+  ボーナス商戦通過中  +


 夏のある日、ミカヅチビルは浮かれておりました。
 誰も彼もが機嫌よく、にこにこと弾むような足取りです。あちらではイゾウが「夏季賞与明細」と書かれた紙を手にグフグフと笑い、こちらではカンナが「よおっし! 休みとってハワイいくぜ!」と気炎を上げております。
 そう、世の社会人の幸福の源、夏のボーナスが下りたのです。
『あちらさんもこちらさんも大喜びですねェ』
 オニシバが面白そうに言いました。対するタイザンは渋い顔で、
「仕事はまだまだあるというのに、そろいもそろって浮かれおって」
 そんなことを言っています。オニシバは笑いました。
『またうちのダンナはそういうことを言いなさる。どうですかい、ダンナもたまにァぱーっとやって、日ごろの憂さを晴らしなせェよ』
 ふむ、とタイザンは思いました。そういえば、ボーナスは毎年振り込まれた銀行にそのまま眠っていて、楽しく使ったことなどなかったな、と。
「たまには使ってみるのも、悪くはないかもしれぬな……」

08.07.15



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微妙にそんな時期なので。