工房主のこだわりと足跡

こだわり 「人にやさしいモノづくりと用に足るもの」

柚ら里では、『体に害のあるものを使わない』ようにしています。これは師である山崎桃麿の教えです。また、倉敷本染手織研究所を卒業していますので、『用に足るもの』というのもこだわりです。民芸にこだわっていませんが、根っこがそこにあります。

 

古希を迎えて、織りと歩む

織りとの出会いは、20歳の時。10年続けて諸事情で中断。44才の時、大阪出張中に阪神大震災に遭遇し、幸いに傷ひとつ負わずに生き延びました。その後『何故、生かされたのか』と問うようになり、『悔いのない人生を歩もう」と決め、会社勤めを辞めて、織りの道へ。

倉敷手織研究所を経て、山崎桃麿の門下となり、半綜絖で織る絹紬の着尺と草木染めを学びました。桃麿先生は、日本画家『川合玉堂』の紙を漉く和紙職人で、入塾の時に『紙布』を織るために門をたたいた旨、伝えてありましたので、並行して『江戸時代の白石紙布』の再現への取り組みを続け、その原点である『白妙』や『原始布』の再現にも取り組みました。

2012年、今度は東日本大震災が発生、地下鉄四谷駅に着いた時に強い揺れが起こりました。走っている時ではなく、この時も命拾い。その5年後には、マダニに刺されて野ネズミのウイルスに感染してアナフラキシーを起こし、腎障害で手術中に心停止。幸いにも生き返りました。何れの時も依頼されていたものが有り、糸が機にかかっており『まだ死ねない』と思っていました。その後もコロナワクチンの副反応がひどくて、手が肩から指先まで腫れあがり、90度で固まり、医者はもう動かせないと言ったのですが、機仕事に支障ないところまで快復しました。織りへの執念でしょうか。

お陰様で日本伝統工芸展にも入選させて戴き有り難い『織り人生』を送っております。まだ、白石藩の織り師(真田の武士)が残した『織りの伝書』にある『江戸時代の組織』を織りあげねばなりません。今は、体調に考慮しながら無理のないように機仕事をしています。老後の楽しみが沢山あってまだまだ死ねません。仏さまとご先祖様のお陰で今を生かされていると日々感謝しています。

2023.6


個展

2006年

手織り二人展(国立 ギャラリー北川)

2009年

池田明美手織りのしごと展(うおがし銘茶 築地新店 スペース『会』

2016年

池田明美手織りのしごと展(江戸唐紙 東京松屋 4F庭園ホール


入選歴

1997年~2002年 
世田谷区和紙造形展(木綿紙布八王子絣タピスリー・木綿紙布藍染め上着・絹紙布亀甲崩し帯(桜・藍染め)
・絹紙布着尺(クサギ染)
2001年 
紬と織の公募展(生絹ストール 座繰り手引き糸 草木染め)
2001年
日本民芸館展(木綿紙布8寸単帯 反故和紙 草木染め)
2002年
伝統的工芸展-伝産協会-(生絹よろけストール 座繰り手引き糸 草木染め)
2007年
埼玉女流工芸展(生絹布2点 座繰り手引き糸 草木染め)
2008年
日本伝統工芸染織展-日本工芸会-(生絹着物『花宴』座繰り手引き糸 草木染め)
2008年
草木染ビエンナーレin愛知(佳作:絹紙布板締め絣着物『太古の海』和紙 草木染め)
2009年
日本伝統工芸染織展-日本工芸会-(生絹着物『清流』座繰り手引き糸 草木染め)
2011年
日本伝統工芸展-日本工芸会-(絹紙布紅梅織り帯『春来りて』和紙 座繰り手引き糸 草木染め)
2012年
日本伝統工芸展-日本工芸会-(絹紙布紅梅織り着物『里すみれ』和紙 座繰り手引き糸 草木染め)
2015年
東日本伝統工芸展-日本工芸会-(生絹着物『杜若』座繰り手引き糸 草木染め)
2016年
日本伝統工芸染織展-日本工芸会-(絹紙布摸紗織り帯『涼やかに』和紙 座繰り手引き糸 草木染め)
2017年
新匠工芸展-新匠工芸会-(生絹帯『宵の桜』座繰り手引き糸 草木染め)
2017年
伝統的工芸展-伝産協会-(絹紙布縮緬着物『雪山のあけぼの』和紙 座繰り手引き糸 草木染め)