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職員室から

園長から

2009年7月23日

 先週所用で上京した折のこと、人混みでごった返す新宿駅の通路でこんな声を聞きました。「お母さんの手を絶対に離しちゃだめ!」 近頃めったに聴くことのなかった厳しい口調に思わず振り向くと、3歳になるかならない男の子が、お母さんの手を振り切って、行き来する 大人の間をすり抜けようとしていろところでした。
 以前六本木のビルの回転ドアに子どもがはさまれた事件の時、テレビをはじめほとんどの報道機関が責任の所在として伝えたのは、ビルの 管理責任者や、ドアの製作者であり、どこでどうしていたのか、一番責任を問われるはずの母親の行動について問題にされなかったことが、 その時からずっと私の心にひっかかっていました。「これはおかしい、こんなことでいいのか・・・」と。生活経験が浅く、そのものがどん な動きをするか、方法を間違えればどんな危険なことになるのか、幼い子には予測できません。初めて経験することはもちろん、扱いに慣れ てきたときもそれなりの注意が幼児には更に必要です。去年は私たちの園でも危ない乗り方をして、すべり台から落ちた子どもが3人も出て しまい、私たちの指導をあらためているところです。長年使っている遊具なのに今までは想像もしなかった事故が起こりうることを、肝に銘 じているこの頃です。
 親や先生など大人が絶対に子どもの手を離してはいけない時、そして目を離してはいけない時・・・。自分の力だけでは自分を守れない危 険がたくさんあります。
 ロボットのようにでなく、血の通う暖かい手で、子どもの背丈、子どもの目線に立ってその心と身体をしっかりつなぎとめながら、夏休み を過ごされますように。

 2学期も、4月から今日までの経験の上に、更に楽しい園生活が出来るよう願いつつ、保護者の皆様からいただいたご好意に心からの感謝を 申し上げます。
 3年ぶりの『夏祭り』、そして、今年初めての『夏季保育』 いずれも自由参加です。『夏祭り』では保護者の方にお手伝いをいただくこと もあるかと思います。役員の仕事としてではなく、お互いに出来ることを協力し合って楽しく過ごせますように宜しくお願いいたします。

2009年6月1日

 4月は年度初めとあって、官公庁や幼稚園が関わるいくつかの団体への提出書類が多く、 職員室にこもる仕事を余儀なくされました。5月になって園の周りを歩いてみると、遊戯室の裏 や通遠路に思い切り草が伸びていて驚きました。快晴の日がつづき、やっと雨が降ってよかった と思えば、草の伸び方はいっそう活発です。ちょっと来なかったのに、いつの間にこんな?
 わずかの時間を見つけ、慌てて草を抜きながら思いました、子どもたちとおんなじだ!と。 そうです。どのクラスの子どもたちも、土、日をはさんだだけでぐんと背が伸びていたり、先週 までできなかった複雑な折り紙がきれいに折れるようになっていたり、朝お母さんにしがみつい ていたばら組さんが、さっと手をはなしてお部屋に向かうことが出来る。まるで雑草と競ってい るかのようです。
のどかな晴天だけでは草木も伸び悩むでしょうが、時々の雨によって潤い大きく育つように、子 どもたちも、外からみただけではわからない、新しい経験での戸惑いや小さな胸の中の葛藤、泣 きそうになったが何とか我慢して乗り越えられた体験などが雨のように子どもの身体と心を潤 おし、たくましく育んでいるのだと思えてなりません。
 私たち大人が知らないところでも、子どもたちは様々な人から、さまざまな関わりをもらって 瞬時も休むことなく成長を続けています。先日、ゆり組のお母さん方にお話ししましたが、私た ち(とりわけお母さん)は、自分の目の届かないところで、もまれながら成長するわが子を信頼し、 お母さんもまた子どもから見えないところで精一杯の応援を送ってあげることが大切と思います。
幼稚園で小さな怪我をした時も、「どうしたの。だれにやられたの?」「先生は見てなかったの?」 と理由を突きとめ、誰が を探したくなる気持ちも分かりますし、その時の状況を尋ねることは 必要ですが、先ずすべきことは、その時わが子がどういう気持ちだったか、自分なりにどうそれ を受け止めようとしたのか、そしてどう対処したのか など子ども自身が真剣に向き合ったその時 の心の動きに関心を持って話を最後まで聴いてあげること。そして、つらかっただろうがその経験 が間違いなくわが子の成長に役立ったと信じることではないでしょうか。
お母さんや家族、先生から信じてもらえたこどもは、それが目には見えなくても必ず次のステップ への強いバネとなって、背中を押してくれることでしょう。
 「どんな小さなことでも子どものことは知っていたい」という親心は尊いのですが、「何でもい いから知らせて欲しい。」「とにかく情報が欲しい。」というのは少し違うような気がします。
 自分の目の届かないところで頑張っているわが子を信じられるお母さんは、何と幸せでしょうか。

2009年4月6日

 3月に幼稚園を巣立った25名の子どもたち、それぞれに入学式を迎え、一年生としての始めの一歩を踏み出したことでしょう。

 私たちの幼稚園も、今年52名と規模は更に小さくなりましたが、どの子も胸を大きく開いて羽ばたく一年であるように、神さま の祝福と見守りを祈りつつ、新入、進級のご家族のみなさまに心からお祝いを申し上げます。保護者のみなさまと共に、教職員も心を 一つにして子どもたちと共に成長できるよう、どうかよろしくお願いいたします。