神話を訪ねて(第5回) 伊勢神宮ー内宮(三重県伊勢市)

いよいよ伊勢神宮の内宮をご紹介しましょう。

伊勢神宮の魅力については、第3回伊勢神宮(外宮)でお話しました。内宮は、天皇の皇祖である天照大御神をお祀りすることはもうご存知ですね。この「日本の神話 古事記」では、主に古事記の上巻(神代)についてご紹介していますが、天照大御神から神武天皇までの系譜を簡単に紹介すると、天照大御神天忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)邇邇芸命(ニニギノミコト)穂穂出見命(ホホデミノミコト=山幸彦)鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)神倭伊波礼比古命(カムヤマトイワレビコノミコト=初代神武天皇)ということになります。(以上の名前のリンクをクリックすると、それぞれのページにジャンプします。

さて、内宮への参拝は、伊勢市駅から少し離れたバス停か、外宮の表参道入り口にあるバス停から循環バスがありますので、これに乗って15分ほどで着きます。途中、「神宮徴古館」という伊勢神宮に納められていた宝物等を展示している博物館があるのですが、残念ながら時間がなくて今回は立ち寄ることができませでした。

内宮の参拝の楽しみは、何といっても有名な伊勢神宮の門前町である「おはらい町」をぶらぶら歩くことです。有名な赤福さんをはじめ、お土産屋さんや食べ物屋さんがひしめきあって、参拝者がひっきりなしに通るので活気に溢れています。下の写真のコーナーにも写真を載せました。名物の「伊勢うどん」は、やわらく煮込んだうどんに濃いつゆをからませ、薬味は「ねぎ」だけといったシンプルなものでしたが、食べてみると、うどんのやわらかさとつゆの濃さと刻みねぎの三者が絶妙にマッチしており、とても美味しいものでした。(関東人にもきっとうける。)きっと、昔から参拝者が小腹がすいたときにさっと食べやすいファーストフードとして人気があったのではないでしょうか。お伊勢まいりの際は、ぜひ、お試しください。

内宮は、外宮よりもさらに緑が多く、大きな森の中を清流の五十鈴川が貫く絵画的な美しい自然(日本の原風景といいてもいい。)に囲まれた神殿といった趣きがあり、神聖で厳かな空気に満ちあふれていました。まさに神々の存在を体感する場所です。五十鈴川の透き通った水の中を悠々と泳ぐ鯉、カラフルに色づいた木々が川面に映えた美しさは例えようのないものでした。御正宮を参拝した時は身も心も引き締まる思いがしました。二千年前からこの地の美しい杜に囲まれた伊勢神宮は、60回以上の遷宮を経て、いつも新しく、清潔で、美しい空間であったのだろうと感嘆しました。京都は、こうして思えば、「仏教の都市」ですね。平安神宮などの京都の神社は既に仏教建築の影響を受けたものです。それに比べて、伊勢は、仏教以前の日本のオリジナルな神道文化をそのままの形で2000年間保存している「神道の都市」です。唯一神明造という建築は、元々は、弥生時代の遺跡にみられる高床式の稲の貯蔵庫です。稲の倉そのものを神殿として尊んだ日本の神道は、稲作と切っても切れない関係にあるのです。今更ながら、日本の文化の深層のダイナミズムを感じる経験でした。伊勢に来てよかった。

帰りにおはらい町の酒屋さんで、伊勢神宮の御料酒である「白鷹」の樽酒を買って、宿で呑みましたが美しいお酒でした。天照大御神が毎日召し上がっているお酒です。美味しくないわけがありません。

社名

正式名:皇大神宮(こうたいじんぐう) 通称:内宮(ないくう) 

「伊勢神宮」ホームページ

鎮座地

三重県伊勢市 (JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」バス15分)

御祭神

天照大御神(あまてらすおおみかみ) 「日本の神話 古事記」でチェック 

御由緒

【伊勢の神宮】古くから「神宮」といえば伊勢の神宮をさします。それは最も尊いお宮だからです。神宮は、皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮ーないくう)と豊受大神宮(とようけだいじんぐう)(外宮ーげくう)の両正宮を中心として、十四所の別宮、百九所の摂社・末社・所管社からなりたっています。

【皇大神宮(内宮)】皇大神宮には日本国民の大御親神とあがめまつる皇祖天照大御神をおまつり申し上げます。

天照大御神は歴代の天皇がおそば近くでおまつりされましたが、第十代の崇神天皇の御代に、はじめて皇居をお出ましになり、大和の笠縫邑(かさぬいのむら)におまつりされました。

ついで各地をご巡幸ののち、第十一代垂仁天皇の二十六年(約二千年前)大御神の御心にかなった大宮どころとして現在の地におしずまりになりました。

※参拝者用リーフレット「伊勢の神宮」より抜粋

伊勢神宮 (内宮)の見所紹介

(写真をクリックすると拡大します。)

DSCN3920.JPG
おはらい町

伊勢神宮の門前町。映画のセットのような古い街並みを歩くだけで楽しい。お土産や地元の名物、甘味に舌鼓。

DSCN3922.JPG
赤福本店

超有名な赤福さん。飛ぶように売れてましたよ。さすが。

DSCN3926.JPG
「伊勢うどん」

意外(失礼!)に美味しかった郷土名物「伊勢うどん」

DSCN3928.JPG
大鳥居と宇治橋

宇治橋も遷宮と供に造替えられます。

DSCN3930.JPG
宇治橋から見た五十鈴川

清流に晩秋の紅葉が美しく映えます。

DSCN3933.JPG
手水舍

まずは、ここで清めてから、

DSCN3934.JPG
御手洗場

五十鈴川の清流でも、あらためて手と口をきよめましょう。

DSCN3937.JPG
五十鈴川を泳ぐ鯉

透き通った水は、まさに聖水

DSCN3942.JPG
第二鳥居

まずは御正宮へ向かいます。

DSCN3946.JPG
御正宮への階段
DSCN3948.JPG
板垣南御門

御正宮でも一般の参拝はこちらまで。この奥の奥に天照大御神を祀る御正殿があります。

DSCN3952.JPG
御稲御倉(みしねのみくら)

神宮神田で収穫された稲を貯蔵する場所。少し小さめですが、唯一神明造の建築構造を間近で見ることができます。

DSCN3956.JPG
荒祭宮(別宮)

内宮の第一別宮。天照大御神の荒御魂(あらみたま)をお祀りする。

DSCN3957.JPG
風日折宮橋

もう一つの別宮へ。

DSCN3963.JPG
風日折宮(別宮)

外宮の別宮「風宮(かぜのみや)」と同じ、元寇襲来時の神風を吹かせた神をお祀りしています。「かざひのみのみや」と読む。

DSCN3964.JPG
風日折宮
DSCN3968.JPG
境内にニワトリが!

これも神の化身か???

DSCN3972.JPG
大山祇神社(所管社)

境内にあるコノハナノサクヤヒメの父であるオオヤマツミノカミをお祀りする「おおやまつみじんじゃ」

DSCN3973.JPG
大山祇神社と並ぶ子安神社

コノハナノサクヤヒメを祀る。縁結び、安産祈願。名前が書かれた小さな鳥居がたくさん納められていました。なぜ、安産の神なのか?こちらを参照。

DSCN3977.JPG
再び「おはらい町」

昼に伊勢うどんを食べた「わらじや」さん。400円のシンプルな伊勢うどん。おすすめです。

DSCN3979.JPG
参拝がえりに

ちょっと疲れたので、「二軒茶屋」さんで、地元鳥羽の「かき」フライと地ビールをいただいて一休み。美味かった。