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天体望遠鏡は
天体望遠鏡は、倍率(ばいりつ)が高いほど高性能と思われがちで、市販されている望遠鏡のほとんどが宣伝文句として倍率が使われます。
実際、倍率が高くなれば確かに小さなものが大きくなりますが、反面、見た目の明るさが倍率が高くなるほど暗くなり、ぼやけた画像になっていきます。
実際には対物(たいぶつ)レンズや主鏡(しゅきょう)の大きさ・径(有効径)でその望遠鏡の性能が決まってしまいます。有効径が大きい程天体の光をたくさん集めることができるため、被写体がより明るく鮮明な像を見ることができます。
天体望遠鏡の性能は

天体望遠鏡の性能は、販売店の広告などで倍率が何倍、惑星、星雲が良く見えますと書かれています。
天体望遠鏡の性能は、倍率ではなくて分解能が高いことが重要となります。これは、主鏡の直径に比例し、主鏡が大きければ大きいほど、その分解能は高くなります。当然、倍率は必要なことですが、倍率はいか様にもできると考えるべきでしょう。

 □ 主鏡の有効径 :D (mm)

 □ 主鏡の焦点距離 :fo (mm)

 □ 接眼レンズの焦点距離 :fe (mm)

 □ 接眼レンズの見かけ視野 :β (°)

 

天文界では天体同士の距離を見かけの距離として、その角度で表し、天体間の距離に関する値、分解能や視野の広さは、全て角度で表されます。天体の位置も角度で表示されます。

 

 ■ 分解能(”)
  → 2つの物体を見分けることができる最小の角距離を分解能といいます。

  → 分解能は「ドーズの限界」と言う経験則を使うが普通です。これは、 115.8″/D で計算されます。
  → 光学理論に基づいて、計算した解説理論値による分解能は125.8″/D  で計算されます。

  

 ■ 集光力(倍)
  → 望遠鏡が肉眼の何倍の光を集めることができるかという値で、主鏡の面積と肉眼の瞳の面積の比であらわされる。
  → 暗所での瞳の直径は7mm程度といわれており、望遠鏡の集光力は D2/72 で表されます。

 

 ■ 極限等級(等級)

  → 観測できる最大の等級で、集光力の分だけ暗い星が見えることとなり、 1.77+5Log D で計算されます。

 

 ■ 倍率(倍)
  → 肉眼で見た天体の見かけの大きさと,望遠鏡を通してみた見かけの大きさの比率で、 fo/fe で表されます。

  → 天体望遠鏡の最高倍率は、分解能を目の分解能まで、引き上げるのに必要な倍率で、主鏡の有効径の2倍 2D で計算されます。

 

 ■ 実視界(°)

  → 望遠鏡では、星雲や星団などを観測する時には視野の広さも重要で実視野は、2 tan-1(tan β ・fe/fo)で表されます。

 

 ■ 実視界(°)Fナンバー

  → 口径比の逆数で、望遠鏡の明るさを示し、Fナンバーが小さいほど明るく、 fo/D で表されます。

世界初の望遠鏡
 ●世界で最初の天体望遠鏡は1608年、オランダの眼鏡職人ハンス・リッペルハイと言われている。

 ●凹レンズと凸レンズの2枚を重ねて見ると、遠くにあるものが近くに見えることに気づき屈折望遠鏡を作ったとのことです。

 ●有名なガリレオ・ガリレイは、世界で最初に望遠鏡で天体を観測したと言われ、1609年末から1610年にかけて、月面を観測した。

 ●日本に望遠鏡が伝来したのは、イギリスの使節団が献上したのが最初で、「遠眼鏡」「星眼鏡」などと呼ばれ江戸時代初期の1613年です。

屈折式と反射式
●光学式望遠鏡は、大きく分けて、屈折式と反射式に大別される。

屈折式望遠鏡=ガリレオ式、ケプラー式等

対物鏡に凸レンズ(対物レンズ)を使用して遠くにあるものの像を近くに作り、その像を接眼レンズで拡大して目で見るタイプ
ケプラー式は、倍率を上げやすい反面、像が倒立する(逆さまになる)という特徴。
ガリレオ式(オペラグラス等)では、高倍率を得にくいが、像は正立(肉眼でみるのと同じ)という特徴。

反射式望遠鏡=ニュートン式、カセグレン式、等

対物鏡に凹面鏡(主鏡)を使って、遠くにあるものの像を近くに作り、その像を接眼レンズで拡大して目で見るタイプ
筒の底に凹面鏡(主鏡)を取り付け、筒の頭を星に向け、主鏡に星の光を集めて反射させ、その光を筒の中に取り付けた副鏡で反射して、接眼レンズで見る方式で、主鏡の形と副鏡の取り付け方によって、色々な種類がある。
反射望遠鏡は、主鏡を大きくすることで倍率を高めやすく、暗い星でも見えるようになるというメリットがある。

屈折反射式望遠鏡=シュミットカセグレン式、マクストフカセグレン式、シュミットニュートン式等

レンズと反射鏡を組み合わせた方式。
星を追尾する
星の動きに合わせて望遠鏡を動かしていくことを「追尾」といい、天体望遠鏡を支える「架台」は、追尾のための仕組みを備え経緯台と赤道儀の2種類がある。

経緯台は、望遠鏡を垂直方向と水平方向の2方向に動かすことで視野を移動し、追尾する方法。構造が簡単で扱いやすいが、モータが2つ必要で、動作が複雑。すばる天文台をはじめとする、天文台の大きな望遠鏡は経緯台式の架台を採用している。(大型が可能)

赤道儀は、あらかじめ軸を天の北極の方向に向けておき、地球の自転速度にあわせて望遠鏡を回転する仕組みで、モータが一つですむので動作が簡単。反面、構造が複雑で、望遠鏡が大きく傾くためバランスをとるためのおもりが必要となる。

近年の架台は、コンピュータ制御で自動追尾を行い、コンピュータ制御であれば、経緯台の複雑な動作も正確に行うことができる。
接眼レンズの種類
接眼レンズ(アイピース)にもいくつか種類があります。
 → 2枚のレンズで構成された簡単なラムスデン(R)、ハイゲン(H)
 → 色消しがよく見かけ視野の広いケルナー(K)
 → 収差がほとんどゼロで色消しもよいオルソスコピック(Or)
 → 見かけ視野が非常に広いエルフレ(E)等

接眼レンズのは、25.4mm(1インチ)、31.7mm(1.25インチ)、36.4mm(1.4インチ)、50.8mm(2インチ)等があり、現在は31.7mmが主流です。
その他の小物

■ ファインダー

 → 通常5倍程度で、口径も大きくて50mm程度で、望遠鏡の中心とファインダーの中心が一致するように調整しておきます。 

■ 天頂プリズム(ミラー)

 → 天頂付近の天体を除くのに便利なように、90度向きを変えられる天頂プリズムや天頂ミラーがあります。但し、左右が反転した鏡像。 

■ レデューサー

 → 望遠鏡の倍率が高すぎて、接眼レンズだけでは低倍率が得られないときに、望遠鏡全体の焦点距離を近かくするために使用。 

■ バローレンズ

 → 望遠鏡の倍率が低すぎて、接眼レンズだけでは高倍率が得られないときに、望遠鏡全体の焦点距離を長くするために使用。 

■ デジカメアダプター

 → 一般にレンズ交換が不可能なカメラを使用して天体望遠鏡で写真を撮影するために使用するアダプター。 

■ 一眼レフアダプター

 → 一般にレンズ交換が可能なカメラを使用して天体望遠鏡で写真を撮影するために使用するアダプター。


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