+ 小話5 +


「……タイザン」
 御簾の向こうから、ウツホが低く呼んだ。
「は」
 今度は何の用だ。ゲームか。漫画か。……とは口に出さず、タイザンは恭しくウツホのほうへ向き直る。
「お前の式神を、見せてみよ」
「……は」
 この命令は予想外だった。何だ? 何のつもりだ。心中の警戒を表に出さぬように気を配りながら、タイザンは袂から出した闘神機を掲げる。
「式神、降神」
「霜花のオニシバ、見参。……ダンナ、どうしたんですかい」
 オニシバの問いかけに応えず、タイザンはただ軽くウツホを示す。御簾を隔てた場所にたたずむ少年は、じっとオニシバを見つめ、やがて深くうなずいた。
「ところで、タイザン」
「は」
「ドラ○もんの野比○び太がメガネを外すとどうなるか、知っているか」
 一瞬の静寂の後、タイザンとウツホ、二人の視線がオニシバのサングラスに集中した。
「……いや、あっしにそれを期待されても困りますがね、ダンナがた」
 そう言いながらもオニシバの足は、サングラスに注目したままゆっくりと立ち上がった契約者から距離を取るように、じわじわと後ずさりを始めていた。

06.04.08



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