで散歩に時間を費やすことができます。
寒いと炬燵亀になりがちなので、少し遠くのお社まで足を伸ばす。
Goolgeで調べたらまだ意外と知らないところがたくさんあります。
20年近く住んでるのに通ったことない道もたくさん。
テクノロジーに感謝。
ほとんどのお社は人気がなく、注連縄も飾っていない。
そんな中にも毎年氏子さんが注連縄を作り換えているところ、買い替えているところ、ホームセンターの縄を何とか注連縄に作っているところ、など。
人の手を感じる時ほっとする。

最近気になっているS撚りとZ撚り。
自然界はどうなっているのだろうと気になる。
木とか蔓とか。

二〇二二
年一月 
2022年は「作用展」で始まりました。
写真をこちらにまとめました。
吉祥寺outbound店主の小林さんは、ご自身が芸術家で、作家の作品を使って「作用展」という名の個展を開いている、と言う感じ。
お店に集まるお客さんもひと癖ふた癖ある人が多く、美術や工芸について深い話が飛び交います。
芸術論に夢中になっていた大学時代を思い出してしまいました。
制作に夢中になっていると、目先のことばかり気になってしまいがちです。
たまには脳ミソをシャッフルするのも悪くないですね。

再来年には「くさ展」なるものをやろう、という企画も持ち上がっています。
どういうふうにしようかなあ。
今から楽しみ。

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3月の個展を前にして。
1月、2月は植物採集があまりないので、事務的な事や作品の確認などに費やすことにしています。
2年前の、やはり3月の個展のことを思い出してしまいました。
手書きでDMの宛名書きをするので、早めに、と思って1月終わりにはDMはがきを印刷していました。
コロナは3月までには収まると思っていた。
まさか2年後になっても収まるどころか一層ひどくなっているなんて、想像もしていなかった。

今もDMはがきの原稿を書いていますが、まだはっきりと決まらないことが多く・・・
また緊急事態になったらどうしよう、とか・・・

個展の内容は、本の出版記念展(1年遅れだけど)という様相にしようと思っています。
本の内容をドバっと外に出してしまったような感じにしたい。

本自体も二版目を刷る予定です。
ページもそれぞれ10頁ずつくらい増えます。
初版をお買い上げの方には改訂した部分だけPDFで送ることにしました。
只今校正中ですのでも少しお待ちくださいませ。

「動画で読む“くさにまなぶ”」というイベントでは、本の中の作業をビデオに撮ったものを見ながら解説するというものになります。
皆さんのご質問もバシバシ受け付けますので、ドシドシ持ってきてください!

一月のみちくさ庵

栽培:セリ
採集(食):アブラナ葉・蕾・花
採集(材):アズマネザサオギシュロ葉・繊維、ナキリスゲ根、マダケ
家作業:編み物、竹ヒゴ
、糸績み

新年明けて、やっと竹刈りができました。
新月がよい、というので旧暦12月1日(新暦1月3日)に刈ってみましたよ。

しばらくして、裏の共同林の竹が隅っこだけ刈られていました。
枝もきれいに取ってあって、棹だけが転がっています。
ラッキー、自分一人では切れそうにない太いのや、孟宗竹もある。

翌日にはアズマネザサの藪も半分刈られていました。
シュロの葉、繊維、アズマネザサなど、高いところや奥の方にあったものも楽にとれます。

でもまてよ、もしかしてこの竹藪がなくなってしまう前兆では?
みちくさあんは当初、三方を竹藪に囲まれていましたが、数年前北側が太陽光パネルになってしまいました。
イヤな予感があたりませんように。

ついでに大きな栗の木も伐採されてしまいました。
今年の秋はおやつなしかなあ。

太陽光はクリーンエネルギーとしてもてはやされていますが、実際に身の回りにあるとイヤなものです。
すごくたくさん除草剤を撒くし、夏は照り返しが熱いし、見た目も穏やかではありません。
30年後には大量の粗大ごみとなります。
パネルのために緑を破壊するなら本末転倒ではないでしょうか。

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寒いので朝から晩まで炬燵の中で作業。
さすがに運動不足になりそうなので、散歩を長めにすることに。
目標一日一万歩!(結構大変)
Googlマップで少し遠めのお社を検索し、お参り。
割と近くにまだ行ったことのないお社が結構ありました。
googleすごい!
と、思っていたら、経路通りに歩いたら人家に入ってしまったり、道がつぶれていたり。
やはり最後は自分の鼻でかぎ分けるしかない。

散歩の中で、この季節に見つけられるくさ材はほぼオギのみ。
長めのを見つけると少しずつ集めています。

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