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閑古鳥通信

2005年11月30日 水曜日
これが豊かな暮らし?
 よく人から「豊かな暮らしだね」って言われる。「いつかはこういう暮らしがしたい」なんて事も。
 すごーく誉めてくれているんだろうけど、ほんとにそう思っているなら、すぐにやってみたらいいと思う。じゃあ実際どんな暮らしかって言うと・・・。
 
 春・・・貯蔵していた野菜はほぼ底をつき、パンとお米と雑草を食べる日々。畑に生えてきたヨモギが毎日食卓に並ぶ。ちょっとモサモサして、噛んでも噛んでも食いちぎるのが容易でない。おひたし・胡麻よごし・てんぷら・・・メニューを変えても、やっぱりヨモギはヨモギ。さすがに飽きる。フキノトウやしなびたジャガイモの天ぷらも、たまには出てくる。しなびたジャガイモ、これは意外に美味い。焼き芋にしたら皮がぽろっとむけて、ひと味違って乙なもんです。でも、毎日だと・・・飽きる。葉物野菜?が出ると「やっと乗り切ったー」って感じで嬉しくなる。はこべのみそ汁やイタドリのジャム、ツクシご飯、オオバコの天ぷら、・・・思い出してもきりがある。アスパラが出てくると、豊かな食卓に一変。毎日、自家製とご近所からの頂き物が、食卓を飾る。アスパラだけで、腹をふくらませる日もある。山には行者ニンニクが出てくる頃だ。
 
夏・・・大根やその他の野菜も出来始める。と言っても種類はそれほどでもない。いちごやキイチゴは一杯出来るけど、毎日だとこれも飽きる。草の中からいちごを探すのは、一苦労。草刈りを怠ると、いちごが腐ってしまうので、手入れが大変。この時期は、畑と写真と観光の仕事で手一杯になって、ちょっと油断すると、畑は草ぼーぼー。畑仕事は、ほとんど草刈りに追われる。秋野菜の播種を忘れてしまう事もあった。
 
秋・・・やっとカボチャやトウモロコシ・ジャガイモ・大豆・小豆・ゴボウ・が収穫に。ご近所からもカボチャやジャガイモがどっさり・・・!保存食づくりにてんてこ舞い。カボチャやトウモロコシは冷凍に。ジャガイモは土を落として出荷とむろで保存。来年の種用のトウモロコシやゴボウも収穫して・・・。そうこうしているうちに、霜が降り、雪が舞い、大根も小松菜もカブもキャベツも、穫り遅れたその他の野菜も収穫しなきゃって、あわてて収穫。入れる場所がないから、玄関も部屋も野菜と土ぼこりでもうごちゃごちゃ。食卓をにぎわせてくれるものの、日に日にしなびていく葉物野菜を見ていると、憂鬱になってくる。しなびて駄目になるくらいなら、植えなきゃよかった、無理して収穫しなきゃよかったって。こういう野菜が多いんです。でも無駄ではなく、ちゃんと肥料にはなるんだけど、食べられるものはきちんと食べてあげたい、食べてあげられないのに収穫して駄目にしてしまったらかわいそうで。今も大豆と小豆が部屋と玄関で、脱穀を待ってます。そうだ、忘れちゃいけないヤマブドウとこくわ、山に採りに行くのが最高の楽しみです。
 
冬・・・カボチャと大根とジャガイモが食卓の主役です。ことにカボチャは、どんどんカビて来るので、どんどん食べないともったいないのです。でもやっぱりカボチャばかりは飽きます。飽きても飽きてもカボチャはカビて来るので、やっぱりカボチャが食卓に上ります。カボチャだけで50キロ以上あるので、これが無くなるまで続きます。
 
主に食事について書いてきたけど、その季節にあるものを食べられる事が一番体にいい事はわかるけど、単一食材ばかりになるようじゃ、やっぱり良くない気がします。その季節ごとに、種類に富んだ食材を、ほどほどに、・・・こういう暮らしを早くしてみたいものです。
 
食事以外のことは、今は食って行くのが精一杯なので、ほとんど手が回りません。家の補修もやらなきゃならないけど、1年以上ほったらかしだ。でも食っていければ生きていられるから、それでいいべし。
 
さっき、庭の柳にアカゲラ(きつつき)が来てたよ。こんなのが見られるから、やっぱり「豊かな暮らし」なのかな。
2005年11月23日 水曜日
自然栽培の野菜って何 その二
 植物が育って行く時、どうやって栄養を吸収するんでしょう?そう、主に根っこですね。そこで今回は根っこの話をちょっとします。
 森は、いろんな木が生えていると豊かな森と言われるけど、何ででしょう。種類が多いから・・・当たりです。種類が多いということは、そこにいろんな環境があると言う事なんです。いろんな環境があると言う事は、いろんな生き物を宿す力があると言う事、つまり、いろんな生き物にやさしいんです。
 人間社会もいろんな人がいるから楽しいし、豊かな人生を送れるのと同じで、いろんな生き物がいる森はそこに生きる者にとって、楽しいに違いないと思うんです。楽しい環境で育てば、変な生き物にはならないでしょう、きっと。
 旭山動物園に行った時、そこに住む動物たちの目が何とも寂しそうでおびえてるようで、助けを求めているように見えたんです。野生動物の目はこんな目をしていないぞ、もっとぎらぎら輝いてるぞって。きっと狭い所に押し込められて、変になってしまったんだと思う。こうゆう環境で育った生き物を食べたら、きっと不味いんだろうな。
 話がそれたけど、楽しい環境をいかにして畑に作って行くか、それはまず、土の中から始めないと話にならないんです。
 あ、2005年6月3日の通信に今から書こうと思った事と同じような事書いてあったので、今日は終わりにします。
 
2005年11月16日 水曜日
自然栽培の野菜って何 その一
 人間が育って行く時、必要な栄養を十分すぎる程与え、温度や湿度を常に快適な状態に調整し、外敵から遮断し、怪我もしないような環境を整え、・・・とやっていくとどうなるでしょう。そう、簡単に生活習慣病です。
 今の慣行栽培と言われている方法がこれに近いです。窒素・リン酸・カリ・その他微量成分を生きて行くために必要な量を畑に施し、マルチやビニルハウスで温度管理し、虫や病原菌がいなくなるよう殺虫剤や殺菌剤を撒く。そんな環境で育つと、栄養を探す事もしない(根や葉を十分張らないので、運動不足になる)、ぬくぬくした環境なので、ちょっとした変化に対応出来ない、病原菌もいい菌もいないので、万一変な菌が入ってきた時生きて行けないようなものが育つのです。そうして育った野菜は一つ一つの細胞が大きく、水ぶくれ状になっていて、一見立派に見えるけど栄養価は少ないそうです(科学的に調査済み)。
 そして、今注目されている有機栽培は、化学肥料や農薬を使わないので、比較的安全なものが多いです。比較的と書いたのは、生育に必要な窒素肥料を大量に与えると、硝酸態窒素が細胞内に溜まって、人体に毒になる事があるのです。ただ、上手に育てるといい野菜が育ちます。とは言えこの方法も競争が無く運動不足の生活習慣病状の野菜になりやすいです。
 それに比べて自然栽培は、必要な栄養は自分で探さないと得られないので、根や葉を十分伸ばし、草とも栄養の奪い合いをするため運動を盛んにしている状態になり、虫にも食われるため、食われてもいいようにより多くの葉を出す。化学肥料や農薬はもちろん使わないのでより安全な野菜になる。こうして育つと、一つ一つの細胞が小さく、しまった野菜になる、そのため小ぶりだけど味の濃い栄養豊富で健康な野菜になるんです。勿論地球環境にとっても(人間にとっても)、一番いい栽培方法なのです。
 いい事ばかりに見える自然栽培ですが、欠点もあります。作物一つ一つ育ち方が違うので、それぞれに見合った環境にする必要があるのです。草刈りや、必要に応じて追肥もします。単位面積当たりの収量も少なく、手間は他の栽培方法に比べて格段に多くかかります。草の生え方や種類によっても畑の状態がわからないといけないので、見る目が必要になります。大型機械化は難しいので、コストは下がりません。
 つづく
2005年11月15日 火曜日
写真展、開催しました。
 今日は、気持ちのいい天気に恵まれ、気持ちのいい写真展初日を迎える事が出来ました。北海道最高峰の旭岳も、十勝岳連峰もすっぽりと雪をまとって真っ白に輝いてました。自分ちの周りのカラマツの黄葉は終わりに近いけど、会場のある東川町の方はまだまだ葉っぱが着いてきれいでした。カラマツの黄色い山に真っ白な山、それだけ見られただけでも、今日写真展をやってよかったです。
 今回の展示作品は、身近な風景を普通に撮った写真が多いのですが、美瑛以外に住んでいる人にとっては新鮮な風景かもしれません。美瑛に住んでいてもこんな風には見ていないかもしれませんが。
 今回展示して、一番良かったなあと思えるのは、会場を貸して下さった「ぐらん・ま」の大平さんが喜んで下さった事です。あんまり気に入らない写真を、長期にわたって展示しなければならないようなら、苦痛以外の何物でもないですもん。「写真から風が吹いてくるのを感じられる」なんて、最高の嬉しい言葉をいただいてしまいました。
 会期中に、一回は写真を入れ替えますので、その時に撤収した写真は、このホームページ「写真販売コーナー」に載せるつもりです。会場まで来られない方も来てくれた方も、どうぞ見てやって下さい。12月3日までやってますので。(毎週月曜日と第1・3日曜日はお休みです)
2005年11月2日 水曜日
写真展の題名決定
 写真展の題名は「僕の見た風景 第八回」です。主に美瑛町で撮影した写真を展示します。今からポスターなどを作らなきゃならないんだけど、頭が畑と紅葉に向かっていて、なかなかイメージがわかないんです。今日もカラマツの黄葉を見ながら、畑仕事(草取りとハスカップの苗木植えといちご畑の手入れとゴボウの収穫)をしてしまった。一体どうなる事やら。
 カラマツの黄葉は、今が見頃です。すっかり黄色くなって、日が差すとものすごいコントラストで圧倒されてしまいます。昨日も、あまりにもきれいで美しすぎて、写真を撮れませんでした。こういう時は見て感動して、心を満たしてあげた方がいいんだと思います。写真を撮る事に夢中になっていたら、肉眼で見えなくてもったいないです。
 毎年違った紅葉、木一本一本違う色で、葉っぱ一つ一つに個性があって、いつ見ても飽きる事がない。文字でも写真でも表現出来ません。日本語の才能も写真の技術も無いからかもしれませんが。「とにかく見て下さい」、そうとしか言えません。
 話を戻して、写真展の中身は大体決まってきてますが、途中で写真を入れ替えます。「風景」と言っても、接写から一般的な風景写真までひっくるめてのものを展示します。あくまで自分自身が肉眼で見た全てのものです。いろんな人に喜んでもらえたらと思います。お楽しみに!
 

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Last updated: 2008/12/30

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