☆ オニシバ復活設定です。捏造部長連作『風花』のあとくらいということでお願いします。
+ 1 発端 +
「タイザン、何も言わず俺についてきてくれ」
深刻な顔をした雅臣に切り出されたのは、天地神の大戦が終結し、ウスベニらを助けたのち、タイザンたちが元の時代へと戻ってから節季が一巡りしたころだった。
ウツホの遺志か、なくしたはずのオニシバとの絆を取り戻して、失っていた記憶も戻り、一人胸のうちで自らの罪と向き合う日々が続いていた。里の者の前ではそんなそぶりは見せていないつもりだったが、雅臣と彼の姉にはなぜか伝わってしまうようで、二人はさりげなく明るく振舞っては彼の心を支えてくれるのだった。
だからこそ、隠れ里に戻ってから久しく見ることのなかった雅臣の真顔に、タイザンは少し胸をつかれる。なにか、あったのだろうか。だとしたら、彼の力になるのは自分の義務のように思えた。
「わかった」
短くそう答えて、雅臣に続いて符の開いた道をくぐり、ついたそこは、ガラスとコンクリートとで作られた近代的なビルの一室。
つまりミカヅチビル社長室だった。
08.12.7
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