+  マサオミ編  +
註:時系列むちゃくちゃです





・ 契約時 ・

「今日からおまえが俺の契約式神か。よろしくな、オニシバ」
「へい、しばらく世話になりやす、雅臣の兄さん」
「あいさつ代わりと言っちゃなんだが、特製スペシャル牛丼、二つ買ってきてあるんだ。一緒に食べようぜ!」
「……面目ねェ兄さん。あっしァ犬の式神だからたまねぎの入ってる食べ物はうけつけねェんでさァ」
「! ……そうだったのか……」
「へい。じゃあ兄さん、ごめんなすって」
「ああ。霜花のオニシバ、ここに契約を満了する!」

 ……あとで姉上とタイザンにこっぴどく説教されました(マサオミ談)。


・ 天流宗家捜索時 ・

「天流宗家ってのもなかなかみつからないもんだな、オニシバ。おっ、新しい牛丼屋発見!」
「まあ、天流宗家ってェのがそこいらに転がってるわけはありませんぜ」
「場所も時間も、この辺りなのは確かなんだが……。おっ、新しいファーストフード屋発見!」
「天流が厳重にかくまってるってことも考えられやすぜ、雅臣の兄さん」
「しかし今の天流にそれだけの組織力は考えられないだろう。おおっ、こんなところで全国駅弁市やってるぜ! さっそくレア駅弁確保しなきゃな!」
「……兄さん。あっしらは何を探してたんでしたっけ?」
「レア駅弁に決まってるだろ! レッツゴーぅ!」

 ……あとでタイザンにばれて、いやというほど叱られました(マサオミ談)。


・ 幼ガシン時 ・

「ガシン、オニシバ、今日は山菜を取りに参りましょう」
「へい姐さん」
「へい姉上!」
「ガシン! そこに座りなさい! なんですかその言葉づかいは!」
「だ、だってオニシバがこういう風に言ってるから……」
「オニシバは式神だからいいのです。ガシンは人間でしょう。美しい言葉を使わなくてはなりません」
「姐さん、あんまりガシンさんを叱らないでやってくだせェ。子どもが周りの言葉づかいをマネしちまうのは仕方ねェことですぜ。言ってみればあっしの責任だ」
「いいえ、わたくしの責任です。オニシバがそんな風に思うことはないのですよ」
「面目ねェ。……この際だから言っちまうが、姐さん」
「なんですか、オニシバ」
「あっしのこの格好、この村じゃァいやというほど浮いてませんかい?」
「それ僕も思ってた! どうがんばっても風景に溶け込めないんだよね!」
「こっこれガシン! 口に出してよいことと悪いことがあるのですよ!」
「……やっぱり姐さんもそう思ってましたかい」


・ 伝説と遭遇時 ・

「おまえの待っている者はここへは来ない。……おまえたちは何者だ」
「こっちが先に名乗れってことね。いいでしょう。式神、降神!」
「霜花のオニシバ、見参!」
「オニシバ!? 久しぶりじゃないか! あれから元気だったか?」
「もしかしてヤクモの兄さんですかい? 立派になったもんだ。見違えやしたぜ」
「おいおい知り合いか? 頼むぜオニシバ」
「へい、それじゃ昔話はひかえることにしやしょう。ところで雅臣の兄さん、あの御仁は危険ですぜ。まともに戦っても勝てるたァ到底思えねェや」
「なんだ、随分弱気だな。天流ごときに俺たちが負けると思うのか?」
「へい……たとえば、こうしてあっしがいきなりあの人を撃つでしょう」
「って前触れもなく闘神士を撃つなよ! 名落宮に落ちる気かっ!」
「闘神士への直接攻撃だと?! ちぃっ!」
「うわっ! 式神からの攻撃をよけた!?」
「……とまあ、こういうお人なんで」
「…………しっぽ巻いて帰るか、オニシバ」
「へい」


・ 天流闘神巫女取り入り時 ・

「リク様に近づいてはなりません。あなたからは不埒な匂いがします!」
「……とか言われちまってましたねェ、雅臣の兄さん」
「参ったな、天流の闘神巫女はなかなか勘が鋭いじゃないか」
「宗家の坊ちゃんがおっとりしてる分を補ってるんでしょうよ。どうしやす」
「大丈夫だ、ちゃんと、女の子のハートをがっちりキャッチする奥義を見つけてあるからな。おっ、いい具合に雨が降ってきたな。それじゃあ……(ごそごそ)」
「……道端にみかん箱なんざ置いて、どうするんです兄さん」
「俺の事前のリサーチで、ナズナは毎日この時間に買い物でこの道を通るってことが分かってるんだ。
 というわけでオニシバ、このみかん箱の中に入るんだ!」
「……ま、兄さんが入れって言うんなら入りやすがね。よっ…と」
「よしよし。じゃあこのみかん箱にマジックで、『ひろってください』……と。
 雨の中でずぶぬれの捨て犬を拾う俺の姿に、ナズナちゃんは確実にきゅんときちゃうぜ!」
「…………兄さん、ひょっとしてツッコミ待ちってやつですかい?(ぼそっ)」
「雨にぬれてるってのも寒いもんだな。ナズナちゃん早く来ないかな〜」

 ……その後自分だけカゼをひいて寝込みましたが、タイザンは叱ってもくれませんでした(マサオミ談)。

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