秋日和

金沢の海辺を歩き称名寺(金沢文庫)へ


 十月に入り、昨日今日と週末も良い天気となり、久しぶりに気分が晴れる。今年もこの時期から始まる金沢文庫の特別展を観覧しようと、散歩を兼ねて出かけた。

 八景から金沢シーサイドラインの橋脚に沿い、平潟湾プロムナードと呼ばれる湾沿いの歩道を、潮風を受けながら歩く。
 平潟湾に停泊中の小船も潮風の中、長閑な雰囲気を醸している。
 やがて夕照【せきしょう】橋の左手に野島が大きく観える様になる。
 歌川広重が描いた浮世絵で、金沢八景の「野島夕照」があるが、現在でもこの場所から観る景観には風情がある。

 橋を渡り野島に入る。ここ野島は現在では野島公園として市民の憩いの場となっている。
 先ずは、稲荷神社に参拝してと・・・。
 坂道を上ると高台に展望台がある。展望台からは360°のパノラマが広がる。
 八景島シーパラダイスのアトラクション施設や海の公園の渚も一望だ。東京湾を航行する船舶も、陽射を照り返す海上に浮かんでいた。

 坂道を下って公園内をぬける。街角には乙舳町と云う町名標識が観られた。
野島橋を渡りシーサイドラインに沿って歩き海の公園をめざす。

   辿り着いた渚では、子供達がビーチ・バレーで遊んでいる。
振り返れば、先程までいた野島が若者達の興じるウインド・
    サーフィン浮かぶ波間の彼方に見える。(左上はシーパラダイス側)

 歩きにくい砂浜を離れ、まつかぜ公園の緑陰を抜け金沢文庫へ向う。

 金木犀の香りが街角の彼方此方から漂ってくる。この時期は運動会のシーズンなのかもしれない、マーチの響きと子供達の歓声も耳に入ってくる。

 道端のお地蔵さんには彼岸花がお似合いか。
 地蔵の並ぶ先で、右側の赤門を潜り称名寺へ。
 食べ物屋さんの並ぶ道を進むと、立派な仁王門がある。今日は連休の真ん中。ボランティア・ガイドのおじさんも出ていた。
 門の左を廻って池の端へ、ここに来たのは半年ぶりだろうか。
 金堂の前は修理中とみえ、シートが掛かっていた。
 趣のある釈迦堂、そして金沢八景の一つ「称名の晩鐘」で有名な鐘楼。どちらも秋の陽を浴びそこに在った。
 阿字ケ池周辺の彼岸花は、幾分盛りは過ぎていたものの、季節感を演出するには充分だった。
 そして、池に架かる朱塗の橋、水面に映えていつ来ても美しい姿を観せてくれている。
  今日の散歩の最終目的地は、トンネルを潜ったその先にある。

  金沢文庫は鎌倉時代、北条実時により創設された。
現在では博物館となって、中世を中心とした収蔵品を
収め、展覧紹介している施設である。今日は4日から
始まった特別展を訪れた。 
  

今回は観覧後に去年のように浪花節を唸ることも無かった。


そして、帰り道の金沢の街は金木犀の風が吹き渡っていた。


「 行きすぎて金木犀は風の花 」        木村敏男



   つんの
とぼとぼ