精霊船(2010.8.27)


 約一ヶ月に渡り、引きずっていた業務上の懸案事項が一段落したので、
金曜日の今日、夏休みを取得した。

ストレス解消には、海へ! とばかり、出かけて行った。
港を出て5分もしないうちに、小さな精霊船が目に付いた。


【 小さな小さな、漁船タイプの精霊船である。 】

実際私が見た精霊船は、上の写真とは少し違う、芦北地方の“うたせ船”によく似た小さな船で、
船べりを白と青のペンキで綺麗に塗られたものであった。
お盆の15日から12日もたっているが、よく倒れもせず、けな気に浮いているものだと思った。

長崎の精霊流しを、また今年も見に行けなかったが、
今年は、さだまさしさんの父親の精霊船が出されたとのことである。


【 “さだ”と書かれた“みよし”があざやかである。 】

古式伝統にのっとり、精霊船の先頭に立つ紋付袴姿のさださん。
聞くところによれば、三連式の精霊船で、担ぎ手140人、搭載提灯260個という大船だったらしい。
すごいもんだ。

さて、朝7時頃、港を出航した私だが、
あまりにも暑いので、昼前の11時30分には納竿。
船上で後片付けをしていたら、携帯電話が鳴った。
仲間の岡本太郎(仮名)からの電話で、帰省しているので、久し振りに一杯やろうか!との事。
幸い、アジが10数匹釣れていたので、
これを捌いて行き付けのお店に持っていくか! 
そんな感じで、少しばかり帰路を急いだ。

帰宅後、早速アジを捌いて刺身にした。
行き付けのお店に電話し、ネギと生姜を準備しておいて! とお願いした。

お店に着くと、岡本太郎は既に到着して、ビールを飲んでいた。
さっそく、アッシの捌いたアジに、ネギ、おろし生姜、
醤油をまぶして、アジのタタキを来店者全員に振舞った。

新鮮だから、うまいの何のって、実に答えられまへん!
今回、改めて思ったのは、おろし生姜はチューブ入りではなく、
実際の生姜をおろし金で、丁寧におろしたものを使うべきだ という事である。
何といっても、風味がチューブ入りとは全く違い、実にアジの刺身を引き立たせてくれる。
アッシは、これまでほとんどチューブ入りしか使ってなかった事を悔いた。

仲間4人で、アジのタタキなどを肴に、ワイワイ言って飲んだ。
酔いも回って、歌を歌った。
岡本太郎が私に、さだまさしの “無縁坂”を歌って! と言う。
これまで歌った事は無かったが、歌は知っている。
その歌の中に、

   ♪ ・・・・・ 知らぬ間に、母の手は とても小さくなった ・・・・・・・♪

とう歌詞のくだりがある。

実はその日、アジを捌いて保冷材を入れ、アジの刺身を小脇に抱え、
玄関で靴を履いた時のことである。
普段は、徒歩通勤のため黒い色の運動靴ばかり履いて家を出る。
ところが今日は夕方、革靴を履いて行き付けのお店に向かったのだ。
その革靴を履いて愕然とした。
靴がブカブカなのだ。
いったい何時の間に、私の足はこんなにも小さくなったのだろう。

 ♪ ・・・・・忍ぶ忍ばず 無縁坂、かみしめるような、
           ささやかな僕の、僕の人生・・・・・・・・・・・・♪

精霊船に乗る日も、そんなに遠くないかもしれない・・・・


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