上越市の石黒邸の庭は、28年前(1980年頃)総面積約250坪の屋敷に、京都の名刹にあやかり、侘び寂びの庭をターゲットに、手作りで築庭に着手した。当時、先代が植えた杉が10本ほど裏手に植えてあったが、他の樹木の大部分は、庭主が山取りして育てたもので、樹種の多様さと植樹の本数も驚く数が植えてある。……
その樹木の中で、石黒邸のシンボルツリーともいうべき自慢の樹木は、入り口左側の樹齢150年のツバキで、唯一、庭主が大金を投じて求めた樹木である。そして植栽の剪定・肥培・管理を始め、冬季の雪囲い作業まで一切、人手に委ねず、庭主自らの手で行なっているところが、石黒邸の庭の特記すべきところである。
さらに刮目すべきは、門塀・四つ目垣、石畳、石垣積みにいたる庭園作業のすべてが、28年間の汗を流した歳月の積み重ねにより、完成させた庭であるだけに、邸内に一歩足を踏み入ると、訪れたゲストを魅了するものが潜んでいる。 庭主の造園に対する感性と見識の高さは非凡なものがあり、筆者のQ&Aに対して、「学生時代、小遣い欲しさに、去る造園業者のバイトで剪定鋏の扱い方・庭師の「いろは」等々を学んだという。むべなるかなの応答であった。そして今も尚を寸暇を惜しんで庭の進化に励んでいる。
オープンガーデン・新潟の公開庭を代表する通年公開のお庭として、推奨できる庭園であります。
……庭の苔は1985年頃から自然に自生し始め、いつしか苔庭に進化・変身した庭で、石黒邸の庭の特徴・見どころは、「神の恵みを受け、自然に自生した苔庭」というところが、至当であろうと筆者の思うところです。
文責 小倉 寛
住所 〒944-0149 上越市板倉区下田屋18
石黒 英一
TEL 090-8843-5498
【お願い】
参観希望する方々は、参観日時・人数等々を電話または事務局のメールに事前にお知らせください。
南魚沼市内のお庭の案内は、事務局で行います。