とぼとぼ 鎌倉 (その5)

白山神社〜建長寺〜浄智寺〜東慶寺


正月休みも残すところ、一日だけとなった五日の朝のことである。
松の内に初詣を兼ねてと、今年初めて鎌倉の寺社巡りに出掛けた。

何時ものように、今泉不動バス停脇から
鎌倉側の散歩が始まった。
先ずは、ここ今泉の鎮守である、白山神社へ向う。

数分の後に着いた白山神社は、その
社伝によると源頼朝の創建と伝えられている。
無人の参道を進むと石造りの立派な鳥居。
更に参道の右脇には庚申塔。

「あぁ〜やっぱり、庚申さんと云えば三猿だぁ〜」

白山神社

蝋梅の花鮮やか
石段を登り、辿りついた白山神社には、やはり誰も居らず、
静寂だけが支配していた。他の鎌倉の寺社の様に
観光寺院化されていない良さが、この社にはあった。

戻り掛けようとした時、風に乗って運ばれてくる甘い香りに
気がついた。 「あぁ、之は、この香りは、蝋梅だぁ」

案の定、付近を探すと蝋細工のような、
蝋梅の黄色い花びらが目に入った。

私はこの花の香りが好きなのである。
 白山神社を後にして、白山神社前の交差点を左折した。今泉台の急な坂道を登っていく。

 地蔵前バス停脇の、これまた急な階段を登り、今泉台三丁目の住宅街にでた。住宅街を突っ切り、明月院に下る車道から天園ハイキング・コースに入った。

 コースを左にとり、僅かに行くと勝上嶽(しょうじょうがたけ)に着いた。展望台からはこれから下る、建長寺が良く観える。

展望台から建長寺を俯瞰する
  急坂を下ると半僧坊に到着である。ここまで下りてくると、
急に人出が増してきた。更に階段を使いカラス天狗の像の
立つ辺りまで下りてくると、名残の紅葉も目にできた。

「それにしても、凄い幟の数だなぁ 〜 」

  正月も五日の午前とは こ〜も静かなものかと驚いた。
建長寺境内は正月の雑踏が嘘のような静けさだった。

のんびりと拝観を済ませ、心地よい時間を過ごせた。


梵鐘の下がる鐘撞堂も人影は疎らだ。
「拝観はこうじゃ〜、なきゃ〜ねぇ〜」

立派な山門を過ぎ、巨福山の揮毫のある門を貫け
建長寺を後にし、今日三つ目の寺社となる浄智寺に向った。

浄智寺は次の東慶寺と共に、鎌倉街道沿いにある。

鎌倉十井の一つである寒露の井前に掛かる竹竿が、
新年と言うこともあり、真新しい青竹に置き換えられていた。

シャガの緑に彩られた、山門へ続く石段道も良い雰囲気だ。
江の島 鎌倉 七福神と書かれた幟が、ゆらりと はためいている。
「この寺、確かぁ〜 布袋様があったっけ〜」

ここもこの時間、まだ人出は多くないようだ。



 今年初めての とぼとぼ鎌倉は
東慶寺で〆だ。石段を登り、志納をと
思ったところで「グ〜」、お腹が鳴いた。

 今日はここまで。
北鎌倉駅に向ったのである。

   つんの
とぼとぼ