今月の一枚  66号〜81号

2008.6.23 第66号 小川文雄

久能山東照宮の博物館前で一対と一体の狛犬が入館者を出迎えている。これらの狛犬は唐門に鎮座していたと思われ、損傷の激しい一対が初代(正保四年)、写真の一体は両足の三時代の刻印から、三代目(天保四年)と考えられる。相方は損傷が激しく廃棄されたとのこと。(静岡市駿河区根古屋390)

2008.8.26 第67号 阿由葉郁夫

有翼の獅子(の思想)はシルクロードから中国へ入り、当初は作られたものの、唐代以降は見られなくなり、我が国にはほとんどありません。が、この狛犬にはこんな立派な翼があります。昭和54年建立、大楽院の個人の墓所にて。(川崎市上丸子八幡町)

2008.10.28 第68号 小川 文雄

諏訪神社の参道を右に曲がった所にある松森神社は、菅原道真を祀る天満宮で、長崎の学問の神様として古くから多くの人に親しまれてきた。正徳3年本殿の改修がされたとき木製の狛犬が奉納されたと言われている。本殿・狛犬とも相当に傷みが激しく、名作も風前の灯と思われる。 (長崎市上西山町4-3)

2008.12.17 第69号 島川 柊

十三参りに浅草神社で狛犬と撮った写真です。

2009.2.24 第70号 久保田和幸

小松市・本折日吉神社。
後ろ足を前足のところに踏み込んだ形。大別では、かまえタイプでしょうが威嚇しているポーズです。頭の位置が肩より下にあり、相手を下に見てねめつけている様子は迫力があります。

2009.4.20 第71号 吉川久美子

福島県白河市・鹿嶋神社。
狛犬が七対いる古刹の神社。参道の真ん中、二の鳥居側にこの狛犬。台座は低く末廣・講中、文政戊子とある。顔は少し欠けているが、細く長い足を踏ん張り、長い歴史を生き抜いている。

2009.6.23 第72号 西原澄夫

この神社は低地に向かって参道が延び、一段低いところに社殿が造られている。摂社拝殿に小型狛犬がいるが、なぜか体のあちこちに直径一cm程度の穴が穿かれている。首周り、頭頂部に穴。脚にはカールした毛とも思える穴。尾は付け根に穴…と、穴だらけの狛犬でした。(唐松神社・秋田県大仙市協和境)

2009.8.24 第73号 三遊亭円丈

麻布七不思議に天源寺の狸囃子があります。江戸時代、秋の夕方になると、お囃子の音が聞こえてきて、どこから聞こえてくるのか不思議でならなかったと言う。そんなことと関係があるのか?天現寺にはこんな狸があります。円丈師匠からのコメントはただ一言、選ばれて「とても光栄です!」と。(港区南麻布4-2)

2009.10.27 第74号 和田みどり

手賀沼の南部の農村地帯のある小さな神社の狛犬です。足の太い狛犬もいるものだと思っていましたが、石仏好きの友人から「前足はお地蔵さんの下半身を継いだものに見える」と言われました。見事な義足です。
(香取神宮・柏市箕輪 文政11年)

2009.12.17 第75号 篠島 寛

越前の奥地にある曹洞宗の禅寺に鎮座する狛犬は、足羽山(福井市)で産出された笏谷石造りで、独特の顔立ちがいかにもユーモアで、風化に弱いこの石ですが、山門の軒下に置かれているため原型を留める貴重な狛犬と思います。笏谷石は、北前船の寄港地でよく見掛けられます。(宝慶寺 大正5年)

2010.2.23 第76号 久保田和幸

加賀市橋立町、出水神社。
明治5年正月、素材はミカゲ石。風貌は関西系の三つ尾の尾立ちです。四角の素材を目一杯に使って彫り出しています。額を素材の角にしており、頭の上面は平坦です。このようなタイプは時折見掛けますが、これほどに顕著なものも少ないと思います。

2010.4.22 第77号 小川文雄

徳島市有形文化財に指定されている三島神社の狛犬。案内板には「鎌倉時代・承久3年(1221)建立」・「材質は砂岩」と明記されていますが、建立・材質とも非常に疑わしい狛犬です。加齢とともに角が取れ、穏やかな表情に見えますが『かまえ』には寸分の隙も無い迫力を感じました。

2010.6.29 第78号 平塚 胖

この狛犬の阿像の歯はセメントモルタルで修復されています。こぼれた歯をきれいに細工し見事に入歯され、上歯は犬歯を入れ替え、下歯は総入歯になっています。私はこれを「入歯狛犬」と称しております。当然のことながら、吽像は口をつぐんでいますので歯が見えません。(千葉神社 千葉市中央区院内1-16)

2010.8.23 第79号 小川文雄

高野山「奥の院」を訪れた。約2Km続く参道の両脇には、織田信長等の戦国武将や民間人を含め二十万基余りの墓があるという。
参道の傍らに木鼻に似た、玉垣獅子(仮称)を発見。長崎市「岡部家累代の墓」で、墓石は大正2年の建立である。

2010.10.28 第80号 福田博通

奈良市東九条町の大安寺の旧境内に鎮座する八幡神社の陶製狛犬です。狛犬は無数の土製(素焼き)の鳩に囲まれています。鳩は八幡神の神使ですが、これらの鳩は、かつて、安産のご利益があるとして安産祈願に奉納されたものです。神社は子安八幡宮とも呼ばれました。

2010.12.15 第81号 岡 博重

長崎市の花街・丸山町の氏神さま、梅園身代り天満宮の狛犬です。虫歯の痛む人が飴を食べさせると、たちまち歯痛が止まるという「歯痛狛犬」として信仰されてきました。口から下が焼け焦げたようになっているのは、飴が溶けだして黒く固まっているためです。