+ 小話11 +
やたらと眠い昼下がり。タイザンは行きつけの寂れた蕎麦屋で茶をすすりながら、見るともなく店内用テレビを眺めていた。さっきニュースが終わって、店の女将が気まぐれにチャンネルを変えていったばかりだ。
画面には『式神戦隊ゴギョウンジャー・完』とテロップが出ている。それに重なるように、勇ましい声のナレーションが入った。
『みんな、一年間オレたちの戦いを応援してくれてありがとう!
来週からは、新しいヒーローたちの活躍が始まるぞ!』
画面がぱっと切り替わり、特撮特有のバトルスーツに身を包んだ5人組が現れた。
軽快なBGMが流れ出す。
『地流レッド!』
赤いバトルスーツが力強く名乗る。タイザンはあやうく茶を吹くところだった。
……ミカヅチ社提供の特撮番組か? また大胆な名を……!
『天流ブルー!』
……敵だ敵、天流をヒーローにしてどうする!
『神流グリーン!』
今度こそ茶を吹いた。……いやがらせかミカヅチ!
『魔流ブラック!』
……まりゅう? ……神に対して悪魔ということか? 人数あわせにしても安直な!
『桃流ピンク!』
……ネタが尽きたのだな。
『流派戦隊! インキルジャー!』
五色の5人は爆発を背にポーズを決めた。
『なんだか面白そうなてれびが始まりやしたねェ』
笑うようなオニシバの言葉を聴きながら、タイザンは思った。
……とりあえず、センス皆無のそのネーミングをなんとかしろ。
あと、グリーンだけ妙にもっさりしたデザインなのは私への嫌がらせか、と。
07.11.23