+ 大雪まつり07 はじめ+
ふと、窓の外を見て、
雪か。
タイザンはいつの間にか降りだしていた細かな雪に気が付いた。
『冷えると思ったら、雪ですぜ、ダンナ』
ゆらりと神操機から出てきたオニシバが窓に寄る。午前0時の夜空に向かってカーテンを開け放してある窓は、室内を鏡のように映していたが、そこに霊体の姿が映りこむことはないのだった。
「積もると厄介だな。電車が遅れる。積もりそうか?」
『さァねえ、この調子じゃァそれほど積もりはしないんじゃありやせんかい』
ま、とオニシバは続ける。
『何しろ節季は大雪ですからね。どっさり積もるくらいのほうが本当なんでしょうよ』
「悠長なことを言うな。満員電車に閉じ込められる恐怖を知らぬ分際で」
『ああ、あの時ァ大変でしたっけねェ』
オニシバが楽しそうに笑うので、タイザンは文句の一つも言ってやりたい気分になったが、
「まあいい。明日は早く起きたほうがよさそうだからな。もう寝る」
『へい、お休みなせぇやし』
さっさと毛布にもぐりこんだ。
07.12.07