+ 大雪09 小話13+


「やれやれ……」
 雅臣さんが開けっ放しにしていった玄関を閉めに行って戻ってきたタイザンは、ため息をついてコタツにもぐりこみました。
「新年早々、騒がしかったことだ。本当に、あいつから合鍵を取り返す算段をせねばならんかもな」
 契約者のボヤキを、オニシバは笑い飛ばします。
『冬の日の遅くに帰ってみたら、玄関先で雅臣さんが寒そうにうずくまってる。
 てなことがあっても知りやせんぜ?』
「………………」
 タイザンは押し黙って返事をせず、不自然な突然さでテレビのチャンネルを変えて、それからコタツの上のミカンを1つ取ってむき始めました。さっきのやり取りを押し流すかのような独り言調で、
「……しまった、茶でも入れてくればよかったな。今から立つのは億劫な……」
 と、その言葉が急に止まったのです。目を見開き、何かを必死に考えるように視線をさまよわせた後、
「……オニシバ、うちにコタツなどあったか?」
『もともとはありやせんでしたね』
 飄々と返されたタイザンは、さらに狼狽した様子になったのでした。
「なんだ、なぜうちにコタツがある。買った覚えなどないぞ。どこから現れた」
『はァ、どこからも何も、あれァ九日ばかり前だったか、うちに帰ったら雅臣さんがいてこのコタツが置いてあって、でもダンナが何も言わずごく自然にコタツにもぐりこんだもんだから、あっしァてっきり嬉しかったのかと思ってたんですが、
 ……ダンナ、』
 衝撃を受けた様子の契約者に、オニシバは続けて、
『もしかして、そもそもの違和感に気付いてなかったんですかい』
 タイザンは愕然とミカンを取り落としたのでした。
「…………雅臣めが、コタツとは人間を堕落させる麻薬のようなものだと常々言い聞かせていたのに、私の家に勝手に持ち込むとは……!
 決めたぞオニシバ、絶対に合鍵は取り上げてやる」
 そう言いつつ、コタツから出ようとはしねェんじゃありやせんか。
とオニシバは心でだけ突っ込んだのでした。

10.05.07



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タイザンは自分ではコタツを買わないタイプだと思います。
でも魔力には逆らえない。

「です・ます」で書き出したのに、
途中でナチュラルに「だ・である調」に変わってて、
読み直してめちゃくちゃ驚きました。