素敵な人(2016.2.2)


 びっくりした。
この「知人」というジャンル、一つ前のエッセイを見たら2年前のものである。
この私には、よっぽど友達がいないという事の証左である。

ボランティア活動で、老人ホーム等へ出かけて行っては
お年寄りの方々と、一緒に、楽しく、大きな声で
昔懐かしい童謡・唱歌を歌っている。

大きな声を出して、歌う事。
これは、お年寄りには実にいい運動と、刺激になり
痴呆症ほかの病気にも一定のいい効果があるという。

だからという訳ではないが、
我が童謡コーラスグループ “気まぐれーズ” が、童謡コンサートのため施設を訪問するときは、
ほぼ毎回、歌集を20部とか、30部とか持参し、プレゼントする。

先日のボランティア活動での出来事である。
到着と同時に、持参した歌集30部を、係りの方に、
「これ、皆さんにお配りいただけますか」 と、言ってお渡しした。


【 持参する「歌集」の表紙 】

歌集は、事前に何部準備すればいいか聞いてあるので、
どの会場でも、私らの到着と同時にお渡しする。

今回、その歌集を受け取った女性職員の方は、
参加されているお年寄りに、歌集を配り終わり、私どものコンサートの開始にあたり、
ひとこと、ご挨拶をされた。
 「はーい! 皆さん、今日はお忙しい中、“気まぐれーズ”さんにお越し頂きました。
  今、お配りした歌集を見て、歌集番号221番とあるので、多分レパートリーは 
  500曲くらいあるのでは?と思います。凄いですねえー、、、、」 てな感じで。

上の歌集を見て、「15.青葉の笛(221)」という文字から、
(  )は、楽譜番号と、書いてあるので、とっさに、このグループはかなりのレパートリー
(少なくとも221曲以上はある)があるんだ! と、推測、判断されたのだ。

普段なら、“ふーん、(  )内の番号は、何かと思ったら楽譜の番号かぁ” で終わるだろう。

そこを、この女性職員(失礼、施設長さんかも?)の方は、
我々の持っている、レパートリーの曲数にまで洞察力が及ぶのである。

途端に、その女性職員が神々しく見えた。


孫子の、数ある兵法の極意に以下のような教えがある。
「鳥立つは伏なり」
 これは、野営している陣地の近くで、バタバタと鳥が飛び立った時は、
すぐ近くに敵勢が潜んでいる情況証拠だという教えである。
 “なーんだ、鳥かぁ” で終わると、寝首をかかれる事になる。

そういう意味で、その女性社員はよく見ると、
周りの小さなことも、見逃さず、すぐにご自分なりに判断し、
施設を利用されているお年寄りのため、
テキパキと臨機応変に対処されているのである。

私はその方が、とても素敵な女性に見えた。


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