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シュレディンガーの猫の首に鈴をかける少女2007.4.19
 『時をかける少女』のボランティア部三人娘の一人、野分析美さん。占いマニア。今日のラッキーアニマルは、鈴をつけた黒猫。
 鈴をつけるまでは、猫の状態が確定されないのがタマに傷。



 明日の自分に対する覚書。
 『時をかける少女』を楽しく鑑賞するために。

 あの映画のタイム・リープには、いわゆる「矛盾」と思えたり、「あれ?」と感じる点がわずかながら見受けられる。
 しかし、作品の主題は、ちょっとせつない爽やか青春ストーリーであり、ハードSFではないのだから、本題でない細かい点は気にしないことにする。

 が、どうしても気になる場合は、次のように考える。
 そもそも、我々現代人がイメージする因果律の考え方は、あの物語世界において(そして現実世界においても)、はたして正しいのであろうか、と。
 生身の人間が時間跳躍するという、何をどうやってるのかさっぱり解らない現象なのである。それを可能にする未来世界の科学は、現代人の因果律の考え方を超えたところに到達していても、全く不思議ではない。二千年前の人類の思考で21世紀の科学を理解できないように、現代の我々はタイムリープを近似値的に推し量ることはできても、その原理原則の本質を理解することはできない、という感じであろうか。
 もうひとつ、航時法による行動の縛りは、未来人にとって非常に大きなものだろう。タイムリープは、悪用すると社会を崩壊させかねない技術なのだから、法律で厳重に規制がかけられていて当然。そして、その航時法は、現代の一般人には想像もつかないほど複雑怪奇なものになっていておかしくはない。なにしろ「法律」なのだ(しかも、我々にとって原理不明の現象に関する)。未来人の行動の一端に何かしら不自然さを感じるなら、それは航時法の強烈な縛りによるものかもしれない。

 『時かけ』は、単純な平行世界理論ではなく、それを越えた理論を想定してるっぽい所が良いと思う(「素粒子レベルでの世界再構成」の発展系か?)。
 平行世界理論の物語では、歴史改変と言っても、古い失敗ルートはそのままにして、新しいのを別口で作ることになる。いくら過去を改変しても、元の失敗した世界はどこか他の所に平行して厳然とあるわけで、「失敗した過去を変えることができて良かった。死んだはずのあの人を救うことができて良かった」と簡単に喜ぶわけにはいかない。タイムパラドックスは簡単に回避できるものの、どこかに虚しさがつきまとい、後味が悪いのである。つまり、『時かけ』のような爽やか青春ストーリーとは相容れがたい世界観と言える。
 『時かけ』においては、「これは平行世界理論ではない。あの未来とこの過去は完全な別世界として断絶するのではなく、つながっている」と思わせる描写がなされており、それによって観客は、より晴ればれとした気持ちになれるのだと思う。

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