旅のアルバム ブルガリア ガブロヴォ
Album of my trip to Gabrovo, Bulgaria
2019/04/14-16


 1999年から3年間住んだ町。郊外にあるエタル野外博物館は、古民家を移築したテーマパーク。水車でろくろを回したり、水力洗濯機も健在。織物、焼き物、銅細工、銀細工、木工など、様々な職人さんが実演してくれます。
 
 しかし、共産党崩壊後は給料制ではなく、場所代を払った上に販売で稼がなくてはならなくなったため、作品の質は落ちていると思います。
 
 その中で堅実な仕事を続けている山羊毛織物職人、イッチョさんに会うのが今回の目的。休みの日だったにもかかわらず私のために来てくれて、14年前に取材した時訊きもらしていたことなど確認できました。山羊毛織物の製作工程の映像は、2019年5月11日「旅と布のトーク-映像と写真で見るブルガリア山羊毛織物とルーマニアヘンプ」で紹介しました。
メインストリート沿いに各アトリエが並んでいます 自然の推力を利用した洗濯機  楽器屋さんには毛の生えたガイダ(山羊皮のバグパイプ)! お菓子屋さんにはトルコ起源のあんま〜いお菓子が!
山羊毛織物のアトリエ 山羊毛のバッグ。全て山羊の自然な色。 伝統模様「猫の歯」  伝統模様「ネズミの耳」 
紡ぎ車。長さ5mの構造物です。 山羊毛の糸。経糸も緯糸もすべて山羊毛。 ディミトリナ(下の記事参照)が草木で染めた糸でイッチョさんが織った壁掛け。 イッチョさんお手製のトウモロコシ人形
古建築工法復元。屋根瓦。 古建築工法復元。レンガ。 古建築工法復元。土壁。  古建築工法復元。枝の格子。 
この地方特有の「ソカイ」という被り物 大麻を打つ道具、「メリッツァ」の部品。先の尖った 木製ナイフで打ちます。 唐箕?のような道具。麦などを風選します。 クルミ油精製過程の展示にあった 容れ物類。瓶に直接植物(葦や柳)を編んで保護するものはヨーロッパでよく見かけます。

 ディミトリナは私が植物染めを始めるきっかけとなった人です。約20年前のある日、「私のおばあちゃんがトマトで布を染めていたのだけれど、いくらやっても染まらない」という相談を受け、一緒に染めることに。二人でエタルで植物染めの実演をするまでになりました。
 
 彼女は今ではエタルだけでなく各地に招待されるようになったそうです。問題は、後を引き継ぐ人がいないこと。チプロフツィのニコロフ先生も植物染めをあまりしていないし、彼らがいなくなったらブルガリアはまたもとに戻ってしまうのだろうか?若い世代に頑張ってもらいたいです。
 
 ガブロヴォでの滞在ではディミトリナのおうちに泊まり、朝から晩まで手作りの作品を見せていただきました。彼女のお母さんも刺繍や手作りがお好きだったようで、血は争えないようです。こんなに美しい手仕事たちも、次の世代に理解がなければ捨てられて行ってしまうんだなあ、と少し悲しい気持ちになりました。
ディミトリナ  植物で染めた羊毛糸  ガイタン細工  手作りバーニッツァ。市販品より絶対美味しい!
ディミトリナの母上のレース。七宝結び? 左に同じ。ネット刺繍。  左に同じ。細かいネット編み。  リンゴの花盛り。