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みちくさ日誌 2024
みちくさあんの収穫、採集、農工作業の記録です(各植物はくさリストを参照してください)

2023年以前の日誌は下のリンクへ
 二〇二四年一〇月 Tracing The Roots

初めての参加、とても楽しかった。

体調が悪く、天気も雨がちだったけど、平日だったこともありお客さんも多すぎなくて助かりました。

でも、マーケット形式はしばらくお休みしたいです。

体力だけでなく、気力も疲弊するので…

寄る年波・・・かしら、認めたくないけど。

会場の様子はこちらにまとめました。

***

鶴亀
恒例のお正月飾り、今年は紅吉兆(古代米)の収穫もまあまあ。

秋は左縄の季節。

永遠のワンパターン、鶴亀ですが、今年は鶴も亀と同じ結びにしました。

手間と材料がかかるのであまり数は多くありません。許して。

こしひかりと紅吉兆の鶴亀は11月半ばより日本橋「刃物の木屋」にて販売開始です。

ちがやは直接注文のみになります。


一〇月のみちくさあん
収穫:大豆、野生化したサトイモ、渋柿、ニラ葉・種、フヨウ花、マテバシイ実
採集(飲食用):野生化したサトイモ、渋柿、ニラ葉・種、フヨウ花、マテバシイ実
採集(材用):カサスゲシマスズメノヒエセイバンモロコシチカラシバヌカキビハマスゲ
保存食:柿酢仕込み、マテバシイ乾燥
家内作業:縄綯い、糸作り、縄縫い、繕い物、スマホ容れ

マテバシイ。神社には木の名前が書いてあって、「どんぐりは食べられます」という丁寧な表示も。その割には誰も拾ってなさそうなので、一人勝ち。

ふと気づくと、うちのすぐ裏のガス会社の塀沿いにずらりと植えてあり、どんぐりが毎年落ちている木々がマテバシイだった。
でも、今年大きな建物を立てたために、マテバシイ達が剥げ坊主に。
ぎりぎりセーフで溝に落ちていた(邪魔だから掃き捨てられたらしい)のを拾う。

きっと元々は災害・飢饉対策に植えられていたのではないでしょうか。
神社やお寺は特に、榧などの実が食べられる木を植えていることが多いみたいです。
今や誰も飢えることがないので、忘れ去られてしまったのだろうか・・・
栗はみんな拾うのに。

スマホ容れ。
好評なのですが、人によって大きさが違うので、オーダーのみの販売です。
いろんなくさで作ってきましたが、擦り切れにくさを比べてみるとカラムシが一番丈夫だったので、最近はもっぱらカラムシで作っています。

大・中・小の注文がいっぺんに来て、ちょっとこんがらがってしまった。

ご飯と一緒に炊くと美味しい。



 二〇二四年九月 Tracing the Roots

 

初めて参加するTracing the Rootsが目の前に迫ってきました。

最後の作品追い込みとDM出し、そして本の校正。

本はやっと3が完成しました。

今回の出展で販売します。

 

このイベント、ずいぶん前に一度知人が出展していたので見に行ったことがありました。

手作りの出展者章やDMが印象深く、自分がやりたかったことを実現しているなあ、と感銘を覚えました。

いろいろなご縁で今回出展することになったのですが、今回で最終回なんだそうです。

 

今回は「くさ歌留多」(6月の日誌参照)と「ひとくさ」と言うテーマに絞りました。

60枚のくさ歌留多を展示し、皆さんに歌留多取りを楽しんでいただく予定です。

「ひとくさ」は、くさで作ったヒトガタです。今までは「草偶」とか「結っ人」とか呼んでいましたが、古事記に「あおひとくさ」という言葉があるのを知り、いい表現だなあ、と。

この言葉は人間そのものを表しており、「人間は草ある」という考えが根底に流れています。

日本語の形容詞は名詞の前に来るので、「草偶」や「結っ人」だとあくまで「人間」になってしまいますが、「ひとくさ」はあくまで「くさ」なんですね。

 

その他、ひとくさが入る「巣」も持っていきます。

ひとくさたちを歌留多の上に乗せようと思っていましたが、たぶんぐちゃぐちゃになってしまうので、やはり器的な容れ物が必要であろうと。

 

たくさんのくさと出会える原っぱ、のような場所を作りたいと思っています。

 

***

 

いくつかのさようなら

 

9月の半ば頃、実家から12歳のクリ(チワワ)の訃報が入りました。

9月なのに猛暑日が続き、毛が黒いのでさぞつらかったのだろうと思います。

この子は私のいたずらにも良く付き合ってくれて、箕の中に入ったり、籠をかぶったりしてくれたものです。

 

そしてまた、知人の訃報も。 

ここ数年の間に、知り合いの作家さんが何人かなくなりました。

自分はいつまで続けられるのだろうか・・・と思うと、焦ります。

***

苧引きおさめ

 

久しぶりにカラムシ畑に行ったら、クズに覆われてジャングルと化していた。

でも3番カラムシが結構伸びていて、まだみずみずしい感じ。

引いてみたら、やっぱり少し傷んではいるものの、わりとスムーズに引けた。

カラムシは、生えている場所の手入れをしてあげればよいものが引けます。

なんでもそうか。

九月のみちくさあん
収穫:稲(紅吉兆、神丹穂)、桃膠、ヤブラン
採集(飲食用):クズ花、コマツヨイグサ花、スベリヒユニラ葉・花、フヨウ花、メマツヨイグサ
採集(材用):アシイガガヤツリエノコログサカゼクサカラムシキンエノコロシマスズメノヒエツルボテンツキハマスゲヒデリコ、ヒメムカシヨモギメヒシバヤブマオ
家内作業:縄綯い、糸作り、縄縫い、もじり編み、繕い物、編み物、苧引き

秋はスゲ類の葉とカヤツリグサ科の採集、秋のイネ科など、こまごまと結構忙しい。
春に採集した草も、夏の湿り気でカビないように、時々虫干ししなければなりません。
もっとたくさん箕が欲しいなあ。
そろそろ新しいのを作らなければ。

毎年作っているなんちゃって田んぼ。
お正月用の亀を作るためです。
今年は初めて「神丹穂(かんにほ)」という品種を作ってみました。
恐いくらい鮮やかな濃いピンクの穂です。
亀にはちょいと派手すぎるかなあ?


  二〇二四年八月 訃報
ディミトリーナが亡くなった。

2000年、私はブルガリアのガブロヴォと言う小都市に住んでいた。
滞在中に何か地元文化を習得したいと思い、地元のおじちゃん、おばちゃんたちに交じってフォークロアダンスを踊りに毎週木曜日に劇場へ通っていた。
そこで声をかけてくれたのがディミトリーナだった。
「私のおばあちゃんがトマトで布を染めたって言ってたけど、そんなことできるの?」
私は町の織物専門学校で染めを教えていたのを知っていて、そう訊いたらしい。
とはいうものの、染料は学校にある古いドイツ製の化学染料を使っていた。
「植物はなんでも、何らかの色素をもっているから、不可能ではない」ということは伝えたけど、理屈ではそうなんだけど、なんだかモヤモヤ。
というわけで、ディミトリーナにも染色教室に参加してもらって、一緒に実験してもらうことにした。

以来、教室は植物染色に切り替え、いろいろな植物を染めまくることになった。
学校の生徒だけでなく、一般の人も参加できるようにした。
彼女が「エタル野外博物館」という、19世紀の建物や生活を保存・展示する施設で以前働いていた縁で、そこで一緒に体験教室を開いたりするまでになった。

以来、約20年、彼女はエタルでずっと植物染めのデモンストレーションを続けてきた。
その様子は度々、エタルのFacebookページで紹介され、自分も嬉しく眺めていた。
2019年、13年ぶりにブルガリアを訪れ、ディミトリーナの家にお世話になり、一緒にいろんなところに行ったり、大麻の衣装を探したり、いろんな話をした。

以来、毎年年明けになると年賀状(というかクリスマスと新年のあいさつ)を交換していた。
でも、今年はなぜか手紙が来なくて、どうしたんだろう?と気になってはいた。
いつもは向こうから来たら返事を書く感じだったので、たまにはこちらから書こうかなあ、と思いつつ、いつまでも延ばし延ばしにしていた。
後悔。
やはり体調がすぐれないか何かだったのかな。
年齢は80歳近かったはずだから、かの国の平均寿命を考えると不思議ではないのだが。

思えば、彼女が声をかけてくれなければ植物染めをすることもなかったし、植物の世界にどっぷりとはまることもなかったかもしれない。
今の仕事ももとはと言えば、ブルガリアで植物染めを始めたことが始まりだった。

ご冥福をお祈りします。

(写真は2000年代初め頃、ブルガリアで撮影。左がディミトリーナ、右が私。)

***

台風

これを書いている8月30日現在も、台風10号が日本列島を縦断中。
今年は台風が発生したら早めに箕を振ることにしている。
もちろん、台風を追い払うため。
7号の時も、最初の予報よりかなり東にずれてくれた。
今回も、千葉に来るときには熱帯低気圧に変わって、雨も風もそんなにひどくはなくなるらしい。
ますます、箕の力を信じるようになってきました。

いろいろな箕を試して見たけど、やはり地元千葉の木積の箕が一番良いようです。
軽いので大きなのも振り易い。
穀物を簸る時は腕だけで上下に振るのですが、台風を扇ぐときは膝の屈伸を使うと足腰の鍛錬にもなります!

***

SZ問題

スウェーデン人の友人から面白い資料が届きました。
靭皮繊維そのものの持っている撚りの方向性は、種によって違うのだそうです。
例えば、大麻、カラハナソウ、ジュートはZ撚り、カラムシ(ラミー)、亜麻、イラクサはS撚りなのだとか。
なので、水にぬらすと反対方向に動く傾向があるのです。
考古遺物などで靭皮繊維を見分けるのはかなり難しいとされてきましたが、最近では随分細かいところまでわかるそうです。
”Cannabis Textiles in Hemp garden Cultures"(2022 Git Skoglund)より

日本の遺物も、しばしば大麻とカラムシの区別が難しいことがあります。
でもあんまり日本の考古学会でこの話を聞いたことがないのは、自分の勉強不足のせい?
もし、繊維の自然な撚り方向に合わせた糸づくりの方が良いのだとすると、日本でカラムシの単糸がS撚りに撚られるのは納得できるのかもしれません。
でも、大麻も同じように作られているから、昔の人が繊維の撚り方向を知っていてそうしたわけではないのかも知れません。
SとZの謎は深まるばかり…

***

もう一つ、残念なお知らせ。
このホームページが来年の4月でなくなるそうです。
ブログサービスは10年くらい前にすでに廃止になっていたのですが、とうとうHPまで...
みんな今はSNSばかりで、ホームページやブログを見なくなってしまった。
でも、SNSは次々に情報が流れて行ってしまい、「こんな記事が前にあったな」と思っても探すのが大変。
他の無料HPサービスもあるけど、いまいち使い勝手が悪いのです。
しかも20年近く続けてきたから中身が膨大に膨れ上がっている。

うーん、困った!

とにかく、主要なページだけでもどこかに引っ越す準備をしなければ。
やれやれ。


八月のみちくさあん

収穫:枇杷葉、桃膠
採集(飲食用):コマツヨイグサ花、スベリヒユニラフヨウ花、メマツヨイグサ蕾・花
採集(材用):アキノエノコログサイガガヤツリイヌビエ(紫)、榎皮、カラムシキンエノコロシマスズメノヒエセイタカアワダチソウ、千日紅、チガヤ葉、ハマスゲヒデリコ、ヒメムカシヨモギ、メヒシバ
家内作業:縄綯い、糸作り、縄縫い、もじり編み、繕い物、編み物、苧引き

新しい縄に挑戦。
千日紅は、どこかの庭で栽培していたのが逸出したようです。
ヒメムカシヨモギは茎の皮を剥く。
いずれにせよ成果は来年のお楽しみ。

桃膠とは、桃の木の樹脂のことらしい。
なんでも、コラーゲンたっぷりでお肌や髪にもよいらしい。
水にふやかすとプルプルしてゼラチンみたいな感じです。
桃の木、たくさんあったのに、いつの間にか腐ってしまったりして、最後の一本が腐って折れたのです。
もっと早く知ってれば~。
  二〇二四年七月 苧引き
年々暑くなるのが早くなっているので、今年の苧引きつきカラムシ糸作り講座は、7月上旬で終わることにしました。
しかし、空梅雨の上に7月はじめっから猛暑が始まってしまった。
カラムシたちは梅雨時期に十分な水分を得られず、すでに秋みたいな茎と皮になっている。

今年は5月の1番刈りで受講する人も多かったので、分散できてよかった。
来年はどうしようか考えなければ。

6月の日誌に書いた、整備しながらカラムシを採集している場所は、他のところと比べると苧引きがしやすいようです。水が周辺にあるからでしょうか。
気候がヘンになると、植物の反応がそれぞれの場所で違ってくるので、面白いと言えば面白い。

***



いよいよ第3版の校正に入ります。
カラムシにしても、クズにしても、この1-2年で得た新たな発見や情報を盛り込んだつもりです。
まだ書き足りないこともたくさんありますが、どこかで切らないときりがない。
ある日は「採取」をすべて「採集」に書き換えました。
検索機能があるから助かります~
夏中、パソコンの前に座って校正作業となりそうです。
この暑いのに…
9月頃にはできるといいなあ。
できないと困るのですが…

印刷代も上がったし、何かと世知辛い世の中です。



七月のみちくさあん
収穫:アップルミント、ハナハッカ
採集(飲食用):クワ葉、シロザスベリヒユタチアオイ花、ニラフヨウメマツヨイグサ蕾・花、ヤブカンゾウワラビ
採集(材用):アカメガシワ皮・葉、アラゲハンゴンソウ、ガマカラムシキクイモ皮、クズクワ皮・皮、セイタカアワダチソウチガヤ葉、ハマスゲ、ヒメヒオウギスイセン、ヘラオオバコ、ムラサキエノコロ、メドハギ 、メリケンガヤツリヤブマオヨモギ皮・葉
保存食:蕨灰汁抜き・干し
家内作業:縄綯い、糸作り、縄縫い、もじり編み、繕い物、編み物、苧引き

野草の王様、スベリヒユ、少し出てきました。
しかし、なかなか生き延びさせてはもらえないのです・・・

それにしても、7月後半は毎日のように猛暑日が続いています。
外の作業は朝6時までと夕方6時から。
天気予報も当日にがらりと変わる。
いまからこんなふうで、夏を乗り切れるのでしょうか?


植物は二酸化炭素を吸ってくれます。
草が生えていると朝には朝露が降り、涼しくしてくれます。
こんなに良いものを、草刈り機でガソリンや電気を使って刈り取ってしまう。
それで「地球温暖化を食い止めよう」なんて無理じゃないですか?


 二〇二四年六月

くさ歌留多

 

初めて参加する「Tracing the Roots」まで3か月余り。

出品予定の「くさ歌留多」も60種類まで増えました。

どういうふうに皆さんに遊んでもらえるか、工夫が必要です。

本当なら地べたに並べて歌留多大会形式でやりたいのだが、土足の会場では厳しい。

 

マーケット形式のイベントは苦手なのですが、このイベントは出展者が魅力的だし、何よりも、出展者章を脚などの自然素材で作っているのが魅力。

DMも一つ一つ手作業で丁寧。

何と今回が最終回だそうです。

そんな機会に参加できてうれしいけど緊張するなあ。

 

***

 

カラムシの苧引き二番手

 

今年は雨が少なく、植物にとっては厳しい梅雨です。

カラムシもちょっと粘りが多く、すでに秋の準備に入っているような感じ。

 

10年以上採らせてもらっている場所は、持ち主が草刈りを放棄し、竹林になりつつある。

水があってよい場所なので、頑張って整備しています。

狭い場所でも、竹を刈るのは大変です。

冬ならヒゴとりたいところですが、そんな暇はない。柔らかいうちに倒すのが楽なのです。

 

庭に植えて、受講者さんにも自分で刈り取ってもらえれば理想的ですが、土があんまり合わないようで、上手く育っていない。

人間の思い通りにはいかないものです。

 

六月のみちくさあん
収穫:金柑(取り残しがすごく甘くなってた)、ハナハッカ、枇杷実・葉、ライ麦
採集(飲食用):アカメガシワ葉、アブラナ葉、アマドコロ根、グミ、クワの実・葉、コマツヨイグサ花、タチアオイ花、ドクダミニラノビルむかご、マダケ竹筍、ヤブカンゾウ、ワラビ
採集(材用):アカメガシワ皮、イグサイチゴツナギイヌビエオニウシノケグサカサスゲカニツリグサカモジグサカラムシクリの花、スズメノヤリセイタカアワダチソウ、ヒメヒオウギスイセン、ヘラオオバコマダケ皮、ムラサキエノコログサ、ヤブマオヨモギ
保存食:蕨灰汁抜き・干し
田畑作業:田植え、ライムギ収穫、黒豆・大豆播き
家内作業:縄綯い、糸作り、縄縫い、もじり編み、繕い物、編み物、苧引き

6月は皮むきの季節。
植物たちは水分を十分に吸っているので、皮がペロリと剥けます。
今年は雨が少ないが、湿気はあるので干からびている感じはしない。
セイタカアワダチソウはなるべく皮を剥こうと思うけど、あまりに多くて手が追い付かない。
アカメガシワもたくさん生えて来てしまったが、いっぺんに採るとトイレットペーパー(葉)が増えすぎる。
生でも、乾きすぎても良くないのです。

そこいらじゅうに雑草化しているヒメヒオウギスイセン(モンテブレチア)を採集してみた。
今年は縄にしてみたいな。

 二〇二四年五月 くさの寺子屋

カラムシの苧引きオプションは、いつもなら7月なのですが、今年は5月からやることにしました。
梅雨前に1番手を全部刈り取って、7月に生えてくる二番手が一番やりやすいのですが、それだとすでに遅いので、一番手の時期に来てもらう方が良いのではと思ったからです。
7月よりまだ涼しいし、蚊も少ないし、良い感じです。

寺小屋には面白い人が来ます。
こんな辺鄙なところまでわざわざ来てくれるなんて、よっぽど変わり者だ。(失敬!)
復元スピンドルを試したいという考古ファンの方が来て、自作のスピンドルでカラムシに撚りをかけた。
すごくよく回るのでびっくり。
楽しい情報交換の場でもあります。

普段あまり人と接触しないので、寺子屋が社交の場となっているのが嬉しい。

五月のみちくさあん
収穫:枇杷葉・実、梅実
採集(飲食用):アップルミント、クワ実、山椒の葉、スギナセリノビル、ヒルザキツキミソウ、マダケ筍、マツヨイグサ蕾・花、モウソウチク筍、蕨
採集(材用):アカメガシワ葉・樹皮、イタドリ皮、オオキンケイギク、オオスズメノカタビラオニウシノケグサカサスゲカモジグサカラスノエンドウカラムシコバンソウシナダレスズメガヤスズメノヤリネズミムギチガヤヒメコバンソウ、ミノボロモドキ、ミゾイチゴツナギメリケンガヤツリモウソウチク
保存食:梅干し仕込み、蕨干し
田畑作業:稲籾播き
家内作業:縄綯い、糸作り、縄縫い、もじり編み、繕い物、編み物

採集作業のピークがやって来ました。
ツバナ、孟宗竹の皮、蕨、桑の実、マダケ筍・・・次から次へと。
そしてカラムシ。
もうすぐクズも。
ああ、アカメガシワも~
自分のうちと周辺だけでもう手一杯。
しかも梅雨が目の前なので乾かない。
目が回る。

染色家の知人から、「繁茂しているオオキンケイギクが良く染まるんだけど、駆除の対象になっていて、持ち帰ると罰金か禁固になるかもしれない」と言う話を聞きました。
私もこの草で縄標本を作ったものの、「罰金」「金庫」の言葉に恐れをなして、公表をためらっていました。
その知人が環境庁に問い合わせたところ、「生きてなければいい」みたいな感じだったらしく、ちょっと安心。
しかし、色素だけ使うのと、草全体を使うのとでは事情が違うので、まだちょっと保留。
しかし、環境庁の要対策外来生物リストを見ると、みちくさあんの好きな草ばっかり。
理由もなんだか納得できない。
何か、やりきれないものがあります。

 二〇二四年四月 *くさの寺子屋

少しずつ参加者が増えてきています。
最近のトレンドは「縄綯いイロイロコース」と「あしなか」のようです。
5月終わりころには「カラムシ苧引き+糸作り」コースを解禁する予定です。
一番良い繊維が取れるのは7月なのですが、そのためには5月からの下準備が必要なのです。
自分のところにカラムシがあるので活用の仕方を知りたいという方は、早い時期の受講がお勧めです。

*くさ縄標本とくさ歌留多

4月から9月まではイベントや展覧会を入れず、材料採集+加工に勤しみます。
その傍ら、くさ縄標本も少しずつ増やしています。
そして、今年は「くさ歌留多」も充実させたい。
本も改訂も急がなければ。
やることはいっぱい、季節は待ってくれない。

→新たに加わった「くさ歌留多」
左上から:あかそ、あらげはんごんそう、いががやつり、かもがや
あかめがしわ、いたどり、かさすげ、きくいも
じゃのひげ、せいたかあわだちそう、にら、へらおおばこ、やぶまお

↓歌留多を作った後、余った材料で結っ人を作ります。





四月のみちくさあん

採集(飲食用):アザミ葉、アブラナ葉・花・蕾、アマドコロ新芽、イタドリ、ギシギシ、スイバ、スギナセリ、ゼンマイ、蒲公英、土筆、椿花、ノビルマツヨイグサ
採集(材用):カサスゲ花、コバンソウスズメノヤリチガヤ、ヒメキンギョソウ、モウソウ皮
保存食:柿酢絞り、筍干し、蕨干し、スギナ干し
家内作業:縄綯い、糸作り、縄縫い、もじり編み、結人、繕い物、編み物

4月は1年の中で最も食料採集の多い時期です。ほぼ毎朝毎晩、筍と蕨を採り、乾燥します。
雨の日も多いので、困ります~

この時期の働きが1年の生活を決定すると言っても過言ではない。
もともと孟宗竹はうちの周りにはないのですが、少し離れた竹林から徐々に近づいているらしく、最近では庭にまで出るようになってしまいました。
「羨ましい」と言われることもありますが、住んでいる身には大変。
「もういらない」と思っても取らざるを得ない。
「収穫」がだんだん「退治」になっていく…

***

タラノメに似ている木の芽を発見。
香りも良いし、食べられるのでは?と、調べたら、どうやらヤマウルシのようです。
人によってはかぶれることもあるらしいが、実は熱をかければ大丈夫で、結構美味しいらしい。
ただ、かぶれるかどうかは体質にもよるらしいので、冒険です。
恐いので、ちょこっとだけ摘んで、湯がいて食べてみました。
今のところ大丈夫だけど、こわごわ食べても美味しくないので、やめました。

 二〇二四年三月 「草展」

いよいよ開幕、そして盛況のうちに幕を閉じました。
予想外にたくさんのお客様に恵まれ、楽しい時を過ごしました。
写真をこちらにまとめています。

本展では新たな発見がありました。

ひとつは、「草」の定義は結構曖昧であるということ。
一つの植物が、学者によって草だったり木だったり、ひどいのは「木本、又は大型草本」なんてのも。
他の作家さんにも無理を言って草本を使ってもらったけど、結局は草か木かと言うのは、個人の主観ではないか。
自分にとって「草」ってなんだ、と考え直すきっかけにもなりました。

二つ目は、作者の無名性に関して。
当初、作家名を隠して草の名前だけを表示しませんかという提案をしました。
あくまで草が主役の展覧会にしたかったから。
結局、DMには作家名を載せる、キャプションは草の名前と作者のイニシャルの表記、という形に収まりましたが
にもかかわらず、自分自身が、お客さんやSNSで説明する時に「この作家さんは・・・」と言う風に、作家単位で物事を見ていることに気づきました。
当たり前と言えば当たり前なんだけど、改めて、作品は作者を抜きには語れないことを実感したのです。


それにしても人と会ったり話したりすることに慣れていないのと、東京の雑踏で、すっかり疲れてしまいました・・・
しばらくは草と対話する日々が続きそうです。

***

くさ歌留多

「草展」でもこっそりとくさ歌留多をやってみましたが、概ね好評でしたよ。
で、味を占めてどんどん作っています。
とうとう50枚に到達。
でも、あまり札数が多いと、難しすぎてしまうかも。
「くさ歌留多-イネ科編」とか、「くさ歌留多-葉っぱ編」とか、テーマを決めてやるのもいいかも知れませんね。
次、10月にまたやろうと思っています。
お楽しみに!

***

寺子屋

3月後半から受講生を受け入れています。
ニュージランドから帰国中の方がアシナカを作りに来たり、オーガニック農園のフタッフたちが縄綯いしに来たり、花の栽培農家さんが、栽培している植物から繊維を取ったので糸にしたいと、カラムシの糸作りを勉強に来たり・・・

ここにはいろいろな人が来ます。
今年はどんな出会いがあるのか、楽しみです!
 
三月のみちくさあん

採集(飲食用):アブラナ葉・花・蕾、土筆、野蒜、マテバシイ
採集(材用):オギ
保存食:アブラナ、土筆乾燥
家内作業:縄綯い、縄縫い、編み物、繕い物、糸作り

菜の花は花盛り。花を摘んで乾燥させます。
土筆も乾燥。
乾燥が一番場所を取らない保存方法です。
あったかく、湿ってくると乾きにくくなるので、今のうちに、急げ、急げ。

近くの神社にマテバシイの木があるのに初めて気づきました。ご丁寧に「マテバシイ」と札がしてある。
大抵のどんぐりは灰汁抜きしないと苦いのですが、このどんぐりはそのままでも食べられるのです。
おそらく、災害や飢饉に備えて神社や公園などに植えられていたのではないかしら?
迷わず木の実を拾いましたが、時季外れだったので、腐ってたり、堅くなっていたり。
今年の秋はがんばって拾おう。
二〇二四年二月  「草展」
3月2日からの展覧会に向けて、最後のふんばり。
普通、展覧会の1か月前は作品を作らず、DM書いたり、広報活動したり、デスクワークに徹するのですが、今回はDMがなかなかできず、スパートをかけざるを得ない状況です。
初日3日前に慌てて宛名書き。
尤も、昨今ではDMはがきを送らない風潮です。
その方がゴミも経費も減るし、良いのかも知れません。
が、ずっとあっていない友人とか、恩師とかに久しぶりに近況報告できる機会でもあるので、宣伝だけが目的ではないのです。
なので、必ず手書きで、一言添えるようにしている。
シールはやめたい。

いきさつ

本展は、吉祥寺のユニークなお店outbound店長の小林氏と、常連でからむし作家のますみえりこさんが「草の展覧会やりたいね」と話していたことがきっかけです。
そこに、みちくさあんが加わって、半ば強制的に実現に持って行った感じがあります。
参加作家には「100%草本植物を使って製作してください」と、無理な課題を押し付けた。
何だそんなこと、と思うかもしれませんが、意外と線引きが難しい「草と木」。
シュロとかキミガヨランとか、本や学者によって判断が分かれるものもあったりして。
何回かダメ出ししたこともありました。
そうしてみると、「どっちだっていいじゃないか」と投げたくなる衝動に駆られるけれども、まじめに「草」だけを集めてみると、人間がどのように「草」を定義しているかというのが見えてきたりして面白い。

「草はこうこうこういうものだから、大事なんだ」とか、「草の利用価値を再発見」とかそういうんではなく、ただ「草」を並べる。
その先に見えてくるものは何なのか?
それは展覧会が開幕しなければわからないことなのです。
もしかして結局わかんないのかもしれないけど、それはそれでいいのだ。
パパなのだ!(?)

心地よい「なんだかよくわかんない感」。
outboundにはそんな不思議な魅力があります。
小林氏は3日間店を閉めて飾りつけ作業をするらしい。
こちらもあまり作品に思い込みを入れず、「あとはおまかせ」でぱっと放り投げる。
個々の作品と言う素材が、シェフ小林の手でどんな風に料理されるのか、そんな感じ。
そう、これは「小林和人展」なのかもしれない。


二月のみちくさあん
栽培収穫:金柑、花柚子、椿花
採集(飲食用):アブラナ葉・花・蕾
採集(材用):オギ
保存食:アブラナ乾燥
家内作業:縄綯い、編み物、繕い物、繊維、ねじり巻き上げ編み、ハコ

相変わらず、アブラナ主食の毎日です。
くさ採集もほとんどなく、たまにオギの綿の飛んだのをちぎってくるだけ。
綿が残っているのは扱き取って、焚火の焚き付けにしたり、いろいろ使います。

嵐の前の静けさ。
3月後半には怒涛の山菜取りが始まる。
年年、早まってきています、春。
二〇二四年一月 1月です。
毎年寒い時期は縄綯いをせず、炬燵に当たりながらできる作業をするのですが、今年は縄が綯えてしまうほど暖かい日も多くちょっと心配ですねえ。

今月は少し実験的なことをしています。
以下、三つに分けました。

1.くさ歌留多
2016年に福島県喜多方市での企画で30種類くらいの歌留多を制作したのですが、昨年、小石川植物祭で好評だったのでもっと増やそうと思います。
写真では40枚ありますが、名前がわからないものが3枚あり、最近新たに加わった2枚を合わせると39枚。
編み方はそれぞれの草の特性に合った方法を取っています。

最後の二枚は鈎針で編んでいます。
100%そのくさだけで作れるのが気に入っていますが、丸まってしまうのと、材料がたくさん必要なのが玉に瑕。
あんまり硬いもの、太いものも鉤針では厳しいかな。

 

 

 2.ねじねじ巻き上げ編み

これはよく稲藁で円座なんかを編む方法です。
短い材でできるのが特徴。
でも、短いと言っても20cm以上は欲しいし、ねじれに強い素材でなければなりません。

藁は丈夫ですが、どうしても分厚くなってしまって、鍋敷きとかお櫃入れとか、大物になってしまうけど、葉鞘を使うことでもう少し薄いものが作れるのでは、という実験です。

今回やってみたのは
・オニウシノケグサ葉鞘-柔らかいが弱い
・カモジグサ葉鞘-長くてしなやかだが細い
・ネズミムギ葉鞘-柔らかいが短い
・ネズミムギ茎ー光沢がきれいだが硬い
・セイバンモロコシ葉鞘-太くて硬い
・チガヤ葉鞘-細くて短いが量は確保できる

と、みなそれぞれ一長一短。
今のところ、くさの寺子屋でも使っている孟宗竹の皮が、長さ、強さ、量において一番使い易い材のようです。
ただ、柔らかくするのに手間がかかるのが玉に瑕~
なかなか思うようにはいかないのがくさの世界です。


3.くさ縄標本

拙著「くさ縄標本」第3版に向けて、標本も増やしています。
今年は春から、いつもはあまり採集しないくさを保存していたので、一気に縄に。
いくつかの草は「総合対策外来種」に指定されているので、ちょっと保留です。
そういう困ったちゃんに限ってカワイイのですが~。
詳しくは2023年12月の日誌をご覧ください。
一月のみちくさあん

栽培収穫:金柑、柚子
採集(飲食用):アブラナ葉・花・蕾
採集(材用):アズマネザサ
保存食:アブラナ乾燥
家内作業:縄綯い、編み物、繕い物、繊維、ねじり巻き上げ編み、ハコ、縄縫い

冬はもっぱらアブラナが主食です。
さすが、千葉県の花。
すでに年内から咲き始め、今がピーク。
あとは春から秋にかけて保存しておいた土筆、蕨、筍、スベリヒユその他で冬を乗り切ります。


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