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 ISON彗星 (アイソン彗星) 

アイソン彗星、残骸が観測されるも彗星活動は終了 (アストロアーツ Web サイトから )
http://www.astroarts.co.jp/news/2013/12/03ison/index-j.shtml

11月29日の太陽最接近で核が崩壊したアイソン彗星。
太陽観測衛星で捉えた残骸のようすから彗星活動は完全に終了。肉眼で見える期待はかなわなそう

国立天文台メールニュース No.120より

太陽観測衛星SOHOのLASCO C3カメラにとらえられたアイソン彗星の太陽最接近のようす(早送り)。
近日点通過後に粉々になった残骸が移動し拡散していくようすがわかる。クリックで動画再生
(提供:NASA/SDO/ESA/SOHO/GSFC)
2013年9月から2014年1月まで、太陽最接近のようすを彗星からの視点でシミュレーション。
クリックで動画再生
(「ステラナビゲータ」で作成)

アイソン彗星は、11月29日早朝(日本時間、以下同)に太陽にもっとも接近(近日点を通過)しました。その前の11月27日ごろには、太陽に近すぎるため地上からの観測は難しくなりましたが、SOHOなどの太陽観測衛星でその姿がとらえられていました。

近日点に近づくにつれてその光度を増し、一時はマイナス2等級の明るさになっていたアイソン彗星ですが、近日点通過後にはその姿がきわめて淡くなってしまいました。SOHOの画像を見ると、11月28日19時前後からアイソン彗星が遮光板に隠れる直前の11月29日1時ごろまでの間に、彗星の核が暗くなったのがわかります。このことから、このころに核の崩壊が始まって大きめの破片に分裂し、近日点でかなりとけて(昇華して)しまったと考えられます。

近日点通過直後、遮光板から姿を現した彗星の尾の形状はV字型になっていました。このV字型の上縁は彗星の核が崩壊し始めたころに放出された塵(ちり)が並ぶ尾、下縁は彗星の軌道上に残された大きめの塵または崩壊の際の破片群であると説明できます。

その後、V字型の上縁の塵は、しだいに中央の集光部から遠ざかるように拡散し、下縁も淡くなっています。もし彗星核が活動を続けている場合は、近日点通過後に放出された塵の尾がV字の上縁よりもさらに上側に伸びるはずですが、そのような兆候はまったくありませんでした。したがって、近日点通過後は、彗星の核(あるいは破片群)からの新たな塵の供給はないと考えられ、当初予想されていたような長く明るい尾が見られることはないと言えます。

近日点通過後に見えていた尾も、12月5日ごろには約200平方度に拡散してしまうことから、その輝度は天の川のもっとも濃い部分の5分の1以下と見積もられます。これは、天の川がはっきり見える暗い空でもようやく視認できるかどうかの明るさで、日の出前の薄明の空では、地上からも航空機からも肉眼での確認は期待できないと思われます。


アイソン彗星(ISON彗星)は2012年9月21日にキスロヴォツク天文台にて
                ヴィタリー・ネフスキーとアルチョム・ノヴィチョノクによって発見された。


発見時は視等級が19等級程度の極めて暗い天体として発見されたが、地球から約10億km程度離れた木星周回軌道付近に位置していたことを考慮すると、発見時には既に非常に明るい彗星であったと考えられ、今後、2013年11月29日(日本時間am4時)の近日点通過後の動向が気になる彗星である。



【観測状況】
  • 2013年1月17日から18日の36時間にかけて、NASAの彗星探査機エポキシが、7億9300万km (5.29AU) 離れた位置からISON彗星を撮影。
    ISON彗星は太陽から7億6300万km (5.08AU) と、木星軌道より少し内側にある程度の距離。
    ISON彗星の尾はすでに6万4400km以上の長さとなっていることが確認された。
  • 2013年6月13日には、スピッツァー宇宙望遠鏡がISON彗星を撮影。
    約30万kmの長さに伸びているダストテイルを観測し、二酸化炭素を主成分にすると推定されているガスの放出も確認。
    この時点において1日あたりガスを約1000トン、ダストを約5万4000トン放出していると推定されている。
2013年11月1日現在、未明から夜明け前の東の空でしし座付近で見やすい位置にあり、11月上旬にはおとめ座に移ります。地球軌道の内側に入ってくるので、日変化も大きくなります。明るさは9等で、望遠レンズまたは口径10cm程度の望遠鏡で見ることができます。

    自然科学研究機構 国立天文台のアイソン彗星情報


【ASTRO ARTS記事から】 明け方の空に4彗星が集合


2013年11月の未明から明け方、東の空に彗星が4つ見えている。今年一番の話題で明るくなると期待されているアイソン彗星(C/2012 S1 (ISON))、3.3年周期で太陽の周りを公転しているエンケ彗星(2P/Encke)、今年9月に発見されたラヴジョイ彗星(C/2013 R1 (Lovejoy))、そして今年10月20日に突然大増光を見せたリニア彗星(C/2012 X1 (LINEAR))だ。

明るさはいずれも11月上旬〜中旬に7〜8等級と予想されている。下旬にかけてさらに増光するアイソン彗星以外は、肉眼で見るのは難しそうだが、彗星としては明るい部類のものが4つ同時に現れているのは珍しい。小口径の天体望遠鏡や双眼鏡で見てみよう。1等星との大接近や彗星同士のランデブーもあるので、ステラナビゲータなどで確認しておこう。

エンケ彗星(2P/Encke)は周期3.3年で太陽の回りを公転する彗星。現在、エンケ彗星も未明の東の空に見えており、11月22日の近日点通過に向けて明るさを増している。エンケ彗星は、現在知られている周期彗星の中で最も短い周期を持っている。ハレー彗星の次に周期性が確認された彗星。
初めてこの彗星が確認されたのは1786年で、ピエール・メシャンによって発見され、その後、1795年、1805年、1818年にも確認され、1822年にヨハン・フランツ・エンケ (Johann Franz Encke) の軌道計算により周期3.3年の彗星であることが確認され、この彗星をエンケ彗星と呼ぶようになった。
10月下旬から11月初めにかけては7等台前半で月明かりもないので、条件が良ければ口径5cm以上の双眼鏡で見え、11月後半には、1週間違いで近日点を通過するアイソン彗星とともに太陽に近づき、だんだん明け方の空低くなってくる。11月23日から25日にかけて、東の空のひじょうに低いところで、てんびん座付近で2彗星を土星とともに双眼鏡で一度に見ることができるかもしれない。

2011年12月16日に近日点を通過したラヴジョイ彗星は、南半球で大彗星として観測された。当時、ラヴジョイ彗星は、太陽に向かって突撃、この突撃を「カミカゼ・アタック」と表現されていましたが、太陽に神風攻撃を仕掛けたラブジョイ彗星は何と、太陽にやられず「生きのびた」のです。ラヴジョイ彗星は死んではいない。
12月16日、ラヴジョイ彗星(Comet Lovejoy)は太陽表面からわずか 140,000キロメートルのところを飛行していた。NASA の太陽観測機ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)は、彗星がその軌道で太陽に最も近い(近日点)ところから出てくる姿をとらえていた。有名な話だ。
ラヴジョイ彗星は、2011年の大彗星と同じテリー・ラブジョイさんが今年9月に発見した彗星で、やはり未明の東の空高く見えている。
12月23日の近日点通過でもあまり太陽に近づかないが、ずっと地平線上に見えつづけ、双眼鏡で見える6等級まで明るくなると期待できそうだ。

【ASTRO ARTS記事から】
 リニア彗星
東京都の佐藤英貴さんが2013年10月20日21時10分(日本時)米国の口径51cmリモート望遠鏡を使って、明け方の低空に見えるリニア彗星(C/2012 X1)がアウトバースト(急激な大増光)を起こしているのを観測した。CCD全光度8.5等の円盤状の姿をしており、予報光度は14等級だったが約6等の急増光で小口径の天体望遠鏡でも観望できる明るさになった。
埼玉県の門田健一さんが2013年10月21日4時46分にこの彗星を8.2等で観測し、バーストが確認された(口径25cm望遠鏡によるCCD観測)。
「アウトバースト」は天体が爆発的に明るくなる現象全般を指すが、彗星の場合、太陽に接近して温度が高くなり、氷と塵でできた彗星の本体(核)が分裂するなどしてガスや塵が一気に放出されることで起こる。アメリカの天体捜索プログラム「リニア(LINEAR)計画」で発見されたリニア彗星(C/2012 X1)は1000年以上の長い時間をかけて太陽の周囲を回り、軌道のもっとも外側では太陽〜海王星の10倍もの距離にまで遠ざかる。来年2月の太陽最接近を前に、現在木星軌道の内側にまでやってきている。
地上からは現在かみのけ座の方向にあって明け方の東の空で見えており、これから約半年以上は明け方の東から南の低空で地平線上に位置する。今後の変化にぜひ注目してみよう。



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