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2月8日知事面会日の記録

秋田県情報公開課の記録による

 
面会者:高校図書館を守る会  
           (高木、加藤、伊勢、渡部の四氏)      
立会者:藤井情報公開課長、加藤教育次長、根岸参事兼高校教育課長  

藤井課長   今日はお忙しいところおいでいただきましてありがとうございます。
         私は情報公開課長の藤井と申します。恐れ入りますけれども、自己紹介をお願いしま
       す。  

       (自校紹介。高木氏、加藤氏、伊勢氏、渡部氏の順に自己紹介をした)  

知事     わざわざ今日は遠いところをありがとうございます。高木さんはどちらですか。  

       (以下、鹿角までの所要時間、高速道路のの進捗状況、鹿角までの高速道路の無料化  
          を検討しているなどの話題があったが、省略)        

高木氏    今日はお忙しいのにお会いいただきましてありがとうございます。一度知事さんにお願  
        いしなければと思いまして・・・・・。よろしいですか。     
         高校図書館を守るための改善の要望を教育委員会に出したんですが、今のところま  
        だ、お返事もいただいていないんですが・・・。県議会には、先日請願を採択していただ  
        きまして、いくらか改善できるかと思っていたんですが、最近の様子を見ていますと、請  
        願の前に出された県教委の方針が、そのまま、今、着々と進みつつあるということを、残  
        念に思っております。          
         図書館というのは子どもを育てる場としては、目には見えないとは思いますが、大事な  
        所ですし、図書館はあっても人がいなければ、ただの部屋になるわけですね。それを守っ  
        てきた司書を、2年で切れるというようなものじゃなくて、ある程度の期間、そこで頑張  
        っていけるように司書の身分を正規にしていただきたい。そういうことで全県から1万5  
        千人ぐらいの署名も集めました。この後も署名が集まってきています。  
         お金がないと言われれば、私どもとしてはどうにもできないんですが、そういう中でも  
        良い方法がないものか、知事さんの方からお考えいただきたいなと思いまして・・・。  
         「高校図書館を守る会」というのは、昨年の夏に出来たものです。私どもは皆、高校教  
        諭のOBです。在職中、図書館に関係していた者です。この他にも、今日は来ていない人  
        達からたくさんの協力も得ています。  
         そういうことで今日はよろしくお願いします。皆さんからもいろいろとあると思います  
        ので・・・・。  

加藤氏     私は横手の人間なんです。知事さんが横手市長をお務めの時から存じ上げています。  
          (以下、知事の横手市長時代及び知事に就任してからの実績への評価など話題とな  
        ったが、省略)  
         前に座っていらっしゃる方に大変失礼なんですが、とかくお役人さんというのは二つの  
        「無い」ということを言います。一つは「前例が無い」ということ。もう一つは「お金が  
        「無い」ということ。ですから、根岸先生を目の前にして言うのもなんですが、根岸先生  
        にお願いしても「予算が無い」と最後は断られるんじゃないか。知事さんなら、無いもの  
        を生み出せる力をお持ちじゃないかと思います。例えば、国際教養大学にしても、7億円  
        の図書館をお造りになるという構想をお持ちのようですが、これはこれで、誰かがやらな  
        ければいけないことですが、何からやるか、どのぐらいのお金を使ってやるか、というこ  
        とを十分ご検討願いたいなと思います。私からはそれだけでございます。  

伊勢氏    代表の高木さんが言ったことに尽きますが、一つだけお願いしたいのは、知事さんもご  
        承知のように、日本は世界有数の出版王国です。しかも、数だけではなく中味も、良質な  
        出版物がものすごい数です。これを若い人達の胸の内にどうやって入り込ませるか、ある  
        いはそうでないのとでは相当違ってくるんではないかと思います。本は物でしかないけれ  
        ども、その物と生徒、育ち盛りの若い人達に橋渡しをする案内人が学校司書なんじゃない  
        かなと思うんです。長い間図書館の現場にいた人間として、切実に感じるんですよ。せっ  
        かく県費の中で苦心して買った図書も、ただ置くだけでは何にもならない。学校司書の力  
        の大きさを今一度考えていただきたい。いきなり全県下に、すべての学校に配置してもら  
        いたいというのではなく、例えば、年次計画だとか、明るい目途だけでも示していただけ  
        れば、我々としても張りがあるというか、見える形での対応をお願いします。  

渡部氏    教育公安委員会に出された資料は知事さんお持ちですか。  
         あそこで県教委が出した対策は、図書館を、より良いものにしようという案だと思うん  
        です。しかし、「高校図書館を守る」目標で集まった我々とは、ちょっとズレるところが  
        あります。そのズレというのが、生徒と本を直接やらせる、大学生だったらあるいは出来  
        るかもしれませんが、高校生は成長の中途半端さということもあるんでしょうが、そこの  
        生徒と本との間に誰かが必要です。それが「司書教諭」というやり方でいいんだろうか、  
        そこの違いを感じました。  
         司書教諭は養護の先生みたいに朝から晩まで、ずっと専門に図書館に居るということは  
        きっとないと思うんです。授業やクラブ活動や、いろんな校務分掌を持って、実際には図  
        書室にはなかなか居られないのではないかな、と思います。特に、部活動も図書室の利用  
        も放課後がポイントになりますので、司書教諭を部活動に取られてしまった場合の図書室  
        はかわいそうな状態になってしまう。生徒と本との間に入ってもらう人として司書という  
        のを、もう一回捉え直していただけないだろうかと思います。  
         あと、その司書ですが、今までの司書さんたちに不満であったら、それを鍛えるなり、  
        育てるなり、そういう方向に持っていっていただいて、それが臨時職員であろうが、そう  
        いうことは基本的に次の段階の問題であって、なんとか、司書さんというものが高校図書  
        館に特に必要だと、そこのところをもう一回問い直す機会を作って頂ければありがたい。  
         県教委が出された案の中にも司書があるんですが、本と生徒の間に立って生徒とやり合  
        うという位置づけというよりは、司書教諭の事務的アシスタントという位置づけになって  
        いる部分が、先ほど言いました、司書教諭が部活動やその他の様々な学校の仕組みの中で  
        そちらの方に力をさいた時に図書館が浮いていくんじゃないかな。そういう要素が秋田県  
        の五十何校の中には結構ある。  
         どこの学校にも図書館担当の教師はいるんです。いても、残念ながら図書館がうまくい  
        かない要素は司書を育てなかったということと、教師の方が逃げてしまっているというこ  
        とがあったのかなあ。  
         なんとか、司書を育てる秋田県の高校図書館づくりにお力をいただければありがたいと  
        考えています。  

高木氏    あの、実はですね。学校の中でも、今、渡部さんが言われたようなことなんですが、実  
        は、地域の読書活動、例えば、大館地区を見た場合に、大館の公立図書館を舞台にして、  
        読み聞かせだけじゃなく、子どもに読書をさせようという運動をかなりやっています。こ  
        の間も魁新報取り上げていましたが、その口火切ったのが学校の司書なんです。自分の学  
        校の図書委員とかの本の好きな子たちに呼びかけて、そこへ行ってボランティアとして読  
        書推進員をやる。そういうことは学校の司書が専任で今はいるからできるという面がある  
        んですね。  
         現実に、長く居てはいけないということで、別の学校に行くことになったようですが、  
        じゃ、どういう現象が起こっているかというと、今までA校でずっと培ってきたものが、  
        B校に行った場合に、同じように専任でやれても、図書の整理の仕方から違う。それを見  
        て愕然としているわけです。というのは、全県的に統一された図書の整理の仕方が、今ま  
        で無いわけです。個々の司書の人達が自分で勉強して、それなりに積み上げてきた。とこ  
        ろがA校とB校では違うんですよ。しかも、そこへ行って2年しかできないわけですね、  
        今回。そうなった時に、はたして、どうしたらいいのか。という悩みを抱えている司書が  
        大館市内の場合は、3人、4人といるわけですね。ですから、2年で切れるということも  
        一つの問題なんですが、それは司書の身分の問題で、それは切り離して、じゃ、そうなっ  
        た時に図書館はどうなってしまうのか、今まで、A校なり、B校なりでその学校の生徒た  
        ちに合った形で築き上げられてきたものが白紙に戻ってしまう。その教育的なマイナスは  
        計り知れないんじゃないかと思うわけですね。司書教諭を充実させていこうというのが、  
        教育委員会の今の方針のようなんですが、私どもはそれを一番危惧しております。  

知事     皆さんから、2年で転勤だとかいう形の中で、不安だとか、現実的でない面だとかを聴  
        きました。  

      (横手市長時代、臨時職員の雇用問題に苦労した話しなどあったが省略)  

       学校司書の運営のあり方について、県教委の話しを聞いていると、少し短絡的な考え方  
        をしているのかなと、もう少し深く考える必要があるのではないかと思います。  
         県の課題としては、教育には力を特別に入れます。ですから、全国に先駆けて30人学  
        級、チームティーチングを平成14年からやっています。  
         市町村合併によって市町村数が25になる。学校統合がものすごい議論になっている。  
        小中学校は半分ぐらい、高校でも3割とか、4割減になるでしょう。今後10年の間にそ  
        のぐらい人口が減っちゃう。  
         そういう中で県教委の考えとしては、統合すると教員が余ってくる可能性がある。退職  
        させるわけにもいかない。司書教諭を確保し、それと臨時職員を活用して図書館運営をや  
        っていきたい。県教委はそのように考えているようですね。そうでしょ。  
         ところが皆さん方に言わせると、やっぱり専任の司書を置いた方が子どもの教育にはよ  
        り役に立つというお考えでしょうが、県としては、学校統合や30人学級などに優先的に  
        お金を出していかざるを得ないだろう。教育でもコストを考えますから、司書を正規の身  
        分にして、一つの学校毎に置いていくというのには限界がある。  
         私は、司書を学校毎に全部貼り付けますとか、安定した身分にしますという約束は、今  
        は申し訳ないけれどもできません。ただ、学校教育で司書も大事な位置づけであるという  
        ことについての検討はさせていただきます。いいですね。それから、今まで(司書を)や  
        って、それなりの成績を上げてきた人に対してはどのような扱いをするか。おそらく学校  
        の先生より、そっちの方が優秀かもしれない。そっちにかけては。そういう人だっている  
        と思うんで、そういうことも含めて、データを取って深く検討するようにしてください。  
        司書教諭を兼務にして臨時職員でやっていくという単純な構図じゃなくて、もう少し、子  
        どもの教育上から、司書のあり方をどう捉えて、教育の向上につなげるか、その視点を捉  
        えてもう少し検討させてください。もう3,4ヶ月で、皆さんともお話し合いをするでし  
        ょうし、検討させます。  

加藤氏    一つ付け加えてよろしいですか。司書教諭のモデルケースとして、どこかの学校で結構  
        ですが、完全に授業もクラブ活動も持たない専任の司書教諭を置くという試みをしていた  
        だければ。  

知事     そこのあたりは教委としてはどうですか。  
        知事部局というのは教委に対して調整権はあります。予算を認める権限もあるんだけれ  
        ども、教育のそういう中身まではなかなか知事でもね・・・。  
         意見を持ってきてもらってから、どうだということはできるんですが。知事部局がナマ  
        の教育内容までは(口を挟まない)。例えば、(教委から)「30人学級をやるのに10  
        何億円かかる」、(知事部局)「わかった、やれ。」というやり方なんですね。簡単に言  
        うと・・・。  
         司書は臨時職員並の10万円とか13万円になっちゃうとかいう話しだけれども、能力  
        が特別あるからと10万円のものを15万円にして、そして何年契約で、良ければ更新し  
        ていくとか、そういうことはできるんですが、それは教育庁の方で良く考えてくれれば、  
        やれる方法があると思うんでね。教育内容は尊重しなければならないというのが基本的な  
        スタンスなんですが・・・。  
         これだけ私が言った以上は、なにか考えが出てくると思います。ただ紋切り型にバサッ  
        とやって、行革だということで司書を切っちゃうというのは、次長、いかがなものか。私  
        はそう思います。高校教育課長も・・・。  
         モデルケースとして司書教諭をつけて・・・、良いんじゃないですか・・・。  

加藤次長   うちのほうもいろいろ改善案を出しています。運営実態を見ながらやっていきたいと思  
         います。  

知事     現状を把握した方が良いんじゃないの。例えば、横手で言えば、城南高校、横手高校、  
        清陵高校の三つをタライ回しということが、そのことが良いのかという問題があります。  

高木氏    さっき、加藤さんは司書教諭を担任も授業も全部はずしてと言われたんでしたっけ。  

知事     そこら辺はどうなんですか。  

根岸参事   部活をはずすまでは、この4月からやっています。  

知事     部活ははずしているの?  

高木氏    授業をはずすと司書教諭でなくなりますものね。  

加藤氏    いや、いや、そんなことはないですよ。  

加藤次長   授業は数時間軽減されています。  

知事     授業は、司書教諭はその分少なくする。今はチームティーチングやらなにやらで人数は  
        多く置いていますからね、昔と違って。  

加藤次長   あと、学校の中にいる人間だけでやっていくのではなくて、地域の方の協力を得ながら  
        ボランティア的にやったらどうかという意見もいただいているんですね。そんなやり方も  
        考えていきたいと思います。  

渡部氏    秋田市みたいな大きい都市部の学校であれば、あるいはと思うんですが、郡部の学校で  
        はボランティアなんて、どんなもんでしょうか。そういうのを実態掌握を頑張ってもらい  
        たい。  

知事     杓子定規に考えないで。もっと現状把握をし、働いている人も含めてなんですが、学校  
        教育の中の図書館の位置づけと効果をどう思っているかを、もう少し検討した方が良いと  
        思う。今ここで司書を全部採用しますという約束はできないけれども、司書が地区に何人  
        必要かという話しが出てくると思うし、臨時職員の扱い、能力があったら身分を安定させ  
        てとか、考え方によってあると思うんでね。そこらあたりは頭を柔らかくして。学校の人  
        って意外と頭が固いんだよな・・・。  

根岸参事   知事、あのう、学校にはいろんな課題がありまして、生徒指導も大事だ、あれも大事だ  
        というたくさんの課題の中の一つで、数学と英語の授業どっちをとるかというような選択  
        の場面が多々あります。ですから、学校によって違うので、ちょっと検討させてもらえま  
        すか。  

加藤氏    一律にああしろこうしろということを我々が要求しているわけではない。  

       (知事から、会話が大事だ、会話を楽しむ社会にしなければならない、朗読後効果があ  
          るという話題になったが、省略)  

知事     いくらか進歩させるようにしますから。  

高木氏    是非よろしくお願いします。ちょっとでも先が見えるように・・・。