奈良市東九条町の大安寺の旧境内に鎮座する八幡神社の陶製狛犬です。 狛犬は無数の土製(素焼き)の鳩に囲まれています。 鳩は八幡神の神使ですが、これらの鳩は、かつて、安産のご利益があるとして安産祈願に奉納されたものです。神社は子安八幡宮とも呼ばれました。
この八幡神社、元は大安寺の鎮守。 大安寺の僧行教が、 斎衡2年(855)に八幡神を豊前国(大分県)宇佐八幡宮から大安寺境内に勧請したが、 貞観2年(860)に男山(京都府 八幡市)に移座して石清水八幡宮を創建したと伝わります。 このことから、「元石清水八幡宮」と称されています。 大安寺八幡宮、辰市八幡宮などとも称されました。 また、江戸時代後期になると、特に安産に功ありとして子安八幡宮とも称されました。 鳩は八幡神の神使です。 本殿前に納められて、陶製狛犬を取り囲んでいる無数の土製の鳩は、安産祈願のために奉納されたものとのこと です。(奈良市史 社寺編)
ハトに囲まれたこの陶製の狛犬は、沢山の鳩に負けず存在感があり、画面はディズニーや宮崎駿のアニメ映画の一こまのようです。 人影はありませんでしたが、本殿に上がって銘を確認するのは憚れました。 1700年代後半のものと思われます。
八幡神社の数は稲荷神社に次いで多いとされますが、神使の鳩の像がある社は極めて少なく、この社の鳩には圧倒されます。 奈良県奈良市東九条町字宮ノ森1316 JR「奈良」駅よりバスで「大安寺」下車徒歩10分