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トウシューズの選び方4

トウシューズの選び方[1]から順番にお読み下さい。

 ポアントアイコンお店でのフィッティングの時の注意

サイズ表示・サイズ換算表について

 お店でのフィッティング時の注意を書いておきます。足のサイズを測って正確なサイズを知ることはとても大事な事だと思います。しかし、その数字にとらわれすぎないように注意してください。例えば測って23cmだったからといって必ず23cmのトウシューズが合うわけではなく、シューズに書いてある数字は目安にしかなりません。また、たとえ同じサイズ表示でもメーカーによって違いがあります。それどころか、同じメーカーで同じサイズ表示、同じワイズ表示でも、種類によって長さも太さも違っている場合があります。何のためにそうなっているのか分かりませんが、「手作りによるバラつき」ではなく、意図的に変えてあったりするようです。もちろん手作りによるバラつきというものもあります。外国のメーカーでは特にこの「手作りによるバラつき」が多いようです。

 それから、外国製品のサイズ換算ですが、これは全くあてになりません。お店によって1cmも違うこともありますし、○○cm前後くらいにとらえた方がいいと思います。

1回で見つけようとは思わない

 慎重に正しい考えのもとにフィッティングをしてくれるお店でも、1回でピッタリが見つかることは少ないと考えてください。お店でピッタリとしても、踊っているうちにむくみが取れてブカブカになってしまうこともあります。また、一般的に朝より夕方の方が足が大きくなっているので「靴は夕方買え」と言われていますが、人によっては夕方の方が小さくなるのです。そんなことは自分で言わない限りお店の人は知りませんので、今の状態に合うものを選んでくれます。
 また、トウシューズの布が柔らかくなることによって新品時よりゆるく感じることも多いです。
 また、ヴァンプを潰して履いている人は、お店で潰してみるわけにいきませんので、潰すことを想定して選ばなければなりません。当然潰す前は横幅がきつく感じます。潰す前に横幅がちょうど良いものを選んでしまうと、潰したとき当然ゆるくなります。

 新品の時にどの位のきつさなら、むくみが取れたときちょうど良くなるのか、あるいは布が柔らかくなったときちょうど良く感じるのか、あるいは潰したときちょうど良くなるのか、というのは何度も試行錯誤して分かることです。あと、今これがピッタリだと感じても、もっとピッタリするものがあるかもしれません。もっとピッタリのものに出会うと今までピッタリだと思っていたものが、そんなにいいと感じなくなることもあります。(だからポアントジプシーがやめられないのですが)それも何種類か履いてみないと分からないことです。たとえ一回でピッタリが見つかったとしても、他のものも履いてみないと本当にそれが一番かどうか分かりません。

 フィッティングをしてもらって1回で合わなかったといって、むやみにお店を恨まないようにお願いします。何も手がかりも基準も無いところから選ぶことと比べればずっと早く合うものが見つかるはずなのですから。いろいろ履いてみないと分からないといっても、むやみにいろいろ履いてみればいいというわけではありません。的を外れた選び方をしていると、何足履いても、ひどい場合、一生ピッタリしたものに出会えないことになります。例えば、すごく幅狭の人が幅広だと勘違いしている場合、それに気付かない限り一生合うものに出会えない可能性が高いです。日本では幅狭のものが少ないので偶然見つける可能性もほとんど無いといえます。また、幅広と思いこんでいる人は普通幅や細幅が全く眼中に無いので選べる状況にあっても選ばないものです。それと比べればずっと近道のはずです。

 「履き心地がいいものを」と私は繰り返していますが、「履き心地」というのも感覚で覚えるしかないものなので難しいです。ドリアンの味をドリアンを食べたことない人に説明できないのと同じで(ちなみに私は食べたことがない)言葉で説明しきれるものではありません。履き心地が悪いものしか履いたことがない人は、今まで履き心地が悪いもの同士でしか比べたことが無いということになるので、「履き心地がいい」という感覚自体が分からないのです。履き心地がいいものに出会った時に、今までのものは履き心地が良くなかったのだと気付くものです。履き心地がいいものに出会うと、自分の中での履き心地の基準が変わってしまうようです。三流レストランにしか行ったことがなかった人が、一流レストランに行くと、それまでおいしいと思っていた三流レストランの味が、前ほどおいしいと感じなくなってしまうのと同じようなものです。

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ポアントアイコン要注意なフィッティング

 最近“フィッティング”自体がブームになっているようでフィッティングをしてくれるお店が増えてきているようです。しかし、正しくフィッティングしてくれるお店ばかりではないようです。上の項でむやみにお店を恨むなと書きましたが、中にはお客の足の事を本当に考えているのかと疑いたくなるようなお店もあります(悪気は無いのかもしれませんが……)。自分で感覚で選ぶより悪い結果になることさえあるので、次のようなお店には充分に注意してください。(この解説は、ご自分で選んでいく時の参考にもなると思います。)

1,フィッティングを謳っているのに、サイズも足囲も測らない。

足囲ばかりでなく、サイズも大幅に勘違いしている人も多いので、普段の靴のサイズは全くあてになりません。測るということはすごく難しいことで、それが絶対ではありませんが、大幅に勘違いをしている人の目安としてサイズや足囲を測ることは重要だと思います。目安としてでも基準がはっきりすることで時間の短縮になります。(ものすごく観察力のある優秀なフィッターなら測らずに選ぶことが出来ると思いますが、残念ながらそういう人はほとんどいません。)

2,逆に、測ったサイズにとらわれすぎる。

サイズや足囲を測ることは重要なことですが、それにとらわれすぎるのも問題です。

ということを考慮に入れないと、サイズ通りに選んだのにブカブカだったり、サイズにとらわれて形を考えることを忘れ、どこか当たって痛いということもあります。

3,フィッティングを謳っているのに、タテのサイズは自己申告制で、足囲だけ測って幅を判断する。もっとひどい場合サイズも足囲も自己申告制。

全く測らずに「普段の靴は何cmですか?」「足幅は広い方ですか?」と聞くお店もあるようです。1で述べたとおり普段の靴のサイズが合ってない人が随分いるので、普段の靴のサイズは全くあてになりません。足幅については、幅広意識の強い日本では「自称幅広さん」がすごく多く、狭くても「広い方だと思います」と答える人が多いと思います。この場合、幅広からフィッティングをスタートし、自分で適当に感覚で選ぶよりも悪い結果になることがありますので気を付けましょう。

4,履き口がパカパカしているのに「ヒモを締めれば大丈夫ですよ」とか「詰めれば大丈夫ですよ」などと言って、細い幅を試させてくれない。フィッティングの際、引き紐をギューギュー引っ張る。フィッティングを売り文句にしているのに細幅を置いていない。細幅がオーダーできる場合でも、こちらが申し出ない限り、それを教えてもくれない。

フィッティングの際、引き紐は絶対に引っ張ってはいけないのです。引き紐はほんのわずかな微調整用です。ギューギュー引っ張ればゆるい靴がフィットするということは絶対にありません。もし店員さんが引き紐を引っ張り始めたら、その店員さんはフィッティング能力が無いと判断してまず間違いないです。サイズやワイズが合っていれば、引き紐を引っ張らなくても、履き口やフチが隙間なく、きれいに足にフィットします(『コラム』《引き紐》参照)。「日本人は足幅が広い」という思いこみというのは恐ろしいもので、ブカブカの状態を見てもなお、「足幅が狭いのかも」とは考えもしない人が多いようです。また、もっとひどい場合、ブカブカだと気付いていても、「普通この位あいていますよ。」と言ったり(普通が正しいとは限りません。)、「ブカブカですね。でも、サイズはこれでいいと思います。」と言って細幅をオーダーできることを教えてくれなかったり、「初心者はなかなか1枚では無理なんですよ」と言いながら、パッドを何枚も入れることを薦められることもあるようです。パッドは指を保護するもので、ゆるさを解消するためのものではありません。『トウパッドを選ぼう』参照)

フィッティングを正しくやっていれば、今は細めの人も少なからずいることに気付くはずです。それにもかかわらず広幅ばかりが大量にあり、細幅を全く置いていないというのは、首を傾げてしまいます。普通幅を普通幅というのであればそれに対して、広幅と細幅の両方あってしかるべきです。普通幅に対して広幅はあるのに、細幅が全く無いというのはいかがなものでしょう?足が広いの細いの判断しても、それに合うシューズが置いてない(又は対応してくれない)のでは意味がありません。ゆるいと気付いた時点で細幅のオーダーや取り寄せにすぐ対応してくれるのならこの限りではありませんが、ブカブカだと気付いていながら、強引にお店の在庫のもので合わせようとする店員さんは要注意です。細めの人や、かなり細い人がこのようなお店でフィッティングを頼むと必ず失敗します。店員を頼らず、自分で判断して細幅をオーダーする方が無難でしょう。

きついことだけが問題視されていることにも原因があるようです。しかしパッドをたくさん入れた状態は、窮屈だと思うのですが……。『トウパッドを選ぼう』参照)
引き紐を引っ張られそうになって、店員さんに反論する勇気のない人は、こう言いましょう。「先生に『引き紐を引っ張らずにぴったりするものを選んできなさい』と言われました。」と。


5,「痛い」とか「きつい」とか訴えるとむやみに幅広を薦める。

このケースで幅の広すぎるものや大きいものを薦められる人がけっこう多いようです。日本人の場合、「きつい→トウシューズの幅が狭すぎる」「ゆるい→タテが大きい」とすぐ考えてしまう癖がありますが、「きつい」にも「痛い」にもいくつか原因があります。どれが原因か注意深く見極める必要があります。また、立った時だけきつく感じることもあります。ちょっと発想の転換をしてみましょう。

きつい 原因1 トウシューズの幅が狭すぎる
原因2 タテのサイズが小さい
原因3 足の形に合っていないので部分的に窮屈に感じる
痛い 原因1 トウシューズの幅が狭すぎる
原因2 ゆるいので立った時に指が曲がったり、1本の指に体重がかかりすぎる
原因3 足の形に合っていないため部分的に当たる
立った時だけきついと感じる ゆるいので立った時指が曲がってしまい、つま先に指が集まってしまうため指がジンジンとするような痛みを感じ、きついと錯覚してしまう。

原因1の「トウシューズの幅が狭すぎる」は、意外にもほとんど無いと考えられます。小さい(短い)ものは指を曲げれば履くことが出来ますが、幅が狭いものには足が入るわけがないですし、無理矢理履けたとしても、極端に不快に窮屈なので選ぶ人はあまりいないと思います。

原因3の部分的に当たるというのは意外とゆるいときにも起こります。ある部分は強く当たるけど、ある部分はゆるいという状態は、当たる部分の負担ばかりが大きいため、痛かったり、窮屈だと錯覚することがあります。足に合っていれば部分的に強く当たるということが無く、力が分散してかかるので、多少きつめであっても窮屈だとは感じません。

アテールではきつくないが「立った時だけきついと感じる」時は、本当はゆるいのにきついと錯覚してしまうことがあります。これは見極めが非常に難しいです。立った時に足が沈むことが無いか慎重に感じてみて下さい。

(参考に『ボックスの形徹底図解』の《足への圧力》をご覧下さい。)

6,ゆるいとき、タテのサイズが合っているかどうか確かめずに、むやみに小さいサイズを薦める。それがきついと今度は幅広を薦める。

ゆるい
原因1 タテのサイズが大きい
原因2 タテは合っているが幅が広すぎる

ゆるいと「タテのサイズが大きい」と考えてしまう人が非常に多いようです。小さいサイズを試す前に、片方ずつ脱いで比べるなどして、本当にサイズが大きいのか確かめてみて下さい。また、他のものを試す場合も、小さいものだけでなく必ず「タテのサイズが同じで幅の狭いもの」も試してみて下さい。原因2なのに原因1だと考えて小さいものを買ってしまったり、パッドを詰め込んで履く人がけっこう多いと思われます。

5,6のケースは非常に多いと思います。「日本人は幅が広い」という思いこみから、きついのは「足幅が広いせい」と考え、ゆるいのは「サイズが大きい」と考えてしまい「足幅が細いのかもしれない」という考えがなかなか浮かんでこないのだと思います。完全にそういう思考回路になってしまっているのだと思います。5の場合はサイズの大きいものを試す必要がありますし、6の場合は同じサイズで幅の狭いものを試す必要があります。

よくありがちな間違い(例)

23.5cmD幅を試着したらブカブカだった


そこで23cmD幅を試着したがきつかった


23cmE幅を試着。何となくいいような気がしたので購入


踊っているうちにやっぱり(タテが)小さいと気付く

この場合は23.5cmのC幅を試してみる必要があります。
(前のページの《いつも2つのサイズで迷ってしまう方は・・・》参照)



7,つま先が窮屈だと告げると履き口がブカブカでもどんどん幅広を薦める。

このケースはスクエア型やそれに近い足の人に多いと思います。トウシューズの選び方1で紹介した“円すいと平たい板”のような場合です。きついのはつま先の方だけのはずです。履き口がブカブカしている場合は、ワイズを広くせずに、プラットフォームの広い寸胴タイプのボックスのものを試して下さい。(早わかり表でいうとグリーンゾーンかブルーゾーンの真ん中から右側に属するもの)スクエア型は幅広と誤解されやすいので、足囲自体が細い人は特に気を付けましょう。


ポアントアイコン“意味のある失敗”と“ただの失敗”

 一口に失敗と言っても、正しい考えのもとにフィッティングしているお店の失敗と、そうでないお店の失敗には、程度にも意味にも大きな違いがあります。フィッティングというのは本当に難しいもので、根本的なことが分かっているお店が時間をかけて慎重にやっても、1回でうまく行くとは限りません。でも、分かっている店なら、とんでもなく合わないものが選ばれることはありませんし(例えばB幅なのにEE幅を薦めるとか)、2回目のフィッティング時は、自分が履いてみてどうだったか等をうまく伝えることが出来れば、1回目の経験を生かし、より完璧なフィット感に近づけることが出来るはずです。むやみにお店を恨まないで欲しいというのはそういう意味です。

 でも、根本的な考えが間違っているお店がやると、たまたまうまく行くことはあるかもしれませんが、それは偶然でしかないのです。たまたま、うまく行く人もいるかもしれませんが、とんでもなく合わないものを選ばれてしまう人もいます。特に細幅の人が行くと、合わない原因をお店の人が見抜けないので必ずと言っていいほど失敗します。B幅相当なのにEE幅が選ばれるというのは実際にあった話で、このような失敗は分かっているお店にはあり得ないことです。

 また、見た目上ぴったりで、お店の人にどんなにそれがピッタリだと言われたとしても、自分でしっくり来なかったり、履き心地が悪い場合は絶対に選ばないようにしましょう。外見上ピッタリに見えても、履いた感じというのはあなた自身にしか分からないことです。

 なお、フィッティング能力のある無しは、お店の規模などに比例するわけではありません。また、あまり言いたくはありませんが、接客態度の丁寧さに比例するわけでもありません。好みもあると思いますので、どのお店が良いかの判断は、あなた自身に委ねます。

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ポアントアイコンオーダーメイドのトウシューズについて

オーダーメイドなら全て解決?

 オーダーメイドにすれば、全て解決すると考えている方が多くいらっしゃるようです。しかし、多くの人にとって選び方さえ間違えなければ、既製品でも自分に合うものが見つかる可能性が充分にあるということを、知って頂きたいと思います。日本人の中には、普通幅や細めの幅でいいのに、幅広を履いている人がたくさんいらっしゃると思います。サイズ選びを勘違いしているために、自分に合う優れた既製品を見過ごしている方も大勢いらっしゃると思います。

 しかし中には、極端に足が細すぎたり、逆に広すぎたりして既製品では合うものが存在しないとか、極端に手に入りにくいという方もいらっしゃるでしょう。各メーカー幅広化が進む昨今、足が細くてどれを履いても緩いという方は、今は結構いらっしゃるようです。そのような方にとっては、オーダーは頼みの綱でしょう。

 もちろん、「既製品で合うものが無いから」という消極的な理由ではなく、「あちこち自分の好きなように作りたい」とか、「そのオーダーショップのトウシューズの履き心地が良い」という積極的理由でオーダーを利用しているという方もいらっしゃるでしょう。それはとても良いことだと思います。工夫してどんどん履きやすいトウシューズを作りましょう!

オーダーは既製品選びより難しい?

 ぴったりのトウシューズ探しに疲れ果てて、わらにもすがる思いでオーダーメイドを頼む人もいらっしゃるかもしれません。しかしよく考えてみると、既製品をセレクトするだけでも難しいのに、オーダーメイドというのはもっと難しいと思いませんか?実際すごく難しいものです。というのは、アーチ(土踏まず)の変形の度合い、開帳足の程度、さらにフィット感の好みなどにかなり個人差があるため、たとえ同じサイズ、同じワイズ、同じ甲の高さであっても、フィットするサイズやワイズに違いが生じることもあるからです。

 オーダーというのは、測ったそのままの寸法に作ればぴったりするわけではありません。実際、木型と全く同じ寸法に作ると、必ず緩い靴が出来上がってしまうそうです。寸法を測って作る場合も、測った数値と全く同じ木型を選んで作った靴は緩いのだそうです。人間の足は多かれ少なかれ靴の中で縮む分というのがあるそうで、それを考慮に入れて作らないと、緩いものになってしまうそうです。しかし、その縮む度合いが個人差が大きいので、難しいのです。ですから、その度合や、個々人のフィット感の好みの違いを考慮に入れた上で木型を選択して作るので、非常に難しく、なかなか1回で成功というわけには行かないようです。もし1回で成功したら、神業に近いといってもいいかもしれません。また、頼む側も、ヴァンプの長さなど自分にはどの位が合うのか把握できていない場合、適切な注文を出来ないかもしれません。

オーダーメイドの種類

 そもそも一口にオーダーメイドといってもいろいろあります。ここではオーダーの種類について私の知っている限りのことを書いていきます。

木型から作るフルオーダー

 石膏で足形をとり、それを元に自分専用の木型を作ってもらって作るオーダーです。トウシューズではなく、一般の靴ではやっているところがあります。

行程は

  1. 石膏の足形を作る。
  2. 木型を作る。
  3. 仮縫いの靴を作る。
  4. 試着して問題点をチェックする。なにか問題があれば再び仮縫いの靴を作る。
  5. 試着して問題が無ければ本番の靴を作る。

合う靴が出来るまで、3と4の作業は繰り返されます。こういう完全なオーダーメイドは30万円とか50万円とかかかります。仮縫いという行程を経るので、成功率は高いですが、非常にお金と手間がかかります。

準フルオーダー

 石膏の足形を作ったり木型を作ったりはしませんが、サイズ・足囲を測った上で、踵と土踏まずのフィット感、付け根から先の爪先部分のフィット感など、テストシューズを試着しながら部位毎に細かくチェックしていくオーダー。木型はあらかじめあるものを使うはずなので、どういう仕組みになっているのか分かりませんが、幅がある割りに踵が細いなどの足にも対応でき、付け根はぴったりだが、踵が緩いなどということがない。仮縫いが無いので、かなり熟練していないと1回での成功は難しいと思われます。

イージーオーダー

 あらかじめ用意されている木型を使って作る注文靴。行程は、サイズとワイズ、甲周りなどを測り、一番合いそうな木型を選んで作ります。仮縫いという行程は踏まず、いきなり本番の靴を作ります。いわば、“ぶっつけ本番”のようなものです。

 全サイズ・全ワイズ・全タイプの見本靴が揃っていれば別ですが、そうでない場合、費用は安くて済みますが、なかなか1回で成功させるのは難しいでしょう。しかし、トウシューズのように幅展開が多く、色々なタイプのある靴は、全ての見本靴を揃えるとなると膨大な量になってしまうので、難しいものがあるのでしょう。

オーダーショップとは気長に付き合おう

 「わらにもすがる思いでオーダーしたのに、合わなかった」ということで、落胆してやめてしまう方もいらっしゃるようです。しかし、「木型から作るフルオーダー」が“専用の木型”を作り、しかも“仮縫い”という行程を踏んでいることを考えると、いかにオーダーメイドが難しいものであるかお分かりいただけるでしょう。ですから、ぶっつけ本番のようなイージーオーダーで1回で完璧なものを求めるのは、オーダーショップにしてみると、かなり酷なことかもしれません。

 そこで、発想の転換をしてみましょう。仮縫いという作業が無いのだから、1足目2足目は仮縫いと考え、問題点を見ながら次のトウシューズをオーダーし、3〜4足くらい作って合わせていくという風に考えた方がいいと思います。特に極端な細幅で、既製品ではどれを履いても緩いという方にとっては、また既製品探しに戻ってもメーカーが新たに細幅を開発してくれない限り、結局解決出来ないことも多いかと思います。

 イージーオーダーであれば、オーダーとはいっても、既製品1足分くらいの費用で作ってもらえ、しかも、底の固さ、ヴァンプの長さなどの細かな注文も聞いてもらえるので、考えようによってはお得だと思います。

なぜ履きやすいのか考えてみる

 しかし、出来上がったトウシューズを履いて、問題点を見つけてよりフィットするようにオーダーするというのも、自分の足の特性や、自分にはどのようなものがフィットするのかということを分かっていないと、また宇宙的に難しいものになってしまいます。早くぴったりするものに辿り着くには、自分にとって何が良いのか研究していく必要があります。

 もちろん、たった1回のオーダーでぴったりフィットという人もいらっしゃるでしょう。でも、履きやすいだけで満足せずに「なぜ履きやすいのか」を考えることが大事だと思います。それをしなかったとしたら、自分の足の特徴を知ることも無いかもしれません。履きやすい理由が、「馴染みがいいから」とか「素材がいいから」ではなく、「サイズや幅や木型が足に合っているから」だとしたら、既製品でも合うものがあるかもしれません。(実際木型やサイズやワイズが履き心地のかなりを占めると私は思っています)でもそれに気付かず、合うものを見過ごしているとしたら、自分の中での選択肢が狭いままで、もったいないというものです。自分の足の特徴を知ることが無いととしたら、それに頼らざるを得ないですし、オーダーが間に合わずに既製品を慌てて買うときなど相変わらず間違ったものを選んで苦労をするかもしれません。

 今まで履いたものを履きやすかったもの、履きにくかったものに分けて、サイズ、ワイズ、ボックスの形、厚み、UカットかVカットか、新品の時と履き古したときの形の変化、シャンクの曲がる位置などを分析してみると、どんなものが合うのかの手がかりになると思います。履きにくいもの、履きやすいものそれぞれに共通した特徴が見つかると思います。例えば私の場合、クラウンの高かったものでも、履き古すとプラットフォームから履き口までの角度が横から見たときに真っ平らに変化します。その分脇が広がり形が崩れます。この場合、はじめから低いものを選んでいれば足との形のギャップが少ないので脇が開くこともなく型くずれがほとんど無く履けるということになります。足とのギャップが少ない方が最初から履き心地がいいということになります。

既製品・オーダー品を使いこなそう

 自分にとってどのようなトウシューズが履きやすいと感じるのかが分かってくると、オーダーをする上でも既製品を選ぶ上でも、失敗が少なくなってきます。1回目のオーダーが上手くいかなくても、次にどこをどう直せばよいかが見えてきます。また、既製品が履けるサイズや足囲の人であれば、用途に応じてオーダーも既製品も臨機応変に使いこなすことができるようになり、選択肢がグンと広がります。オーダーも選択肢の一つとして、より履きやすいものを選ぶことが出来るでしょう。


『コラム』『絵コラム』のページにはトウシューズや靴に関するはみ出し情報があります。興味のある方は是非お読み下さい。ボックスの形が言葉だけではイメージしにくい方は『ボックスの形徹底図解』をご覧下さい。フィット感については『フィッティング実況中継』が多少の参考になると思います。またこのサイトのコンセプトについて再確認していただけると幸いです。

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