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みちくさ日誌 2023
みちくさあんの収穫、採集、農工作業の記録です(各植物は草リストを参照してください)

2022年以前の日誌は下のリンクへ

 二〇二三
年一二月 

いつも一年の締めくくりは,日本橋「刃物の木屋」の干支のお飾りです。
今年は辰ということで、かねてから実験中の「ウロコ編み」で表現してみました。

辰の本体とタツノコタローはチガヤの葉、髭としっぽはジャノヒゲ、稲穂、長い髭はノシラン。
ジャノヒゲは別名タツノヒゲとも言われるので、使わないわけにはいかない!
調子に乗りすぎて胴が長くなりすぎて、一年先取りの巳みたいになってしまったかなあ。
来年困るゾ。

左側のお飾りは東明美さんによる稲穂と水引き飾り。
甲辰(きのえたつ)の字が効いています。

このお飾りディスプレイも、私が関わるようになってから12年、とうとう十二支を一周してしまいました。
二周目はたいへん!

ともあれ、皆様、良いお年をお迎えください。




 

11月の日誌に書いた「東京の原っぱを残す大作戦」は、来年3月の企画展の作品に結実しそうです。
只今、セイバンモロコシの根っこと格闘中。
叩いたり、こそいだり、裂いたり、踏んだり蹴ったり・・・

何がどうなるやらわからない状態での製作、期待と不安。
普段ならこれからの時期は水仕事はしないんだけど、今シーズンはそんなこと言ってられません!
ああ、カワイソウな私の手!

でも、例年より暖かいので助かる。
しかし、いいのかなあ、と心配でもある。



   
12月のみちくさあん

栽培収穫:キクイモ、金柑、花柚子
採集(食):アブラナ葉・花・蕾、ノビル葉
採集(材):オギ
保存食:柿酢仕込み
家作業:編み物、繕い物、縄綯い
、お正月飾り 

春から秋にかけて取りためておいた草を、一気に縄標本にしました。
しかし、思わぬ落とし穴が・・・
15年ぶりに「オオキンケイギク」の縄をこしらえてみましたが、調べたら「特定外来生物として栽培、譲渡、販売、輸出入などが禁止されている。違反した場合は300万円以下の罰金、もしくは3年以下の懲役。」だって。
こりゃ大変!
と、せっかく綯ったけどボツ。
他にも「ウチワゼニクサ」と「アラゲハンゴンソウ」が特定外来生物と近縁種と言う事で、迷っています。
標本になる植物の基準として、たくさん生えている、と言う事も重要です。
しかし、そういう草は大抵、帰化植物で迷惑雑草と言う場合が非常に多い。
虐げられたものほど愛おしくなってしまう・・・

 
  二〇二三
年一一月 

小石川植物祭

11月はこのイベントから始まりました。
写真はこちらをご覧ください。

二回目の今年は、前回より多様な出展者が参加し、なかなか面白いものになってきましたよ。
事務局の提案により、いくつかの出展者がカップリングされ、私達も武蔵野大学建築科とタッグを組むことになりました。
若い学生さんに手伝ってもらえる、という感じで軽く承諾したのですが、思いのほか充実したものに発展したのです。

武蔵野大学チームは、植物園のバックヤードに積み重なっている伐採木を使って、素敵なイーゼルを作ってくれました。
そこに、草を紐にする工程の説明図などを展示したのですが、植物園の風景に溶け込んだよいブースになったと思います。

これ、園内のそこかしこに設置して、道しるべにしたりできないかなあ、と思ったり。

そして、念願の「くさきの名札」制作。
木の輪切りは自分一人で手ノコで作るのは難しいので、若い力と機械力(悔しいけど)の助けを借りました。
これが将来的に関係者パスに発展するのが夢です。

場所柄、お子さんの参加も多く、正直大変、と最初は思ったけど・・・
子供の吸収力、すごいです!
そして、「やりたい、やりたい!」という盛りは7-8歳くらいまで。
それ以上になると他のエンタメの味を占めてしまい、縄綯いなんて見向きもしない。

いいことばかりではなく、残念なこともいくつか。

やっぱり目だったのが、飲食関係のプラスチック容器、植物をプラスチックの袋に入れたり、パウチしたり、スチレンボードを木にぶら下げたり・・・
見た目や価格を重視するとこうなるのはわかっているのですが、まだまだ当たり前のように行われているのが悲しい。

それから、必要以上の印刷物。
今回、一つ一つのブースにそれぞれが主に使っている植物の解説カードが置かれていて、それを全種類集めるという趣向がありました。
枚数が多すぎて、学生さんたちが配りまくって一生懸命消化しようとしていました。
そのカードが、あちこちに落ちてごみになってるんですね・・・
趣向は面白いけど、やり方を少し変えた方が良いと思いました。

それから、蚊取り線香問題。
11月なのに異常な暖かさで、蚊も元気にブンブン。
蚊取り線香をつける、つけないで議論になりました。
草や木は蚊がいても平気なんだけど。
プラスチックは移動すればいいけど、液体や気体の化学物質は木、草、土に吸収されてしまう。
園内は火、煙、音楽は禁止なのですが、なぜか蚊取り線香はOKとのこと。
人間の皮膚に塗布するタイプの虫よけのみ許可にするべきだと思う。

いろいろ難しい点もありますが、これからまた進化・発展していくイベントだと思います。
何てったて、植物たちがいるから。

***

「からむしという草で紐を作ろう」

渋谷区の施設で子供を対象に行いました。
写真はこちら

小石川植物祭で子供には慣れたつもりだったけど・・・
まだまだ甘かった!

6-8歳の子供たち。
ある子はすでにカラムシが衣服になることを知っていました。
なんと、歴史漫画に出てくるのだそうです。
またある子はすぐに飽きてしまってゴロン。
別の子は、手伝おうとする大人の手を振り払い、黙々と一人で作業。
いろんな子がいるね。

最後はもう、あっちこっち走り回り、収集つかず・・・
いやはや、子供のエネルギーってすごいね!
童心に戻って一緒に遊んだら、後でどっと疲れが・・・
これを毎日相手にしている皆さんには、本当に頭が下がります!

 




 
11月のみちくさあん
栽培収穫:アサツキ、甘柿、大豆
採集(食):アブラナ葉、渋柿、ニラ
採集(材):イグサカラムシジャノヒゲセイバンモロコシ
保存食:柿酢仕込み
家作業:編み物、繕い物、縄綯い
、お正月飾り 

「東京のはらっぱを残す大作戦」を始動しました。
ある人が東京の高級住宅街に土地を相続し、固定資産税を払うのが大変だけど、少しでも緑を残しておきたい、という思いから、みちくさあんにご相談がありました。
自分も東京に生まれ育ったので、今は住みたくないけど、もっと住みやすい場所にしたいと思う。

私に何ができるかわからないけど、とにかく生えているセイバンモロコシを刈り取る。
実が成ったら脱穀して箒にでもしようかと思ったら、何者かに喰われていた。
虫か、鳥か?
セイバンモロコシは毒性があると言われていますが、実は害虫と共生しているという報告もあります。
他の植物の成長を妨げるホルモンを分泌するとも言われているので、うまく利用すれば除虫、除草に使えるのではないかとも。

根っこもなんだかかわいいので取って見た。
手探りですが、何か始めなければという気持ちだけで突き進んでます。

二〇二三
年一〇
月 
 
展示始まりました。

小石川植物祭に先駆けて、20日からgalleryKEIANでの展示が始まっています。

今回、くさ縄標本が100枚達成ということで、記念展示となりました!
おまけのくさ人もついてます。

新作としては、
「どんぐり容れ」まるっこい小さな容れものに紐をつけたものです。
「にょきにょき」地面から生えているような物体です。
普通、口の方を上に向けるべきなのでしょうが、おしりの丸みがかわいくて。
容れ物としてピシっと立てようとすると、どうしても底を平たく作らなければなりませんが、多少不安定でも丸みの可愛さを残したかったのです。
不安定なものには下に敷く輪っかがついています。

今までのものも、少し趣向を変えて。
「うろこネックレス」は、実用的に使いやすいように、紐を通しました。
「草人バー」は、好きな草人を選んで自分で紐を通してネックレスやブレスレットを作る、というアソビです。

最初の土日は実演&お話会とくさかるたを行いました。

実演の方は、拙著「くさ縄を綯う」に掲載した綯い方を実演。
おりしも、世田谷の生活工房でECフィルムの公開があったので、それと比較したお話などもできましたよ。

「くさかるた」は、読み手がくさの名前を読み上げながら写真を見せます。
取り手はくさで編まれた丸いカードの中から、当該のくさを探します。
最初皆さん、躊躇するのですが、やり始めると燃える!
一番多く札を取った人には「わらしべメダル」贈呈です。

これ、面白いので、11月3日~5日の小石川植物祭にも持っていこうと思っています。

さて、来月はいよいよ小石川植物園内での縄綯い体験です。
わくわく。

  
10月のみちくさあん

栽培収穫:甘柿、渋柿、クリ、紅吉兆
採集(食):アブラナ葉、コマツヨイグサ花、ニラ葉・花、フヨウ花、メマツヨイグサ
採集(材):アシ、稲ヒコバエ、オギ葉・花、カゼクサクズチガヤ葉、チカラシバ花茎、ツルボ、ニラ茎、ヌカキビハマスゲ、ワレモコウ
保存食:柿酢仕込み
家作業:編み物、繕い物、縄綯い
、お正月飾り

ニラ摘みは年中行事ですが、今年は茎を取っておいて乾燥しています。→
縄が綯えるかな?
どんな匂いになるんだろう~?

二〇二三
年九
月 
 
 
小石川植物祭と関連展示

今年、小石川植物祭(フライヤー)は113日から5日の3日間ですが、先行してgalleryKEIANでみちくさあんの「くさ縄標本」と小品を展示します。
関連イベントとして、10/21,222日間、縄綯いお話会及び、「くさかるた」取り大会をやります。
DMはこちら。

「縄綯い実演とお話会」
今回、「くさ縄標本」が100枚になったのを記念して、展示をすることになりました。
拙著に載せていないものを中心に、お話ししようと思います。
お申込みはgalleryKEIANgmail.com

 「草かるた」
草で編んだ丸い物体をかるたに見たて、写と名前から、その植物で編まれた丸い物体を探し当てる遊びです。
こちらは現地申込みです。
その他、草の小物、器、草偶など、おなじみの作品もお楽しみに!

どうぞお運びください。

***

ひでじいのこと

ひでじいとは、福島県喜多方市山都町に住む御年97歳のじいです。
蕎麦打ちを家業とし、いろんなことをよく知っていて植物の使い方についても膨大なリストを作っていました。
今は介護施設で暮らしているとのこと。
先日、97歳の誕生日にケーキ片手にご機嫌な写真を送っていただきました。
頭脳はまだまだ明快、しゃべりすぎて周囲の人達をうんざりさせるほどのようです。

私はこの「ヒデジイ植物リスト」に写真をリンクさせたwebページを作ろうとして、植物の写真を集めていました。
福島県にそうたびたび行くわけにもいかないので、小石川植物園によく通っていたものです。
本当は、地元のグリーンツーリズムや地域おこし協力隊か何かが引き継いでやってくれるのが理想なのですが、よほど興味がないと難しいですね。
結局、自分のHP内にひっそりと置いておくことになりました。(こちらからどうぞ)

ここから本題です。

先日、小石川植物祭のための採集会でのこと。
私のHPの中にある「ヒデジイ植物リスト」の、写真未収録植物リストを見た方が、「今、ケンポナシ生ってますよ!ムクロジも。」と見せてくれました。
有難いことです。
私自身はすっかりほったらかしにしていたというのに。

また、ヒデジイリストの写真集めも始めようと思います。
皆さんのご協力、ご提案もお待ちしています。

 

 

 

 
9月のみちくさあん
栽培収穫:稲、枇杷葉、甘柿、渋柿
採集(食):クリ、コマツヨイグサ花、ニラ葉・花、フヨウ花、メマツヨイグサ
採集(材):イガガヤツリリ、カサスゲカゼクサガマ、カヤツリグサ、カラムシ、カンスゲ、キンエノコロジャノヒゲチガヤ葉、ツルボ、ニラ茎、ヒガンバナ、ヤブマオ
保存食:柿酢仕込み
外作業:
家作業:苧引き、編み物、繕い物、縄綯い


いつになく、未知の草を綯ってみたくなり、いろんなのを集めています。
ニラの茎、ツルボ、ヤブマオの花…
どんな縄になるかなー?

 二〇二三
年八 月 
 タイマグラへ

岩手県宮古市は早池峰山のふもとにあるタイマグラという人口10人以下の集落に行って来ました。
そこにある日本最大の箕コレクションの調査に同行するためです。
そこには全国から集められた約230枚の箕があり、東京文化財研究所のIさんの箕に関する研究のために、写真撮影、3D撮影、番号札つけなどを行いました。
個人的にいくつか面白い箕もあったのですが、それは「箕のページ」(毎月3日、SNSにて)にゆだねます。

2017年に訪問してから6年ぶりです。
前回は車での往復で自律神経がおかしくなり、帰る頃にはぐらぐらと地面が回っていました。
ということもあり、ちょっと躊躇していたのですが、これを逃したらもう一生行かないかもしれないと、重い腰を上げました。

いまさらながら、山道を歩いていて驚くのは、イネ科の草が少ないこと。
竹、ネコジャラシ、メヒシバ…平地にたくさん生えている奴らが全然ない。
ススキがあるくらい。しかも、もう花が咲いている。
山の秋は早い。

その代わりあるのは、シダ類、菅類、広葉樹。
なるほど、樹皮やスゲの背負い籠などが発達するわけだ。
何種類かのスゲを採らせてもらったけど、花の時期ではないので種の特定は難しい。
私は種の特定が目的ではないのですが、名前がわかるとやはり楽しい。
それまでは自分で勝手に名づける。
タイマグラスゲとか、フィールドノートスゲ、とか。
(フィールドノートは宿泊した場所の名前)

宿泊したフィールドノートでは、蚊帳初体験。
なんだかすごく守られている感じがして心地よい。
日本最大の箕コレクターである桶正氏の仕事場には、箕はもとより、他にも面白い民具がたくさん。
一つ一つ説明はしていられませんので、ここでは写真を羅列するにとどめます。

岩手にあって関東にないものの一つに、アイコ(ミヤマイラクサ)があります。
触ると痛いやつです。
住民によると、「最近鹿が増えてアイコを食べるので、ずいぶん減ってきた」とのこと。
このあたりでは鹿などの鳥獣が増えているので、ハンターになることを推進しており、逆にハンターが増えすぎているとか。
丁度、同じ日に泊まっていた女性がハンターで、しとめた鹿肉をふるまっておられました。
メニューには時々、熊肉もでるそうです。
これも、海岸に住むみちくさには縁のないお話。

夢のような3日間を終え、浦島太郎になった気分で帰ってきました。
夏だから山の暮らしをここちよく味わえましたが、冬は大変だろうなあ、と思う。
実際、滞在中も豪雨で水が止まったり、道がふさがったり、いくつかのトラブルがありました。
そんな場所でも郵便配達、宅急便、生協も来てくれるそうです。
日本の配達はすごい。


  
8月のみちくさあん
栽培収穫:うるち米、枇杷葉
採集(食):アップルミント花、シロザスベリヒユニラフヨウ花、ムクゲ花、メマツヨイグサ
採集(材):アツバキミガヨラン葉、イガガヤツリリ、ウォーターマッシュルーム、エナシヒゴクサ、オオハンゴンソウ、オヒシバカサスゲガマカラムシキンエノコロ、シマスズメノヒエ葉、菅類、ジャノヒゲ、タマガヤツリ、チガヤ葉、テンツキ、ノシラン、ハマスゲヒデリコメドハギメヒシバヤブマオ花・皮
保存食:干し物
外作業:ヨウラクツ・アナナス・ノランジア植
家作業:苧引き、編み物、繕い物、縄綯い,糸績み


近所の直売所でパイナップルっぽい鉢を見つけました。
表示は「ヨウラクツ・アナナス・ノランジア」と読める気がします。
アナナスっていうからにはパイナップルに関係するものに違いない。
パイナップルの一種だったら繊維が取れるかなあ、と期待して植えてみました。
栽培が苦手なみちくさあんでは、いつまで生き残ってくれるでしょうか?
植えたことすら忘れてしまう可能性大ですが、いつものように…


 二〇二三
年七月 
苧引き本番

いよいよカラムシの苧引き第二軍が始まり、そして終わりました。

糸作り体験希望者もたくさん来ていただいたのですが…
実は、苧引きの体験は梅雨入り前の5月頃が一番良いんです。
なぜなら、その時期に刈り取ってしまったあと、梅雨時期の温度と湿度でいっきにぐんっと伸びたやつが一番引きやすいからです。
一度も刈り取られないで7月まで伸びてしまったものは、硬くてとてもたいへん。
良い繊維を取るには、ある程度人間のコントロールが入る必要があるんです。
なので、5月に来ていただき、をの後はご自分で手入れをするのがいちばんよろしい。
皆さん、来年はぜひ5月にお越しください!

今年は梅雨に雨があまり降らなかったため、カラムシも乾き気味、早く疲れてしまったようです。
気候変動の中では、いつ何をするという従来の工程も崩れ落ちてしまいます。
一つ一つの草を見て、判断するしかないのです。
法則に身をゆだねすぎてしまっていた事を反省させられる夏です。

思えば2003年に植物繊維の旅をしてからはや20年。
クズ、フジ、シナ、バショウは続かず、カラムシだけは20年間毎年欠かさず引いて来ました。
土地と無理なく続けられる条件が合ったのですね。
1年1000本引いたとして、2万本!
肉体が続く限り、引き続けたいと思います。



7月のみちくさあん

栽培:ハナハッカ
採集(食):アマドコロ根、クワ新芽、シロザスベリヒユメマツヨイグサ花・蕾、ヤブカンゾウ花・蕾
採集(材):カラムシクズジャノヒゲシュロ繊維、杉皮、チガヤ葉、メヒシバメリケンガヤツリ
保存食:干し物
外作業:大豆播き、ライ麦脱穀と選別
家作業:苧引き、編み物、繕い物、縄綯い,糸績み
、亀

注文制作で、アカメガシワの亀を作りました。
最初、アカメガシワの花をしっぽにつけてみたのですが、乾いたらポロポロこぼれてしまうので、キンエノコロにしました。
自分では考え付かないことを、時々やるのは面白い。

 
ものつくりしている皆さん、ご注意!

初めての四国、愛媛に一泊してきました。
目的は歯科医受診です。

数か月前に「歯性上顎洞炎の疑いあり」と診断され、いろいろな歯科を受診しましたが、どの医者も抜歯以外に治す見込みはナシ。
それだけはご勘弁を~、というわけでいろいろなセカンドオピニオンを求めてついに愛媛まで行ってしまったというわけ。
そのなかでわかってきたことは、
1.問題の歯以外にも、奥の歯のあちこちに浅いひびが入っている
2.その原因は「噛みしめ(一種の歯ぎしり)」である
3.噛みしめの原因はストレスや、下を向いてだまって集中する作業である

パソコンやスマホの使用で、このような「噛みしめ」が癖になっている人が多いそうです。
TCH(Tooth Contacting Habit)と言って、かなり問題になっているらしい。

私のようにしょっちゅう下を向いてむっつりだんまり仕事している人はキ・ケ・ン!
なるべく上下の歯がぶつからないように注意しなくては、ということです。
しかし、昼間よりももっと深刻なのは睡眠中の歯ぎしりです。
昼間の噛みしめより、2~3倍の力がかかってしまうそうです。
自分では止めることができないし、ヨコにギリギリ擦る歯ぎしりと違い、タテにぐっと噛みしめるのは音がしないので他人も自分もわからない。
たぶん私はこれらしい。
言われてみると、ふと目が覚めた時ググっと噛みしめているのを感じる時があります。
脱脂綿を噛んで寝てみたけど、どうしても外れてしまうし、飲み込んだら大変。
というわけでマウスピースを作ることになりそうです。
といっても「あしたのジョー」でぴょーんと飛んでくあれではなく、歯の形をしたゴムみたいなものらしい。

半世紀以上生きてきて、自分が歯ぎしりしていたなんて、初めて知りました。
それが長年たまって、年取ってくると歯のひび割れなどの問題になって現れるそうな。
ある意味、深刻化する前に発見できてよかったというべきでしょうか。

ずっと下を向いて作業している皆さん、要注意です!

↓松山市考古館の写真
6月のみちくさあん

栽培:南高梅、枇杷、桃、ライ麦、ハナハッカ
採集(食):アップルミント、アマドコロ根、クズ新芽、シロザタチアオイ花、ドクダミ、ニラ、野蒜むかごマダケ筍、ヤブカンゾウ花・蕾、ワラビ
採集(材):アカメガシワ皮・葉・花、イタドリ皮、オニウシノケグサカサスゲカニツリグサカモジグサカラムシキツネガヤ 、クズクリの花、ノシラン?、ヒメジョオン、ヘラオオバコ、ハギ、マスクサマダケ皮、メドハギメリケンガヤツリヤブマオ
保存食:干し物(真竹筍、蕨)、梅干し仕込み
外作業:田植え
家作業:苧引き編み物、繕い物、縄綯い,糸績み
→今年挑戦する繊維は、ジャノヒゲとかヤブランとかと似ている葉っぱ。
「ノシラン」というのはこれかなあ?
今までは葉を乾かして裂いて使っていたのですが、水分が多いのでカビが生えやすくて、あんまり使っていませんでした。
これが繊維が取れるということを知り、さっそくやって見た。

すごく硬い繊維です。
服とかにはできなさそうだけど、面白い造形ができそうです。

  二〇二三
年五月 
怒涛の採集続く

一年で一番忙しい時期、絶賛発売中!(?)
5月後半からすでに雨模様が続き、梅雨入りか?という勢いです。
庭と家の周りぐるりだけでおかずもおやつも糸も採れてしまう。
梅雨はうっとうしいけど、植物にとっては恵みの雨なのです。

カラムシの苧引き第一弾もなんとか終了。
この時期は「収穫」というより、二回目を促すための「伐採」という意味が濃い。
次の収穫まで一から二か月ほど待ちます。
それにしてはよくできた方かな。
先日知人から昭和村の道具をごっそり譲り受けたのですが、やっぱり苧引きしやすく、作業がしやすい。
悔しいなあ。
でも、生徒さんたちは竹製の苧引き具を気に入ってくれたみたい。
上布を作るわけじゃないんだから、身の回りにある道具を使ったらよいのです。

今年度は草関係の仕事が結構あるので(というかそれしかやってないだろう)いろいろ新しいことに挑戦すべく、いつもに増して部屋中草だらけ。
梅雨を越せるか?が最大の課題。

***

久しぶりに
ショルダーバッグの注文があり、織りました。
注文製作というのは、大抵以前の作品と同じものを注文されることが多いけど、その都度改善したくなってしまう。
いつもは経糸カラムシの双糸、緯糸に竹皮の縄なのですが、もっと擦れに強くしたくて、ヤブマオ縄の緯糸も入れてみた。
予想通り硬くて重そうだけど、頑丈そうだ。
ヤブマオはカラムシのカラッパギよりも皮の剥脱が少なく、色も赤味なので重宝します。
これは逆に言うと、カラムシの皮の剥ぎやすさをあらわしている。

***

梅雨時は一番皮が剥ぎやすい。つるん、つるん
今年は
イタドリの皮剥きに挑戦です。
どんな縄ができるか?
食べられて、なおかつものづくりの素材にもなるなら、理想的。

***

縄綯いについて思うこと

冬の間は炬燵から出ないで縄綯いをしないといけないので、向こう側を固定して指先でよじる方法でカラムシの縄を綯っていました。
この方法は、麻などヘロヘロした張りの無い、長い繊維で縄を作る時によく使われる方法で、ほとんどの人がZ撚りで行うようです。
私はS撚りでやっていたのですが、右手の親指の付け根がおかしくなりました。
原因を考えてみると、この方法でS方向に撚ると、右手の親指は内側にスライドします。
人間が手は外側に回す方が自然で、力が入れ易い。
水道の蛇口を閉める時、外回しですよね。
反対に内側に向かう動きは無理があるので、長く続けると筋をおかしくするのでは。
スマホ操作で手を傷める人が多いというのもうなずけます。

試しにZ撚りを長時間続けてみましたが、今度は左手がヘンになってきた。
これは大変、対策を打たねば。

この方法の長所は、
・背筋を伸ばして楽な姿勢で椅子に座ってもできる
・縄目を一つ一つ確認できるので、ピッチが揃いやすい
なので、年をとってもできる、と思っていたのですが、さにあらず。
局所的に指だけを使うので、長時間の使用はお勧めできません。

やはり炬燵に入ったまま縄綯いはあきらめ、冬の間は糸績みや繊維裂きなど、別の作業を行った方が無難のようです。
一つの作業だけずっと続けないで、いくつかの動作を交代に行うのが健康的なモノづくりかもしれません。

栽培:セリ、南高梅、小梅、枇杷
採集(食):アップルミント、グミ、クワ葉・実・新芽、スギナドクダミノビルマダケ筍、マツヨイグサ花、メマツヨイグサ花、モウソウチク筍、ワラビ
採集(材):アカメガシワ、アメリカフウロ、イタドリオオキンケイギクオギ葉、オニウシノケグサ、オランダミミナグサ、カサスゲ、カタバミ、カモジグサカラスノエンドウカラムシコバンソウスズメノエンドウスイバスズメノヤリ、チヂミザサ、トボシガラ、ツバナ(チガヤ)、ツルニチニチソウ、ミゾイチゴツナギハルガヤ、ハルジオン、ヒメキンギョソウ、ネズミムギ、ヒメジョオン、モウソウチク皮、ヤブマオヨモギ
保存食:干し物(真竹筍、蕨)、梅干し仕込み、漬物(筍梅酢漬、柿酢漬)け)、柿酢絞り
外作業:稲籾浸水籾播き
家作業:苧引き、織物、繕い物、縄綯い

奇数年は梅が裏年なので比較的楽なのですが、それにしても1.2kgしか採れないとは?
梅酢が十分に上がるか心配です。

ほとんど毎食筍と蕨ばかりの毎日。
梅雨時は干し物が難しい。
庭の草をなるべく捨てないで保存しておくことを目標にしていますが、案の定、足の踏み場が。
どれくらい梅雨を生き残れるか?

  二〇二三
年四月 
 
怒涛の草摘み始まる

毎年4月はから9月は展覧会もせず、草摘みと材料加工、糸作りに明け暮れます。
そのスタート時期が毎年早くなってきていて、今年はすでに3月半ばころから始まってしまい、展覧会のために遅れ気味。
土筆
孟宗筍

の順で始まり、採集と乾燥を繰り返す。
その間に野蒜、マツヨイグサ、セリ、ニラ等、もりもり出てくる
乾燥用の籠も、保存瓶も、冷蔵庫も冷凍庫も(できれば使わない方が良いのですが、そうもいかない)マンパン。
たすけて~

***

「草展」のこと

来年の3月頃、「草展」(仮題)なるものを企画しています。
文字通り生物学的な草本植物の展覧会になる予定です。
どんなことになるのか、自分でもふたを開けてみないとわからない状態ですが、だからこそワクワクドキドキします。
最近忘れかけていたワクワク感。
長年やっているとついつい慣れっこになってしまって、冒険するのが面倒くさくなってしまうものです。
脳味噌をシャッフルするためにも、たまにはよくわかんないことをするのはいいもんだ。
・・・いつもしてるかも?

というわけで、草摘みもいつもは摘まないものまで摘んでるので(↓)大変な事になっている!

4月のみちくさ庵

栽培:アサツキ、セリ
採集(食):アップルミント、アブラナ花、アマドコロ新芽・根、イタドリスギナ、薇、土筆、ニラノビルハコベマツヨイグサ蕾・花、メマツヨイグサ花、モウソウチク筍、ワラビ
採集(材):アメリカフウロ、ウマゴヤシ、オニウシノケグサ、オランダミミナグサ、カラスノエンドウ、キヅタ、カサスゲカラムシ、キンミズヒキ、スイセン、スイバ、スズメノヤリ、スノーフレーク、ツバナ(チガヤの花)、ツルニチニチソウ、トボシガラハルガヤ、ハルジオン、ヒメスイバ、マスクサモウソウチク皮、ヤブラン
保存食:干し物(土筆、蕨、筍)
外作業:稲籾浸水
家作業:苧引き、織物、繕い物、縄綯い
アブラナ花・蕾・葉、イタドリ、土筆、ノビルモウソウチク
保存食:干し物(土筆、アブラナ花、金柑)
家作業:縄綯い、繕い物、結っ人
、機織り

 二〇二三
年三月 
 
「第二回 土と草展」

14年ぶりの熊谷幸治さんとの二人展。(2023年会場の様子はこちら
前回はおめんがテーマでしたが、今回は偶像、土偶と草偶です。 (2009年「土と草展」はこちら

今までも草の人形(結っ人)たちはちょこちょこ出していたのですが、いつか人形だけで展示をしたいと常々思っていました。
営業的にはリスクが高いのですが、熊谷さんも「敢えて焼かない、土に還る土偶」で行くということで、死なばもろともレッツゴー。

蓋を開けてみればたくさんのお客さんに楽しんでいただけたようです。
自分でも意外な草偶が人気でした。
超ちびっこたちが人気なのは分かっていましたが、素材別では
孟宗竹裏皮偶アルチンボルド偶
つばな偶
がウケたようです。
私が好きなサラサラ系(シナダレスズメガヤ、アシ)、色が独特のハマスゲは意外と敬遠されたみたい。
ままよ、で出品したアンタッチャブル系は予想通り、買おうという強者は現れませんでした。

人形、という一つの形に限定することで、素材の違いが見えてくる。
草といっても一つ一つ違うのだということを感じてもらえたなら嬉しいです。

さあ、これからたまっていた仕事をしなければ!
ばたばたの4月が始まります!

3月のみちくさ庵

栽培:金柑
採集(食):アブラナ花・蕾・葉、イタドリ、土筆、ノビルモウソウチク
保存食:干し物(土筆、アブラナ花、金柑)
家作業:縄綯い、繕い物、結っ人
、機織り

約10日間留守にして帰ってきたら土筆はもうおおかたスギナに変わっており、孟宗竹の筍が顔を出し始めていました。
たいへんだあ!
4月は山菜採りと乾燥、保存の月です。
柿酢も絞らなければ。
お仕事いっぱい!

 二〇二三
年二月 

いつもなら2月は短いのですが、今年は個人的にいろいろなことがあり、とても長い二月になりました。

 

1月終わりから危ない状態になっていた父がとうとう肉体の束縛から解放されました。

私の役割は遺品整理。

都会の人はモノが多くて大変です。

特に、6年間施設で看てもらっていたので、服とかパジャマとかタオルとかやたら多い。

伸縮しやすく、着脱しやすく、洗濯しやすく、となると化繊が多くなります。

化繊のものは毛玉ができやすいので、難民への寄付などには難しい。

未開封のものと1-2回しか来てないものは難民支援NPOに寄付、ほかはウェス用リサイクル。

あとは本、レコード。

このへんは買取りしてくれる業者がたくさんあるので、うまくすればお小遣いくらいにはなるかも?

 

いろいろ調べたら、最近は家のがらくた丸ごと買取査定してくれる業者とかもたくさんあって、いかにモノの問題が多いか、を実感しました。

 

私へのプレゼントはろうけつ染めの浴衣と腰帯。

これが唯一嬉しい拾い物でした。

自分が着ることはないと思うけど、何かに作り直そうと思います。

 

それから、自分で作って父にプレゼントした犬毛のマフラー。

実は材料となったポメラニアンは、父の愛犬だったのでした。

一緒にお棺に入れてあげようと思ったけど、みつからなくて間に合わず。

あんまり使ってなかった証拠ですね。

犬毛はちょっとばかしチクチクするからかな。

 

それから、古い写真。

父の父、つまり私の祖父は外交官として韓国に住んでいました。

当時の写真は当然、イッチョウラを着てすまし顔で撮っているものが多いのですが、唯一、籠を担いでいる写真がありました。

この籠についてはまだ調べることが多く、SNSで投稿を継続していこうと思ってます。

 

さあ、気を取り直して3月の展覧会に向けて突進ダ!

1か月切ったのにまだDMはがきができてないんだけど・・・)

 2月のみちくさ庵

栽培:金柑、枇杷葉
採集(食):アブラナ葉・蕾・花
保存食:柿酢仕込み
畑作業:下肥
家作業:縄綯い、繕い物、結っ人


植物採集が一番少ない月です。
加えて、半分は留守にしていたので。
菜の花だけが真っ盛り。
ほとんど主食になってる。
そろそろ暖かくなってきて、つくしんぼやらたけのこやら、出て来るかな?

久しぶりに「くさ縄標本」を追加。
何年かかかけて少しずつためておいた蕗の繊維。
あまり強くはないけど、台所の副産物として活用できそうです。

展覧会のために、数が少ないものを作り足しました。
少ないものって、結局のところ、あまり使わないのですよね・・・
でも、一点だけだと売れた時に困るので。
かくして、なかなか在庫が減らない。

二〇二三
年一月 
2023年も昨年同様「作用展」で始まりました。
今年は作用展用の実験的、挑戦的な作品を作ったつもりです。
こちらは「孟宗竹の皮の裏」という、よくわからない素材です。
これは、硬い孟宗竹をやわらかくするために裏をしごき落とした時のカスなのですが、
昨年、しごいたそのままのごみのような状態のものをOUTBOUND店長の小林氏に見せたら気に入られたようなので、前回はそ(素)のままボッテリと展示したのです。
今年は昨年と何らかの関連性を作りたくて、それを「何か」にしようと思いました。
「何か」にする場合、「入れ物」か「人形」になることが多いのですが、今回は後者。
当初は人のかたちがはっきりわかるようにし、髪の毛を生やしたり、脇毛をつけたりする程度だったのですが、やってるうちにエスカレートして、ついに全身毛むくじゃらにしてしまったというわけ。

作用展はどちらかというと抽象的な、「何」ともつかないものが合っていると感じたので、敢えて毛むくじゃらだけを出品しました。

3月の二人展は「結っ人(むすっと)」だけでいく予定です。
お楽しみに~

一月のみちくさ庵
栽培:金柑、枇杷葉、セリ
採集(食):アブラナ葉・蕾・花
採集(材):アズマネザサ、松葉
保存食:味噌仕込み、柿酢仕込み
家作業:縄綯い、繕い物、下着作り、結っ人、ヒゴ取り


お正月恒例の味噌づくり、無事終了。
竹の皮を敷いてあとは待つのみ!

「松葉療法」というのを教わり、内くるぶしと股関節、首筋、鼻などに当ててみました。
なんとなあく、ましになったかなあ~というくらいで、言われているような速攻性はあまり感じず・・・
でも、久しぶりに琵琶風呂を再開したのでぽかぽか。
雪が降った日の朝も炬燵だけの暖房でへいちゃらでした。

「下着作り」というのに目を止められたあなた、するどい!
私は随分前からショーツ(いわゆるパンツ)を縫ってます。
最初は育てた木綿で紡いだ糸で・・・と思っていたけど、数がたくさんいるのと、現代生活の中ではやはり薄手のよく伸びるものが合っているのだと観念し、綿100%のニット生地を縫うことで妥協したのでした。
ゴムは容れず、同じ綿のニットを横方向に細く切った紐を入れてます。
いちいち結ばなくてもじゅぶん伸び縮みします。
実物の写真はちょいと生々しいのでご勘弁を。

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