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みちくさ日誌 2024
みちくさあんの収穫、採集、農工作業の記録です(各植物はくさリストを参照してください)

2023年以前の日誌は下のリンクへ
 二〇二四年三月 「草展」

いよいよ開幕、そして盛況のうちに幕を閉じました。
予想外にたくさんのお客様に恵まれ、楽しい時を過ごしました。
写真をこちらにまとめています。

本展では新たな発見がありました。

ひとつは、「草」の定義は結構曖昧であるということ。
一つの植物が、学者によって草だったり木だったり、ひどいのは「木本、又は大型草本」なんてのも。
他の作家さんにも無理を言って草本を使ってもらったけど、結局は草か木かと言うのは、個人の主観ではないか。
自分にとって「草」ってなんだ、と考え直すきっかけにもなりました。

二つ目は、作者の無名性に関して。
当初、作家名を隠して草の名前だけを表示しませんかという提案をしました。
あくまで草が主役の展覧会にしたかったから。
結局、DMには作家名を載せる、キャプションは草の名前と作者のイニシャルの表記、という形に収まりましたが
にもかかわらず、自分自身が、お客さんやSNSで説明する時に「この作家さんは・・・」と言う風に、作家単位で物事を見ていることに気づきました。
当たり前と言えば当たり前なんだけど、改めて、作品は作者を抜きには語れないことを実感したのです。


それにしても人と会ったり話したりすることに慣れていないのと、東京の雑踏で、すっかり疲れてしまいました・・・
しばらくは草と対話する日々が続きそうです。

***

くさ歌留多

「草展」でもこっそりとくさ歌留多をやってみましたが、概ね好評でしたよ。
で、味を占めてどんどん作っています。
とうとう50枚に到達。
でも、あまり札数が多いと、難しすぎてしまうかも。
「くさ歌留多-イネ科編」とか、「くさ歌留多-葉っぱ編」とか、テーマを決めてやるのもいいかも知れませんね。
次、10月にまたやろうと思っています。
お楽しみに!

***

寺子屋

3月後半から受講生を受け入れています。
ニュージランドから帰国中の方がアシナカを作りに来たり、オーガニック農園のフタッフたちが縄綯いしに来たり、花の栽培農家さんが、栽培している植物から繊維を取ったので糸にしたいと、カラムシの糸作りを勉強に来たり・・・

ここにはいろいろな人が来ます。
今年はどんな出会いがあるのか、楽しみです!
 
三月のみちくさあん

採集(飲食用):アブラナ葉・花・蕾、土筆、野蒜、マテバシイ
採集(材用):オギ
保存食:アブラナ、土筆乾燥
家内作業:縄綯い、縄縫い、編み物、繕い物、糸作り

菜の花は花盛り。花を摘んで乾燥させます。
土筆も乾燥。
乾燥が一番場所を取らない保存方法です。
あったかく、湿ってくると乾きにくくなるので、今のうちに、急げ、急げ。

近くの神社にマテバシイの木があるのに初めて気づきました。ご丁寧に「マテバシイ」と札がしてある。
大抵のどんぐりは灰汁抜きしないと苦いのですが、このどんぐりはそのままでも食べられるのです。
おそらく、災害や飢饉に備えて神社や公園などに植えられていたのではないかしら?
迷わず木の実を拾いましたが、時季外れだったので、腐ってたり、堅くなっていたり。
今年の秋はがんばって拾おう。
二〇二四年二月  「草展」
3月2日からの展覧会に向けて、最後のふんばり。
普通、展覧会の1か月前は作品を作らず、DM書いたり、広報活動したり、デスクワークに徹するのですが、今回はDMがなかなかできず、スパートをかけざるを得ない状況です。
初日3日前に慌てて宛名書き。
尤も、昨今ではDMはがきを送らない風潮です。
その方がゴミも経費も減るし、良いのかも知れません。
が、ずっとあっていない友人とか、恩師とかに久しぶりに近況報告できる機会でもあるので、宣伝だけが目的ではないのです。
なので、必ず手書きで、一言添えるようにしている。
シールはやめたい。

いきさつ

本展は、吉祥寺のユニークなお店outbound店長の小林氏と、常連でからむし作家のますみえりこさんが「草の展覧会やりたいね」と話していたことがきっかけです。
そこに、みちくさあんが加わって、半ば強制的に実現に持って行った感じがあります。
参加作家には「100%草本植物を使って製作してください」と、無理な課題を押し付けた。
何だそんなこと、と思うかもしれませんが、意外と線引きが難しい「草と木」。
シュロとかキミガヨランとか、本や学者によって判断が分かれるものもあったりして。
何回かダメ出ししたこともありました。
そうしてみると、「どっちだっていいじゃないか」と投げたくなる衝動に駆られるけれども、まじめに「草」だけを集めてみると、人間がどのように「草」を定義しているかというのが見えてきたりして面白い。

「草はこうこうこういうものだから、大事なんだ」とか、「草の利用価値を再発見」とかそういうんではなく、ただ「草」を並べる。
その先に見えてくるものは何なのか?
それは展覧会が開幕しなければわからないことなのです。
もしかして結局わかんないのかもしれないけど、それはそれでいいのだ。
パパなのだ!(?)

心地よい「なんだかよくわかんない感」。
outboundにはそんな不思議な魅力があります。
小林氏は3日間店を閉めて飾りつけ作業をするらしい。
こちらもあまり作品に思い込みを入れず、「あとはおまかせ」でぱっと放り投げる。
個々の作品と言う素材が、シェフ小林の手でどんな風に料理されるのか、そんな感じ。
そう、これは「小林和人展」なのかもしれない。


二月のみちくさあん
栽培収穫:金柑、花柚子、椿花
採集(飲食用):アブラナ葉・花・蕾
採集(材用):オギ
保存食:アブラナ乾燥
家内作業:縄綯い、編み物、繕い物、繊維、ねじり巻き上げ編み、ハコ

相変わらず、アブラナ主食の毎日です。
くさ採集もほとんどなく、たまにオギの綿の飛んだのをちぎってくるだけ。
綿が残っているのは扱き取って、焚火の焚き付けにしたり、いろいろ使います。

嵐の前の静けさ。
3月後半には怒涛の山菜取りが始まる。
年年、早まってきています、春。
二〇二四年一月 1月です。
毎年寒い時期は縄綯いをせず、炬燵に当たりながらできる作業をするのですが、今年は縄が綯えてしまうほど暖かい日も多くちょっと心配ですねえ。

今月は少し実験的なことをしています。
以下、三つに分けました。

1.くさ歌留多
2016年に福島県喜多方市での企画で30種類くらいの歌留多を制作したのですが、昨年、小石川植物祭で好評だったのでもっと増やそうと思います。
写真では40枚ありますが、名前がわからないものが3枚あり、最近新たに加わった2枚を合わせると39枚。
編み方はそれぞれの草の特性に合った方法を取っています。

最後の二枚は鈎針で編んでいます。
100%そのくさだけで作れるのが気に入っていますが、丸まってしまうのと、材料がたくさん必要なのが玉に瑕。
あんまり硬いもの、太いものも鉤針では厳しいかな。

 

 

 2.ねじねじ巻き上げ編み

これはよく稲藁で円座なんかを編む方法です。
短い材でできるのが特徴。
でも、短いと言っても20cm以上は欲しいし、ねじれに強い素材でなければなりません。

藁は丈夫ですが、どうしても分厚くなってしまって、鍋敷きとかお櫃入れとか、大物になってしまうけど、葉鞘を使うことでもう少し薄いものが作れるのでは、という実験です。

今回やってみたのは
・オニウシノケグサ葉鞘-柔らかいが弱い
・カモジグサ葉鞘-長くてしなやかだが細い
・ネズミムギ葉鞘-柔らかいが短い
・ネズミムギ茎ー光沢がきれいだが硬い
・セイバンモロコシ葉鞘-太くて硬い
・チガヤ葉鞘-細くて短いが量は確保できる

と、みなそれぞれ一長一短。
今のところ、くさの寺子屋でも使っている孟宗竹の皮が、長さ、強さ、量において一番使い易い材のようです。
ただ、柔らかくするのに手間がかかるのが玉に瑕~
なかなか思うようにはいかないのがくさの世界です。


3.くさ縄標本

拙著「くさ縄標本」第3版に向けて、標本も増やしています。
今年は春から、いつもはあまり採集しないくさを保存していたので、一気に縄に。
いくつかの草は「総合対策外来種」に指定されているので、ちょっと保留です。
そういう困ったちゃんに限ってカワイイのですが~。
詳しくは2023年12月の日誌をご覧ください。
一月のみちくさあん

栽培収穫:金柑、柚子
採集(飲食用):アブラナ葉・花・蕾
採集(材用):アズマネザサ
保存食:アブラナ乾燥
家内作業:縄綯い、編み物、繕い物、繊維、ねじり巻き上げ編み、ハコ、縄縫い

冬はもっぱらアブラナが主食です。
さすが、千葉県の花。
すでに年内から咲き始め、今がピーク。
あとは春から秋にかけて保存しておいた土筆、蕨、筍、スベリヒユその他で冬を乗り切ります。


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