■鉄道趣味と鉄道実務
鉄道ファンが鉄道実務に就くことは、様々な意味で有用であると思います。パノラマカーに憧れて名鉄に入社した人も意外と多くおられます。
しかし、経営管理者が鉄道ファンであることは明らかに大きな害がありますし、どこでも嫌われたり困られたりすることは当然です。
もし、鉄道ファンが経営管理に当たるならば、鉄道ファンであることを全て捨て去ることが用件ですが、元々が趣味であるために、それを捨て去るつもりでも難しく、道を誤ることが多いように思います。
それとは別に、経営者が反骨精神を保ち、独創性を発揮することは、(趣味的ではなく事業的にも)必要であるのみならず、必須の要件でもあります。
この点は鉄道趣味誌も同じで、他誌を見たり民主的アンケートのみによるべきではなく、一つのポリシーを持って読者をリードすることが最後の勝者になると信じます。
■レールファンのレベルアップ・国際化を
レールファンは勝手にやっているので自由ですが、21世紀を目指す日本のレールファンの皆さんへの希望として、表面のみを見ずにもう少しレベルアップをして欲しい、交通経済の本や、レルウエイガゼット位も少しは読んでもらいたいと思います。
日本の鉄道ばかりに捕らわれる、鎖国的教養の人が多いようで、海外鉄研もありますが、もっとワールドワイドに見て欲しいものです。
レールウエイジャーナル(IRJ)の記事にしても欧、米、日本と実に均等に見ており、さすがだと思いますね。
■世界の情報を集める
私にとって、世界の鉄道技術情報が割に早く入ってくるのは強みであり、今もいろいろな活動の材料となっています。
欧米の鉄道技術者との交流は、終戦直後早くから始め、今では東欧を含む各国の人と交流をして情報網を作っているために、情報が早く入ってきます。
また、これにより国際的評価もできるということになります。例えば日本のDC、DLは創立以来最低レベルであったなどということも分かってきます。
国際交流、国際情報の話になると面白い話が限りなくあるので省略しますが、エンジニアでなく鉄道を愛した人としては、アメリカ人で「ホーボーズララバイ」を作曲したウッディー・ガスリーに憧れています。
■そして未来へ
私はパノラマカーの後、東京モノレール、昭和45年に大井川鐵道で日本で初めてのSL動態保存から保存鉄道への歩み、そしてアプト式鉄道の建設などに関係し、それぞれに多くの感動的なドラマを体験してきました。特にアプト式は事実上の技術開発であったために、企画より10年を要し、スイスとの対応など長編小説のごとく、いや、小説より奇なるドラマが続きました。これらも大変面白いのですが、また、後日に譲ることとして近未来について少し申し上げます。
パノラマからアプト式の間に欧米の保存鉄道、泰麺鉄道のイギリス軍人、国際姉妹鉄道の人など世界の友人が増えましたが、今の日本の鉄道界があまりにも閉鎖社会であるのは問題だと思います。新幹線の300系のフェーブリのシングルアームパンタが政治的圧力で消えたり、電車、気動車は世界中でEMU、DMUと呼ぶのに日本だけEC、DCでは通りません。私もこれはEC、DCと言っていますが。世界一のハイテク国となった日本でありながら、鉄道の分野では海外に比べて大変い遅れているのです。
鉄道のシンプル化について、アプト式建設の時にも痛感しましたが、日本の鉄道は超重装備であり、スイスの登山鉄道やシカゴの高架鉄道、シドニーの軽便モノレール(スイス製)のシンプル性、軽小指向に学び、原点に帰るべきで、この点でも世界に遅れています。
スイスでは過剰な設計は非常に蔑まれます。安全、安価な鉄道は永久の課題ですが、これらと高いサービス、高性能化は必ずしも相反するものではなく、これを求めることこそが課題なのです。
また、日本の鉄道は海外に比べて運転速度があまりにも遅く、この点でも時代遅れです。21世紀にはアコモデーションの改善の他、高度なアクアティブ・コントロールによる曲線通過速度の向上や、加減速の大幅な向上を図り、私鉄を含めた在来線の大幅なスピードアップと本質的な技術の進歩を図るべきです。
名鉄についてはパノラマは概ね使命を終えましたが、20年後の第三世代では、さらに飛躍を求め、アクティブコントロールによる全線140Km/h運転も実現したいものです。
名鉄にはパノラマ、HSSTの先進性と石橋を叩いても渡らない名古屋的保守性が同居していますが、とどまる水は腐る、脱皮と飛躍はどうしてもやってもらうべきことと信じます。当面の儲け第一の発想は転換しなければなりません。
一番遅れているのが名古屋人ではないでしょうか? 名鉄はハイテク技術の急進の今こそ、輸送だけに安住せず、あらゆる面で最も優れた鉄道を目指して欲しいと願っています。
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