+ 小話10ノ参 +


「……タイザン」
 ややうつむいていた顔をあげ、ウツホが御簾のむこうから低く呼んだ。
「……は」
 こちらもまた、ややうつむいていた顔をあげてタイザンはそちらに向き直った。
「そなたはわが神流の闘神士だな?」
「は、仰せの通りにございます」
 手にした物を床に置き、深く頭を下げる。
「このウツホに忠誠を誓ってくれるか」
「もちろんでございます。これまでもこれからも、ウツホ様への忠誠、変わるところはございません」
「私の望みを叶えてくれるか?」
「仰せのままに」
 ウツホはゆっくりと、そしてかすかにうなずいた。
「ならば……おまえがさっきゲットした幻の妖怪『メダマジジイ』をこちらによこせ」
「お断りいたします」
 恭しく応え、タイザンはまた携帯ゲーム機を取り上げてレベル上げ作業に戻った。

07.10.7



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