とぼとぼ 鎌倉 (その3)
散在が池〜明月院〜円覚寺
マンションの玄関を出てから、30分ほどで山道に入った。今日も鎌倉側に至るまでは誰にも会わないのだろうか。 山道に散り敷いた落葉がしっとり濡れていて、何ともいえない心落ち着く香りがする。 振り返ると、通称ヨコハマグランドキャニオンと呼ばれている崖が見える。 |
|
畑の脇を抜け尾根道に出た。しばらく歩くと、横浜と鎌倉の市境界を成す尾根上に、ポツンと念仏供養塔が立っている。 嘉永三 戌年 四月??日 そして、台座に今泉村 講??と記してある。 今から百五十年程前、幕末期に立てられたものらしい。今泉村は今の鎌倉市今泉だろう。 |
|
鎌倉側に山道を下って、散在が池(鎌倉湖)のある今泉に出た。 散在が池森林公園に入ると、所々木々が紅葉していて綺麗だ。 |
|
湖畔にある管理棟の時計を見ると、未だ朝の九時半である。 鎌倉もこの辺りは中心部から離れていることもあり、観光客の姿はみえない。 時間も早く、静寂が支配する時を過ごすことが出来た。 |
。 |
無数の落葉の浮かぶ池の湖面を覗き込む。カルガモ泳ぐ池には、沢山の鯉が見えた。 それにしても今年の台風は、ここ鎌倉の地にも多大の被害を及ぼしていた。 公園内のコースも、何箇所かが土砂の崩壊などで、通行不能となっていた。 |
|
住宅街を通り抜け、今泉台六丁目公園の芝生を横切り、天園コースに入った。 ハイキングコースを右にとり、先ずは勝上山を目指す。 コースの途中にある十王岩の展望台からの眺望を期待したが、今日は霞んでいて、残念ながら次の機会ということになった。 |
|
建長寺への道を左に見送り、結局ハイキングコースを端まで歩いた。 北鎌倉への急な車道を歩き下って、明月院(あじさい寺)に下りつく。 やはり、今年は暖かいせいか紅葉の鮮やかさも、今一つなのである。 それでも、流石ここまでくると観光客の数が随分と多くなっているのである。 |
|
傍らの小川に落葉が降積もっている。か細い流に乗って、紅葉した木の葉が一枚、また一枚と流され、また、留まっているのが観える。 山がはに 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり 春道列樹 |
|
明月院はあじさい寺として有名だが、この季節も また、 好ましい雰囲気を持って、私を待っていてくれた。 見上げる楓の大樹。うす曇の寂光が紅葉した 薄葉を通して、旧日の思い出を蘇らしてくれる。 屋根瓦に積った、もみじ葉も何とも言えぬ風情があるものだ。 |
|
明月院を後にして鎌倉街道(県道21号線)を歩く。 北鎌倉駅も近くなって鎌倉五山の第二位になる円覚寺に到る。 やはり、ここも今年の紅葉は駄目なようである。 数本は鮮やかに紅葉していたが、期待していた 山門前のもみじ葉は、今一つ、だったのである。 |
|
今日も随分と歩いて、歩き疲れた。 駅に向う道は、昼を過ぎ観光客の往来が激しくなっていた。 |