「ハイ」と、画像検索(2010.9.16)


 以前、大岡昇平さんの小説で、「俘虜記」、「野火」、「武蔵野夫人」を読んだ。
氏は、終戦近くフィリピンのミンドロ島で、
米軍に捉まり俘虜となってまさに、九死に一生を得た方である。
この3冊の小説とも、南方戦線での熾烈な戦争体験が、小説のベースとなって構成されている。
小説を読むまでは、大岡昇平氏の名前は知っていたが、お顔が思い浮かばなかった。

ご存知のとおり、インターネットなる便利なものがある。
Googleのホームページで、左上の「画像」をクリックし、「大岡昇平」と入力し、
「画像検索」をクリックするだけで、氏の写真が表示される。

ああ、この方だったのか! ということになる。
画像検索とは便利なものである。


【 上図は、“マーチン ギター D45” をキーワードに画像検索してみた。 なんとこのギター、定価120万円である!どうでもいいけど 】 

私の愛読する小説家の、吉村 昭さんのエッセイに、以下のようなものがある。
エッセイのタイトルは、「ハイ」。
途中は省略するが、
氏が湿疹で、ある病院に診察を受けに行ったときのエピソードで、
受付けのわきから看護婦さんが出てきて、
 「XXさん、XX○子さん」と、呼ぶが「ハイ」と答える人はほとんどいない・・・・云々(このあたりも面白いのだが)
さて、氏の名前が呼ばれ、「ハイ」と大きな声で答え、
診察室に入って、40年輩の医師の診察を受けられた。
真新しいカルテに目を向けた医師が、
 「小説家と同姓同名ですね」 と、つぶやくように言った。
氏は、自分の名前を知っている人もたまにはいるのか、と思いながらも、
 「ハイ」と、答えた。・・・というものだ。


実に飄々として面白いエッセイである。
たぶん、インターネットなど無い頃のエピソードだと思われる。
ある人の名前や、機械、物など、知りたいものがあれば画像検索を利用すれば、
ほとんどズバリの画像が表示されるので、
 “ ああ、この人だったのか!” とか、 “ああ、これがその実物かぁ ” となる。

「天草つりお」で、画像検索してみた。
結果は当然、出てこない。
何故って、そんなに有名人ではないからです。「ハイ!」

さらに、「○○泰住」という人物の名前で、画像検索してみた。
(「○○泰住」は私の本名で、下は“ヤスズミ”と読む)
するとどうだ、ヒットするではないか。
但し、「□□泰住」という偉い学者先生がヒットしたのである。
姓こそ異なるが、名の“泰住”は一緒なのだ。

私はこれまで、「私の名前と同じ人に会ったことがない」 と、自慢げに言ってきたが、
インターネットで検索したら出てきたのだ。
その偉い学者先生の読みは、“タイジュウ” だったので、少し安心し、
今後は、
「私の名前と
同じ漢字で、同じ読みの人に会ったことがない」と、言う事にしよう。「ハイ」


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