とぼとぼ 鎌倉 (その12)

師走に鎌倉を歩けば

 枯野から見仰ぐ巨大な岩壁。ここ荒井沢市民の森の入口は横浜市と鎌倉市の市境界の至近にある。
 今日は市民の森の皆城山に登った後、市境界尾根を越え鎌倉へぬけるつもりだ。

 師走となり、のんびり鎌倉の街を散策し、名残の紅葉でも愛でようと玄関を出た。
 皆城山で暫しの休憩後、尾根越えで今泉へ下りた。
 散在が池(鎌倉湖)の辺をぬけ、馬の背の上り坂となる。
 見上げる木々の梢からは、風吹くたびに枯葉が舞い落ちてくる。

「霜葉は二月の花よりも紅なり」
とは此れか ・・・。

サクッ・サクッと落葉を踏みしめる。
 天園のハイキングコースに入り、覚園寺に辿り着いた時は、未だ10時前だった。師走のこの時期、この時間である。
 落葉の散り敷いた境内には誰もおらず、愛染堂前に佇めば、聞こえてくるは梢を渡る風音のみ、静かな時間が流れていた。
 覚園寺から鎌倉宮の前を通り、金沢街道にぬけた。宝戒寺を横に観ながら小町大路に入り、比企谷【ひきがやつ】の妙本寺に向った。

 総門の脇を廻り、先の石段を登ると二天門である。門前から伺う祖師堂の眺めも、境内の銀杏の黄葉に彩られ、まだ晩秋の風情である。
 比企一族の墓所も、一面に敷き詰めた黄葉の絨毯上にあった。
 滑川の夷【えびす】堂橋を渡り返し、仁王門を潜り本覚寺に寄ってみた。この時期、正月準備も始まっている様だった。

 とぼとぼ歩きの最後に、いつも立寄る大巧寺へお邪魔した。
 やはり師走である。境内の参拝者の人影も疎らだ。

街中の喧騒を逃れ、一人静かに歩いて昼には帰宅した。


   つんの
とぼとぼ