+ 小話10ノ弐 +


 通用口を苦労して開け、開店準備に追われる従業員がすべて石化した某デパートに、タイザンはやっとのことで忍び込んだ。
「この私に盗賊まがいのまねをさせるとは……。ウツホめ、覚えておれ」
『まァ、計画の成功のためには仕方ねェことでしょうよ。で、ダンナ、何ですかいそれは』
「これか。この時代で盗みを働く際の呪具だ。江戸時代から続く歴史を持った由緒正しき呪法で、犯罪の発覚を防ぐ効果があるというが、知らぬのか?」
『……初めて聞きやした。で……まさかと思いやすが、その手ぬぐいをこう頭からかぶって、こう鼻の下で両はじを結ぶってな使い方じゃァありやせんかい』
「なんだ、知っているではないか」
『ダンナ……その話、誰から聞きやした?』


「でたらめを教えおってミカヅチめが! いずれ石化を解いて改めて血祭りにあげてくれる!」
 警戒心がやたら強ェってのに時々ころっとだまされちまうお人だから、ついついでたらめを吹き込みたくもなったんでしょう。ねェ、ミカヅチさんよ。
 とオニシバは怒り狂う契約主を横目で見つつ思った。

07.10.2



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