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このページでは私がオーダーショップにオーダーをしたときの体験をリポートします。
私の思い違い、記憶違いによる間違った記載もあるかもしれないので参考程度にして下さい。
まずお店へ 今回は銀座3丁目にある手作りオーダー靴のお店、アルスノバに行きました。予約制というわけではないらしいのですが、カウンセリングとフィッティングに約100分かかるというので、他のお客さんとかち合うと大変なので予約をして行きました。お店のホームページには「一番履きやすい靴を履いてきて下さい」と書いてありましたので、ヨシノヤの靴(右写真)を履いていきました。今、一番履きやすいものよりも履きやすくなければ、わざわざオーダーする意味が無いからとのことです。だからフィッティングをして今履いているものの方が良ければ作るのをやめるという選択肢も有りうるということです。なんて良心的なんでしょう!
サイズを測って見本靴を履いてどの型にするか順番に決めていきます。このフィッティング作業+カウンセリングには約100分かかります。ピッタリのサイズを見つけるのは大変なことです。
私は薄いソックスをはくことが多いので、ストッキングでフィッティングをしてきつく仕上がると困るので薄いソックスをはいて行きました。でもピッタリの靴を履いているとだんだん足が細くなると聞いたので、念のためミニストッキングも持っていきました。(現にヨシノヤの靴もだいぶゆるくなってしまったし……)お店の人に聞いたら細い方でフィッティングした方が良いとのことだったので、ミニストッキングにはきかえて採寸&フィッティング作業に入りました。(ストッキング持っていって良かった!)
手順
- 足の長さ、足囲、甲周りを測定
- まず土踏まずと踵のフィット感を決定
- 次にそれより前部分の幅を決定
かかと
まず測った数値を元に出してもらった見本靴を履いてみましたが、何となくゆるいような……
次にもっと細いものを履き、「今履いているものと、さっき履いたものはどっちの方がいいですか?(気持ちいいですか?)」
と聞かれる。今履いているものの方が良かったのでそう告げる。
次に更に細いものを履いてみる。「今のとさっきのとどっちの方が気持ちがいいですか?」
とまあ、こんな感じで比較しながら決めていきます。まず、踵を後ろに合わせて前滑りしないものが絶対条件です。この段階では、つま先のきつさは無視して土踏まずとかかとのフィット感だけを見ていきます。前に滑って踵にすき間が空いてしまうものは即却下。「気持ちいい」限り「痛くない」限りは、なるべく細いものを履いた方が良いとのことです。“どれだけ細いものが履けるか”が大事だそうです。そういえばフェラガモの創始者も本で同じようなことを言っていたなあ……。(『お薦め図書』参照)
土踏まず
踵と同時に、土踏まずがフィットしているかも見ていきます。私は土踏まずの靱帯も伸びているようで扁平足気味で、力を抜いていると落ちています。でも、幅をどんどん狭いものにしていくと靴が土踏まずにピッタリと密着して土踏まずが落ちなくなります。新しい発見です!これがフェラガモが本の中で言っていた“土踏まずが支えられる”という感覚か……
お気づきとは思いますが、測った数値では最初に履いたものが合うはずなのですが、私の場合はそれよりもずっと細い“本来履けるはずのないサイズ”に足が入るのだそうです。
どういうことかというと、私の足は、小さいときの運動不足などによって筋肉が柔らかく弱くてゆるんでしまっているのだそうです。筋肉がゆるむと骨と骨の間隔が広くなる、つまり足囲が本来より広くなります。本来の私の足よりも広くなってしまっているということです。(つまりこんにゃく足だったのでしょう)最終的にピッタリとして気持ちいいと感じた幅が「あなたの本来の幅なのでしょうね」とおっしゃっていました。履けるはずのないサイズが履けるということはトウシューズ選びで既に気付いていたので、コラムの『本来の幅』を書いたわけですが、私の予想は間違ってはいなかったようです。やはり本来の幅に近いものが快適だと感じるようです。
とにかく土踏まずと踵が大事。つま先のきつさは後回しです。土踏まずより後ろ部分の幅を決めてしまえば大部分が終了です。
つま先
次に、つま先部分の幅を決めます。土踏まずとかかとに合わせると私の場合、つま先がきつく小指にちょっと圧迫感があります。前半と同様に今度は土踏まずとかかとは無視してつま先のきつさだけをチェックしていきます。さっき履いたものと今履いているものとどちらがいいかと比較しながら……。木型の太さの違いは5ミリ単位ですが、その間1.25mm刻みで微調整が出来ます。私の場合はたしか左の方が2.5mm太い木型になりました。(ちょっと忘れてしまった)
木型
踵、土踏まず、つま先と見ていき最終的に木型を決定します。つま先の木型を決める段階でかなりピッタリなものと、まあまあピッタリなものですごく迷いました。(曖昧な表現ですが他に上手い言い方が見つからないので)1.25mmという僅かな違いなのですが……。自分では2つを比べて細いものの方が気持ちいいかな?と思ったのですが、最初はあまりきついものを無理して履かない方が良いということでゆるめの方を選びました。ヨーロッパの方などは小さい頃からしっかりとしたピッタリの革靴を履かされるので足が強いようです。でも日本人の場合は小さい頃からゆるいものを履いているので筋肉がゆるんでいるし、皮膚も弱いようで、最初はあまりきつくないもので革も固すぎないものを履いた方がいいとのことです。
とはいえ、今までの靴と比べると、か〜な〜り〜きつい(ピッタリ)のですが。
革
革は一番柔らかいお薦めのもの(キッド革)にしました(とはいってもフニャフニャというわけではない)。踵は最初は低い方がいいとのことで3.5cm位です。本当は見出し前の靴アイコンのような踵の高い紐靴に昔から憧れていたのですが、ここは足の強度がないということで(今は)諦めます。とりあえずはこのゆるみきった足のリハビリ目的なので仕方が無いか……デザイン
デザインは切り替えの多いコンビのものにしたかったのですが、縫い目の多いものは初めて履く人には固すぎて無理だろうということであまり切り替えの無いスタンダードなデザインのものに決定しました。3足目くらいになれば足の強度が増して履けるだろうと言われましたが、清水の舞台から飛び降りるつもりでオーダーしたこんな贅沢な靴、3足目が買える日が来るのだろうか……。何とか2足目くらいで履けないだろうか?正確な値段は忘れましたが、6万円をちょっと超えました。(木型の微調整が無しならもう少し安いようです。)
まずは観察
オーダーを待つこと2ヶ月、お待ちかねの靴が届きました。あら、ヨシノヤよりもずっと細いはずなのに、なぜかあまり細く見えません。どうも薄いのですが幅自体は狭くないようです。でも私の足に合わせてあるのだから当然と言えば当然です。私の足は足囲は細いですが薄くて横に広いので私の足に合わせるとあまり狭く見えないのでしょう。でも、日本人ってそういう足の人多いから、こういう木型が日本人の足に本当に合うのだと思います。いよいよ足を入れてみる!
履き心地は抜群です。土踏まずとかかとはピッタリなのに、指先はゆったり。これはすごいことです!また、土踏まずの支えもばっちりです。隙間がありません。土踏まずとかかとがピッタリとしていれば指がゆったりでも前滑りしないんです。やっぱり土踏まずとかかとがピッタリとしていないと、どうしても前滑りは防げないし指先が一番きつくなってしまいます。それはとても良くないことです。
他のお気に入りの靴と比べてみる
フェラガモのAAとかAAAとかも細くて足囲的には私の足に合っていますが、あちらの人は幅が狭くて甲が高いので、靴も甲が高くて幅が狭いんです。だから周り寸法が合っていたとしても何となく収まりが悪い。また、このような紐靴だと甲周りの太さに合わせるとつま先がきつい、つま先に合わせると甲周りやかかとがゆるいというふうになってしまいます。でも私は、かかとが小さく甲が日本人の中でも低い方なので、日本製の靴でも「甲に合わせるとつま先がきつい」「つま先に合わせると甲とかかとがゆるい」という感じでした。指はゆったりとしていなければいけないと言うけど、土踏まずとかかとがピッタリで指がゆったりなんて有り得るのだろうか?と思っていましたが有り得ました!
【写真解説】
3メーカーを横から比較してみました。フェラガモのものは甲部分が高いことが分かります。ヨシノヤは中間タイプ。アルスノバは指の付け根部分(青い矢印)のところが特に低いことに注目。爪先はそれほど薄くないのですが、この部分が低くなっているので、甲の超薄い私が履いても前滑りしません。これが踵と土踏まずがぴったりなのに、爪先がゆったりの秘密のようです。私の今度の新たな謎は“甲を覆わないパンプスに土踏まずの支えが実現するか”です。お店の人は「パンプスでも土踏まずの支えは感じられる」とおっしゃっていましたが、パンプスはあまりお薦めはしないそうです。パンプスは本来ドレスの時に履くもので歩くための靴ではないので街で歩きまわる時に履くべきものではないそうです。特に私のように足が弱いタイプは……。でもパンプスでの“土踏まずの支え”に私の好奇心がどんどん膨らんでいきます。でも次はクラシカルなかかとの高めな紐靴かな……?どっちも欲しい!
素朴な疑問。みんないつからパンプスで街を歩くようになったのだろう?昔の映画女優の影響だろうか?
※実際に外で履いて歩いてみてどうだったかは、次の機会にまわします。