月曜日(2016.2.19)
毎朝の日課で、犬を連れて散歩にでる。
いつもの散歩コースで、必ず、うちの近くの床屋さんの前を通る。
そして、その床屋さんは、私の行きつけのお店でもある。
店内には、椅子が4つほどあるが、そのうちの2つしか使っていない。
たぶん昔は、お弟子さんが何人か居て、全ての椅子を使っていたのだろう。
ご主人、かなりの高齢になられて、奥さまと二人きりでお店をやっておられる。
失礼だが、奥さまもそんなには若くはないと思われるが、
ご主人よりは年下だろう。
お店は、私が家を建てて越してくるる随分前からあったらしく老舗であり、
近所のお年寄りを中心とした常連さんで、結構、繁盛している。
店内の、使われなくなった2つの椅子と、その周辺は、
写真のネガとか、写真をカンバスのような物に貼った作品とか、
カメラ関連雑誌などで、埋もれているという状態である。
この床屋のご主人は、実は写真が趣味なのである。
高千穂の雲海とか、流鏑馬などのイベント、棚田の風景など、
その写真作品が、店内にいっぱい飾ってある。
熊本日日新聞社主宰の「フォトコンテスト」などに、出品されよく入選されるようだ。
もう随分前の事だが、私が散髪してもらおうと、この店のドアを開けて
「こんにちはー」と、挨拶しながら入ったら、
ご主人、顔全体と、両腕に包帯をグルグル巻きにしておられた。
目のところだけ出して、まるで 恐怖のミイラ のような風体である。
びっくりした私は、「どうされたのですか。その包帯は」 と聞くと、
店休日に、阿蘇方面に “野焼き” の写真を撮りに行き、大火傷したのだとか。
鰹のタタキは、燃焼温度の高い“ワラ” で焼くというのはよく知られた事だが、
野焼きも、そのワラに火を放って焼くのと同じであり、不用意に近付くと
風向きによっては、かなり高温の風があっという間に襲ってくるという。
大変な火傷をされたご主人には悪いが、
その包帯だらけの姿を見て、私は思わず笑ってしまったのを覚えている。
床屋さんの、すぐ横が駐車場になっており、
ご主人の車(4駆のパジェロ・ミニ)がいつも停めてある。
【 パジェロ・ミニ 】
ご主人の話しでは、
例えば、朝陽にかがやく雲海を撮影しに行くときは、かなり朝早く出発されるらしい。
撮影場所や被写体によっては、日曜日の仕事が終わった深夜から出発される事もあるとか。
髪を切ってもらいながら、いろいろお話しを聞くと、
「最近では、うちの(家内)が、腕(写真撮影の)が上達してですなぁ」と、ご主人。
奥さまに “すごいですね!” と、聞くと。
『 いやーぁ、私は、アッシー君ですよ。』と、おっしゃる。
高齢のご主人に代わり、車の運転もされながら、撮影も楽しまれる奥さま。
つまり、店休日には必ず夫婦そろって、仲良く撮影旅行に出られるのである。
夫婦一緒に打ち込める趣味があるって、実に素晴らしい!
いつもの、犬の散歩時、
お店の横に、車が無いのが目に入ると、
“ あー、そうか、今日は月曜日かぁ ” と、
毎日がシルバーウィークの私は、つぶやいて、
しかも、顔が自然とほころんでしまう。
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