NOVEL
くもりときどきあくま2 第20回〜第22回
「ワタルはなんも飲まんの?」
自販機から出てきたファンタオレンジを取り出しながら
カッちゃんが言った。
「え? あ、買うよ」
ほんとはジュースにお金使うのもったいないんだけど
ついそう言ってしまった。
そう言うしか、今のぼくには余裕がなかった。
ミツルにはかされたオムツが気持ち悪い。
オムツのくせにぜんぜん吸収してないみたい。
さっきいっぱい出しちゃった精液がずっとたまってて、
歩くたんびにぬちゃぬちゃってちんちんと絡まる。
早くぬぎたい。
ぬいでシャワーで洗いたい。
そんでもっかいカッちゃんとあそぶ。
ふつうに、カッちゃんとあそぶ。
そんなふつうなことが、何で今はできない.....?
「これ買ってみれ」
って言いながら、
カッちゃんが正体不明なお茶のボタンを押そうとしてる。
「なんでよ」
ちょっと笑ってその手をつかむ。
あったかい、カッちゃんの手。
「あぐっ………!」
いきなり、ちんちんのローターが強くなった。
からだがびくんとふるえて思わずこしが引ける。
「あ? どした?」
ペットボトルをくわえながらカッちゃんが言う。
「あ、うん、な、なんでもない………」
ミ、ミツルのせい!?
ミツルがどっかから見てて、
またぼくにいじわるするために強くした?
人間技じゃないけど、そうとしか考えられない。
あいつは人間じゃないんだから。
「く………」
歯をくいしばって、なんとか笑顔を作った。
カッちゃんに知られちゃいけない。
カッちゃんにヘンに思われちゃいけない。
でも、ローターの動きは
さっきまでとは比べものになんない。
一回精液をだしてやらかくなってたちんちんが
またいっきにかたくなり始めてる。
ちょっとびんかんになってたのか、
ローターのぶるぶるがさっきよりずっと気持ちいい。
こんなとこで、人がいっぱいいるとこで
こんなに気持ちよくなってるぼく………ただのヘンタイ。
「このあとどうする?」
カッちゃんが言う。
「どうするって?」
がぶ飲みミルクコーヒーを取り出しながら
ぼくが返す。
「ワタルんちであそぶぅ?」
カッちゃんの持ってたファンタオレンジがカラになった。
炭酸をイッキ飲みできるカッちゃんはほんとにすごいと思う。
尊敬はしないけど。
「え……どうすっかな………」
ぼくんちであそぶってことは、
今日まだこれからもカッちゃんといっしょにいられるってこと。
いつもだったらすぐ「うん」って答えてる。
でも、でも今はそれができない………
「きょうは、もうかえろっかな………」
ちっちゃくそう言った。
はぁはぁになりそうな息をととのえるのがすごく大変。
「はぁー?」
カッちゃんが顔を近づけてきた。
そんなにぼくに近寄っちゃだめ……
このままカッちゃんの顔をつかんで
キスしたいって思っちゃうから。
べろとべろをいっぱいくっつけあって、
ずっとそのままでいたいって思っちゃうから……。
「じゃあこのまま帰んの?」
ペットボトルを笛みたいにして音を出す。
その息がぼくの顔にぶつかった。
「うん、ごめん…」
その息をぜんぶ吸いこんだあと、そう答えた。
「そんなん許すかー!」
「わ、ちょっ………!!!」
いきなりカッちゃんが抱きついてきた。
って思ったらうでをぼくのこしに回してそのままサバオリ。
「や、やめっ…! だめやってぇ………!」
カッちゃんの体とぼくの体が密着する。
今度はさっきのとちがって正面から。
ちょっと目をあけたらすぐそこにカッちゃんの顔。
いつでもキスできるキョリ。
「あっ、はぁっ………」
せなかに回ったカッちゃんのうでが、
さらにふたつの体をくっつけようと力を強める。
オムツの下にあるちんちんが、
カッちゃんの身体に押しつけられる。
「い、やっ……、カッちゃあんっ………!」
ローターがちんちんにぎゅうっと押しつけられる。
ぼくの体とローターで、ちんちんがサンドイッチ。
そして目の前にカッちゃんの顔。
ずっと嗅げるカッちゃんのニオイ。
ずっと吸えるカッちゃんの息。
自動的にうでが動いて、カッちゃんをだきしめた。
そしてぎゅうっと力をいれたしゅんかん、
——どくっ、どくうぅ………
2回目の射精をした。
ちからいっぱいカッちゃんをできしめながら。
カッちゃんの肩にほっぺを置きながら。
「おい! ちょっ、はなせよ」
まだ精液がぜんぶ出きってないころ、
急にカッちゃんがぼくの身体を押して離した。
「なんかだきついてるみたいでヘンに思われんじゃん」
カッちゃんが言う。
ちょっとだけほっぺが赤い。
ぼくは、"みたい"じゃなくて
ほんとにだきついてたんだけど………
オムツの中があったかい。
カッちゃんとだきあいながらだったから、
今まででいちばん気持ちよかった。
「まー、そんなら今日は帰っか?」
カッちゃんが言う。
「う、うん、宿題とかあるし………」
「そやな、オレのためにしっかりやってこいよ」
カッちゃんが笑った。
その笑顔は、今日見た何よりも美しかった。
「じゃ、脱いで」
ヘロヘロになりながら帰ったぼくを待ってたのは
ミツルのそんな言葉だった。
いつものにらみつけるような顔じゃなくて、
にやにや笑いながらぼくを見てる。
ぼくが自分でズボンとかをぬぐのを見て
それを楽しもうって思ってるんだと思う。
「僕にしてもらえるのを楽しみにしてたんじゃないの?」
って言われてもぬぎ始めることなんてできるわけなく、
ぼくは上着のすそをぎゅっとつかんだ。
「せっかくご主人様がそう言ってやってんだから、
さっさと脱げよ」
しゃべり方が変わってきた。
このままゆうことをきかないでいたらどんなことになるのか、
とてもじゃないけど想像がつかず、ぼくは体が少しふるえた。
「そうそう、早くすりゃいいのに」
ズボンのボタンをはずしてゆっくりおろした。
でも、あの不快感はおさまらない。
この白いやつを取らないかぎり、
このぬちゃぬちゃした液体を取り去ることができない。
「あれ、下から脱ぐの?」
ぬいだズボンを軽くたたんでたぼくにミツルが言う。
「へ?」
ミツルを見る。
やっぱり楽しそうに笑みを浮かべてる。
「上も全部脱ぐんだよ」
そんなことを言う。
「せっかく誰もいないんだし」
そういや、今日お母さんは夜勤だっけ…
だれにも見つからないという安心感と、
それによってミツルの責めがはげしくなるという恐怖感。
ぜったい恐怖感の方が大きかった。
ぼくはあきらめて上に着てたものをぬいだ。
「はは、すごいカッコ」
オムツとくつ下だけになったぼくを見て
ミツルは笑った。
逆の立場だったとしたら、ぼくも笑ってたと思う。
小学5年にもなってオムツはいて、
それ以外になんにも着ないで部屋に立ってる男子。
ふつうじゃない。
「じゃ、ご褒美あげるよ」
そう言ってミツルが目を大きくしたとき、
「うあっ!」
ローターとバイブがいきなり強くなった。
「あ…、ミ、ミツ………やめて………」
立ってらんなくて、その場にしゃがみこんだ。
ゲーセンの時よりもさらに強いしんどうで、
おしりのバイブは先っぽが円を描くように動いてる。
おしりのカベがバイブで無理矢理押されて、
ちんちんが根元から突き上げられるさっかくに陥る。
許しを乞うためになんとかミツルの方を見たら、
ミツルは片足をぼくに向けてきて、
「わっ…!」
そのままぼくの肩をけっとばした。
バランスをくずしたぼくは
そのまま床にあおむけで倒れた。
「なっ、なにすん
「動くな」
ぼくの言葉をさえぎってミツルが言った。
「そのまま仰向けに寝てろ」
ミツルは立ったままぼくを見下ろす。
はるかな高みから地面に這いつくばるぼくを
見下すかのように。
「いい? ワタルは僕のペット、奴隷」
冷たい言葉が、ぼくの耳に入ってきた。
「服脱げって言われたらすぐ脱いで
そこでオナニーしろって言われたらすぐにする」
こみあげてくるミツルへの怒りを、
はげしく動くローターとバイブが消し去ってしまう。
ミツルの言葉をはっきりと聞き取ることが困難なほど、
そいつらはぼくを苦しめる。
「僕に逆らうことは一切許さないから」
そう言って、ポケットから取り出した携帯で
ぼくのことを撮った。
「どういう意味か、わかるよね?」
にっこり笑った。
テレビに出てる子役みたいな可愛い顔だった。
「返事は?」
抵抗なんてできなかった。
「はい……」
なんで、こんなやつに……
おまえさえいなけりゃ
今日だってカッちゃんとふつうに遊べたのに。
ぼくはそれだけで十分なのに。
今までとおんなじようにカッちゃんと遊んで、
そのまま親友でいられればそれだけでよかったのに、
ミツルが全部こわした。
ぼくは、それだけでよかったのに………
ほんとに?
目をつぶると、どこからかそう聞こえた。
聞き覚えのあるこの声は……ぼくの声だった。
ほんとにそれだけでよかったの?
カッちゃんと親友でいられるだけでよかったの?
まっくらな世界で、ぼくの声だけがひびく。
本当に?
ぼくの声がぼくに問いかけてくる。
じゃあ、今日感じたあの肉欲は何?
カッちゃんをその身に包んで感じたあの、
淫鬱な肉欲は何?
難しい言葉で、ぼくの声はさらに続く。
正直になりなよ。
し、正直って………
自分でも言ってたはずだよ、
カッちゃんと………セックスしたいって。
あ、あれは………
それがワタル。
それがワタルの本心。
それがワタルっていう人間。
親友という関係だけじゃなく、
それ以上のものをカッちゃんに求めるのがワタル。
カッちゃんの心も身体も、
今まで以上のものを欲しているのがワタル。
……………。
そうだろう?
だから、このままミツルにまかせてればいい。
ミツルは、ワタルをカッちゃんをセックスさせてくれる。
ミツルはウソを言わない。
だから、このままミツルの奴隷になっちゃえばいい………。
「なに寝てんの?」
ぼくをこの世界から呼び戻したのはミツルの声だった。
「ご主人様の前で寝るなんていい度胸だね」
そう言って、足でぼくのオムツをふみつけてきた!
「が、あぁっ! ごめんなさいっ………!」
謝ってもミツルは聞いてくれない。
オムツをふむ足にさらに力を入れた。
「あ、ああんっ……」
あばれるローターがこれ以上ないくらいちんちんとくっつく。
「お仕置きだよ、このままもっかい射精しろ」
かかとのいちばん固い部分を使って
ぐりぐりふみつけてくる。
「ごっ、ごめんってえぇ………」
全身のちからがぬけて、動く気力すらない。
ただ、ミツルの足によって押しつけられる
ローターからの刺激を、
必死で耐えるしかなかった。
「はあっ…はあっ…はあっ………」
涙でにじんだ目を開けてミツルを見ても、
ミツルはただぼくを見下ろしてるだけだった。
カッちゃんっ………
そう思いながら、ぼくはオムツの中で
3回目の射精をむかえた。
身体じゅうの力が抜けていた。
荒い息をはき出しながら
心の中で何度も何度もカッちゃんに謝ってるうち、
オムツをふんでたミツルの足がすっとなくなった。
目を開けて上を見てみると、
ミツルがすぐそばにしゃがんで
笑いながらぼくを見下ろしてた。
でも、その顔は
意地悪なことをするときの顔じゃなかった。
「じゃ、脱がすね」
って言って、ぼくのはいてるオムツに手をかけた。
ぼくは、反射的にオムツをおろそうとする
ミツルの手をつかんでた。
「恥ずかしい?」
そう言った。
すごく優しい口調で。
ついさっき、ぼくのことを奴隷にするなんて言ってた
ミツルとは別人みたいだった。
「……………」
ミツルはだまったままぼくの手をどかし、床においた。
そしてもう一回オムツをつかんだ。
肌にこすれる音をたてながら、
オムツは少しづつ足先の方へ近づいていった。
ゴムで締められてた部分がようやく開放されて、
少しだけ心地よかった。
「うわ、すご………」
オムツが太もものあたりで止まった。
3回も出しちゃった精液にまみれてる
ぼくのちんちんを見てそう言ったんだと思う。
そんなミツルを見てられるわけもなく、
ぼくは顔をよこに向けた。
床についたほっぺがちょっと冷たかった。
「よく出したね」
ミツルが言う。
オムツとは名ばかりで、
それは水分をぜんぜん吸収してくれないものだった。
だから、行き場のない精液が
オムツとちんちんの間でからまって、
すっごく気持ち悪かった。
そんな生暖かいところからようやく外に出してもらえた。
「べとべと」
ミツルがぼくのちんちんをつまんだ。
ちょっとだけ持ち上げてすぐに指を離す。
さっきまでとはぜんぜん違い、
ぐったりしたちんちんは
すぐにまた精液の水たまりの中へ倒れていった。
「臭い、すごいよ」
ミツルが大きく鼻を鳴らして
ニオイをかぐ音が聞こえた。
「うっさい………」
ちいさくそう言ったら、
すんなりニオイをかぐのをやめてくれた。
「足あげて」
言われるままに足をかたっぽずつ上げる。
オムツは完全にぬきとられて
ぼくはハダカになった。
「これももういらないね」
そう言って、ちんちんにまきついてた
ローターを取ってくれた。
「じゃ、こっちも」
今度は両足を持ち上げられた。
「やっ………」
赤ちゃんがオムツかえられる時みたいなかっこう。
おしりにささってるバイブが丸見えだった。
「これも抜く?」
バイブの底をつんつん突きながら言った。
それだけでぼくの身体がぴくぴくふるえたけど、
なんとか首をたてにふった。
「あ、あ、あ………」
ゆっくりゆっくりバイブがぬけていく。
ウンチが出てくようなかんじで、
ぼくはこわくなってきゅっとおしりの穴を閉めた。
「そんな力入れてたらぬけないよ?」
ぼくが力入れたことによって、
バイブの先っちょのちょっと太くなってる部分が
ひっかかってるみたいだった。
「そんなにカッちゃんのちんちん、抜きたくない?」
ミツルが意地悪くそう言った。
だから、ちょっとだけおしりの力をぬいた。
きゅぽ………と、小さく音をたてて
カッちゃんのちんちんがぬけた。
今まで何か入ってるのが当たり前だったおしりの中は
からっぽになってなんだかちょっとさみしかった。
「………………」
ミツルがそっと足をおとしてくれた。
ハダカで床に転がるぼくの身体を、
ミツルはじっとながめてた。
早く置きあがってちんちんをふいて、
服を着たかったけど
なぜかぼくは動けなかった。
「ワタルは、さ」
突然、ミツルが口を開いた。
顔を上に向けて、ミツルを見た。
ミツルはしゃがんだまま
じっとぼくの顔を見ていた。
「カッちゃんとセックスしたい?」
いきなりとんでもないことを聞いてきた。
だから、すぐに答えられるはずもなかった。
「どう?」
ミツルが顔を近づける。
「どうって………」
ぼくは顔をそむけた。
「わかんない?」
ぼくはうなづいた。
「セックスって、
どんなんかわかんなくてちょっと怖い?」
もっかいうなづいた。
「ふふっ」
ミツルが笑った。
「可愛いね、ワタル」
そう言って、ぼくの頭をなでた。
お父さんやおじさん以外の人に
頭をなでられるのは初めてだった。
「じゃ」
ミツルが立ち上がった。
「今からセックス教えてあげるよ」
「はあ!?」
予想もしなかった言葉に、
思わず声が出てしまった。
ぼくがそんなことしてる間に、
ミツルはもう服をぬぎはじめてた。
今までどれだけぼくの服をぬがせても
自分は絶対にぬがなかったミツル。
セックスがどうとかってことよりも
そんなミツルが突然服をぬぎはじめたことにびっくりした。
「ちょっ、何してんの?」
上着を一枚ぬぎおわってたミツルの動きが止まる。
「何って、ワタルは服きたままセックスするの?」
ミツルがぼくを見る。
なんか、ぼくの方が間違ったことを言ったみたいになってた。
「まあ、一部着衣の方がいいって
人もいるみたいだけどね」
また、わけわかんないことを言う。
「服とかあったら邪魔でしょ?」
そう言いながら、またぬいだ。
ミツルの上半身がハダカになった。
カッちゃんやほかの友達のとはちがって、
ミツルの身体はすごく白かった。
でも、ぜんぜん外に出なくて
日焼けしてないやつとかの身体とはちがう。
ミツルの身体は………キレイだった。
「でも、ワタルはカッちゃんみたいに
焼けてる身体の方が好きなんだよね」
ぼくはだまったまま、何も言わなかった。
それゃあ、ミツルなんかより
カッちゃんの方がずっと………
そんなことを思ってると、
ズボンが床に落ちる音が聞こえた。
本気なんだ、って思った。
ミツルがはいてたパンツはぼくのとはちがって
ボクサーブリーフってやつだった。
一回クラスのだれかがはいてきて
体育の着替えの時にじまんしてた。
たしかに、ぼくがはいてるようなのと比べたら
ずっとかっこいい。
「なに? これ、珍しい?」
「あ、いや、そんなことないけど………」
知らないうちに、ミツルをじっと見つめちゃってた。
正しくはミツルのパンツ、
そのちょっとふくらんでるところなんだけど………
こんなキレイなミツルにも、
やっぱり"ついてる"んだ、って思った。
ぼくがそう思った直後、
ミツルはなんのためらいもなくパンツをぬいだ。
そしてそれを軽くたたんで、床においた。
そしてまた、じっとぼくを見つめた。
じっと見たらまた何か言われるに決まってるから
見たくないんだけど、
やっぱり目が行ってしまうのは
パンツにかくれてた部分だった。
色はほかの部分と変わらない薄い肌色。
形はぼくのとそんなに変わんないけど、
ちょっとだけ大きいかもしれない。
カッちゃんのバイブとは………
まだおっ聞くなってないから比べられない。
「緊張してる?」
なんか、そう言われたとたん
心臓がばくばく言いはじめたような気がした。
いや、それまでもばくばく言ってたんだろうけど、
ぼくが気づかなかっただけなんだろう。
「ま、誰でも初めはそうだよ」
ってことは、
ミツルはもう何度もしたことあんのかな………
ミツルの身体が、ぼくの身体の上に乗っかった。
肌と肌がふれあう。
胸と胸、
おなかとおなか、
ちんちんとちんちん、
ぜんぶがくっつき合う。
ぼくの心臓ばくばくは最高潮で、
もはや目すら開けてられなくなった。
「そこまで緊張しなくたっていいのに」
すぐ近くで聞こえるミツルの声。
「僕はもうワタルの身体で見てないとこはないんだからさ」
そんな問題じゃなかった。
ミツルとくっついたことは何度もあったけど、
ハダカとハダカでくっついたことなんかないんだから。
しかもこれからセックスするとか言ってるし………
「ね」
ぼくの髪をかきあげながら
ミツルが声をかけてきた。
「ちょっと口あけて」
ぼくのくちびるを指でたたく。
言われるがまま、ぼくはちょっとだけ口をあけた。
「んっ………」
そのまま、キス。
ハダカで、身体をぴったりくっつけたまま、キス。
セックスする、って言ったミツルが
本気なんだって思った。
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