現存する太刀賣藤兵衛の名がある石造物は石工十三組の石塀、狛犬・獅子山7対、虎1対、狐1対、燈籠2基、レリーフ2枚だが、これで狛犬が8対になった。
今後も新発見を期待したい。
狛犬は藤兵衛・包吉コンビの作とは思えないほど小さく、石も小松石ではない。
果たしてこれは藤兵衛達の狛犬だろうかという思いがよぎるが、一段目の小松石の台座にはっきり太刀賣の銘があるので間違いはないだろうと思う。
狛犬から時代をみると、天保四年から七年までは天保の飢饉、そして天保十二年からは天保の改革、どちらも景気が悪い。
飢饉と改革のはざまの天保十年の狛犬から感じられるものもやはり景気の悪さだろうか。
2012年2月 87号より
山田敏春
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