+ 小話4 時事ネタとご一行 +
ある真夜中のことです。
天流闘神士吉川モンジュさんが、偶然隠し社のそばを通りかかると、中から低く抑えた声が聞こえました。
「黒鉄のフジ、天流闘神士吉川ヤクモが契約する!」
ヤクモ?! それに契約?! 驚いたモンジュさんが隠し社の扉をはね開けると、中で零神操機を構えていたヤクモさんが弾かれたように振り向きました。
その後ろにはたった今契約したばかりの、黒鉄のフジ。そして、
癒火のツルヤッコ。
大火のムミョウ。
雷火のジョニザ。
楓のダイカク。
榎のコンゴウ。
それら新たな式神が6体。そしてブリュネ・タカマル・サネマロ・リクドウ・タンカムイの5体を足して、計11体の式神が並んでおりました。
「……ワールドカップか」
「…………うん」
「出来心だったんだな?」
「……うん」
なんだか小さくなっているヤクモさんを、11体の式神たちがじっと見つめています。そしてモンジュさんが言いました。
「ヤクモ、言いたくはないが。……サッカーは11人じゃできないぞ。相手チームがいない」
重々しく告げられた言葉に、ヤクモさんのは愕然とあごを落としました。
結局、新たに契約した6体は、ヤクモさんの五行の式神を相手に5対5のミニサッカーでいい汗を流し(残った1体とヤクモさんは監督です)、ヤクモさんがなんとなく満足したので契約満了となって帰っていったそうです。
06.06.21