職員室から

園長から

2011年11月29日

  19日、土曜日のお昼、沢山のお母さん方、そしてお父さん方もー緒に大掃除を終え、 帰られた後のいつもと違う廊下の明るさに、思わず声をあげてしまいました。力を込め、心を込め て磨いてくださった壁、張り替えてから何年経ったか、ずいぶん汚れていたのだと改めて驚きまし た。でもそれは、たくさんの小さな手のわざ(時に足も?)、成長の証でもあったのだと、ほほえましく、 うれしくもありました。
 日頃、ちらちらと見上げて気になりながらも手の届かなかった天井、蛍光管、そして換気扇まで、 目立たないところまでしっかりと手を入れすっかりきれいにしてくださいました。心から御礼申し上 げます。先週私たちの間では、「ありがたいですね」という言葉が何回交わされたことか‥‥‥。  心をきれいにしてイエスさまを迎えましょうと、子どもたちと始めたクリスマスの準備ですが、 お父さんとお母さん方に先を越されたかな、との感じさえしました。隠れたところまで徹底的にきれ いにしてくださったので、今年のクリスマスは、みなさまのために幼子イエスさまとマリアの祝福が いっぱいあることでしょう。「充実感があった」との言葉もうかがって、更に感謝を深くしました。  今週はまた、ほんの部屋の絵本の手入れをありがとうございます。
幼稚園の隅々まで、保護者の方々の心が行き届いている…、なんと嬉しく、有難いことか!
子どもたちと共によいクリスマスをお祝いできますように。

小さい花より


2011年10月28日

経験で育つ子供たち
 ばら組の子どもたちが、両手におさらをもって給食室へ急ぐ足音、帰りはお皿の中味を得意そうにみ せながら、なぜか職員室を通過してゆくその笑顔‥・。初めての運動会もすみれやゆりの練習をみな がら、会を重ねて自分たちの競争や演技として身に着けてゆくその姿に驚きました。また、
2、3日前のこと、砂場の大きいふるいを砂でいっぱいにし、両手で砂を混ぜていました。その手元を 見て感心したのは10本の指をそれぞれに動かし、混ぜるというよりほぐしていたのでしょう。とにかく 3歳児とは思えない指のつかいこなし、しかもそこに居合わせた3人がみな同じだったことに、本当に 驚きました。4月から、もしかして入園前から何気なく楽しんできた砂遊びでしょうかが、こんな姿が見 られるとは!毎日の繰り返しの力をもっと見直したいと思います。
 運動会でちょっと背伸びをしてすみれさんの活動に加わったゆり組さんも、どこで見ていたのか、す みれさんの作ったものを今回の家つくりのヒントにしていたように思われます。自分たちの発想はあり、 先生の援助があっても、思ったことを実際に形にするには、やはり憧れの年長さんがあんなに作って いる、そして「かっこいい」と思って初めて「自分も」という気持ちになるのではないか、先輩を見て取 り入れ、自分らしく作り上げる、これも貴重な経験と思います。
 すみれさんもこの頃、いろいろな面での成長が顕著です。
運動会、老人ホーム訪問、たんぽぽさんとのお店屋さんごっこ、お泊まり、親子製作会に向けての製 作、その都度の新しい経験が、次の機会には確かに生きていて驚くことが多くあります。 老人ホーム孝穂館に行く朝、北松本駅でめいめい切符を買いました。駅員の方に行き先を告げて切 符を受け取ることも少しおぼつかなくみえた子どもたちが、帰りの有明駅ではほとんど全員がはっきりと 「北松本まで子ども一枚ください。」ということができました。行きと帰りのこの違い、この進歩、経験の 尊さを深く印象つけられました。
 「危ない、危ない」「まだ早い」だけでなく、また文字を書いたり読んだりできることを気にする前に、手 を使い、体を使ってできること、日常生活に必要な経験をたくさんさせてあげましよう。ただし、させっ ぱなしではなく、よく見守りながら‥・。子どもは言葉だけでは育ちません。体を使ってこそ学んでゆき ます。

小さい花より


2011年7月22日

 池田クラフトパークの一日、猛暑の中をありがとうございました。
午後は遊具が熱くなるほどの日差しでしたが、この日私には、三つの大きな感動がありました。 先ずは、子どもたちの元気なこと!同じ遊具に何度も挑戦するばら組さん、草むらに蛙やばった を探したり、トンボを追いかけたり、汗びっしょりになって走り回るゆりさんとすみれさんの姿にたく ましさを感じました。 二つ目、お母さん方が、あの炎天下、子どもたちと一緒になってほんと うによく動いていらしたこと。とくに、小さい妹さん、弟さん、未満児の赤ちゃんを達れていらした方 は、2倍も3倍もお疲れだったでしょうに、どのお母さんの表情にもそれが感じられず、頭の下が る想いでした。子どもたちをほんとうに大事にされているのだ‥・と。すばらしいお母さん方で す!!  そして三つ目、小さな日陰しか見つからない場所でしたが、静かに休んでいると、ど こからともなく吹いてくるそよ風、その気持ちのよかったこと! 自然の風が一番だと改めて思 ったひとときでした。
 さて明日から夏休み、「さあ大変、どうやって過ごそうか…」と悩んでいる方がありますか?無 理もないことと思います。が、この夏は少し考え方を変えて、今しか子どもと一緒にできないこと -どんな小さなことでも-を楽しんでみてはいかがでしょうか。すみれさんにとっては宿題のない 最後の夏休みとなるでしょう。手伝いを頼めばかえって後が大変、それもわかります。大人中心 に考えれば確かにその通りです。そこで視点を子どもの高さに降ろし、上から見下ろすのでなく、 『子どもと一緒にするのだ』と姿勢を変えることによって、違うものが見えてくるのでは?  台風も去り、これから更に暑さが厳しくなることでしよう。
幼稚園では今年保育室に扇風機を入れましたが、エアコンは本の部屋だけ、これは大人のため、 そして子どもが具合悪くなったりした時のためです。子どもたちは「あつい、あつい」「みず、みず」 といいながら、それでも元気に走り回って遊ぶことを、そして、給食を何回もおかわりして食べる ことを、うれしく思っています。
地球の温暖化はこれからも進むことでしよう。暑い中での活動と涼しい休息のメリハリのある生活 は大切ですが、いつもエアコンのきいた部屋で快適に過ごすだけでは、強い体を作れません。沢 山汗をかける体になるように。その後には、わずかの風にも『ああ涼しい、気持ちがいい!』と感 じられるような、敏感な休と感性の子どもでいて欲しいと思います。それぞれの工夫で、たのしい 夏休みをお過ごしください。
    ―学期を無事に終えられたこと、皆様のご協力に感謝して

小さい花より


2011年5月27日

昨日はこいのぽり運動会に、ご出席、応援をありがとうございました。
子どもたちは張り切っていましたが、今回はどちらかと言うと先生主導によるもの でした。秋には、子どもたちの発想をより活かし、特に年長さんには、運動会全体を盛り上げ、 みんなを引っ張っていってくれるような、子どもの主体性を中心の運動会を目指したいと思い ます。
 昨日はお母さんの姿を見ながらそばに行けない切なさからでしょう。ばら組さんには、泣き 声の止まない時もありましたが、入園から2ケ月、成長の目覚しさに驚くばかりです。また、ば ら組さんを迎え、初めての体験として4月にお世話したことで、変化し始めたすみれさんの姿 を見るとき、人間はやはりさまざまな人との関わりで育つということを実感します。
これまで、何をするにも自分中心のことがおおかったKちゃんも、一人のばら組さんを可愛い と思って身の回りの世話をしたり、会えば手をつないで遊びにさそったり、どうしているかと気 にかけたり、などの体験を積み重ねるうちに、クラスの仲間とも自然な関わりができるように なりました。先生やお友達の注意を惹きたくて、何かと人の困ることをしていたのに、その回 数も減り、少しずつですが周りと会話をし、協力もできるように変わってきています。
誰かを可愛いと思う、好きになる、できるだけそばにいたいと思う、そしてその子が喜ぶこと を探す‥・ようになると、自分だけの満足を求めていた時には得られなかった快感や、喜び を味わうことができるのでしょう。
理事長の梅村司教様が『人は愛される体験なしに、他者を愛することはできません。』
と言われるとおり、Kちゃんはきっとご両親や家族から沢山の愛を受けているのでしょう。そこ へ今、新しい出会いがあって触発されたのかも知れません。幼い子ども同士であっても、他 者をいとおしむ体験は確かにその子をうち(中)から変えてくれるのではないでしょうか。
Kちゃんに限らず、それぞれの子どもは遅かれ早かれこのような経験をしながら人間関係を 構築し育ってゆくのでしょうから、私たちはもっと注意して子どもを見なくては‥・そして形は 違っても全ての子どもにそのようなチャンスが与えられるようにと願わずにいられません。

小さい花より


2011年4月

今まで考えても見なかった大きな災害に、日本全土が揺らいでいる中で新年度を 迎えました。皆さまのご家族、親族、お知り合いで被災地にいらした方はいかが だったでしょうか。地震の日から毎日お祈りしていますが、現地は想像を絶する 窮状にあることを知らされる度に心が痛みます。
子どもたちと一緒に私たちもこの一年、苦しみの中にある方々の心に寄り添って 祈りながら、出きることをしたいと思います。皆様も子どもたちと共に考えて、 具体的なご提案、ご協力をいただけますように。まだ事情をよく理解できない幼い 子どもたちであっても、私たち大人が真剣に心を砕く姿の中にあれば、何か 大切なことを感じ取り、学びながら成長することができるのではないでしょうか。
思う存分園生活を楽しみながらも、いつもとは少し違う経験になってくれればと 願いながら、年度初めのご挨拶とさせていただきました。
改めまして 入園、進級心からおめでとうございます。

小さい花4月号より


2011年2月25日

小さな”憧れ”が育ちのバネに

 今、すみれ組の子どもたちは、4月からも幼稚園で遊ぶ子どもたちのために、
木工でいくつかのテーブルを作っています。「なにしているの?」と言っては近付いて くるゆり組さんやばら組さん、すみれの子は出来上がったらプレゼントすることを 内緒にしているので口ごもります。釘の箱にいきなり手をつっこんだり、金槌や のこぎりを握ってみたり、「こわいよね。」「あぶないよね。」など・・・。
その騒ぎの中で、一人黙ってすみれさんや私の手元を見つめるばら組のKちゃん、 毎日どこからともなく現れて、みんながいってしまってもその場を動きません。
私にとってはKちゃんが見守ってくれているという心強ささえ感じられます。
少し危なっかしい手つきでも、のこぎりを使っているすみれさんを見て、ポツンと一言、 「カッコイイ!」と。
 すみれの子どもたちの中には、「ばらぐみさんには、まだ、むり、むり」といきなり 言ってしまう子もいれば、「あのね、Kちゃんもすみれさんになればできるからね。」と やさしく話しかける子も・・・。なんと言われてもKちゃんの関心はその作業にあるようで、 真剣なまなざしには、驚きとともに、『自分もやってみたい』との憧れが輝いています。
 きのうは、ゆり組さんが先生の回す大縄で縄跳びをしていました。10人ほどのばら組の 女の子がこれも先生とポーチに腰掛け、ずらりと並んで見学。どのゆり組さんも 「いち、にい、さん、・・・さんじゅう・・・よんじゅう・・」続けて飛ぶその姿に みんなの目は釘付けでした。そこにも驚きと憧れがキラキラしています。
「ゆりさんになったら・・・。」「すみれさんになったら・・・。」「ぼくだってー」 「わたしもー」・・・今はこんな憧れのきもちがみんなの心に膨らむ季節(とき) なのでしょうか。
 そこに近付こう、やってみたい、との意欲が生まれ、頼もしい成長へとつながるのでは ないでしょうか。
 やさしく、あたたかく、憧れが生まれ育つ土壌をつくることを、私たちは心がけたいと 思います。

一年間、ありがとうございました。

小さい花3月号より