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みちくさ日誌 2019
みちくさあんの収穫、採集、農工作業の記録です(各植物は草リストを参照してください)

 二〇一九年一二月  毎年恒例、日本橋木屋のお正月飾りディスプレイも無事終わり、今年もそろそろ終わろうとしています。今年は枡で「子」の字をかたどり、藁のネズミと稲穂を散らすというデザイン。藁筆作家の東明美さんの発案です。とはいえ、最初に「26個の枡を段ボールに張り付けて壁に取り付ける」と聞いた時は、条件反射的に「無理!」と拒否反応を起こしてしまいました。話し合いの末、強力テープや接着剤、着色剤を使わずに、なるべくゴミを出さない方法で実現することに。終わったあと、「こんなアイディア、否定されると思ったけど、すんなり受けてくれてよかったわ〜」と、東さん。・・・私はしっかり否定したつもりなんですけど・・・。彼女の耳には、なんでもご自分の都合の良いようにしか聞こえないらしい。彼女の楽天性はこの特殊能力によるもののようです。こんな耳があったなら、もっと人生楽しく生きられるだろうなあ。今年後期高齢者になった先輩から大いに学びました。

 もう一つの出会いは21歳のくさの寺子屋受講生。人生に迷い、大学を辞め、ものを作る生活をしたいと、いろいろなことを学んでいるという。自分の若いころを思い出し、改めて自分を振り返る。最初の頃の熱意、行動力、恥じや失敗を恐れない向こう見ずさ。今はもうないなあ、と、呆れる。習った技法を使ってさっそく藁布団を作ったと知らせが来た。いいなあ。

 20年以上年上の人と、20年以上年下の人からパワーをいただいた年の瀬でした。これからは4年ぶりの個展に向けて頑張ります。

 
 

一二月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉、甘柿、キクイモ、大豆、和綿
採集(食): アブラナ葉・花、キミガヨラン花、ニラ
野良仕事:大豆の脱穀
保存食:キクイモ乾燥、花ユズはちみつ漬け
ものづくり:縄綯い、織物、編み物、繕い物


だんだん採集するものが少なくなってきました。冬場の友、アブラナの葉がほとんど毎食のおかずです。今月は材料最終ゼロ。暖かい日も多かったので、竹伐りも躊躇。
縄綯いもそろそろ危うくなってきたので控え目に。冬支度です。

→個展が終わったら…と思っていた織物を、我慢できなくなって織ってしまいました。自分が作れる一番細いカラムシの縄を経糸に、一番細い績んだ糸を緯糸に。湯通ししたら良い具合にシボが出て、夏によさげなスカーフになりました。季節に合わないのが残念。春になったらもっとたくさん織ろう。・・・受験生の時を思い出すなあ・・・

→ライ麦と小麦の芽が出てきました!
 

 二〇一九年一一月   恒例の真澄農園主催、「第10回竹・藁細工講習会」が開かれました。今年は10周年記念行事として、稲垣尚友さんを囲む会(という名の飲み会)と、木村弓さんのミニライブが行われました。
 例年のごとく、いろいろなスットコドッコイがありながらも、結局最後にはじいんと胸を打つ結果になるのです。
写真はこちら

 今年、特に思ったこと。この会場は藁と竹の力でもっと良くなる、と。

 藁細工の自慢は、藁のカスで尻拭きを提供できること。この会場のトイレはボットンで、トイレットペーパーは捨てずにバケツに入れることになっています。しかし間違って便器の中に捨ててしまう人もいるし、ペーパーがバケツからあふれて、視覚的にも嗅覚的にもよろしくない。そこで私は、藁のカスを「トイレットペーパーにどうぞ」と皆さんにお勧めしています。大をした後も藁をかぶせておけば、視嗅覚的にもよろしい。
 もう一つ、お昼の時間。さすが有機農業だけあって真澄屋さんは使い捨てではないちゃんとした食器を用意してくれます。しかし、お箸だけいつも割りばし。「自分で作った竹箸で食べよう」みたいなことができたらよいのですが。
 さらに、売り物の包装用プラスチック袋、竹細工で使う結束バンドなどのゴミがあちこちに落ちているのが残念です。
 でも、人それぞれ、考え方があるので、自分の考えを押し付けることはできません。せめて藁細工でできることを精いっぱいやるのみです。
 
一一月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉、甘柿、キクイモ、ダイズ、花ユズ、紅吉兆、和綿
採集(食): アブラナ葉・花、オオバコ、渋柿、ニラノビルメマツヨイグサ
採集(材):スズメノヒエ
野良仕事:大豆畑の整理、小麦播き
保存食:キクイモ乾燥、花ユズはちみつ漬け
ものづくり:縄綯い、糸作り、編み物、繕い物、藁細工

早いもので、外房ではもう菜の花が咲いてます。アブラナの葉は冬の貴重な食糧源ですが、小春日和に勘違いして花が咲いてしまうのかな?
季節外れのノビルは、真澄農園のハウスの中に生えていました。
→メマツヨイグサはロゼットで越冬しますが、根っこを掘り上げるとごぼうのような風味で美味い。スープや味噌汁に入れるととろみが出てよい。食べすぎ注意。


 
 二〇一九年一〇月   9月に引き続き、台風19号とその後の豪雨に翻弄された10月。19号の時は箕ふりをしたので少し進路が西にずれました。そのため内陸の方に甚大な被害が出てしまいました。太平洋側にそれるように練習しなければ。
 その次の週は台風が温帯低気圧に変わっていたので油断して箕ふりもしなかったら、ものすごい雨量で、小さな砂利道は冠水、電車もバスもストップ。翌日には浸水の後片付けをしていた人も。隣町では亡くなった人もいたそうです。
 毎年「想定外」を更新している災害。これからは毎年こんなやつが起こると覚悟して暮らさねば。でも、台風はあらかじめ来ることがわかっているから、物理的・精神的準備ができるから、比較的親切な災害です。地震は予告なしなので怖い。とにかく箕を振って、来ないことを祈る、これが肝心。

 やっと開通したバスと電車で這うように東京に出て、「東欧の大麻-続木綿以前の事」というスライド&映像上映会を行いました。
 会場は門前仲町のchaabeeという多目的空間。町工場を改装した昭和な建物。子供のころから墨田川より東側で育った私にはなんだか懐かしい感覚
 ルーマニア、ブルガリアの大麻布についてのお話に加え、今回は歴史・政治的なお話や、20年前初めてブルガリアに住んだ当時のお話、日本の大麻との比較も盛り込みました。「回を重ねるごとに良くなっている」と、主催のスワラジさんにはお褒めの言葉をいただきました。バンザイ。
 お客さんもそれぞれ編み組みのこと、植物の事、自然素材の事、東欧のことに興味のある方ばかりで、情報交換の場となりました。小規模な会ならではのよさです。そしてなんと、数年前に福島で偶然会った方がわざわざこのお話会のために和歌山から高速バスで駆けつけてくれたことに感動しました。少しずつでも活動を続けてきてよかった、これからも続けて行こう、と誓った夕べでした。

 それにしても、大麻のことを調べるにつけ、GHQによる大麻取締法の不条理さに腹が立つばかりです。自分の国の価値観を他国に押し付け、その国の文化を崩壊せしめる例はほかにもたくさんあります。
 一つの例として、ブルガリアの「熊使い」があります。私がかの国に住んでいた2000年前後は、クマを躍らせる大道芸人が少なからずいました。 あんまり見なくなったな、と思っていたら、なんと、ブリジット・バルドーの動物愛護運動により、熊たちが買い取られて保護地区に収容されたそうです。youtubeで、これにより失業した老人のインタビューを見ました。散らかった部屋の中に転がったクマのぬいぐるいみが涙を誘いました・・・

一〇月のみちくさ庵

収穫:紅吉兆、和綿、渋柿、甘柿、マンネンロウ
採集(食): アオジソ、アカザ、アブラナ葉、アメリカセンダングサ葉、銀杏、栗、サトイモ、紫蘇、シロザ、ニラ、フヨウ蕾、ユキノシタ
採集(材): アカメガシワ葉、 カサスゲカラムシクズ葉、スズメノヒエチカラシバ花・葉、
野良仕事:稲刈り、箕振り、銀杏土埋め
保存食:紫蘇乾燥、フヨウ蕾梅酢漬け・塩漬け
ものづくり:縄綯い、糸作り、編み物、繕い物、亀

→写真左 今年初めて採ってみたのが芙蓉の蕾。花が開くと虫が入ってしまうので蕾がよろしい。さっと湯がいて梅酢をかけたり、漬けたりしても。湯がかずに梅酢に漬けると鮮やかな色を保ちますが、そもそもあまり食欲をそそらない色かも。

→写真右 台風の落し子、銀杏拾い。外側の良い匂いがする果肉を除去するために土に埋めてから洗い流す。今まで拾う勇気がなかったけど初挑戦です。

永遠のワンパターン、亀のお正月飾り作りが始まりました。
 
 
 二〇一九年九月  9月9日未明の台風15号は千葉県全域に大きな被害を与えました。外房のみちくさ庵も倒木、雨どいや垣根の破損、数日間の停電など、比較的軽度ではありますがプチ被災しました。その原因は、台風接近の前に「箕扇ぎ」をしなかったことにあります。  
 ここ二年間、箕で仰ぐことで少なくとも外房の台風被害は避けられていました。その代り、普段は台風が来ないと思われていた東北を襲ったり、突然進路を変えて瀬戸内地域に向かってしまったことは、申し訳ない限りです。しかし、今年に限ってすっかり忘れており、気づいた時にはもう台風は去っていたのでした・・・奇しくも箕の霊的な呪力を証明することになりました。

 普段からあまり電気を使わないので停電ではそんなに困りませんでしたが、猛暑の中3日も続くとさすがに冷蔵庫が危うくなってきます。冷蔵庫の方はもともと乾燥茶葉と酢漬け・塩漬けしか入っていない(置く場所がないので入れてあるだけ ) のであまり問題はありません。問題は冷凍庫。晩春から初夏にかけて採って置いた筍と、染めに使う青柿が入っています。2日目まではなんとか温度も保っていたのですが、なんせ猛暑ですから、3日目には溶けてきた。筍は柿酢に入れました。冷凍しておいたのは味噌汁用だったので、これから筍汁は食べられないけど仕方なし。柿の方は、つぶして染め物をしました。冷凍に頼らず、さっさと使え、というのが教訓。

 それから、あったら良いな、と思ったのが和蝋燭。キャンドルライトもたまには素敵かも、と思いましたが、パラフィンしかない。機会があったら漆やハゼの和蝋燭をそろえて防災キットに入れておこうと思います。

 今回考えたこと。何事も経験することで、不測の事態への対応能力と他人を思いやる想像力が養われる。20代、風呂なし物件に住んでいた頃は湯を沸かして盥に入れて行水していたし、ブルガリアに住んでいた頃は洗濯機はなく、全部手洗いでした。経験したことがあると、苦にならない。どこかでまた災害があった時、「あの人たちもあんな暗い中、心細く過ごしているのだろう」と想像することができる。今回の経験でまた一つ能力が増えたと思いたい。

 そんなこともありやなしや、9月26日に行われた「第4回箕研究会」では、学者の皆さんに箕振りの体験をしていただきました。頭だけでなく、身体を使って箕を考える。使うことによって形や素材の意味、地域性などの違いも見えてきました。できうればもっと多くの箕で、いろいろな穀物を簸る実験をしてみたいです。箕についてはフェイスブックの「箕のぺージ」で毎月3日に記事を書いていますので、そちらもご覧ください。


台風に行ってほしい方向に向かって扇ぎます。



 学者先生方、がんばる。
 



簸るだけなら、どんな箕でも大体できますが、入れものに入れ替えるのはぎゅっと絞れる柔らかな箕でないとできません。この日実験した中では千葉県木積の箕(上)がダントツ。その次が秋田の太平箕(下)。
九月のみちくさ庵

収穫:コシヒカリ藁、紅吉兆、満月米、甘柿・渋柿(青)
採集(食): アオジソ葉、アブラナ葉、アマドコロ根、アメリカセンダングサ葉、、里芋、シロザ、スベリヒユ、ニラ、メマツヨイグサ蕾・花、ワラビ
採集(材): カサスゲガマ葉・穂、カヤツリグサ、カラムシクズ葉、スズメノヒエチカラシバ花・葉
野良仕事:稲刈り、箕振り
保存食:ワラビアク抜き・酢漬け、冷凍筍の酢漬け
ものづくり:縄綯い、糸作り、編み物、繕い物
 

アマドコロの地上部と根
 

台風にも負けず、今年も実りました。紅吉兆(古代米)。
 二〇一九年八月  カラムシの苧引きはお盆くらいまでかなあ、と思ってネットで呼びかけたところ、たくさんの人が(みちくさ庵にしては)苧引きと糸作り体験に来て下さいました。「地べたに座るのが不安」という声に答えて机作業を導入してみたところ、自分も作業が楽に!自分もいつまでも若くないと思い知らされると同時に、長く続けていけるように作業姿勢を改善しなければと奮起したのでした。周りの人から教えられることがなんと多いことか。
→写真左;糸績み
→写真右;縄文スピンドルで撚り掛け
 
 そろそろお正月飾りの事を考える季節です。毎年えとの動物を考える野ですが、今年はみんなで作ろう!というのもいいかな、と思って、毎年恒例の真澄農園竹藁細工講習会でやることにしました。詳しくはチラシを。今年は10周年ということで、農園主のあちさんも張り切っています。尚さん(竹細工民俗学者)を囲む会やミニコンサートがありますよ!

 製作作業は相変わらず縄綯いと織りの繰り返し。一日中縄綯いして、織るのは20分、のようなサイクル。稲刈りが始まる前にたくさんやっておかねば。

 黙々と縄を綯っていると、ラジオからボブ・マーリーが流れてきました。結構合うかも、レゲエと縄綯い。
   
八月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉・実、青い渋柿、ハナハッカ
採集(食): 葉、シロザ、スベリヒユ、長芋ムカゴ、ヘラオオバコメマツヨイグサ蕾・花、ワラビ
採集(材): アカメガシワ皮・芯、カサスゲガマ穂・葉、カラムシ、カラハナソウ蔓、クズ葉、皮、コクリュウラン、スズメノヒエチカラシバ花・葉、ネズミノオヘラオオバコヤブマオ
野良仕事:大豆畑の虫つぶし、ライ麦脱穀
保存食:ワラビアク抜き・酢漬け、梅仕干し、メマツヨイグサ酢漬け・梅酢漬け
ものづくり:カラムシ苧引き、織物、繕い物、縄綯い、糸績み


→アイヌ文化の本に「カラハナソウから繊維を採る」という記事を見つけ、採ってみました。ツルはザラザラで引っ付いてくるので扱いづらい。細いので多分乾かして叩くとか発酵させて周囲を腐らせる方法だろうか。とりあえず前者を実験中。
 
 
 二〇一九年七月  明けましておめでとうございます!今年の長い梅雨がやっと明けました。

 例年ならこの時期は皮剥き系の材料採集に明け暮れているところですが、今年は3月の展示会に向けて制作を優先しています。なぜなら、冬はアカギレとシモヤケで縄綯いができない、秋から年末にかけては藁仕事が忙しい。というわけで縄を綯うのは夏しかできない。冬に炬燵でぬくぬく作業できるように、今から綯いためておこう。

 織り物やもじり編みの場合、縄を綯い足し作りながら作るので、「作りため」ができません。なんとか一本の縄を活かして作りたい・・・

 メインは6月にも書いた竹の皮とカラムシ。細い細い縄に挑戦。竹の皮はせいぜい1o程度の太さ(写真左→)。カラムシはミシン糸50-60番手くらい(写真右→)。縄と呼べるのか?でも、糸なら単糸を撚り合わせて双糸を作りますが、私の場合は縄綯いと同じで直接双糸にするのでやはり縄かな。細ければ細いほど時間がかかりますが、一日どれくらい、とか、一時間で何m、とか考えない。適当に他の作業や運動を挟みながら、毎日少しずつ。それが長く続くコツ。膝、腰、右腕も壊さないように。(壊れかけてるけど)
   
七月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉、ハナハッカ
採集(食):アオジソ、アブラナ葉、オオバコ実、葉、シロザ、セリ、長芋ムカゴ、ヘラオオバコメマツヨイグサ蕾・花、ヤブカンゾウ花・蕾、ユキノシタワラビ
採集(材):アカメガシワ皮・葉、カサスゲカラムシ皮、シュロ葉、ハギ類、ヘラオオバコヤブマオ
野良仕事:大豆播き、ダンゴムシつぶし、小麦脱穀
保存食:ワラビアク抜き、塩漬け、メマツヨイグサ酢漬け・梅酢漬け
ものづくり:カラムシ苧引き、織物、編み物、繕い物、縄綯い、糸績み 

今年は長雨のため、ワラビがたくさん採れています。
カラムシは7月の日照時間が少なかったためか、イマイチ伸びがよくありません。
7月終わりにようやっと小麦の脱穀ができました。本来ならここで箕で選別するのですが、今年は箕振り体験の機会があるかも知れないので、しばらくこのままにしておきます。
あとは梅干し。お盆ころまでには干したい!

この時期の農作業のコツは、真昼間にすること。なぜなら蚊も30度以上では暑くて出てこないから。ただ、メマツヨイグサのように昼摘めないものは仕方ないのでガマの蚊遣りを籠に入れて作業。

→写真左:ハギの花が咲き始めてます。韓国ではハギの皮で籠を作ったりしていると聞き、樹皮を剥いてみたけどイマイチ。花をめでた方がよさそう。
→写真右:コムギの脱穀。少量なので一粒たりとももらさぬよう、一本一本丁寧に。
   
 二〇一九年六月    6月-7月は材料採集のピークなので、なるべくイベントを入れないようにしています。が、最近材料ばかりたまってしまって手が追いつかず、場所もなくなりつつあるので、採集は半分にして来年の作品展に向けてまじめに制作することにしました。で、毎日閉じこもって縄綯いと織り三昧。
 
 そこで(今さらながら)気づいたのは、分業は身体を壊す、ということ。同じ作業が続くと、身体のある特定の部位が同じ動きを続けることになり、関節痛や内臓病になりやすい。縄を緯糸に織り込んだ織物を織る時は、杼に巻ける緯糸の量に限りがあるので、緯糸の縄がなくなる度に綯い足しながら織ります。綯綯いばかりしていると膝と腰が痛くなってくる。たまに織り機に座って腰を伸ばすとか、農作業して外の空気を吸わないと、身体壊します。自給自足経済のものづくりでは、一人の人間が何でも作った。体のいろんな部分を使うから、一カ所にストレスがたまらない。
 
 特定の素材だけ使って、特定のものづくりだけしていれば楽なんだろうけど、身体によくないし、第一つまんない。人間は何でも作る能力を持っているのだから、それを使わないともったいない。という気持ちで日々励んでおります、ハイ。


→写真
左上:竹の皮
右上:裂いたところ
左中:縄
右中:織り
下:ショルダーバッグと手さげ
   
   
 
六月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉、桃、梅、ビワ、小麦、ライ麦、ハナハッカ
採集(食):キミガヨラン蕾・花、の実・葉、セリ、ドクダミヘラオオバコ真竹筍、マツヨイグサ花、ユキノシタワラビ
採集(材):アカメガシワ葉・皮、カサスゲカラムシ、、背高泡立ち草皮、クズ葉、真竹皮、菊芋皮、皮、ヘラオオバコ
野良仕事:宇宙芋植え、田植え、大豆播き
保存食:ワラビアク抜き、塩漬け、梅仕込み、桑の実ジャム、桃塩漬け、真竹筍酢漬け
ものづくり:カラムシ苧引き、織物、編み物、繕い物、縄綯い、糸績み
 

今年はカラムシの苧引きが縮小気味。ストックもたくさんあるので、少し減速してモノにする方を優先。一方、年々減っていく竹林に焦りを覚え、竹皮拾いは一生懸命やりました。いつまでできるんだろう、という不安をいつも感じています。
番外編「旅のアルバム-ルーマニア、ブカレスト編」を載せました。
番外編「旅のアルバム-ルーマニア、クルジュ・ナポカ編」を載せました。 
  二〇一九年五月  5/11-13に代々木上原のhakogalleryで「バルカンテキスタイル-糸、布、衣」展を催しました。詳しくはこちらをご覧ください。
 自分の作品ではなく、他人の作ったものを紹介するという、いつもと違った試みです。誘っていただいたスワラジ工房さんは音楽やお料理もする人で、いつもと違う感じの人達とも出会えました。いろいろな意味で良い経験でした。
 自分の作品らしきものは、ブルガリアのマリヤばーちゃんが作った絹糸を染めたり編んだり織ったりしたものを出品しましたが、既にできている糸を使って作品を作ることのなんて楽なこと!そして結構楽しい、ということも発見(というより思い出した)。これに慣れてしまってはいけない!と、自らを戒めて次の制作に励むのでした…

→写真はブルガリアのリザ(内衣)。右は嫁入り前に準備しておくもので、首が通っていません。左は嫁入り後に首に切れ目を入れて仕立てる途中。興味深い資料です。
 
五月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉、菊芋、グミの実、ルリヂシャ花
採集(食):キミガヨラン花、の実、ガマの芯、スギナ、セリ、ドクダミニラノビル、麦門冬、マツヨイグサ、孟宗竹筍、ユキノシタワラビ
採集(材):アオスゲアカメガシワ葉、カサスゲガマ葉、カラムシクズ葉、コクリュウラン、スズメノヤリツバナ、トクサ、ナキリスゲ根、ハルガヤ、孟宗竹皮、ヨモギ
野良仕事:籾播き、落花生播き
保存食:ワラビアク抜き、塩漬け、キミガヨラン酢漬け
ものづくり:織物、編み物、繕い物、縄綯い、糸績み
 
 ああ、いよいよ植物採集最繁期がやってきました!この季節は買い物に行く必要がほとんどありません。今年はカラムシ苧引きを控えめにし用と決心。製作が追いつかないのだ。それにしても梅雨に入るとマダケ、梅、樹皮ものなどの採集・加工が待っています。手が3本欲しい!


 →写真はルリヂシャ(ボリッジ)です。数年前種を播いて以来、全然育てていなかったのですが、今年突然、全然違う場所に生えて来た!なぜ?どこかに種が潜んでいたのでしょうか?草の神秘。
 
番外編「旅のアルバム-ブルガリア、ルセ編」を載せました。
番外編「旅のアルバム-ブルガリア、チプロフツィ編」を載せました。
番外編「旅のアルバム-ブルガリア、ソフィア編を載せました。
番外編「旅のアルバム-ブルガリア、ガブロヴォ編を載せました。
 二〇一九年四月  13.5年ぶりにブルガリアに行きました。そして、初めてルーマニアにも。
 ブルガリアでは再会、驚き(あまり良くない)、落胆が、ルーマニアでは出会い、驚き(良い)、喜び、がありました。詳しくは少しずつアルバムにまとめていきたいと思います。今は5月11日から始まる「バルカンテキスタイル展」に向けて準備中。
 本当はこのイベントが終ってからゆっくり遊びに行くつもりだったのが、日程が大幅に遅れたので、結果的に取材旅行になってしまいました。そういう意味ではあまりリラックスした旅ではありませんでしたが、報告たっぷりお楽しみいただけますよ!


写真は訪問した6都市:
上左 ソフィア 地下の遺跡       
上右 チプロフツィ 歴史博物館のキリム体験コーナー
中左 ガブロヴォ 中心地の教会    
中右 ルセ 歴史博物館
下左 クルジュ・ナポカ ポアルタ・デ・ス・フェレアック民俗資料館 
下右 ブカレスト
 農村博物館
 


 四月のみちくさ庵

山菜が出る大事な時期に二週間も家を空けてしまい、帰国後は草たちと戯れています!GW周辺は種播きの時期。イベントも重なって、毎日が忙しい。タスケテー!!!

採集:アブラナ葉・蕾・花、イタドリ、ギシギシ、スイバ、スギナ、野蒜孟宗筍、繁縷、ユキノシタ、ワラビ
野良仕事:紅吉兆、神丹穂籾播き、和棉種播き
保存食:ワラビアク抜き、酢漬け、筍酢漬け
家仕事:編み物、繕い物

→苗床をつくるはずの場所に繁茂したガマ。
 
 二〇一九年三月   3月は縄文時代にタイムスリップしました。
富山県朝日町にある埋蔵文化財センター「まいぶんKAN」で、縄文土器圧痕から、当時の編み物を復元するという試みが行われ、一般の皆さんにも体験していただきました。

10p四方くらいの小さな敷物を編み、その上で土器を作るという二日間にわたる体験講座です。
一日目は、カラムシカラッパギ(茎の皮を剥いだもの)をもじり編みしていただきました。
出来たものをさっそくペンダントにしてみたお客さんも。(写真右中)
二日目は私も土器作りに挑戦。
粘土仕事なんて何十年ぶり。憧れの縄文(写真左下)にも挑戦。

使う道具もなるべく縄文仕様で、ということで、アズマネザサなどの笹類の棒に材料を引っ掛けて編んだり、石斧でくりぬいた木の入れもの(写真右上)を使ったり。

実際の復元作業中は黒曜石ナイフや土器の錘、紡錘も使い,憧れの縄文人に一歩近づいた気がしました。

もう少し詳しくはこちら


 
三月のみちくさ庵

採集(食):アブラナ葉・花・蕾、ギシギシ、スイバ、土筆、野蒜繁縷
野良仕事:木灰つくり、ジャガイモ植え
保存食:アブラナ・土筆・野蒜の柿酢漬け
家仕事:絹織物、編み物、もじり編み、繕い物、スマホ容れ

さあ、春の野草罪の季節です!食べきれなかったものは無理に食べず、柿酢に漬けて保存。夏まで楽しめます。
→土筆の柿酢漬け
 
二〇一九年二月   先月に引き続き、いつになく動物繊維を扱っています。
絹糸で組紐を組んでいてふと思いついたのが、20年ほど前にブルガリアの友人にいただいた、「おばあちゃんが蚕を飼って作った糸」。
 ブルガリアはかつてオスマントルコ領内の絹産地だったそうです。民俗博物館に糸を取り出す道具が置いてあるのを何度か見たことがあります。

 この糸はセリシンがついたままの様で、サラサラ、又はバリバリしています。私は手があれているので、精錬した絹のべたべたが苦手なのですが、これなら扱いやすいかも。タンパク質の黄化やナフタリンの臭いもしていたので、染めてみよう。せっかくならブルガリアの植物で。というわけで、ゴソゴソ奥の方から取り出しましたるは、現地で採集したハグマノキ(スモークツリー)、虫こぶ、薬局で買ったセイヨウイソノキ。皆、15年以上経っているのに良く染まりました。
 そしてまたハタと気付く。やはりこれは織るべきではないか。織られるために生まれて来たのだもの。
 というわけで織りに取り掛かりました。追ってみると硬すぎて身につけるには不向き。そこでセリシンを灰汁で取り除いたら、柔らかくなりました。でも、セリシンのサラサラ感も残したい・・・絹なんてめったに織らないので、どうも調子が掴めない。しばらく試行錯誤になりそうです。


写真→
上段左:編み物 右:組紐
二段目左右:織物
三段目左:シカルキ(虫こぶ) 右:スムラドリカ(スモークツリー)
四段目左:ザルナステッツ(セイヨウイソノキ) 右:染めた糸

 


二月のみちくさ庵
採集(食):アブラナ葉・花・蕾
野良仕事:木灰
保存食:アブラナ塩漬け
家仕事:絹織物、組紐、編み物


なんと二月はアブラナしか採っていません!全然外に出てない証拠ですね・・・ 菜の花畑はすでにピークです。
二〇一九年一月  みちくさにとっては一番厳しい季節。あかぎれとしもやけに悩まされ、縄綯いはしばらくお休みです。なのでこの時期は水を使わない作業をします。今年は珍しく動物繊維をいじってみました。

ほぼ20年前にブルガリアにいた時に入手した羊毛を紡いで帽子にしました。すごくあったかい!本当は腹巻にしたかったのですが、ちょっときつかった・・・やはり冬は羊ですね〜。

もう一つはこれも20年以上ぶりに引っ張り出してきた組紐の丸台。草木染のアトリエで染めた座繰り絹糸を扱いかねていたのですが、ふと、組紐はどうかしら?と思いつく。やり始めたら面白くて止まらない!組むこと自体より、糸をそろえて錘に取り付けるまでが一苦労。オダマキに巻き取ったものはすんなりと糸が出てくるのですが、シノ(竹などの棒切れ)に巻き取ったものは絡んだり、引っかかったりで大変!昔コピーした組紐の設計図を見つけ、興奮。しもやけが治っても続きそうです。


 一月のみちくさ庵
収穫:金柑、ウイキョウ葉、菊芋
採集(食):アブラナ葉・花・蕾、メマツヨイグサ
採集(材):真竹フジ
野良仕事:麦踏み
保存食:アブラナ塩漬け
家仕事:縄綯い、編み物、組紐


今シーズンもかろうじて箕作り用のフジ伐りをして土に埋めました。1m程度を10本程度です。フジなんてどこにでもあると思うなかれ。材料にできる良質なものは本当に少ない。今年はフジ以外の材料にも挑戦してみたいです。
 
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