NOVEL
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お昼休み。
僕はいつもよりちょっと急いで給食を食べてた。
今日、桐谷くんは休みだった。
先生は、ただケガをしただけって言ってたけど、
たぶんせんぱいになぐられたケガが
まだ治んないんだと思う。
桐谷くんがいないから、
他の僕をいじめてたメンバーたちも
何もしてこなかった。
でも、それを昼休みになってやっと気づくほど、
今日の僕は頭の中がせんぱいのことでいっぱいだった。
食べ終わった。
急いで食べたから、ちょっとおなかが苦しい。
どうしようかな、
せんぱいの教室行ってみようかな・・・・・
やっぱりやめとこう。
昨日、怒られたばっかりだし
今会ってもまたせんぱいは怒るだけだと思う。
給食、早く食べ終わったから
せんぱいのクラスへ行く時間はあったけど、
僕はふつうに友だちとしゃべったりして過ごした。
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放課後。
終礼が終わって、
僕が教科書とかをかばんに入れてたら、
「なぁ、笹原」
声をかけられた。
「なに?」
声をかけてきたのは間島くん。
今年になってクラスが初めていっしょになったから、
まだあんまりしゃべったことない。
「おまえさ、
この前うちのとなりのアパート来てなかったか?」
「えっ!?」
すごい、どきってした。
アパートってのは、
すぐせんぱいのアパートのことだって思った。
なんか、それぐらいアパートって言葉に
びんかんになってる。
「そのアパートの馳って家から、
笹原が出てくるところ見たんだけど・・・」
「え・・・、あ、うん・・・・・」
まさか間島くんが、
そんなせんぱいの近くに住んでたなんて・・・
僕がせんぱいにやらされてること。
それが間島くんにバレたのかと思って、
全身から汗がふき出しそうになった。
「あの家のヤツと知り合いなの?」
「う、うん、ちょっとね・・・」
どこからバレたんだろう?
気づかないうちに見られてたのかな?
それとも僕の出しちゃった声が
聞こえちゃったのかな?
あんなの、バレたら僕、また・・・
どうしよう、どうしよう・・・・・
「あの家の智也ってヤツ、
あんま付き合わねぇ方がいいぞ」
「へ?」
今の間島くんの言葉、ちょっと予想外だった。
だから、ホッとした。
「アイツさ、すげぇ問題児なんだってよ」
「も、もんだいじって?」
「母ちゃんから聞いたんだけどさ、
あの家、父ちゃんがいなくて
その智也ってヤツとそいつの母ちゃんの
二人暮しなんだって」
「へぇ・・・」
やっぱり・・・
家族のことで何かあったんだ・・・・・
だから、僕が「だれもいないの?」
って聞いた時、怒ったのかな・・・・・
「それで母ちゃんが仕事してて、
ほとんど智也ってヤツにかまってやれなかったから
そいつ、ひねくれて万引きとか
カツアゲとかするようになったんだって・・・」
「そんな・・・・・」
せんぱいがそんなこと・・・
確かに、ちょっと悪そうな感じはするけど・・・・・
「1回、警察ザタになってからは
もうしなくなったみたいだけど、
笹原も気をつけた方がいいぞ?」
「う、うん・・・」
気をつけるもなにも、もう・・・
って思ったけど、とりあえずうなずいといた。
「じゃあな!」
「あ、うん、ばいばい」
間島くんが行っちゃってから、
僕はしばらく動けなかった。
せんぱいの家、そんなことになってたんだ・・・
お父さんがいなくて、
お母さんもお仕事ばっかりだから
万引きとかカツアゲ・・・・・
せんぱいはお父さんがいない・・・
僕の勝手な想像かもしれないけど、
写真を飾ってるくらいだから
お父さんのことがすごく好きだったんだと思う。
もしかしたら、さびしいのかもしれない。
その、家族のことを僕が言っちゃったから
ちょっとイヤな気がしたってのはわかる。
でも・・・
なら、なんで僕にあんなこと・・・
そこだけは・・・、まだ納得できなかった。
やっぱり、ちゃんとせんぱいに聞いてみた方がいいかな・・・
放課後。
今日はどうしよう。
昨日はちょっとだけ
せんぱいのことがわかったけど、
けっきょく会ってないしな・・・
どうしよ、せんぱいのクラス
行ってみようかなぁ・・・・・
———あれぇ・・・
せんぱい、いない・・・・・
終礼が終わってすぐ来たのに、
もう帰っちゃったのかなぁ。
何回教室の中を見回しても
せんぱいはいない。
しょうがないや・・・
かえろ・・・・・
そういえば、しばらくせんぱいに会ってないなぁ。
前みたいに待ち伏せしてくることもないし・・・
僕が家のこと聞いちゃったのを
まだ怒ってんのかな・・・・・
なんか、ちょっと前までは
ぜったい会いたくないって思ってたのに、
今は会えないのがじれったいみたいな気もする。
ベ、別にえっちなことしてほしいとか
そんなんじゃなくって、
せんぱいのことが気になるってゆうか・・・
そんなこと考えながら、道を歩いてた。
———あれ・・・?
今、コンビニから出てきたの・・・せんぱい?
それっぽい後ろ姿の人が、
ちょっと前にあるコンビニから出てきたんだ。
たぶんそうだと思う。
確かめようと思って、
足音をたてないようにはや歩きして
後ろから近づいた。
やっぱりせんぱいだ、まちがいない。
声かけなきゃ・・・
でも、きんちょうするなぁ・・・・・
「あっ、あのっ! せんぱい!」
ちょっと声が裏返っちゃった。
「・・・・・」
せんぱいがこっちを振り向いた。
でも、なんにも言ってくれない。
僕が・・・しゃべんなきゃ。
「あ、あの、このまえ・・・・・」
「・・・・・」
———えっ?
僕が話してんのに、
せんぱいはそっぽ向いてまた歩き出しちゃった。
「ま、まって・・・」
僕は走って追いかける。
———がしっ!
そして、せんぱいの肩をつかんだ。
歩くのはやめてくれたんだけど、
まだなんにも言ってくれない。
やっぱり、この前のこと怒ってんのかな・・・
「あ、あの・・・」
「おい」
僕がしゃべろうとしたら、
せんぱいがやっと声をかけてくれた。
「もういいから、オレに声かけたりすんな」
「え・・・?」
なんかその言葉、
胸ん中がずきんってしたような気がした。
「じゃあな」
吐き捨てるみたいに、
それだけ言ってせんぱいはまた歩き出した。
「・・・・・」
しばらく、ぼうぜんとなった。
なんか、すごいイヤな気分だった。
どう言っていいのかわかんないんだけど、
でっかいわだかまりができた気がした。
もうせんぱいと会わない・・・。
あんなはずかしいこととか、もうしなくていいんだけど
なんか・・・・・
ほんとなら、このままさよならするんだけど
せんぱいのこと、ちょっと知っちゃったから・・・
おせっかいなかもしれないけど、
このままだったら後で後悔しそうな気がした。
もう少し、せんぱいと話したいって思った。
———だっ!
せんぱいの背中は、もうかなり小さくなってる。
それを目指して僕は走り出した。
「せんぱい!」
今度は、叫んだ。
「なんだよおまえ、うぜぇな!」
せんぱいも、叫んだ。
「はぁ・・・はぁ・・・・・」
走ってたから、なかなか息がもとにもどらない。
「あの、ボク・・・
せんぱいのこと、よくわかんなくて・・・・・」
「はぁ?」
なんか、ものすごく面倒くさそうな返事。
でも、ボクは続けた。
「ボクに・・・、なんであんなえっちなことするのかとか・・・」
「・・・・・」
「それに・・・、
せんぱい、もしかして淋しいんじゃないかって思って・・・」
そう言ったら、せんぱいはすごい顔で
僕のことをにらんだ。
「なに言ってんだ、てめぇ」
「だって、せんぱいのおとうさん・・・・・」
「・・・・・」
歯をくいしばって、にぎりこぶしを作ってる。
いつもの僕なら、ここで逃げ出してると思うけど
今は勝手に言葉が出てきた。
「もし、さびしいんだったら、ボクが・・・・・」
「・・・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・・・」
一気にしゃべったから、まだ息が荒い。
「・・・・・」
「はぁ・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「ふふ・・・・・」
「?」
いきなり、せんぱいが笑った。
「オレが淋しいなら、
ボクが友だちになってあげようか、ってか?」
「え・・・」
なんか、イヤな予感がした。
「ならなってもらおうじゃねーか!」
すごいおっきな声。
感情むき出しって感じがした。
いつものクールなせんぱいの姿は、
もう、なくなってた。
「ほら、こいよ!」
「いたっ!」
らんぼうに僕のうでをつかんで、
せんぱいは歩き出した。
「や、やめて・・・!」
「うるせぇ!」
引きずられるみたいになってると中、
なんでこうなっちゃったんだろうと思った。
僕はせんぱいのことが気になって、
知りたかっただけだったのに・・・・・
それが、せんぱいをまた怒らせちゃった。
僕の言い方が悪かったのかな・・・
今日、これかどうなるんだろう・・・・・
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せんぱいの部屋。
予想はしてた。
ここに連れてこられてすぐ、
せんぱいの命令で僕ははだかにされた。
前の時のせんぱいも恐いって思ったけど、
今の恐さはその時とはちがう。
ちょっとでも逆らったら、
すぐなぐられそうな感じがする。
目がちがうってゆうか・・・
今はすごい血走ってるみたいな気がする。
それが恐くて・・・
ぬげって言われた時もぜんぜん抵抗できなかった。
だから今、僕は上も下もくつ下もぬいですっぱだか。
なんとか手でちん×んはかくしてるけど、
せんぱいが僕のことをじっと見てて
やっぱりはずかしい。
———がさ・・・
「?」
ベッドにこしかけてたせんぱいが、
たなの中から雑誌を取り出して
ぱらぱらページをめくり出した。
な、なにするつもりなんだろ・・・
まさか、僕をこのまんまにして
雑誌を読むとか・・・、まさかね。
———ばさっ!
って思ってたら、せんぱいはその雑誌を
僕の前に放り投げた。
「おまえ、そこに書いてあるみたいにやってみろ」
「え・・・?」
そう言われて、せんぱいに見えないように
しっかりちん×んを押さえてその場にしゃがんだ。
「えっ、えぇ!?」
その雑誌に載ってた写真、
見てすっごいびっくりした。
だって・・・そこに写ってたのは、
女の人がはだかで男の人のちん×ん、
口にくわえて・・・・・
「はやくしろよ」
そんなことするなんて、信じられなかった。
そんな、おしっこするところなのに・・・
すごい汚いって思った。
だけど、せんぱいは・・・・・
ぜったい、許してくれそうになかった。
「おい」
その写真にくぎづけになってた僕に、
せんぱいが声をかけてくる。
頭をあげてせんぱいの顔を見たら、
やっぱり僕をにらんでるだけ。
それが、絶望感みたいのを感じさせた。
———ずっ・・・
ベッドにこしかけて、
足を広げてるせんぱいのとこへ近づいていった。
もう、こうするしかないんだ・・・。
「あの・・・」
ベッドに座ってるせんぱいに対して
僕は床に正座だから、
すっごく見下されてる気がする。
そして僕の目の前には、
広げてる足と足の付け根・・・・・
「はやくしろって言ってるだろ」
頭の上から、冷たい言葉が降ってくる。
僕は、せんぱいのズボンに手を伸ばした。
———ジー・・・
チャックをおろしたら、パンツが見えてくる。
そのパンツのゴムんとこを持って、
下におろした。
———ひっ・・・!
いっしゅん、恐かった。
せんぱいのちん×ん、すっごく大きい。
しかも立ってる・・・・・
僕のとぜんぜんちがう。
先っちょとか、皮がなくってむき出しになって
どくどく脈うってるのがわかる。
これを僕がさっきの女の人みたいに・・・
って思ったら、やっぱり恐かった。
「モタモタすんな」
「ぐうっ!!!」
せんぱいが僕の頭をつかんで、
ちん×んに押し付けた。
先っちょがほっぺに当たった。
「・・・・・」
もう、かんねんした。
———あん・・・
そっと口を開けて、
ゆっくりゆっくりせんぱいのちん×んに近づけてゆく。
僕は、震えてたと思う。
———ちゅっ
先っちょのことだけを、口に入れた。
そのしゅんかん、口の中に
むわーってヘンな匂いが広がった。
なまあったかくって・・・
やっぱりイヤだよぅ・・・・・
「もっと奥まで入れろよ、グズ!」
「ふぐっ!!」
それなのに、せんぱいはもっと強く
僕の頭を押しつけてきた。
先っちょだけをくわえてたのが、
一気に中まで入ってきてのどの奥に当たった。
「舌動かしたり、吸ったりするんだよ」
僕の頭を両手で押さえたまま、せんぱいが命令する。
口の中がちん×んでいっぱいになって
すごく息苦しいんだけど、
僕は言われたとおりに舌を動かし出した。
———ちゅっ・・・ぢゅるっ・・・・・
よくわかんない。
だけど、とりあえず舌をいっぱい動かしてみた。
舌の先っちょとちん×んの先っちょをあわせて
ちろちろなめてみたり、
ちん×んの裏っかわのとこを
べろってなめてみたり・・・
「なかなかうめぇじゃねぇか、このヘンタイ」
「うぐぅ・・・」
せんぱいが、やらせてるくせに・・・・・
だけど、すっぱだかでちん×ん口に入れて・・・
ヘンタイって言われてもしょうがない気もして、
それがちょっとイヤだった。
「吸え」
また、命令。
———ちゅうぅぅぅ・・・
ストローみたいにして、吸いあげる。
もう、従うしかないんだから・・・・・
なんか、しょっぱいのが口の中に流れてきた。
これってもしかして、
僕もいっぱい出しちゃった透明な、えっちなお汁・・・?
どんどん出てきて、
つばと混ざって口の中にいっぱいたまっていく。
吐き出したいけど、
そんなこと許してくれるはずないから
僕はそれを飲み込んだ。
きたないって思うけど、しょうがなくて・・・
———ふあぁ・・・
なんだか、そん時から僕の体が熱くなってきた。
まるでさっき飲んだせんぱいのえっちな汁が
薬になってたみたい。
はだかで、ちん×んしゃぶってるなんて
ヘンタイだって思ってたのに、
今はそうじゃなくて
なんか別の、ヘンな気持ちになってきて・・・
———ぎゅっ!
「うあぁんっ!!!」
いきなり、僕のちん×んにすごい衝撃が走った。
見てみたら・・・
せんぱいが足の裏でちん×んを
僕のおなかんとこに、ぐにぐに押しつけてるんだ。
「おい、なんでお前まで硬くしてんだよ?」
「ふぇ・・・?」
言われてやっと気づいた。
僕のちん×ん・・・、せんぱいのとおんなじように、
おっきくなってた・・・・・
「やっぱりヘンタイだな、
オレのチ×ポしゃぶって勃起させてるなんてよ」
「ふぐぅぅぅ・・・」
ちがう! って言いたいけど、
口の中がちん×んでいっぱいだからしゃべれなくて、
僕は首を横にふった。
「じゃあ、コレはなんなんだよ?」
「ふぁ、あぁぁ・・・・・」
今度は僕のちん×んを
足の親指と人差し指ではさんできた。
そしてそれを上と下に動かしてきて・・・・・
「ふぅんっ、くうぅぅ・・・・・」
おなにぃの時と、ぜんぜんちがう。
手じゃなくて足だから、すごいらんぼうに動いてきて
先っちょの皮がめくれたり、もどったりする。
でも今は、そのせんぱいの
らんぼうな動きでさえも・・・・・
「おい、口休ませてんじゃねぇよ」
「ぐっ!!!」
また、頭を押しつけられた。
今までで一番奥深くまで、ちん×んが入ってきた。
———ぐちゅっ、じゅるるっ・・・
僕の口元と、ちん×んのあたりから、
おんなじような音が出てる。
口元のは、せんぱいのちん×んを吸ったり、
舌をいっぱい動かしてなめてる音。
ちょっと前まではあんなにイヤだって思ってたのに、
せんぱいのえっちな汁、飲んじゃってから・・・
おかしくなった。
その汁だって、もう汚いって思わない。
なんかもう、それをしぼり出すみたいな感じで、
僕はちん×んを吸ってた。
そして飲み込むたんびに、どんどん身体が熱くなってきて、
もっとわけわかんなくなってくる。
そして、僕のちん×んからもそれとおんなじ音。
せんぱいが足の指で僕のをはさんで、それを動かすと
皮がめくれた先っちょから
ヌルヌルの汁が飛び出してきて・・・
「お前も興奮してるんだろ?」
答えられなかった。
でも、それを聞いて
せんぱいの息も荒くなってるのがわかった。
「くっ・・・、出すぞっ・・・・・!」
ほんとなら、こんなこと言われたらすぐに
ちん×んを吐き出すんだけど、
今は、なんでかそのままでもいいと思った。
僕のちん×んも、
おんなじような状態になってたからかな・・・・・
———きゅぽん!
その時、せんぱいの手が
僕の頭をちん×んから離した。
———びゅっ、びゅるるっ・・・!
そして、目の前のちん×んから
せいえきが飛び出してきた。
それが、僕のおでことか、ほっぺとか、鼻とか、
口のあたりにいっぱいくっついていく。
「く・・・ああっ・・・・・!!!」
———ぴゅるるっ・・・!
せんぱいの精液を顔にかけられながら、
僕も射精しちゃった。
僕のちん×んから飛び出したのは、
自分のおなかのとこにいっぱいかかってる。
「ふぁぁ・・・はぁ・・・・・」
やっとせんぱいのちん×んから、精液が止まった。
そして、僕の顔はそこから出たのでべとべと。
すごいあったかくて、匂いが鼻をつくんだけど、
それをぬぐう力もなくって
じゅうたんに手をついたまま、ただ息をしてた。
おなかのところは
僕が出した精液で白くなってて、
なんか自分で精液まみれって感じがした。
「はやく・・・顔洗ってこいよ」
せんぱいが顔をそむけながら言った。
どうしたんだろ、なんかふるえてるような・・・
そんなせんぱいの姿を見ながら、
僕は洗面所へ向かった。
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顔洗って、部屋へもどったら・・・
せんぱいの様子がおかしかった。
「おまえ・・・、もうオレにかまうな」
ベッドに座って、うつむいて、
手をおでこあてながら・・・・・
小さくそう言った。
「・・・・・」
なんだかその姿がちょっと弱々しく見えて、
僕はなんにも言えなかった。
「今までお前にしたことは悪かったから・・・
だから、もうオレんとこに来ないでくれ・・・・・」
「・・・・・」
なんって言ったらいいかわかんない。
言葉がぜんぜん見つかんなかった。
もしかしたら、何も言わない方がいいのかも
って思った。
———ガチャ・・・
戸を開けて部屋を出ようとした時、
もう1回せんぱいを見た。
やっぱり、うつむいてるままだった。
なんだか、ちょっとさみしい気がした。
これでいいのか、今はよくわかんなかった。
「もう、オレのところに来るな・・・」
その言葉が、
朝起きた時からずっと離れなかった。
あの、ちょっと寂しそうなせんぱいの顔を
忘れることができなかった。
だいたい、せんぱい勝手だよ。
僕に・・・あんなえっちなことしたり、
桐谷くんたちから助けてくれたり・・・
僕をどうしたいのか、全然教えてくれないくせに
いきなりもう来るな、なんてさ・・・・・
そんなこと言われたって、
気になるに決まってんじゃん・・・・・
お昼休みになった。
給食も食べ終わった。
もう来るな、って言われたけど・・・
どうしようかなぁ・・・・・
怒られるだけかもしれないけど、
やっぱりこんまんまじゃ
わだかまりが残ったままになるから、
せんぱいのクラスに行ってみることにした。
ちょっときんちょうする。
学芸会の劇で全校生徒の前に出たときより
きんちょうしてるかもしれない。
そんなこと思いながら、
せんぱいのクラスの前まで来た。
———えぇっと・・・
教室じゅうを見回してみたのに、
せんぱいの姿は見当たらない。
もう給食食べ終わって
どっか遊びに行っちゃったのかな・・・
せんぱい、遊びに行くって感じ
しないんだけどな。
このクラスの人に聞いてみるのも
上級生だからなんか怖いし・・・
もう1回見回してみたけど
やっぱりせんぱいはいない。
「ふぅ・・・」
せんぱいに会うってことできんちょうしてたのが
なんか一気にしぼんじゃった。
また放課後にも来てみようかな、
って思いながら自分の教室に帰ろうとしたら、
「おい」
後ろから声をかけられた。
「え?」
僕が振り向いたら・・・、せんぱいがいた。
なんだか、いつもよりももっと大きく見えて
僕を見下ろしてるその姿が
やっぱり怖く感じた。
「あっ、あの、えっと・・・・・」
せんぱい、いきなり出てきたから
あたふたして何を言ったらいいのか
全然わかんない。
「おい」
「は、はい?」
昨日のせんぱいはなんか寂しそうだったのに、
今日のはまた怖いせんぱいにもどってる。
「おまえ、もう来んなって言っただろ!」
「ひっ・・・!!!」
いきなり、むなぐらをつかまれた。
僕は背がちっちゃいから
足が地面から浮いちゃう。
「これ以上つきまとうんだったらな・・・」
今度こそなぐられると思った。
それほど、せんぱいは怒ってるみたいだった。
周りの人たちもそんなせんぱいの姿にびびって
誰も助けてくれそうにない。
「だ、だって・・・」
やっぱり来なきゃよかったのかな・・・
今のせんぱいの顔見たら
そんなこと考えちゃう。
つかまれたむねのあたりが、
ちょっと苦しくなってきた。
「・・・・・」
なぐられると思ったけど、
せんぱいは僕の顔をじっと見つめたまんま。
それがすごく怖いってことに
変わりはないんだけど、
なんだかヘンな感じがする・・・。
「せんぱ・・・」
僕が声をかけようとしたとき・・・、
「おい! なにやってんだ!」
先生がかけつけてきた。
名前は知らない。
たぶんせんぱいたちの学年担当なんだと思う。
「ちっ・・・」
ひとつ舌うちをした後、
せんぱいは僕をはなしてくれた。
「おい馳、お前何やってんだ?」
「うるせぇ、てめぇに関係ねぇだろ」
相手が先生なのに、
すごい口のきき方だと思った。
「ちょっと待て!」
先生がそう言ってるのに
せんぱいは無視してそのままどっか行っちゃった。
「大丈夫だったか?」
残った僕に先生が声をかけてくれる。
「は、はい、だいじょうぶです・・・」
「おい、もし馳に何かされてるんだったら・・・
お、おい!」
なんか面倒くさそうなことになりそうだったから、
僕も先生の話をムシして走り出した。
せんぱいが怒るのは予想してたけど、
あんなに怒るなんて思わなかったな・・・
けっきょく、言いたかったこと
なんにも言えなかったし・・・・・
僕、これからどうしたらいいのかな・・・
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