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みちくさ日誌 2021
みちくさあんの収穫、採集、農工作業の記録です(各植物は草リストを参照してください)

2020年以前の日誌は下のリンクへ

二〇二一年 一二月  お正月ディスプレイ
恒例の木屋お正月飾りです。
来年は寅年。
壁面に立体物を飾るのは難しいとわかっていたので、虎の尾を抽象的に表してみました。
華やかな稲穂と水引きのお飾りは東明美さんの作です。

中央のビラビラは「カザグルマ」というもので、元は蚕が繭をつくるための「まぶし」なのだそうです。
本来は稲藁で作るのですが、光沢のある麦藁で作ってみました。
滑るのでポロポロ落ちてきます。

周辺に4本垂れ下げた縄は黄色と黒の寅模様です。
先月の日誌で「ある理由で黒い藁が必要になった」と書いたのはこれだったんですね。
右縄と左縄を縫い合わせて矢羽根模様にしてみました。

この壁面ディスプレイは今年で12年目、干支を一周しました。
私は巳年からなので、ちょうど10年目です。
二周めもがんばれるかな〜???

***

 「作用展」

12月の始めにお誘いを受け、初めて参加しました。
吉祥寺のoutboundというお店で毎年開催されている展覧会です。
知り合いの作家さんが何人か参加しているので2-3回観に行ったことがありますが、店主の小林和人さんの使う言葉は漢字も読めないし、意味が分からないし、なんだか小難しい印象がありました。

でも今回出品してみて初めて面白さがわかってきました。
ずいぶん長い間、忘れていた面白さです。
「ああ、自分はこれでいいんだ」というような。
みにくいアヒルの子が本当の家族を見つけたかのような。

直前だったので9月の展示と同じものを出しました。
もう少し早くお話をいただいていたらテーマに合った作品を作れたかもしれないと思いつつ、それもなんだかわざとらしくなってしまいそうなので、まあ良しとしましょう。

新年は1/5〜10までです。

  一二月のみちくさ庵

栽培:キクイモ
採集(食):アブラナ葉・蕾
保存食:柿酢仕込み、干し大根
家作業:糸作り、縄綯い、織り物、編み物、染物


ほとんど植物採集しない毎日です。
つまんないなあ。
冬季は家にこもって製作できる期間ですから、仕方ない。
年明けたら竹を採りたいと思います!

久しぶりに機に向かいました。
来年やっと出版記念展を開くことになったので、ブックカバーを。
経糸はカラムシ、緯糸は竹の繊維(手前のグレー)を、と思いましたが、使う量が多すぎて断念。
緯もカラムシでいくことにしました。
今まで実験的に染めた繊維を績んで、生成りと組み合わせて。
染料は栗、桑、柿、などです。(実はうろ覚え)
3月にお見せできるようにがんばりまっす。

 二〇二一年 一一月  染め

寒くなってくると染めがしたくなりますね。

竹の繊維を染めてみました。
私は普通はあまり染めることに積極的ではありません。
素材自身の輝きや機能性が失われることが多いからです。
しかし、仙人杖から取った繊維で黒っぽい斑があるものをどうにかしたかったのです。

黒っぽくするために、数年前に絞って冷凍しておいた青柿の汁と栗毬を試しました。
栗毬はあまり色が濃く出なかったので、柿を重ねてから最後に栗をかけてみました。
全ておはぐろ媒染です。
タンニンの種類の違いによって、柿は紫色っぽく、栗毬は暖かい茶色系に染まります。
(一枚目の写真左:柿、右:柿と栗 微妙な違いですが)
ただ、繊維そのものが染料をあまり吸わないので、堅牢度はどうだろう・・・
もう一つ染めの課題は藁です。
ある理由で「黒い藁」が必要になりました。
しかし、昔藁を染めようとしてえらく苦労した覚えがあるので、ちょっと自信がない。
案の定、柿染めをしてみましたがあまり効果なく、薄汚れた感じにしかならない。
諦めようとしばらくほっておいたのですが、竹繊維の栗染めのついでに栗の染液で煮てみた。
温度をかけると染料が入って行くようで、結構染まる。
思い切っておはぐろを薄めずに原液を刷毛で塗ってみると、おお、結構黒くなるではないですか!
これがどのように使われるかは、来月のお楽しみ。

染め三昧で指先が真っ黒。
これから年末にかけて、アカギレができる前にひたすら縄綯いです!


一一月のみちくさ庵

栽培:アサツキ、大豆、甘柿、花柚子
採集(食):アブラナ葉、フヨウ花、渋柿、ノビルハコベ
採集(材):カサスゲススキシマスズメノヒエナキリスゲヌカキビメリケンカルカヤ
保存食:柿酢仕込み
農作業:ライ麦播き
家作業:縄綯い、編み物、染物、お正月飾り

先月、ススキやアゼガヤが高揚しないことを書きましたが、メリケンカルカヤも例外にあらず。
いつもならもっとサーモンピンク色になるのになあ。
コバンソウやヤマザクラなど、フライング気味の草も。

 二〇二一年 一〇
 
くさの輪ができるまで

「植物(いのち)に向き合う、輪。」展ニ周目。
 10月に入って早々、台風の影響でイベントができないと言うハプニング。
二日後に延期できたのでなんとか皆さんとお会いすることができました。
人を集めて会を催すのは1年半ぶりなので緊張しましたが、やっぱり人と会って話をするのはよいですね。

休憩時間にはいつものラジオ体操→

今回は何かを作る、というのではなくて、私が作っているところを見ていただくという形を取りました。
前にも書きましたが、私はいわゆる「ワークショップ」という言葉にも中身にも疑問を抱いてきました。
短時間で何か素敵なものが作れる、などという幻を与え続けることが、果たしてこの国の未来に役立つのだろうか・・・
大抵の場合、初心者向でも楽に作れるように設定するし、参加者は自分の作業に夢中で、講師の動作や話を見落とすことも多い。
(自分自身が生徒の場合もそうなりがち)
何かもうちょっと違うことをやりたいな、と。

そこで今回は、くさの輪を作る工程を、縄綯いから編み終わるまでを3分クッキング風に早回しでお見せするという趣向になりました。
人前で縄を綯うのもずいぶん久しぶりなので、何回も予行演習。
手作り編み棒(といってもただの竹の棒ですが)を使った編み方もお披露目。
見せるだけでは一方的なので、皆さんにも考えてもらうためにクイズをちりばめました。
当たったらわらしべを1本。
たくさんわらしべをゲットした人にはメダルの授与・・・と思いきや、実は藁に小さな印がついていて、金・銀・銅メダルが決まるというくじ引き方式なのです。
敗者復活戦で一問も当たらなかった人がメダルを獲得するというどんでん返しもありました。
オリンピックに対してちょっと一言いいたかったのと、競争やランク付けをを茶化したかったのです。→

会期中の写真をこちらにまとめました。

***

さて、これからは怒涛の左縄の季節です。
永遠のワンパターン、お正月亀飾り製作。

しかし去年に引き続き、農園での竹・藁細工講座が中止になってしまったので、いつもよりヒマだ。
このイベントはこのままフェイドアウトしてしまうのだろうか・・・
皆さん、応援してください。

一〇月のみちくさ庵

栽培:甘柿、渋柿、紅吉兆(古代米)、大豆
採集(食):アツバキミガヨラン蕾・花、アブラナ葉、里芋、紫蘇、渋柿、シロザ、ムクゲ蕾・花、フヨウ花、メマツヨイグサ
採集(材):葦花カゼクサシマスズメノヒエススキ、紫蘇茎、セイバンモロコシチカラシバヌカキビネズミノオカゼクサ
保存食:干し柿、干し花、柿酢仕込み農作業
:稲の収穫、大豆収穫
家作業:縄綯い、糸作り、編み物、繕い物、お正月飾り

昨年赤い薄だけで作った輪。量が足りなかったので今年また採集して続きを編もう!と思って、同じ場所に行ってみたら、なんだか今年は赤みが薄い。
アゼガヤも全然紅葉せず。
やはり気温が高くなっている影響なのでしょうか・・・
二〇二一年 九
 
「植物(いのち)に向き合う、輪。」展始まりました。
思い切って、全ての作品を同じスタイルで作ってみました。
すると、「輪」という枠の中に押し込むことで返ってひとつひとつのくさの個性が見えて来ます。
二名良日さんはこれをずっと続けている方です。
今回、氏のスタイルを真似することで自分のものづくりにも大きな発見と変化がありました。
50点の出品作品中30点をこちらにUPしています。

新素材の竹繊維も形になりました。
先月紹介した竹の繊維と7月の紹介した仙人杖の繊維の両方で作品を作ってみましたが、後者の方が光沢があり、いい感じです。
繊維を取りだすのも楽なので、やっぱり状態の良い仙人杖の方が良さそう。
若竹を切ることで人工的に作れないかと実験しています。
結構うまくいきそうな感じですが、とにかく節で切れてしまうので、節間の長い竹を見つけなければならない。
数年は試行錯誤が続きそうです。(下写真、手前の白っぽいのが生、奥ふたつが仙人杖)
先月書いた「実演&お話会」は今週末に迫っています。
参加者が受け身で見るだけでなく、自分で考えてもらいながらも楽しめる催しにしたいと思っています。
いろいろ余興もあるんですが、今は内緒。

ついでに台風も迫っている・・・
毎日箕で扇いでいますが、おかげさまでちょっとだけ東にそれてくれたようです。
せめて電車が止まることのない様、祈ります!

九月のみちくさ庵

栽培:甘柿、渋柿、紅吉兆
採集(食):アケビ、アツバキミガヨラン花、クワ新芽、栗、紫蘇、シロザ、椿の実、 ニラフヨウ花、メヒシバ、メマツヨイグサ蕾・花、ムクゲ花、蓬
採集(材):アキノエノコログサ、葦、アゼガヤ、アゼガヤツリ、アメリカセンダングサ葉、イガガヤツリカサスゲ  ガマ穂、カヤツリグサ、カゼクサキンエノコロシマスズメノヒエススキチカラシバネズミノオ、杉皮、ハマスゲヒデリコマダケ仙人状、メヒシバヤブマオ
保存食:栗ペースト、メヒシバ干し、柿酢仕込み、蕗乾燥農作業
:稲の収穫
家作業:縄綯い、糸作り、編み物、繕い物

秋の味覚の季節です。
怒涛の栗拾い始まってます。
昨年くらいから栗の木の横に住んでるばーちゃんの姿が見えず、一人勝ちなので毎日処理が大変。
施設に入ったのかな…ライバルいなくてさみしい。

メヒシバがお茶にすると意外と美味しいと知り、いつもは刈ってほっちゃっておくのを、丁寧に干しています。
花茎は縄綯いに、葉や下の方はお茶に。
こんなにいっぱいあるものが役に立つと嬉しい!

初めてアケビの実を見つけました。
一〇年以上前に一度いただいて、誤って種を食べてその後しばらく口の中が苦かったのを覚えています。
タネの周りの甘い部分はそのままいただき、肉厚の皮を灰汁抜き。
何日経ってもなかなか渋さが抜けません。
挫折〜。

材料になる草は、来年の展覧会に向けて久しぶりにいろんなのを摘みました。
どんなふうになるか、乞うご期待!

 二〇二一年 八月
 
展覧会

 9月の「植物(いのち)に向き合う、輪。」展のDMもでき、あと1か月を切りました。
なのに世間はオリンピックと感染爆発。
9月にはもう少し落ち着いているといいけど。

作品制作はこの辺で切り上げて、初の試みである「実演会」なるものを準備しています。
イメージとしては「3分クッキング」のように、3分でできるはずの無いものを無理やり早送りに見せる感じ。
材料の加工から作品の完成までを1〜2時間くらいでお見せします。
そんなの初めてなので、どの素材を使うか、何を話すか、などなど、いろいろ迷いながら予行演習しています。

そもそも、すっかり定着「ワークショップ」という言葉には抵抗があります。
中身は大抵、短時間で簡単に作品ができる、というもの。
自分も流行に乗って、求められることをやって来ました。
でも、こんなことを続けていていいのか?という疑問が。
出張講座だと人数を集めなければ採算が取れない。
時間内に終わらせなければならないので、皆同じ材料で同じものを作る。
参加者の顔も名前も覚えられない。
これ、本当に自分のやりたいこと?
みちくさ庵でおこなっている「くさの寺子屋」は、一人から受け入れています。
大抵みなさん1人か2人くらいでいらっしゃる。
一人一人の興味に合わせて資料を見せたり話ができる。
いろいろな経験の人がいろいろな事を話してくれる。
自分の勉強にもなります。
技術指導はみちくさ庵でやることにして、出張の時は別のことをやるべきでは、と思い立つ。

というわけで今回の「実演&お話会」となったわけです。
正直言って、作り手にとってはリスクです。
特にわたしのように、職人的な技術があるわけでもなく、コロンブスの卵みたいなものの作り方をしている人間にとって、製作工程を見せるというのは真似されることを覚悟しなければなりません。
しかも、大抵もっときれいに、大量に作られてしまうものです。
でも、真似されてもゆるがない精神と技術を磨かなければならないと、自分を鼓舞するためにもやってみよう!と思い立ちました。

そもそも、自分のものつくりの原動力は「人と同じがいや」ということでした。
中学生くらいのころ、原宿や渋谷で買った最新流行のTシャツを着て地元の駅を胸を張って歩いていたところ、向こうから歩いてくる女性がなんと、同じTシャツを着ているではないか!
結局売ってるものなんて大量に出回っているんだ、と失望して、それ以来自分で服を作るようになりました。

長くなったけど、そんなわけで実演会、楽しみにしてください。
参加して損はない、と自負しております。
お申込みは9/4 20:00より、galleryKEIANさんのインスタ、ブログ、メールにて。

 竹の繊維

先月「仙人杖」を紹介しましたが、採集できる量があまりに少ないのと、探すのが大変なので、何とか別の方法をと考えあぐねています。

埼玉県東秩父村で昭和30年代まで「竹縄(たかなわ)」というものが生産されていました。
若い竹を腐らせてテープ状の繊維を取り、縄を綯うという技術です。
以前資料を取り寄せて試しにやってみましたが、テープ状にならず繊維がバラバラになってしまい、失敗、と思ってました。
でも待てよ、このバラバラの状態、理想的ではないですか!
というわけで10年以上ぶりに再挑戦。
なんとかバラバラの繊維が取れました。
しかも仙人状の繊維より丈夫。
竹は死ぬほどあるので、これから主な材料として使えそう。
あとは繊維を採る工程をいかに効率よくできるか・・・
しばらく実験が続きそうです。

七月のみちくさ庵

採集(食): 青柿、アオジソ、クワ新芽・葉、シロザ、芋茎、スベリヒユ、テッポウユリ、ニラフヨウ花、メマツヨイグサ蕾・花
採集(材):アカメガシワ葉柄、アキノエノコログサガマカラムシ、ギシギシ茎、クワ皮、シマスズメノヒエシュロセイタカアワダチソウ茎、チガヤ葉、チカラシバ花・葉、ハマスゲメドハギ皮、メヒシバメリケンガヤツリヨモギ
保存食:スベリヒユ干し
家仕事:苧引き、縄綯い、糸作り、編み物、竹籠作り、竹縄、繕い物


からむし畑で野生化しているサトイモ。
芋茎を取ったついでに繊維も採ってみました。
いつも挫折するのですが、今年は糸にできるかな?

テッポウユリ、あんまりたくさんあるから花がいけるかなと思ったけれど、ちょっと苦い。
水にさらしておけば苦味は抜けますが、色がきれいでなくなるのと、やはりちょっと繊維質なので細かく刻む必要があります。
食べるにはあまり効率よくないです。
 二〇二一年 七月
竹籠

9月の展覧会に向けて、そろそろ本腰を・・・と思いきや、7月前半はじめじめしていて作品の管理が難しい。
今回は丸い作品ばかりなので、梱包が課題です。
丸いものをいかにして四角に収めるか・・・
一つ一つに円い竹かごの容れ物を作り、それを段ボールに収めることにしました。

しかし、なかなかピッタリサイズにできなくて、とうとう在庫の竹がなくなってしまった。
竹は夏場に伐ると虫が出ると言われるので、ひとまず中断。 
籠の大きさに合わせて作品を作る羽目になりそう?
仙人杖

5月の日誌で少し報告した「仙人杖」ですが、その後白いきれいな繊維の取れるものがいくつかあり、試作しています。9月にお披露目できるの良いのですが。

繊維を取ったあとの真っ黒の皮もなんだかきれいで、籠を作ってみました。
やはり弱いので編みにくかったけれど、小さいものならなんとか行けそう。
こんなことしてると、材料庫なかなか広くなりません・・・
カラマーゾフの兄弟

皆さんは、家事やものづくりをしている時、何か聴いていますか?
私の場合は、織物の綜絖通しや靴下編みなど、数を数える時は音楽を流しますが、それ以外の単純作業の時は「言葉」を聴くのが好きです。
最近はyoutubeでオーディオブックを聴くのにはまっています。
先日、おそろしいものを見つけてしまいました。

「カラマーゾフの兄弟」完全朗読。

そんなことやる人いるんですね・・・
平均1時間弱くらいで84コマ。
単純計算しても80時間くらい。
縄を綯う時や散歩の時に聴いてやっと「読破」(聴破?)しました!

ドストエフスキーは高校生の時にはまり、最初に読んだのがこれ。
新潮文庫の3巻本で、一冊3ー4センチくらいはありそうなぶ厚いものでした。
それを制服のポケットに入れて休み時間や電車の中でいつも読んでいたっけ。

今、改めて読み返してみると(正確には聴いただけだけど)、細かい部分は全然覚えていませんでした。
というより、当時は文字を追うのが精いっぱいで、内容を理解してはいなかった気がします。
高校生の時の日記には読後感想が書いてありますが、哲学的な論争や思索に感激していたみたいです。
その後30年余り、響く部分がずいぶん変わったようです。
スラブ文化に少し触れたせいもあり、宗教や生活習慣が少し具体的に想像できるようになったことがひとつ。
それから、ものすごく細かい人物描写、心理描写に驚いたのがひとつ。

自分のなかの変化を、一冊の本を通して知ることができました。

その後、21世紀に入ってからロシアで制作された映画をyoutubeで見ましたが、あんまりピンときませんでした。
映像が決まりすぎてしまうとつまらないものですね。
それと、あまりにも美しく描きすぎって感じもしました。
本で読むともっとドロドロしているんだけどな。
七月のみちくさ庵

収穫: アップルミント、ウイキョウ葉、ハナハッカ

採集(食):アマドコロ根、ウシハコベ、クワ新芽、シロザスベリヒユヤブカンゾウ蕾・花、ヒルザキツキミソウ、フヨウ花、メマツヨイグサ花・蕾

採集(材):アキノエノコログサカラムシクワ皮、シマスズメノヒエセイタカアワダチソウチガヤ葉、マダケメリケンガヤツリヤブマオ


保存食:梅干し
家仕事:苧引き、縄綯い、糸作り、編み物、竹籠作り、竹縄、繕い物

ヒルザキツキミソウはマツヨイグサの仲間なので、花が食べられるかと思い・・・
マツヨイグサやメマツヨイグサに比べるとちょっと硬めだけど食べられないことはないです。
でもやはり、ピンク系の色は湯がくと美味しくなさそうな色になってしまうので残念。

  
二〇二一年六月   先月に引き続き房総のむらへ。
バッチ笠の実演を見るためです。
で、事前予習のために自分でビデオを思い出しながら作ってみました。
安房のバッチ笠に使われているハチクの代わりに真竹の皮を使い中には竹・カラムシ・菅縄を使って五徳を取り付けました。

そして、いざ、房総のむらへ!
雨とコロナのせいで、日曜日なのにあまり人もいず、人ゴミ苦手なみちくさには格好の行楽日和。
バッチ笠の実演が行われている「安房の農家」は園内の一番奥にあるので、さらに人は少ない。
ほとんど一人でゆっくり見学できました。

残念なことに、竹の骨組みは竹職人さんに作ってもらうそうで、制作現場を見ることはかないませんでした。
なので実演と言ってもひたすら針と糸で竹皮を縫い付けるのみで、あまり見応えの無い作業です。
「これをわざわざ見に来る人は初めて」と言われました。
でも、地味な作業の中に大切なヒントがたくさんあるのです。

例えば、竹ヒゴと骨組みの位置関係、糸が骨組みに当たった時、どう縫うか、など・・・
何よりも、竹ヒゴを回す回数が全然違う。

まず目を見張ったのは、淡竹の皮が裂けにくい事。
ちょうど真竹の皮で作った笠も置いてあり、その差は明らか。
淡竹は房総のむら付近にはなく、茂原あたりまで取りに行くそうです。
ええっ、地元ではないですか!
でも、見たことないな・・・
園内に植栽してあるものを見ることができました。
まだまだ大きな皮を取るほど成長していないみたいです。

気になったのは、市販の木綿糸が度々切れること。
それと、最後の赤い布をノリで貼る・・・
無い方がいいのに・・・
みちくさの予習では、1mmくらいの太さのカラムシ糸を使いました。
この太さのカラムシ双糸は切ろうと思ってもなかなか切れない。
骨組みにくぎを使わなかったので、完全に土に還る笠です。
この点では負けてない!と自負。

でも年に1回しか作らないなんて、もったいない。
見本に一つ買いたいとお願いしたけど、難しいと断られ。
小さい皮が余っているので、これで小さな笠を作って販売したらと提案したけど、竹の骨組みが作れないから無理、とのこと。
竹ヒゴなんて、少し練習すればできるのに・・・
職員さんはほとんど非正規雇用で一年ごとに契約更新しているそうで、県立の施設なのに県の職員は一人くらいしかいないそうです。
接客態度などにあんまり積極性を感じないのもそのせいかな。
可能性のある施設なのに、勿体無い。

***

熊本でのバスケタリー展に参加しました。
コロナのこともあるし、6月は一年で一番多忙期なので、現地には行けなかった。
でも企画の内野敏子さんが現場の様子を細かくSNSに書いてくれたので、なんだか行った気になって楽しめました。
詳しくはこちら
 予習で作った真竹皮のなんちゃってバッチ笠
 安房の農家
 ひたすら縫う地味な作業
淡竹の皮
つばな輪(奥野裕子氏撮影)
五月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ花・葉、桃の実、枇杷の実、南高梅、ライ麦

採集(食):アブラナ葉、アマドコロ根、ウシハコベ、グミ、クワ実・新芽、コマツヨイグサ蕾・花・葉、山椒の葉、シロザ、スイカズラ花、、ドクダミ、枇杷葉、フキマダケ筍、マツヨイグサ蕾、ユキノシタ

採集(材):アカメガシワ皮、オギ葉茎、カニツリグサカラムシ,キツネガヤシマスズメノヒエシュロ、スゲ、セイタカアワダチソウ、蕗繊維、マダケ皮・棹、紫アキノエノコログサ、メドハギ、メリケンガヤツリヤブマオヨモギ

保存食:真竹筍乾燥・酢漬け、蕗酢漬け、梅干し仕込み、枇杷ジャム
畑仕事: ライ麦収穫、大豆播き、田植え
家仕事:苧引き、縄綯い、糸作り、ねじ巻き編み、染め物、編み物、竹籠作り

一年中で一番多忙の月です。
それでも今年は梅が裏年なので少しは楽かと思いきや・・・
先月紹介した黒い竹は「仙人杖(せんにんじょう)」という一種の菌に寄生された竹なのだそうです。
なんだかおもしろくなって、いろいろ実験中。
くさリストのマダケページに追加しました。
かくして、よけいな仕事が増えて行く・・・

 二〇二一年五月 緊急事態宣言は延長、延長で、みんな飽きてきて効果が薄れているようです。
「事態が収まったら・・・」なんて、やるべきことを延ばし延ばしにしているといつまでたってもできない。
ガッチリ最大限の感染防止対策をして、本当にすべきことだけを厳選して、やることはやらねば。

***房総のむら***

と、いう思いでやっと念願の千葉県立体験博物館「房総のむら」へ。
貴重な映像を見せていただいたり、竹と藁の作り物をたくさん見られたり、得ることの多い訪問でした。
詳しくはFacebookとInstagramを見てください。
次の本に書くこともたくさん増えた!
来年には「くさにまなぶ叢書」第3弾を出したいと思っています。

房総のむら訪問の最大の目的は、みちくさ庵の隣町、茂原の「かやかや馬」。
馬自体ではなく、たてがみやしっぽの装飾に使われている竹の繊維に注目しました。
平成9・10年の企画展示「草で作ったウマとウシ」の図録によると、若竹を叩いて繊維にする、というようなことが書いてある。
実演のビデオがあるというので、閲覧を申し込んだというわけ。

ビデオは二時間以上の長尺のや短縮版やいろいろあるけど、材料の加工から撮っているものはほとんどなさそう。
今は房総のむらのスタッフが技術を引き継いで実演をしているそうです。
ちょうど、実演担当の職員さんがいて、スタッフ用の覚書きをコピーしてくれました。
生の竹を叩いて繊維を取る手順が写真入りで詳しく記されています。
これがあればビデオはいらない!
この資料だけでこの日の目的は果たされ、帰ってもいいくらいだったのですが、せっかくなので「バッチ笠」のビデオも見ました。

これは安房(房総半島南部)地方で作られていたもので、竹の骨組みに淡竹の皮を縫い付けた笠です。
最初は「ついでに・・・」くらいに思っていたのが、見ているうちに引き込まれ、作ってみたくなりました。
短縮版の後、未編集の長いビデオも見たのですが、こちらに隠されたヒントを見つけることも。

例えば、笠の骨組みを作る時に、どうしても釘で留めなければならない個所がある。
みちくさ的には土に還らない材料を混ぜるのは気が引ける。
でも、長尺版ビデオの中でこんなやりとりが。
「〇〇さん(実演中の職人さん)が教わった方は、釘を使ってたんですか?」
「いや、なんにもしないでそのまま。後で皮と糸で止まってしまうからね。でも固定しとかないと滑ってしまうんだよ。」
なんだ、使わんでもいいんだ。
やはり時間と空間を共有して話を聞くことって大事だなと思う。
インタビュアーはもっとたくさん話を聞けたんだろうな。

***竹の繊維***

竹の繊維と言えば、以前、埼玉県東秩父村の「竹縄(たかなわ)」に興味を持ち、資料を取り寄せたことがあります。
こちらも若竹から取った繊維で縄を作るのですが、生のままではなく、火であぶり、乾燥し、腐らせ、剥ぎ、撚りをかける、という複雑な工程を経ます。
一度試してみたのですが、まあ大変。
こんなに大変なことをするメリットあるのか?と思い、それ以来諦めていました。
しかし、水に強いという長所があるらしいのと、みちくさ庵にはたくさんあるという理由で、いつかは実用化したい。

最近試してみたのは、黒く立ち枯れした竹から繊維を取ること。
中途半端な長さで切られてしまって黒く立ち枯れている竹をよく見かけます。
見ると、先っちょの方は繊維がバラバラになっている。
これ、使えないかなあ、と。
水に漬けておくとバラバラになり、繊維らしきものが出てきました。
縄に綯ってみる。
黒い色が取れないのと、やや弱いのが難点ですが、1mmくらいの細い縄もできます。
季節を選ばないのも嬉しい。

これから6月に真竹の若竹が生えるので、茂原式と東秩父式も挑戦してみようと思います。








五月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉、小梅、南高梅、枇杷実
採集(食):アザミ葉、アツバキミガヨラン花、アマドコロ根、ウシハコベ、クズ新芽、グミ枝、クワ新芽・葉・実、コマツヨイグサ葉・花、ギシギシ、スギナセリドクダミノビルマダケ筍、モウソウチクユキノシタワラビ
採集(材):葦茎、イチゴツナギオオスズメノカタビラオギ葉、オニウシノケグサカモジグサカラムシ、グミ枝、コバンソウ、シナダレシナダレスズメガヤスズメノヤリチガヤツバナ、セイタカアワダチソウトボシガラナギナタガヤネズミムギハルガヤ、ヒエガエリ、ポコポコ、マスクサマダケ(棹・腐った黒いもの)、ミゾイチゴツナギメリケンガヤツリモウソウチク皮、ヨモギ
保存食:筍乾燥・酢漬け、アツバキミガヨラン花乾燥・酢漬け、梅エキス、梅ジャム、梅干し仕込み、桑ジャム・酢漬け
畑仕事: エゴマ播種、稲籾播き、セリ植え、アマドコロ根植え
家仕事:苧引き、糸作り、繕い物、縄綯い
、紡錘作り

す、すごい量の採集物・・・
今年は季節が早く来ていることもありますが、来年の個展に向けて、もう摘まなくなっていたあまり実用的でない草も久しぶりに集めてみようと思い・・・
コロナ禍で人があまり来ないのをいいことに、部屋の中は草だらけ。
おいおい、大丈夫かい?
  二〇二一年四月 今月最大の出来事は、竹藪の火事でした。
それについてはSNSで書きましたのでここでは繰り返しませんが、改めて植物の強さ、弱さ、恐ろしさを思い知らされました。
人間のかかわり方次第で敵にも味方にもなるんだなあと。
ほったらかし放題の草たちにもっと関わっていかなければと反省しています。

***

久しぶりに箕を作りました。
ここ2年は藤を採っていなかったので、他の素材で実験します。
みちくさ庵付近で比較的多く採取できるのは桑とアカメガシワです。
皮を剥いた後の木芯部は腕木に使います。
長く、すんなりとした皮が取れるので、一年枝を使ったのですが、やはり少し薄くて弱いみたいです。
しかし、二年枝以上だとゴワゴワしていて使いにくそう・・・
あらゆる意味で藤をという素材が箕作りにぴったりであることがわかります。

ヒゴはアズマネザサですが、職人さんの作り方はとても感覚的で、素人が真似しようとしてもうまくいかない。
そこで稲垣尚友式巾取り器を使って巾をそろえ、さらに薄く削ぐという面倒くさいやり方をしました。

フジがないと、もうひとつの問題は腕巻きです。
私が手ほどきを受けた千葉県匝瑳市木積では、フジの芯を薄く削いだ「カラ」と呼ばれるテープ状の素材を使いますが、これがまた難しいのです。
他の産地で麻紐などの細縄を使っている所も多いので、カラムシの縄を綯って腕巻きに使いました。

その他、いろいろ自分の都合の良いようにアレンジしてなんとか作り上げた。
ブランクがありすぎて、あまりうまくはいかなかったけれど、少し弾みがついてきました。

最初に教えられすぎてしまうと、そこから抜け出すのがなかなか難しくなってしまうのは、織物の学校で勉強してしまった時も同じでした。
四月のみちくさ庵

収穫:ウイキョウ葉
採集(食):アザミ、アブラナ蕾・葉、アマドコロ根、イタドリ、ギシギシ、クワ新芽、コマツヨイグサ葉・花、スイバ蕾、スギナセリ、ゼンマイ、ノビルハコベマツヨイグサモウソウチクユキノシタヨモギワラビ
採集(材):カサスゲ花、コバンソウシナダレスズメガヤ花、スズメノヤリ、ゼンマイ茎、チガヤハルガヤ、マツバウンラン
保存食:蕨・筍の灰汁抜きと乾燥、筍酢漬け
畑仕事:稲籾浸水、灰作り
家仕事:箕作り、編み物、繕い物、縄綯い
、糸づくり

春の草摘みも最高潮に達しています!今年初めて挑戦したのは
乾燥筍(左)
ゼンマイ(中・右)
ゼンマイは小さなお社の跡地にニョキニョキ生えてきたのを発見。わらびと同じように灰汁で処理してみましたが、蕨より灰汁が強い。よく、揉んで干してますが、そうするとやらかくなるんだそうです。
葉っぱが大きくなる前の茶っこいジョリジョリした状態(右)を摘んでみましたが、何にするのだ?
  二〇二一年三
月 
 ずいぶん暖かくなり、アカギレもなくなり縄綯いが楽になってきました。
本格的な採集シーズンが始まる前に倉庫の場所を開ける意味もあって、バリバリ縄綯ってます。
新しい標本も増えつつありますが、もう飾る場所がありません!
このサイトの表紙ページにはみちくさ庵の壁面に飾ってある「くさ縄標本」の写真を載せていますが、今はもう満員御礼。
他の壁面を片付けるしかない。
100種になったら「くさ縄標本U」を書こうかな。
→左より、エノコログサ、キツネガヤ(花茎)、シマスズメノヒエ(葉)、シマスズメノヒエ(葉鞘)

そろそろ切羽詰まってきているのは竹の皮の倉庫。
庭にある4か所の材料庫のうち一台はほとんど竹皮で占められ、昨年からは母屋にも進出してきている。
特に孟宗竹の皮はを作るために、大きいのから小さいのまでたくさん集めていて、10年前のも消費しきれていない。
なにせ竹林の中に住んでいるから、毎年のように天から降ってくるお恵みを見ぬふりするわけにはいかない。
孟宗の皮は真竹に比べて硬く、縄には向いていないと思い込んでいたけど、いろいろ試行錯誤して綯い易くしてみました。
が、やはり仕上がりは硬めなので、硬い方が良いものに使うことにしました。
→孟宗皮の縄を編んだもの。製作途中なので部分です。
もう一つは、よく藁の円座などに使われる、捩じって巻き上げる技法。
これは未だに決まった名前がなく、「巻き上げ編み」というと「コイリング」とまぎらわしいので、勝手に「ねじまき編み」と呼んでいます。
この技法には短く、捩じりやすく、強い材料が必要です。
稲藁のために作られたような技術なので、他の材でやろうとするとなかなかうまくいきません。
色々試した中で最も成功したのが竹皮でした。
↓動画鑑賞用スマホ立て
かなりたくさん材料を使うので、倉庫の在庫も消費できそう!
・・・ものづくりの動機がヘンになってる???
三月のみちくさ庵

収穫:椿花
採集(食):アブラナ蕾・葉、アマドコロ芽、イタドリ、ギシギシ、スイバ蕾、スギナ、土筆、ノビルハコベモウソウチクヤブカンゾウ新芽、ワラビ
採集(材):オギ
保存食:土筆・蕨乾燥、筍・虎杖・椿花・アマドコロ新芽の酢漬け
家仕事:スマホ立て、編み物、繕い物、糸績み縄綯い


若菜摘みがいよいよ本格的に始まりました。今年はすべてが早く、いっぺんにわっと出始めた感があります。
椿の花を食べるという話をよく聞くので、せっかく庭にあるので花ビラを酢漬け(写真左/柿、右/梅)に漬けてみました。
特に白い八重咲のものは、実をつけないので何にも利用できないでいましたが、なんとか意義を見出した気がします。
そのまま湯がいただけでは少し苦いので、少しつけておいた方がよさそうです。

この季節にたくさん保存食を作っておかなければなりません。必死。

 二〇二一年二月  今年はアカギレ・シモヤケが軽く、そろそろ6月の熊本での展覧会に向けて作品を作らねば、と腰を上げる。
タイトルは「つかうかご・つかわなくてもかご」
バスケタリーの作家さんたちに混ぜてもらうので、基本的にはアート的な姿勢の作品が多いと予想されます。
タイトルもズバリそのものですね。
用途や使いやすさから解放され、素材を思い切り遊べる!
そういえば最近そういう作品をあまり作っていませんでした。

実用的用途にはちょっと・・・と思って倉庫の肥やしになっていた荻・葦・薄・チガヤなどの大型イネ科草を取りだす。
みちくさ庵には珍しく、5o〜10o程度の太い縄を綯う。
材料が短いので、一回ねじっては足し、捩じっては足し、で、手を離せない。
材が硬いけれど、叩くと切れるので硬いまま綯う。
手の皮がすりむける。
拷問じゃないかと思う。

昨年の個展以来取り組んでいる棒針編みですが、今回は思い切り糸と編み針を太く。
綿毛ができる草ばかりなので、部屋の中はぷはぷは。
花粉症じゃなくてよかった。

 二月のみちくさ庵
収穫:金柑
採集(食):アブラナ葉・花・蕾、土筆、繁縷、野蒜
採集(財):オギ
家仕事:編み物、繕い物、糸績み縄綯い


冬の間はひたすら菜の花摘み。今年は繁縷も大豊作です。春の山菜にはまだ早いけど、そろそろ土筆や野蒜が出て来た。今年は早めになりそうだ。
展覧会の日取りを決めるのに、10年前は春の山菜摘みの前に、と思って「3月下旬から4月上旬くらい」と決めていたけど、最近は「2月下旬から3月中旬くらい」と、だんだん早くなってきました。それだけ春が早く来るようになったのかもしれません。
二〇二一
年一月 
が刷り上がり、発送作業が始まりました。
なるべく無駄が出ないようにと、予約制にして、予約数だけ刷ることにしたのですが、そうはうまくいかず・・・
締め切り後も申し込み者があり、数え間違えとか記入漏れとかで結局足りなくなり、少し増刷することに。

事務仕事が山積みで頭痛いし、コンピューターの画面見過ぎで目が痛い。
でも、良い面もあります。
普段はアカウントネームとアイコンでしか認識していない人たちと、一人ずつやり取りをして、その人がどこに住み、どんなことに興味があり、何を考えて暮らしているのか、少しわかったりすると楽しい。

当初は知り合いに100部くらい配れれば、と思っていたのですが、思いのほか希望者が多く、びっくりしました。
と同時に、簡単に何百という数作れて、同じ数だけの封筒や領収書や無駄な紙を使ってしまうことに一抹の不安も。
「土から生まれ、土に還るものづくり」を目指してきたはずなのに、「本」って工業製品のカタマリだし、土に還らない!

せめて、プラスチックを使うのだけは避けよう。
でも、大雪の地域もあるし、紙物は濡れたらアウト!
遠い場所や雪が降っていそうな住所には、「ブーブー紙」で本をくるんでみました。
昔、岩波書店の古い本はこれでカバーがかけられ、古本屋さんでは茶ばんでいたりして、なんとなく古いものを手にした満足感があったものです。
とはいえ、ゴミはゴミ。
郵送でなく、直接お渡しできるのが一番良いのですが、そんな日が早く来ますように。

もうひとつの迷い。
本が到着した人たちから感想が送られて来ます。
「まずは名前を覚えようと思います」というお言葉も多数寄せられました。
しかし、名前なんて覚えなくていいんです!
名前を知らなければ自分で名付ければよい。
本に出ている植物は私が出会ったくさであり、私とくさの対話なのです。
読者は、ご自分のくさと出会い、対話して欲しい。
答えは本の中にはありません。
自然の中に、そして自分の中にしかないのです。

・・・と思っていることが正確には伝わっていないのは、自分の力不足なのである。
も少し違う形を考えねば!

 一月のみちくさ庵
収穫:花柚子、金柑、ハラン
採集(食):アブラナ葉・花・蕾
採集(材):オギ
野良仕事:米箕振り選別
保存食:味噌仕込み
家仕事:織り物、編み物、繕い物、糸績み、菰編み、竹ヒゴ

       
   ↑父の米寿のお祝いにベージュの犬毛マフラー ↑犬毛の室内履き
       
   ↑菰編み。草のカーテン。 ↑味噌仕込み。ハランで覆ってみる。





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