森をぬけると花の山

(ちいさい秋みつけた)




キンミズヒキ

山萩の花
間もなく樹林帯も切れるだろう。時折木間から漏れ射す陽射しは
未だ夏のものだ。そして、先程までキノコの森を散策していた つん だった。

道脇にキンミズヒキの花を見るようになり前方の山道に
明るい陽射しが射し込むようになると、やがて森を脱け出た。
周囲が一挙に明るくなり晩夏の陽射しが頭上に降り注いだ。

大石に腰をかけコンビニで購入した緑茶のペットボトルを口にした。
ここより山頂まで、陽射しを遮ってくれるものは何も無いのである。
掌で額の汗を拭った。目の前には秋を告げる花、山萩が満開だった。

クルマバナ

桔 梗
道脇のザレ場に、この場所には不似合いと思える大きさの桔梗が
咲いている。つん は山野に自然に生える桔梗を見たのは
この山が初めてなのである。栽培種より丈の低い大花の桔梗は
奇妙な雰囲気を漂わせて咲いていた。

周囲の草むらに目を転ずるとクルマバナが元気な姿を見せている。

  そして先程から、きょろきょろとザレの斜面を見渡している つん 。
「たしか〜 この辺だったな〜」 そう、イチゴを探していたのです。
去年の今頃たわわに実っていたイチゴ、今年は見当たらない。

キタノコギリソウ
  登山道を辿って行くと、盛りの過ぎたツリガネニンジンの花が
草むらのそこかしこに見られる。やはり、去年の八月とは花の
種類が幾分違うような気がする。季節が同じでもその年の
気候により、草原を彩る花々の盛りにズレがあるようだ。

そして山頂も近くなった時、キタノコギリソウをみつけた。
嬉しくなった。北国の海岸に生えるこの草が
この高みまで登り着て、花をつけているのだ

つん はこの花がこの山で花をつける全ての山野草の中で
白眉のものだと思っているのである。

  ギザギザの鋸の歯のような葉を持ち、そして花の色がなんともいえず
素晴らしいのである。幾分、紫色を帯びた淡いピンクの生地の花弁は
人知れず最果ての地の山野に咲かせておくには惜しいものがある。

残暑の陽射しの中、標高僅か 500m ほどのこの山に
登って来たのは、この花を愛でる為だった様な気がした。

女 郎 花

クサボタン
女郎花(オミナエシ)やオトコエシの咲乱れる中、吹越烏帽子岳山頂に
到着である。山頂に沿う草原も女郎花やクサボタンの花盛りである。そして
目を凝らして周りを眺めれば、あった・・・ あった・・・ キタノコギリソウの花。


秋の野に咲きたる花をおよび折りかき数ふれば七種の花
山上 憶良


本当にこの山、山野草の宝庫である。
少しずつ季節をずらして登ってみると、そのことが良く分かる。

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   つんの
とぼとぼ