+ 大雪09 小話10+
タイザンが京都の某老舗の特製おせちを冷蔵庫から出している間に、雅臣さんは足取りも軽く玄関へ向かい、やがてはがきの束を手に戻ってきました。
「さすが天流討伐部長、今年もたくさん賀状が来てるぜ。お、これ地流宗家からか。これはヒラ闘神士からかな? これはどっかの店だな」
ばらばらにするなよ、などと言いつつ何気なくそっちを見たタイザンは、
「……いかん、待て、雅臣、それに触るな!!」
「え? ……あれ、これなんだかベタベタしてるぞ」
警告も間に合わず、雅臣さんの右手は、束の中にまぎれていたオオスミ部長からの一枚にべったりと触れてしまっており、
「……うわああっ、俺の、俺の右手に毛皮が! トラじまの毛皮が生えてきた! 俺の右手があっ!!」
「遅かったか……オオスミめ、新年早々なんという恐ろしい生物兵器を……」
トラじまの右手を振り回して悲鳴をあげる雅臣さんを見つめ、タイザンは戦慄に声を震わせたのでした。
10.02.27